大分遅くなりましたが、今年中にもう一話あげたいと思ってます。
では、どうぞ。
5日後、達也や深雪が第一高校へ行く中、私と咲那の姿は他の日本出身のジェダイ、朝武奈波、黒姫嶺衣奈、直江優姫、更識聖羅と共に立川基地にあった。
連日の会談を終えたパルパティーン議長の姿は霞ヶ関では無く、この立川基地にあった。
LAATガンシップで立川基地にやってきたパルパティーンはレッド・トルーパー部隊10名とレッド・ガード4名を連れてシータ級T-2cシャトルへ乗り移って行き、そのシャトルに私と嶺衣奈が乗り込み、咲那と奈波、優姫、聖羅が護衛用に用意されたLAATガンシップ4機にそれぞれ乗り込んだ。
「お疲れ様です、議長。有意義な会談になりましたでしょうか?」
「うむ、随分と自分に甘い議員ばかりで困ったものだが、大高首相とは実に有意義な会談となったと思っているよ。マスターシオンも早々に問題事が有ったというじゃないか。大丈夫かね?」
「大丈夫・・・といきたいですが、この九校戦も何か起きそうなのですよね。」
「ふむ、ならば一つ一つ片づけていくしか無いようだな。」
「ええ。」
シータ級シャトルを中心に4機のガンシップがダイヤモンド陣形に配置し、左右ガンシップの後方に合わせて5機のVウイングスターファイターがⅤ字陣形にて護衛して飛んでいた。
飛行経路は高速道路に沿って進む形となったが、会談が長引いて議長到着まで時間が掛かった事もあって出発が1時間以上遅れていた。その為、着いて直ぐにシャトルに乗り換えて出発となった。
ふと、通信端末のメールに深雪からのメッセージが届いていた。それは、第一高校のバスの出発もトラブルにより遅れていたという旨のメールだった。
本来第一高校から出るバスが未だに発車しない理由は、まだ1人の生徒が乗り遅れているからだった。
家の事情で予定の集合時間を過ぎて約1時間半後に彼女はやってきた。
「ごめんなさーい!!」
「これで全員ですね。」
待っていた達也が名簿に✓を入れると、そそくさと技術スタッフの作業車へと入って行った。
「遅いぞ、真由美。」
「ごめんごめん・・・って、達也君!?あ~。」
達也の傍で着て来た自分の姿を見てもらおうとした七草会長は、そそくさと作業車へ行く達也に対して不満げになり、文句の一つを言おうとして、
「真由美っ!早く乗れっ、行くぞ!」
友人の摩利からの叱責が飛び、しょうがなくバスに乗り込むのだった。
「もうっ、達也君ったら私をなんだと思っているのかしら!」
「的確な判断かと、会長の美貌の『魔力』に耐えられる男子生徒は殆ど居ないでしょうから。もっとも、司波君相手では意味がないかもしれませんが。」
「リンちゃん!?・・・もう、知らない!」
どうこう言おうにも毅然とした友人の姿にふて寝しようとした真由美。不貞腐れた様子の友人に渡辺は、
「何しているんだか、・・・お前もいい加減機嫌を直せ花音。」
真由美に視線を向けてから隣に座る後輩から漂う似た気配に呆れながら言った。
「許嫁の五十里と離れ離れが残念なのは分かるが、2時間ぐらい会えないだけだろう。」
「でも~、今年は啓も技術スタッフに選ばれたから、車内で一緒になれると楽しみにしていたんですよ!!」
「仕方ないだろう。今回は単独で乗せるわけにもいかなくなったのだからな。」
「だから、だからと言って何で、一部の技術スタッフを作業車に、しかも啓まで混ぜたんですか!このバスだってまだ乗れるのにぃ!」
「くじ引きでそうなっただけだ。」
そう言いながらも、渡辺は余計ない事に首を突っ込んだなと内心で後悔しながら千代田の愚痴を聞いていた。
第一高校を出発したバスは、日野バイパスから高速に入り、九校戦の会場となる北東富士演習場へと向かいつつあった。
選手らを乗せたバス1台と技術スタッフらが乗るCAD作業車両2台は、予定より大幅に遅れて会場へと目指し走って行った。
バス内ではそれぞれの生徒が会話を交わしている時、恋人が同じ車内に居ない事につまらなさを感じていた千代田花音は出発からずっとバスの外を眺めていた。
だからこそ、バスの中で彼女が最初に気付いた。
「あの車・・・危ない!!」
対向を走る乗用車がふらつき出したかと思えば、ハンドル操作を誤ったのか、縁石を乗り越え、中央分離帯にぶつかったかと思えば自然とは思えない動きで乗用車は中央分離帯を飛び越えて第一高校の生徒達が乗るバスの正面に落ちてきて、燃えながら転がりながらバスへと接近して来ていた。
