剣士の帰還、ジェダイとなって調和を齎さんとす   作:アトコー

34 / 46
大分遅くなりました。
今年中に入学編を終わらせる予定でいます。




第27星 『騒動後の勧誘期間』

 

 

 

 

達也が風紀委員として活動した騒動は、一瞬にして全校生徒の特に1科生の間で大きく話題として取り上げられた。

新入生の2科生の分際でと、補欠の分際で粋がる1年に身の程を教えてやろうと、2年、3年の1科生たちは息巻いていた。

だが、剣術部の騒動後に達也が集中して狙われる事を危惧した風紀委員会は、部活連と合同で騒動を発展させた剣術部員への罰と同時に、

 

『風紀委員への妨害や魔法攻撃を行った者はもれなく佐井賀・十文字組手会に招待』

 

という文言を張り出した。

当初、この文言に生徒会副会長が

 

「贔屓に思われるのでは?」

 

と、疑問を呈したが、年々増加する乱闘騒ぎと指示に従わず結果的に風紀委員会だけで対処しきれず部活連や生徒会各委員に協力を求める事態に発展するのが毎年恒例で、この事態への終止符を打つべく、対策の一つとして打ち出すには妥当な内容だと3年の佐井賀風紀委員が発言。また、元々、風紀委員への活動妨害や魔法攻撃は去年も一昨年も事実として起きている為、贔屓にもならないと断言していた。

 

 

 

斯くして、文言の効果は・・・というところだが、

張り出された文言を見ずに達也を含む風紀委員への妨害、魔法攻撃をした者は胸ポケットのレコーダー映像記録から、乱闘を起こした生徒、妨害をした生徒、魔法攻撃をした生徒の特定が進み、次の日には該当生徒へチケットが佐井賀、十文字両者によって配られる結果となった。

また、争いの仲裁応援に来た達也への直接攻撃をした生徒も居たが、優先順位が風紀委員への妨害が上になる為、争いを起こした生徒同士には事情聴取のみで済み、加害生徒は風紀委員会へ連行というのが、この3日間で起きた出来事だった。

 

「いやはや、わざわざ掲示板にも掲載したというのに思いのほか見られていなかったとはな。」

 

「学校からの情報を掲載している掲示板を多くの生徒があまり見ていないという事実も判明したんだ。対策を講じる必要があるな。」

 

「ただ、この偏り方は・・・なんか作為的だな。文化部が偏って多いというのは・・・。」

 

新入部員勧誘期間が終わった後、風紀委員会に詰める風紀委員らは逮捕した若しくはチケット送付対象者をグラフにして確認していた。

すると、どうだろうか。逮捕者は体育系に偏り、チケット送付対象者は文化系に偏っていたのだ。

 

「まあ、逮捕者の多くは口喧嘩からのいざこざ・・・これは例年ある事だ。新入部員の取り合いだが・・・」

 

「恐らく剣術部員が広めたのだろう。あそこは10人がチケット送付対象者だ。桐原も対象になる筈だったが、彼が言う理由というのは分かったか?」

 

「ああ、調べてみたが・・・そもそも剣道部の指導教員って外部の人間なんだな。」

 

「つまり、外部の指導教員がより実戦的な剣道を教えていた・・・と?訳が分からんな。」

 

「調査の方は、委員長に棚上げだな。俺達ではどうすることも出来ん。」

 

その後、剣道部の外部指導教員の調査は生徒会で行われるようになったとか。

 

ただ、剣道部の外部講師については学校に教員登録されていない模様でそれ以上の事は調べられなかった。

 

「そういえば、司波が妨害を受けて捕まえ損ねたという奴はどうなった?」

 

「完全に手詰まりだ。その上、手出ししようにも・・・な。」

 

レコーダー映像を一時停止して見せられた後ろ姿の走り去ろうとする生徒の手首にあるトリコロールのリストバンドが彼らの動きを制限していた。

 

