剣士の帰還、ジェダイとなって調和を齎さんとす   作:アトコー

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戦闘描写って表現しにくいですよね。
頭の中でこうするっていうのが分かっていてもいざ文字にしようとすると思っていたような表現じゃなかったり、何度か試行錯誤し放置しを繰り返していました。


第25星 『格の違い』

 

放課後になってから、達也にお昼の件はどうするのかを聞いた。すると、

 

「お断りするつもりです。ですが、取り合ってくれるか不明ですね。一応姉さんが言った通り考え直してくれることを願いますが・・・」

 

「私も生徒会入りはお兄さまの件次第ですね。」

 

「じゃあ、その事も言いに行かないとね。」

 

「ええ。それに、御姉様の要件も知りたいですし。」

 

「どうせ、親から九條の事は知らされている筈だからそれ以上の事は無いと思うけど・・・。」

 

一先ずこの件を終わらせる為にも生徒会室へと今度は咲那も同伴してもらって、足を踏み入れた。生徒会長が言う私への要件は咲那も一緒の方が良いと判断したからだった。

 

「失礼します。司波達也です。」

 

「司波深雪です。」

 

「・・・・・・・」

 

「司波?」

 

会室内に居た一人の男子生徒。だが、その人物が誰なのか分かった瞬間に深雪の機嫌は悪くなった。大事な兄と姉を蔑むような視線を送った相手、生徒副会長の服部刑部だった。

お昼の件についてを話に来たと達也が言うと、何処か深刻そうな顔をした七草生徒会長が、・・・

 

「・・・ええ、そうね。取り敢えず司波君の方からにしましょうか。結果次第では妹さんの生徒会入りも無くなりそうですし。」

 

「どういうことです!?」

 

「服部は昼に別用で居なかったと思うが、新入生総代を務めた司波深雪を生徒会入りに真由美が推薦した。一旦は認めたが、問題は司波達也の風紀委員会入りというわけだ。」

 

「待ってください、ウィードを?風紀に?碌な結果にならないです。早々にリタイヤさせる目的で?」

 

「はぁ?」

 

「ぁあ?」

 

此処でも達也を乏しめるような発言に深雪と私が反応した。更に言えば学内禁止用語を生徒会に属する人間が堂々と使った事についても怒りを覚えた。

 

「おい、それは禁止用語だぞ。」

 

「取り繕っても仕方がないでしょう?禁止用語を使ったからと言って取り締まりますか?全校生徒の3分の1以上が使っているというのに?取り締まれると?

用語はともかくとしてもブルームとウィードの実力差は明白。ウィードが風紀委員として取り締まる等不可能です。」

 

「果たしてどうかな?実力というのは色々ある。彼の場合、展開中の起動式から発動する魔法を読み取れる目と頭脳を持ち合わせている。お前には無いだろう?」

 

「まさか!?不可能です。起動式がいったいどれだけの羅列だと思いです!?それをウィードが?猶更の事ですよ。一体どのようなペテンをしたので?」

 

侮蔑と懐疑な視線を向ける服部副会長だが、達也は見向きもしていなかった。

だが。同時に渡辺風紀委員長が達也をそのように評価していたという事実は、達也を認めたとも取れ、深雪の幾らかの怒りは収まったかに見えたが、その後の服部副会長の発言により再燃する結果となっていた。

 

「ペテンなどでは無い。れっきとした彼の実力だろう。この能力を使えばわざわざ魔法の完成を待たなくても危険度に応じた罰を決める事が出来るわけだ。」

 

渡辺委員長がそう言いながらも、達也を風紀委員に活用したい理由を服部副会長にも伝えていた。

 

「それにだ。一科生のみで構成された風紀委員が二科生を取り締まるというのは、ただでさえ深い一科と二科の溝を更に深堀りする原因となる。そう言う意味でも彼を起用したいと思ったわけだ。・・・・・まあ半分は面白半分という点も無かった訳では無い。だが、今までにそう言う人材がいなかったからとも言うな。」