バスの運転手は咄嗟にハンドルを切ったものの、タイヤがスピンして3車線道路を塞ぐ形で転がりながら近づいてくる乗用車に腹を向ける形で停止していた。
「危ないっ!」
「直撃するぞ!!」
「吹っ飛べ!」 「消えろ!」 「止まれ!」 「なんで発動しない!?」
燃えながら止まらずに転がって来る乗用車に恐怖して、車内の生徒達が次々に魔法を接近する乗用車に向けて発動しようとした。
「馬鹿、今すぐ止めろ!」
渡辺はその動きを止めるべく叫んだ。
同じ対象物に対して無秩序に魔法を放てば重ね掛けされた魔法が相克を起こす事を知っていたからだ。それ故、今この状況を打破出来るのは一人しか居ないと彼を呼んだ
「十文字っ、出来るか!?」
「むぅっ!?(このサイオンの嵐では・・・)」
だが、如何に十師族の血を継ぐ者であっても、この状況を打破出来る程の魔法力は無かった。誰もが万事休すかと思った時だった。
それは突然、目の前に現れた。
時を少し遡って、乗用車が単独事故を起こす前の時。
丁度、その高速道路の上空にはパルパティーン議長を乗せたシータ級シャトルと護衛のガンシップ、Vウイング・スターファイターの編隊が高速道路に沿って移動していた。
護衛のガンシップの先頭に搭乗していた立華咲那は、ガンシップのハッチから眼下の高速道路を眺めていた時、登り車線の乗用車の異変と、その次に何が起こるかを瞬時に予知してパイロットに叫んだ。
「パイロット、あのバスの上空に移動して!3号機、引き継いで!」
「「了解。」」
先頭の1号機が列を離れ、シャトル後方に居た3号機がシャトルの前に下から抜いて出た。
当然、その無線はシャトルに居る者にも全て聞かれていた。
「むっ、立華君だけで大丈夫かな?」
「あの子も、修練を重ねた結果、集中すれば10秒先の未来を予知出来るようになったのですよ。尤も、集中して視るので無防備になるのが欠点ですが。」
「それでも、随分成長しているのではないかな?」
「ええ、銀河大戦以降色々試行錯誤しながら獲得した能力ですからね。咲那にとっては、最適ですね。それに・・・・・」
咲那が乗ったガンシップがバスの直上まで来ると、咲那はバスの左側面側に向かって飛び降りた。
焦げ茶色のローブで全身を纏い、顔にはテンプルマスクを装着している為、学校の知人でもその姿、顔を発覚される事は無い。
「同郷の中では私に次いで、防御において右に出る者は居ない。」
接近する炎上したままの乗用車に右手をかざした咲那。
相克を起こし、多種類の魔法の重ね掛けされた状態を無視してフォースを念じて乗用車の勢いを抑え、咲那から5m手前で停止させた。それまで車体を動かしていた魔法や重ね掛けされた魔法を咲那は左手で打ち払う素振りを見せると、それらの魔法は一瞬にして吹き飛び霧散したのだった。
「通信士、えっと・・・道路センターだから・・・NEXCOに緊急連絡。東名高速道路、伊勢原JCT手前で車両火災事故。交通規制と事故車対応を要請して。」
「了解。NEXCOの道路管制センターに回線接続。」
シャトル機内で通信士に要請を出し、緊急対応チームも呼び出した。
「即応班を呼び出して。」
「しかし、よろしいのでしょうか?ただでさえ押している予定に遅れますよ。」
「構わぬ、これがテロだとするなら我々は目撃者となる。そうなれば、ジェダイたちの
活動に協力した方が良かろう?」
「閣下がそうおっしゃるなら。」
シャトルに共に乗り合わせた士官が苦言を呈したが、最高議長閣下が良いと言った以上はそれに従うのだった。
要請を受けた即応班のLAATガンシップを増援部隊は直ぐに到着した。
合わせて火災が発生している車輛の旨も伝えていた為、救急ファイヤースピーダー1機も追加で到着し、消火を始めていた。
消火を始めるまで、バスの車内から魔法による消火を試みていたが、炎上する車輛からは相当の可燃物を積載していたのか、消えたと思えば再び発火する現象が度々起きていた。
火の勢いは弱まる事は無く、寧ろ白煙黒煙を吐くほどに勢いは強くなりつつあった。
なにかに引火して、都度爆発を伴ったが、それらの熱気と衝撃波は咲那がフォースを使って防いでいた。
「消防にも連絡入った?」
「車輛火災の一報を入れていますので、ですがこの渋滞では来れない可能性があります。」
バスが3車線を塞ぐように止まっている事が原因だった。