「委員長からは生徒会と部活連で話し合うと言ったキリだからな。」

 

彼ら風紀委員にはそのリストバンドが何かを少なからず自分たちで調べて突き止めていた。だが、手出ししようが無い状況にあるのも事実だった。

 

だが、その事実を突き止めているのは他にも居た。

 

 

 

 

 

 

「やっぱりね。・・・・・これ、どうしようか。」

 

「なんというか、あまりにも雑過ぎませんか?」

 

トリコロールのリストバンドが反魔法国際政治団体ブランシュの下部組織エガリテによるものだったという事実は調べれば案外簡単に分かった。同時にそのエガリテに与している生徒が剣道部を中心に多く存在している事も、その事実を学校側が実害を為していないからという理由で黙認している事も判明した。

 

「達也が襲われる理由は分からないけど、有り得るとしたら、あの技を確かめる為・・・かな?」

 

「擬似キャストジャミングの事ですか?」

 

「ええ。何ゆえそれを知る為だったかは分からない・・・けど、近々達也に組織に与する者が近づくかもね、これは。」

 

エガリテに属する生徒だけで30名程、そして半分以上が剣道部員で、外部施設への出入りや外部講師とする人物の接触も確認された。

 

「秋房さんにも伝えるとしようか、これは魔法科高校の範疇を越えた事態にも為りかねないし、私が関与出来る範囲もあるから・・・」

 

仮にジェダイとして動く事態となれば、国家を巻き込む事態になりかねないからだ。

マスターにも伝えないといけないし、何事も水面下で交渉を行わなくてはならない。

まあ、その辺りの件も含めて最終的にはこの国の警察機構でも対処仕切れず、軍の派遣相当の問題、つまりはシスナイトの登場やバトルドロイドの存在が確認された時、またはそれら分離主義勢力の武器や兵器の横流しによる事件が起きない限りは銀河連邦の出る幕は無いというものだった。

だが、逆を言えば、その状況になれば動かなくてはならないという事であり、その予防対策は必要になるという事だ。

 

私はその後、信春さんと対策課が違うが秋房さんにもこの事を伝えた。

内容が内容だけに、信春さんは文部省持ち込みの重大問題と位置付け、秋房さんは政治団体の下部組織といえど、左翼過激派の団体に属する学生が居り、また卒業後行方が不明になっている学生の一部が元剣道部員と分かると事態は急変すると話していた。

交通部交通機動隊に属する秋房さんだが、左翼過激派デモ鎮圧に何度か関わっている事も

あり、組織犯罪対策部第一課とも関わりが深かった。

 

 

 

 

 

それ故に私から齎された情報は次の日には即座に対策課本部に上がり精査される運びとなった。私の身分は対策課では明かされていないが、本部長を含む上層部には密かに知られていた。故に、裏付けを取る事に対する抵抗など無かった。

 

 

「では、間違いなのだな?」

 

「ええ、エガリテ・・・いえ第一高校の該当生徒を密かに付けた結果、ブランシュとの関りがあるとされる公安がマークしていた人物との接触が確認されました。」

 

「また、ブランシュ東日本支部の拠点と思われる場所も特定しました。」

 

「本当か?」

 

「ええ、何しろ、既に放棄された廃工場を拠点としているようです。表向きはペーパーカンパニーが買い取って操業しているように見せて、実態はブランシュの拠点として稼働しているようです。」

 

「入国管理局からの報告では、報告に無い、密輸入された物資がある模様です。詳しく調べた結果、送り主も届け先も巧妙に隠して輸送されているようです。過去の監視カメラの映像から全部で20ftの輸送コンテナ6基と45ft輸送コンテナ2基が運び込まれた模様です。何れも、中身に関しては不明。しかし、最近押収した20ftコンテナの中から大亜細亜連合製の銃火器や弾薬、火薬類に加え、車両、加工食品、そして判別不能物資が確認されたとの事です。」