 

「成る程、そう言う理由で。」

 

思っていたよりも自身が評価されている事に、そして起用したい理由を述べてもらった達也は納得していた。斯く言う私も、彼女なりに考えたのか、確かに共感できる部分も有り、私は彼女の言い分を理解した・・・が、この男は引き下がらなかった。

 

「しかし、例えそうであったとしても、魔法力の乏しい二科生に風紀委員は無理です!会長、私は改めて反対します!」

 

どうあっても反対する服部副会長。

そんな状況で私は質問した。

 

「達也、魔法発動前に対象を取り押さえる事は?」

 

「距離にも依るが、アレが使えれば可能だ。」

 

「成る程、アレね。じゃあ、もう一つ、そのアレで深雪が発動しようとした瞬間に取り押さえる事は?魔法を読み取った上で。」

 

達也は少し考えてから答えた。

 

「不可能では無い・・・と思いたいが恐らく五分だろう。」

 

「お兄様の動きに慣れているのであれば対応速度は速いかと・・・。」

 

「深雪並では難しいと。」

 

「だが、深雪並の魔法発動速度を持つ生徒も一握りだと思うから、大半の問題は無い筈だ。」

 

「警戒は必要でしょう。」

 

3人で話を進めようとしていると、会話内容を有り得ないという表情をしながらも待ったを掛けた人がいた。

 

「ちょっ、ちょっと待って。司波君はそんな速度が出せるの?」

 

「ええ、魔法無しで。」

 

「魔法無しでだと!?・・・見てから判断したいが益々欲しくなるなぁ。」

 

驚く生徒会長にまだ知らない能力がある事に欲しいという欲求が増す風紀委員長。だが、この男は違った。

 

「そんなわけ無いでしょう。それに貴女もですよ、司波さん。我々は何れ魔法師となる一科生なのだから身内贔屓に目を曇らせてはいけませんよ。」

 

「お言葉ですが、私の兄も従姉も贔屓目に言っているのではなく、事実を言っています。この学校の評価制度が合っていないだけで実際とは異なるのです。その気になれば、私でさえ鎧袖一触されますよ。」

 

副会長の発言にカチンと来た深雪は、自身の経験を含めて反撃した。確かに、私が考案したやり方で魔法勝負すれば達也もCAD無しで深雪を圧倒する事が出来る。あくまでCAD有り気で話を進めているから余計こんがらがっているとも言うが。だが、カチンと来たのは深雪だけじゃなかった。

 

「・・・・・服部副会長、俺と模擬戦をしませんか。」

 

静かに、しかし滲み出る怒りのオーラを感じ取りながら達也は言った。

それを挑発と受け取った服部副会長は逆上した。

 

「思い上がるなよ!補欠の分際でっ!」

 

しかし、そんな逆上した副会長の発言もこうなった達也には無意味だった。

 

「いいだろう、身の程というものを教えてやる。」

 

「はぁ、まったく。こうなってしまったか。真由美。」

 

「もう、仕方ないわね。では、生徒会権限で2人の模擬戦を正式に許可します。」

 

七草生徒会長からの許可を貰い、CADを回収して演習室へ。

 

「早速、となってしまった訳だけど。これは仕方が無いね。」

 

「ごめんなさい御姉様。」

 

「いや、あれだけ言われたら深雪と言えど黙って無いのは分かってた。達也もキレるのは予想外だったけど。」

 

「・・・あれでも怒ってはいたんだ。まあ渡辺先輩があの場面だけで予想以上に評価していた事が少しは救いなのか?」

 

「かもしれないね。だけど、大丈夫?言い出しっぺで・・・」

 

「コンディションは良い。負ける事は無い。それに、服部副会長は世界を知らないようだしな。彼にこそ、身の程というのを教える必要があるだろう。」

 