既に渋滞は空から分かる程長く伸びていた。
道路交通情報からは10㎞の事故渋滞と表示がされている通りかなりの大渋滞だった。
路側帯を使えばと思うところだが、所々で横着しようとした乗用車で道を塞がれていた。
「ガンシップキャリーに消防車をドッキングさせれば行ける筈よ。」
先の沖縄戦以降緊急車両を迅速に現場に輸送する手段としてLAAT/cが都度都度利用されるようになった。
「咲那、バスを左車線に移動させて。」
咲那は指示通りにバスを路側帯にフォースを使って生徒達が乗ったまま移動させた後、後続の作業車にも路側帯に寄るように指示を出した上で、
「1号機は、車列前方に降下し対処部隊到着を待ちつつ車線規制を開始しろ。
残りは映像を1号機と共有後、先に進発する。」
「2号機了解。こっちの映像は問題の車両の動きが鮮明だ。飛び出る瞬間もある。1号機に渡す。」
「3号機了解、1号機の配置を引き継ぎ前進する。」
「4号機了解。追加のVウィングから分隊を出してこの先の道路状況並びに航空偵察の要を求む。」
「デルタ3、デルタ4、索敵警戒に移れ。」
4号機パイロットの要請にVウィングスターファイターの指揮官機から左右の僚機に指示が飛んだ。
1号機を残して編隊は一足先に九校戦の会場へ向かっていった。
ところで、ニンバス級Vウィング・スターファイターは、ジェダイ・ファイターとしてあるイーサスプライト級やアクティス級のような高機動機に追従するべくして開発された高性能機である。2門のレーザーキャノンに加え2門のセカンダリイオンキャノンを装備し、超小型反応路を搭載した為に生み出すエネルギーで超音速をも出せる上に偏向シールドを発生させることも可能とした本機。搭載されたアストロメクドロイドに偵察や修理を一任する事でパイロットが戦闘飛行に集中出来るが、非常に高度な飛行性能を持ったが故に、乗りこなせるクローンパイロットは限られてくる。その上、このVウィングにARC170やZ-95、Xウィングの個々の性能が纏められている為、価格は200000クレジットと高額。
尚、ARC170は150000クレジット、Z-95は100000クレジット、T-65型Xウィングでさえ、175000クレジットと、Vウィングスターファイターを編隊で揃えるだけでかなり高額になるのがよく分かる事だろう。
尚、国防軍はZ-95を初期で50機、継続して30機購入予定でいる。
Z-95スターファイターの評価処は他のスターファイターと比べて安価であるだけでなく、本来のZ-95ヘッドハンターの亜種として開発された本機は速度と操縦性が向上しており、また実際に搭乗した国防空軍パイロットの評価から購入に至ったとされるが、Vウィングにおいては不評だった。言ってしまえばエースパイロット専用機と言っていい機体性能をしていたからだった。
閑話休題
事故発生直後まで時系列は巻き戻り、
バスの生徒達が事故車両に対して魔法を行使しようとしていたところまで遡る。
魔法が相克を起こし起動されず、後少しでぶつかってしまう。
そんな状況下でパニックを起こしていた第一高校の生徒達。
冷静に対処しようとした一部の生徒も居たが、激しいサイオンの中では魔法を行使する事すら敵わず万事休すであった。
その時、バスの前に何かが落ちてきた。
「なんだ!?」
「誰だ一体!?」
茶色のローブで身を包んだ小柄な何者かは後ろを見る事無く、接近する事故車両に手をかざしていた。誰もが新たな魔法でも行使するつもりなのかと、同時にこの状況下で魔法が発動するわけないと渡辺は見ていた。しかし、幾重に掛かった魔法は左手で打ち払う動作をすると、事故車両に掛かっていた魔法が全て解除され霧散し、同時に燃えながら接近する事故車両はその者の前で何かの力によって静止したのだった。
「サイオンを感じられないぞ、何をしたんだ・・・。」
「これは・・・一体。」
魔法師になる為の授業を受けている彼らでも理解出来ない何者かによる力は、魔法のように見えたのに、サイオンやプシオンを感じられなかっただけでなく、起動式すら無かった為、困惑した中にあった、2人を除いて。
「(このフォースは・・・咲那さんですね。どういう事でしょうか?)」
「(仕事で動いていると言っていたが、此処に現れる何かでもあったか?ん?)」