 

「判別不能物資とは何か?」

 

「現状、該当する物名が無い為、不明です。」

 

「銀河連邦軍に問い合わせはしたか?」

 

その質問に警部が怪訝な表情で答えた。

 

「銀河連邦・・・軍ですか?」

 

「そうだ、大亜細亜連合製の物品が多いのなら、先の沖縄防衛戦に通ずる何かがあってもおかしくないと考えるべきだろう。我々が知らない物品を彼らが知っているなら?」

 

「分かるでしょうか?」

 

「聞くだけなら損は無い筈だ。協力要請をしてみるべきだ。使える物はなんでも使わないとな。」

 

「一応連絡してみましょう。しかし、一度大使館を通した方がいいでしょうか?」

 

「実例の無い事だからな。所長に許可取ってから連絡してみる。」

 

斯くして、警視に位置する機動隊管理官が確認を取ると、入国管理局からも公安に同様の報告が有り、押収物不明物に関しての情報を得るべく銀河連邦大使館へ連絡が行き、対応したドゥークーは立川基地に駐留している第11空挺兵団のマーシャルコマンダーのブレイブとシニアコマンダーのグリンを呼び出した。

呼び出しを受けて2人は横浜の入国管理局の押収物倉庫で警察の立ち合いの元、押収物の確認を行った。すると・・・

 

「これは・・・アレだよな。」

 

「ああ、間違いない。我々が良く知る物だ。いや、本来なら流通している筈の無い物と言った方がいいか。」

 

「何か、分かるのか?」

 

立ち会いにいる警部は、ソレが何であるかを2人に問うと、2人は互いに顔を見合わせながら

 

「ああ、これは持ち運び設置用のシールド発生装置だ。規模で言えば、小規模工場がすっぽり収まるぐらいのドーム状のシールドを張れる装置だ。」

 

「やはり、そちら側の兵器か。」

 

「まあ、軍事装置だから間違いないが、これ一つだけか?」

 

「いえ、同様の物は後3つほど。」

 

「それと、こちらにもセットで有りましたが・・・・・」

 

アタッシュケースに敷き詰められて入った12個のソレも2人が知る物だった。

 

「分隊用シールド発生装置だな。一定の耐久があるが、外からの攻撃を受けないという面で言えば、そんなでも無いが持ち運びが簡単だ。こっちのシールド発生装置は2人で運び出さなくてはならないが、こいつなら一人一つ持てるな。だが、なんでこんなものが?」

 

「密輸されたコンテナより発見されました。その中で不明物品が・・・」

 

「これという訳か。」

 

ブレイブもグリンも出て来た物品を前に、駐留基地へ連絡を取りながら映像をリアルタイムで送り詳しい内容確認を急いでいた。だが、密輸されたコンテナの中に流出禁止物資も見つかった。

 

「マーシャルコマンダー、これって・・・」

 

押収されたコンテナの中から運び込まれた小さなコンテナは2人が良く知る箱だった。

 

「まだ起動状態に無いな?」

 

「はい、一応スキャンします。」

 

「あのー。何か入っていました?」

 

「銀河連邦が定めた流出禁止物が有りました。これについては此方で処分を。」

 

「内容は分からないか?例えばで構わない。」

 

グリンの回答に警部が書類記載に必要な情報として更に問い質すと、グリンはブレイブに許可を取ってから伝えた。

 

「ドロイデカです。」

 

「ドロイ・・デカ?なんだそれは?」

 

「ありたいに言えば、機動力の高いバトルドロイドの一種です。」

 

バトルドロイド・・・その単語が出て、警部たちや入管の職員たちに緊張が走った。

ものによっても、彼らが言う通り危険な状況になりかねないからだ。

 

「大丈夫です。バッテリーが外された状態で輸送されているようです。下手に扱わなければ、起動はしないようです。」

 