「言うほどですが・・・知っていると知らないでは差がありますからね。」

 

「達也にしては珍しいね、身の程・・・ね。」

 

そう言うと、アッて顔になってから達也は気付いた。

 

「達也が強いのは知っている。けど、慢心はしちゃ駄目。相手が誰であれ、どうであれ、冷静に立ち向かいなさい。」

 

「ええ、そう・・・ですね。いえ、そうします。」

 

演習室に着いて、達也が拳銃型CADをアタッシュケースから用意し始めた。

演習室には既に生徒会ら役員が揃っていた。

 

 

「来たな。よもや君が好戦的な性格で驚いているよ。だが、自信はあるのか?」

 

「自信なんてものじゃないですよ。先輩は弱い相手しか経験が無いようにも思えますし、何より先の言い方からしてよっぽど見下しているようですから、戦い要はあります。」

 

「そうか?だが、服部は第一高校で五本の指に入る実力者、試合に関してだけ言えば入学以来負け知らずだ。」

 

「先輩とやった事は?」

 

「私は無いが、なんでだ?」

 

「いえ、・・・それだけで十分です。それに、戦い方は何も正面からとは限りませんから。」

 

そう言いながら達也はアタッシュケースから特化型CADを取り出すと、複数のストレージを胸ポケットに仕舞いつつ、CADに一つストレージを装填した。

 

「ほう?いつも複数のストレージを?」

 

「ええ、自分の能力では必要な魔法の使い分けが出来ませんので。」

 

「ふむ、・・・さて、そろそろ時間のようだな。」

 

準備が整ったところで、2人の模擬戦が始まろうとしていた。

達也は冷めた目で見ているが服部副会長は見下すような舐めた目で達也を見ていた。

そして、この状況にわくわくしている渡辺風紀委員長と七草生徒会長。

服部副会長にとっては、この状況は容易な模擬戦と捉えている事だろう。それが副会長の思い通りの話だが・・・

 

「準備は双方いいな?では、始め!!」

 

合図と同時に手を振り下ろした渡辺風紀委員長。それにコンマ04ほど間を置いて達也の足元に魔法が発動・・・される筈だった。

 

「・・・・・・」

 

副会長が放った魔法は相手を後方に吹き飛ばす筈の移動魔法・・・当たればだが。

達也は、放たれた魔法から後ろに一歩引き下がった。

 

「「「避けたぁ!?」」」

 

「その場所に放たれる事が事前に分かれば避けやすいと思いますが?」

 

「いやいや、そんなこと・・・出来る筈が・・・いや、実際達也君はしている訳だし・・・ええ?」

 

まあ、そんな芸当が出来るのも、模擬戦施設で咲那や深雪と模擬戦をしまくった結果、達也は『精霊の眼』を使わずして座標を指定しての魔法の感知が出来る眼を持ってしまったのだ。(本当に使ってないのかと疑うぐらいに精度が良い。)

 

「では、今度はこちらから。」

 

そう言って達也は私たちの視界(正確に言えば、私と深雪以外)から消えて、副会長が再び感知して魔法を放った時には、副会長の視界には魔法が当たった筈の達也はそのまま存在しているように見えて魔法直撃と共に霞のように消えたと思えば、副会長の背後で物音立てずに達也が振動魔法を放った事で副会長はよろめきながら意識を失った。

 

一連の状況を最初から最後まで理解していたのは私と深雪だけ。生徒会長も風紀委員長も生徒会役員も何が起きたのかすら分かっていなかった。

 

「まあ、そうなるわね。」

 

「姉さんにはまだ敵わないけどな。」

 

「だけど達也、手を抜いたね。わざわざ残像まで残して」

 

服部副会長が残像と認識せずに魔法を放った点についてを聞いたが、達也の言い分も理解出来る。寧ろ反応せずに認識すると思ったけど、そうでは無かったらしい。

 

「それを実体とまでは気付けてなかったようだが?」

 