達也は作業車を降りて、聞き慣れた駆動音に空を見上げるとLAATガンシップのみならず共和国軍のシャトルやスターファイターが滞空しているのを見て悟った。
「成る程、そう言う事か。」
その後、深雪が魔法で火を消したが、再び出火した上、何かが爆発する音も連発した為、魔法でどうこう出来るレベルの火災では無くなっていた。
炎上する事故車両を再び、手をかざし宙に浮かせて動かす光景に見とれていると、左の路側帯に寄せられた事故車両に対して空から水が吹きかけられたのが見えた。
高架上の高速道路に現れたソレは、無論共和国軍によって呼び出された救急ファイヤースピーダーだったのだが、この星の者からすれば空飛ぶ消防車と言って過言では無かった。消防ヘリによる放水量を遥かに凌駕する2門の放水銃によって事故車両の炎は、鎮火しつつあった。
だが、ローブで身を包んだ者の姿はフードを深く被っている為、顔も見えなかったのだが、その者が今度は自分たちが乗るバスに対して同じように今度は両手を使って力を行使してきた。
「攻撃するつもりか!」
「させるか!吹っ飛べ!」
「おい、馬鹿止めろ!」
「ちょっと魔法を使わないで!」
バスの中で攻撃されると思った下級生が魔法を行使しようとして取り押さえられたりする中、バスはゆっくりと浮かび上がり、道路を塞ぐように止まったバスの車体は横から縦に、事故車両から50m程離れた路側帯に降ろされた。
「どういう原理だ!?」
七草も渡辺も十文字すら、この現象、原理を理解出来ないでいると、バスと事故車両の間に大型機が降りて来た。赤と白のカラーリング塗装のソレは一般人には馴染みのない軍用機だったからだ。
LAATガンシップ1号機はバスの前に着陸すると、直ぐに中に搭乗していたトルーパー達が武器をぶら下げつつも、各々の装備品を持って駆け出していた。
赤い誘導灯を持ち最後尾に駆けるトルーパーや点滅するセンサーコーンを作業車の後ろからバスに掛けて設置するトルーパー達、何より1号機には運よくエンジニアトルーパーが搭乗していた為、バスの外部状況の確認と不備が起きていないかの点検をし始めていた。
「なんで共和国軍が此処に?」
国防軍では無く、共和国軍が展開している事に疑問を持つのも無理は無い。
だが、5km10kmと長く続いた渋滞も3車線の内の1車線を解放した事で徐々にだが流れていくようにはなっていた。
但し、いつもなら難燃剤の泡水を噴射するところだが、日本の化学薬品の規制上まだ許可が下りていない為、積載している水は約10tと大量の水による放水を行っているに過ぎない。が、集中型から範囲型の放水に切り替えた為、火の勢いは弱まりつつあった。
其処に、共和国軍のLAAT/cガンシップキャリーの助けを借りて消防の水槽付きポンプ車2台と救助作業車1台が先遣として到着。
既に開けていた範囲に3台が高速道路に降り立ってから東京消防庁消防隊による本格的な消火作業が始まった。
先にも伝えたが従来におけるLAAT/cガンシップキャリーは主にAT-TEウォーカーやAT-APウォーカー、アサルトタンク等の輸送を担う部隊展開には必ず使用される輸送部隊の機体だが、日本においては国防軍の装甲戦闘車両の輸送のみならず、消防車や救急車の輸送を行えるように現地改良を加えている為、こうした措置で対応可能となっていた。
先遣として予め決められていた消防車に補助装備を装着する事で、LAATガンシップキャリーに備わった磁力による影響を少なくしていた。
その後、警察の高速機動隊やNEXCOの道路パトロール隊が到着した事でトルーパー達は、事後の対応を彼らに一任し、警察は共和国軍側から事故の前後の映像を提出する等の対応に感謝しつつ、バスの乗客に怪我人が居ない事を確認し、走行にも問題が無い事を確認した上で第一高校のバスと作業車2台は警察の誘導の元、事故現場を離れ九校戦の会場に向かっていった。
「ご協力感謝します。後は我々にお任せを。」
「分かりました、何かあればまた連絡を。」
「はい、それと・・・此方に打診していいか分からないのですが・・・」
「?」
NEXCOの隊員は、離脱しようとLAATガンシップに乗り込んだジェダイである咲那に質問をしていた。
「我々としても事故現場にいち早く急行しなくてはならない使命があります。故に、そういうシャトルか何か、買えないかと所長から聞いてみてくれと言われていまして。」
「国交省は現場を無視して買うつもりは無いらしいからね。」