「このタイプだけでは無いかもしれんぞ。他も調べろ。」

 

「了解。しかし、かなり小分けして輸送していますね。」

 

「ああ、タイプB1も収納された状態で10体、ドロイデカは3体と来た。何処に運ばれたかが気になるが・・・。」

 

ブレイブもグリンも既に、日本の公安組織で収まる事態では無いという事に気付いていた。

俺達が出撃する時が来るかもしれない。そう気付いた時、ヘルメットを着用したままで良かったとグリンは内心思った。表情に出てしまっているかもしれないと、周りの立会人に見られるのは良くないと思いながらもそう気付いてしまっていた。

 

だが、ブレイブは冷静に判断した上で言った。

 

「国防軍でも対処しきれない事態になりかねないな。搬出先でバトルドロイドが起動した場合のそちらの対応策はあるのか?」

 

だが、この問いに対する警部の答えは持ち合わせが無かった。そもそもバトルドロイドに関する情報は有ってもそれを規制し対処する法というのが無かったからだ。故に、こうとしか言いようが無かった。

 

「現状対処可能な案は無い。」

 

「・・・そうか。なら、これらの物品はうちで回収してもいいか?」

 

押収した物で地球圏外の代物に対しての問いには、入国管理局の人が答えた。

 

「現状、これらの押収物は直ぐには銀河連邦側には渡せません。今回の場合、10日後に引き渡す事となるかと。」

 

「10日・・・か。」

 

「何か不都合でも?」

 

「いや、一度こちらに持ち帰りバトルドロイドの無害化を行いたくてな。」

 

「無害化・・・ですか?」

 

「ああ、B1バトルドロイドはこの状態でも遠隔操作で起動が可能なんだ。取り付けバッテリーは無くとも最小限の電力で稼働出来る内臓バッテリーで稼働するからな。」

 

その事実に、入国管理局職員たち、警部たちも驚愕した。

結局、持ち帰る事が出来ない為、この場で処理するべく基地からオールドナンストルーパーを呼び、全ての処理を終えさせたのだった。

 

 

その後、この話を持ち帰った警部たちは警察管内で対処出来ないかの話し合いが行われたが事態は難航した。

というのも、先の沖縄防衛戦で戦闘に参加した本土からの警察官と沖縄県警の証言から、警察が共通して持つポリカーボネート製の楯ではブラスターライフルによる攻撃を1撃しか持たせられない。2撃目が当たるとバラバラに砕け散って楯としての機能を終えるという事実。しかも当たり所によっては1撃も持たないと来た。

 

対ドロイドにはバリスティックシールドを用いる必要があるという事に行きつくもバリスティックシールドの耐熱防御力がある程度あるものの、厚さ10mmの鉄板すら貫通し、周囲を溶かす熱量を持っている為、10発食らうと持ち手があまりの熱にもたないという問題が発生した。また武器の方にも問題が発生していた。

 

「AR(アサルトライフル)、SMG(サブマシンガン)、SG(ショットガン)、SR(スナイパーライフル)、LMG(ライトマシンガン)、HG(ハンドガン)の内、どれが最適だった?」

 

「防衛戦に参加していたSATや機動隊の隊員からも聞き取った話ではARとSGが有力だったそうです。LMGは当たり所によって変わると。」

 

「大問題だな。早急に対応火器の編成が必要となる。」

 

「上にも報告を急ぎます。」

 

警察内部でも、軍出動前に自分たちで制圧出来ないか模索が続いた。

だが、魔法師の天敵と成り得るだけに対応は困難を極めていた。

 

 




警察組織に関しては、現実に則りつつも改変を加えて作成しています。
有り得ない役職や組織、事柄も出て来る予定ですが、ご理解。

尚、警視庁特殊部隊の特殊急襲部隊『SAT』と今後登場予定の特殊魔法急襲部隊『SMAT』は別物だと言っておきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。