「まあ、レベル的に言えばこの程度でも・・・いいか。」

 

2人して話している内容に完全に蚊帳の外に居た渡辺委員長が声を上げた。

 

「いや、待て、ちょっと待て!先ほどの高速移動は自己加速術式の動きなのか?」

 

「魔法ではありません、移動には魔法は使ってないです。」

 

「いや、だが・・・」

 

言い渋る渡辺委員長。まあ、移動術式魔法を使っていたのではと錯覚するほどに達也の動きは速い。だが・・・

 

「正真正銘、身体的技術です。」

 

「兄は九重八雲先生の弟子なんです。だから、あの動きも魔法では無いのですよ。」

 

「加えていえば、姉の教えもあってですが。」

 

「なっ、あの忍術使い九重八雲か!古流でもあの動きを・・・流石だな。」

 

「でも、あの魔法は忍術では無いですよね。私にはサイオンによる波動そのものを放ったように見えましたが・・・」

 

「ええ、概ねその通りサイオンの波動です。」

 

「でも、それだけではんぞー君が倒れるのは・・・?」

 

サイオンの波動で考え付かないものなのかな?波動、つまりは波だ。

一方向からの波では然程大きな威力にはならない。だが、達也が放った魔法は3方向から逃げ場のないサイオンの波動を副会長は受けた事になる。波がそれぞれ異なる威力で放たれれば三角波のような強い波動に変わる。その中心で彼はサイオンの波動を受けたのだ。それによってもたらされる酔いは船酔いの比では無いだろうね。ってか、それを考え付かないかね?

 

「酔ったんですよ。まあ姉は既に分かった上、分からない皆さまに呆れているようですが。」

 

「達也。事実とはいえ、口に出さないの。」

 

「紫音姉の表情を見れば大体何を考えているかは分かるさ。特にその、呆れた顔は・・・見飽きるぐらいには。」

 

「はぁ。まったく。」

 

「サイオン波は普段から私たち魔法師は慣れている筈よ。」

 

七草会長は至極普通の事を言ったがそれはあくまで自然界における事だ。

 

「魔法師が作り出すサイオン波は考慮していますか?」

 

「!?」

 

普通に考えれば分かるでしょうに、なんで十師族の貴女が知らないって顔をするんですか?

 

「自然界で、特にパワースポットと言われるところでもそれなりですが、魔法師が作り出した人工のサイオン波は自然界のサイオン波と大きく異なる。普段日頃浴びているような微量のサイオン波よりも魔法師が作り出すサイオン波は自然のものと比べても強いサイオン波を作り出す事が出来ます。達也が放った魔法はあくまで振動数の異なる複数のサイオン波を彼に浴びせたに過ぎない。その波の中心点で当たるように調節したモノをな。」

 

「波の合成ですね。」

 

市原先輩が何かに気付いたように言った。

 

「達也君が放った振動数の異なるサイオン波を三連続以上で作り出し、その波が丁度服部君の位置でぶつかるように調整して三角波のような強い波動を生み出した。」

 

「その通りです、市原先輩。」

 

「ですが、あの短時間で複数の振動魔法、その処理速度で実技評価が低いのはおかしいですね。」

 

冷静に其処に気付くか。まあそうだよね。

 

「それは、CADに秘密があるのよね。達也。」

 

「うぐっ、其処でそれを言いますか。」

 

呆れた顔とか言った事への反撃だ、まったく。

 

「CAD?・・・司波君のCADは何を使っているの?」

 

「あのぅ、若しかして、そのCADは『シルバー・ホーン』ではありませんか?」

 

中条先輩がワクワクしながら聞いてきた。

 

「・・・やっぱりぃ。」

 