「ええ、現場の意見はガン無視もいい所ですよ。」
「そちらの言い分は分かりました。検討してみますので、この件は一旦持ち帰ります。」
「感謝します。」
そう言ってLAATガンシップのハッチが閉まり、1号機は現場を離れ編隊の後を追った。
第一高校の車列はその後、何事も無く予定より3時間遅れで会場入りを果たした。
が、既に現地会場となる富士演習場とその周囲の街では警察による車両検問が実施されていた。無論、第一高校のバス襲撃事件の一報が入ってからの厳戒態勢であった。
車両検問や警戒は静岡県警が総力を挙げて行っているが、応援に警視庁、神奈川県警、山梨県警、埼玉県警、長野県警の各部隊も合流し、共同警備態勢を実施していた。
警視庁、神奈川県警からは機動隊をそれぞれ2個中隊だけの派遣となったが。
何れも、本来の警備態勢よりも厳重である理由は共和国最高議長訪問が主な原因であろう。
第一高校の車列が到着する2時間前、富士演習場の第1駐機場にパルパティーン最高議長を乗せたシータ級シャトルと3機のLAATガンシップが降り立った。
最高議長を出迎えたのは九校戦大会委員長だったが、シャトルから最初に降りて来たのがレッド・トルーパー部隊、次いで最高議長がレッド・ガードを引き連れて現れた為、大会委員長や大会委員は見えない圧力に圧倒されながらも、会場を案内していった。
その後、事故騒動に巻き込まれた第一高校の車列が会場入りした時には、会場の警備にはショックトルーパー部隊、3個小隊等が展開されていた。
議長護衛のレッド・トルーパー部隊と異なり赤と白のカラーリングのトルーパーは、DC-15Aブラスターカービンを装備して分隊単位で巡回警備を行っていた。
国防軍からも警衛隊による警備態勢が取られていた。尤も、共和国軍よりも重武装し、見せる警備を取っていたのは、事故騒動が原因では無かった。
それは、九校戦が開催される1週間前に、会場内に複数の侵入者があったからだ。
如何に国防軍の敷地内が会場とはいえ、その会場警備は九校戦大会委員会側がやると言って、実際には武装した工作員の侵入を許したという経緯から、国防軍はその後の大会委員会側の言い分を全て無視し、会場警備を警衛隊と軍警察から人員を出して執り行う事で決定した。
また、軍警察の調査で工作員を手引きした疑いのある大会委員も居たが、あくまで疑いであった為、現在は捜査を行わず泳がせているという。
だが、どんな理由であったとしても侵入者を許した事実に変わりは無いとして、国防陸軍富士陸軍基地司令は警備強化を指示。警衛隊、軍警察のみならず通常部隊からも戦力が抽出され、会場沿いの各道主要幹線には装甲車が常時駐留警戒する徹底ぶりだった。
奇しくも、共和国軍から護衛として来た部隊にも武装化が要請された為、会場の各入口にAT-TEウォーカーと随伴歩兵1個小隊が警備に当たる結果となった。
また、市街地警備に無地に青くラインカラーで塗装された全地形対応防衛ポット『AT-DP』と国防軍のパトロール隊が7個分隊分展開し巡回警備する徹底ぶりだった。
AT-DPは警邏や短距離偵察任務に適しており、サーマルビジョン等のセンサーのみならず、爆発物を検知するセンサーをも搭載していた。
その為、この大会後に国防軍と警察機関はこのAT-DPの武装版、非武装版の購入を決定したという。
国家としては共和国軍が有事で無いにも拘らず、軍が展開する事を良く思っていなかったが、九校戦大会組織委員会に内通者が居る事実を突きつけられ、ソレも無頭竜(No Head Dragon)の工作員を手引きした組織委員の事実は、今後有事が起こりかねない事態である事を示唆していた。
かと言って、共和国代表団にソレを理由に帰らせることは政治的にも経済的にも既に手遅れであった。
工作員が入り込んだ事実を消す事が出来ない上、大会に対する破壊工作をされて中止となればその経済的損失はオリンピック並に計り知れなかったからだった。
はい、議長が会場入りしました。
警戒態勢は最大レベルに上げてください。
えっ?過剰すぎる?共和国軍にとっては足りないくらいですが?
まだ、上空にスタークルーザーが滞空していないだけマシでは?
演習に来たクルーザーは何処?
それは・・・青森の演習場ですよ。立ち入り禁止ですがね。
呼びます?ああ、いい。分かりました。
裏側ではそんな会話がされていたとか、居なかったとか。