今まで渡辺委員長の後ろに隠れていた小動物系の小柄な中条先輩が急に生き生きしながら達也の傍に近づいてはしゃぎだした。ああ、この子、CADには目が無いのか。

シルバー・ホーンは元より、それを開発したトーラス・シルバーの事やループキャストを開発して且つ、シルバー・ホーンに最適化されている事等を長々と語った。食い気味すぎて、七草会長だけでなく、達也も引き始めている。

 

「ですが、それなら猶更おかしいですね。振動数を変数化するなら、座標、強度、魔法の持続時間も変数化して・・・いる・・・筈・・・!!まさか、その全てを実行していた!?」

 

市原先輩はCADでカバーされていない部分を達也が実行していた事実に辿り着いた。だが、それは1科生であっても簡単に出来る芸当ではないが故に驚いていた。

 

「この学校では評価されない項目ですからね。」

 

「正確に言えば、第一高校だけが評価しない項目ね。他校なら、達也は一科生になっているらしいからね。」

 

苦笑気味に言う達也に捕捉して付け加えた。

達也の試験データを忠仁兄さんにお願いして他校ならどういう結果になっていたのかを調べてもらうと第2高、第3高であっても達也は1科生になれるという。ただ成績的に言えばかなりギリギリのラインだが・・・

 

「「「「!?!?」」」」

 

驚愕する4人を余所に少し前から意識を取り戻して、話を聞いていた彼がふらつきながら身体を起こし始めた。

 

「な、成る程。

『魔法発動速度』

『魔法式の規模』

『対象物の情報を書き換える強度』

学校の評価はこの3つで決まる。いや、これ以外の項目は何があっても評価されない・・・か。」

 

「はんぞー君、大丈夫ですか?」

 

副会長はふらつきながら立とうとしたが、眩暈があるのか直ぐに膝立ちに戻っていた。

 

「少し威力が強かったか?」

 

私は彼の肩に手を添えて、深雪や達也にしか感知されない程度のヒーリングフォースを使って副会長の眩暈を治療した。

 

「んっ、もう大丈夫です。」

 

立ち直ってから彼は私たちに対して姿勢を正してから言った。

 

「目が雲っていたのは私の方でした。許してほしい。」

 

「いえ、私もあの程度の挑発に乗ってしまったようで、まだまだ精進が足りなかったようです。」

 

「だが、私からもいいか?いや、正確には・・・九條さんの方だが。」

 

「何か?」

 

服部副会長は、先ほどとは違い穏やかになっているが、不思議そうな表情で言った。

 

「司波さんも司波君も九條さんを師と思うような発言をしていたが、君は2人よりも強いのか?」

 

「CAD 有りきでは深雪が勝つわね。だけど、私がCAD を使わない前提なら、十中八九は。」

 

その発言に渡辺委員長が・・

 

「おいおい、本気か?CAD無しの方が強いとでも言うのか?」

 

「渡辺委員長は体験している筈ですよ?七草会長も。」

 

深雪の指摘に七草生徒会長は目が点になった。

 

「えっ?」

 

「入学初日に起きたA組とE組の騒動で見ていたのでは無いですか?」

 

達也にそう言われて、思い出した渡辺委員長はまさかと驚愕した表情に打って変わって

 

「まさか・・・・あの時CADをしていなかったのか!?」

 

「あの時っていうより、普段からしていないっていうか。」

 

すると、捕捉するように達也が言った。

 

「私もそうですが、授業等で必要な時以外は身に着けていませんよ。」

 

咲那からも掩護射撃が加わった。

 

「紫音姉様の場合、CADが枷になるので、付け加えると私も同様の理由です。」

 

こんな形で明らかにされるのもしょうがないと言えばしょうがない。守秘してもらうかな。

 

「学校側には伝えなくて結構ですよ。どうせ面倒な事になるだけなので。」

 

「えっ、ええ。」

 

「おいおい、いいのか?」

 

「CADでの試験も受けている訳だし、本来の能力と異なることだって有り得るんじゃないかしら?達也君の例もあるわけだし・・・。」

 

「それもそうだが・・・・・。」

 

「・・・・・・・。」

 

考えこむような仕草をする服部副会長は、そういうことも有るのかと割り切りながらこう切り出した。

 

「九條・・・さん、関東剣術大会に出ていたと聞きましたが・・・その時も魔法は?」

 

「誰から・・・ああ、第一高校だから桐原、先輩か。出ていたというより、姉の付き添いで審査員席から見ていただけですよ。」

 

「ですが、打ち合ったとも桐原からは聞いていました。」

 

「そうなの?」

 

「ええ、私も何故忘れていたのかと、この時になって気付かされた訳ですが・・・並みいる剣士を剣一つであしらった少女がいるというのは・・・九條さんの事であっているか?」

 

「・・・・・・・・。」

 

「魔法も込みで大会優勝者を含む決勝、準決勝を勝ち抜いた各校の剣士を魔法も使わず、いや魔法は使ったかもしれないがどんな魔法かも見破れずに敗れた・・・と。」

 

服部副会長の神妙な顔つきに私は溜息を吐いてから言った。

 

「桐原先輩は一つ勘違いしていますよ。」

 

「何?」

 

「桐原先輩を含め、それらの剣士と遣り合ったのは・・・」

 

隣の咲那が手を上げて言った。

 

「私です。」

 

そう、東京武道館で開かれた関東剣術大会で確かに私が指名を受けたのだが、マスターの御手を煩わせることは無いと咲那が飛び出して、全員をいなし、あしらったのは紛れも無く咲那の方だった。寧ろ私は、学生剣士と打ち合う咲那を横に、古き剣術大家にして総師範の塚原老師と睨み合いながら何度か打ち合っただけで終わった。というより、打ち合いの度に鳴り響く音が木の音じゃなかったのと、次第に本気の殺し合いになりかけた為、周りが止めたとも言うが。

 

「・・・・・・・・そうだったのか。」

 

服部副会長はその後何かを考えながら何も言わずに演習室を去った。そんな行動に素直じゃないと愚痴をこぼした七草生徒会長は、その後達也の風紀委員会入りを決定した。

 

「それで、手短になるのだけど、九條さん。」

 

「ああ、そういえば何か聞きたい事があるようでしたね。」

 

「ええ、率直に聞くわ。九條さんは十師族四葉家の方とどう関係しているの?」

 

「・・・・・それ、答える必要あります?」

 

師族会議でどんな会話をしたかは知らないけど、いきなり聞いてきたわね。

 

「・・・・・・・・。」

 

「まあ、七草家当主が何を考えているかは分かりかねますけど、他家の詮索をする前にご自身の心配をされた方がいいと、お伝えください。」

 

「それはどういうこと?」

 

「それは弘一殿にしか分からないと思いますよ。・・・ああ、私や咲那の情報を詮索されているようですが、それも手を引いた方が良い。でないと、家に警察が来るかもしれませんよ。」

 

「!?・・・、それって・・・・・・」

 

「四葉家がどの四葉家を指すかは知りませんが、九條家からすれば四葉家とは分家からは事情により一旦は離脱したものの、また分家へと収まった分家各家において魔法に精通した者達という認識です。無論、他家もそれなりに精通していると言いますが、間違ってもちょっかいは出さない方がいいかと。・・・・・・最近、分家にちょっかいを掛ける愚か者が多いと父が嘆いていました。」

 

四葉家本邸付近にやって来る諜報員のような連中や達也たちを監視する連中は、皆が他の分家の暗部を担う者達によって全員捕縛されているという。無論、それが七草家等他十師族のスパイである調べも付いていて、うんざりしていると言っていた。私も咲那も付けられた事があったが、侵入してはいけない場所まで付けて来て身柄を拘束されているのを見かけた事もあった。

 

「彼らがどうなったかは知りませんが、知らなくてもいい事実がある事は理解しておいた方がいいですよ。ただでさえ、この学校もどうしようもないのですから。」

 

「・・・・・・・・・・」

 

七草会長はそれから何も言わなくなった。いえ、言えなくなったというのが正しいだろうか。彼女も恐らくは他家へのスパイ行為を自身の家がやっているのは知っていただろうが、彼らの身柄、命の保証までされていないという点で、仮に解放を求めたとしたらスパイ行為が表に出る重大問題に発展しかねない。

こうなっては、これ以上何かを質問するというのは悪手であると悟ったのかもしれない。

 

 

その後、私と咲那は用があった為、達也たちとは別々の帰宅となった。

実際には家に帰るのは遅くなった。理由は・・・

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「どう?状況は?」

 

「現状、睨み合いになっていますね。」

 

連絡を受けて、銀河連邦派遣軍駐留司令基地となっている市ヶ谷の地下に来ていたからだった。

 

「軍の演習と大亜細亜連合政府は発表しましたが、此方は輸送を名目にVウイング8機を搭載したゴザンティ級ライトクルーザー2隻と佐世保基地への物資輸送にアークワイテンズ級ライトクルーザー1隻を日本海から派遣しています。」

 

「新ソ連軍もウラジオストクから動く気配は無し。しかし、衛星情報から新ソ連もバトルドロイドを1個軍団規模で手に入れている事が分かっています。」

 

ドロイド軍の1個軍団・・・B1バトルドロイドが5万B2バトルドロイドが1万を超す量と思って頂くと分かりやすい。

 

「私たちはあくまで大きく出ることは無い。向こうにその気がないのなら、それに越した事は無いけど、警戒は継続で。敵が動いて来ても被害が出るまでは待機して。」

 

「受け・・・ですか?」

 

連邦軍士官の一人が疑問を抱きながらそう言った。

 

「そう、共和国から連邦へ国が変わってから、軍の指針も変わってしまった。特に此処地球では、積極的侵攻では無く、防御、防衛が優先されて、先に逆侵攻する事で防御するという案はあくまで敵が攻撃してからとなってしまった。」

 

「共和国時代が懐かしいですな。」

 

「まったくね。さっさと片付けて終わらせてしまいたいけど、この惑星は如何せん主権国家が多すぎるから我慢して。外部から来た私たちが積極的侵攻をすれば周囲の支持を得られなくなる可能性も高い。」

 

「難儀な惑星だ、此処は。」

 

「悪いけど、今は耐えて貰える?」

 

「分かりました、将軍。そう言う事情であるというなら。」

 

「まあ、国防空軍と敵さんの小競り合いが起きた時に巡回と称して戦闘参加するぐらいなら目を瞑るわ。」

 

「それはそれで、問題では?」

 

「適度な息抜きが出来れば・・・よ。」

 

今まで戦う事で忠誠を示して来たトルーパーたち。

この星のこの国に来てから沖縄防衛戦以来、佐渡島防衛戦以外に彼らが参戦する戦闘は無かった。常に訓練に明け暮れているが飽きている者が出てきているのも知っている。

だが、容易に戦争が出来ないのがこの世界だ。慣れてもらうしかない。

 

 

 

平和が一番と言いたいけど、今は仮初の平和が一番なのかもしれない。

 

 

 

七草家によって放たれた多くの諜報員は全員、敷地内不法侵入やストーカー規制法違反などの罪で警察の厄介となっていた。そして、警察はその大元である七草家本家に対し家宅捜索を行ったとニュース報道されていたのだった。

 

もっと早くに手を引けばいいのに。

 




色々手直ししてたら時間掛かっちゃった。

GW最終日、伸び伸びとぐーたら生活をしていたアトコ―ですが、お金が無くて家を出ていなかったとも言う。
資金繰りがゲームの方もそうだけど、大変だよう。ゲームみたいに実生活で課金出来ないかなぁ?物価が上がり過ぎて出掛けるのも億劫になっている私です。
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