剣士の帰還、ジェダイとなって調和を齎さんとす   作:アトコー

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大変遅くなりました。

艦これのイベントで小説そっちのけになっていました。

ドロップしない~でずっとスランプでしたが、なんとか合間合間を拭って。

後、PC新しくしたにあたってまだキーボード入力に慣れていない。
キーボードの感度良過ぎて。


と、まあ言い訳はこの辺りで、お待たせしました、どうぞ。


第38星 大会開催当日 1~2日目 

 

大会当日 一日目

 

早朝になって突然、警備を担う各隊の代表がホテル最上階の会議室に一同を介していた。

理由は会場内外の警備を国防軍と共和国軍が行う事に大会運営側が反発をしていたからだった。このタイミングになって初めて問題を認識した大会運営側は警備の一切を運営側で用意した警備員に一任しろの一点張りに国防軍や共和国軍の各代表は頭を悩ましていた。

 

大会運営側が用意したという警備員も民間の警備会社を複数社使った形となっており、緊急時に対応出来る戦力とは言い難かった。況してや、外部警備態勢も県外の応援も無い現地警察と民間警備会社任せというお粗末なものだったからだ。

工作員の侵入を許したという背景が有るにも拘わらず、その工作員が所持していた武器火薬類はただの警備員が対処出来る代物ではない事も再三に渡って伝えても結果が結果だった。

 

「学生達の安全をただの民間警備会社が守れる筈が無い。ただでさえ、爆薬キットはおろかC5爆弾なども持ち込もうとしていた工作員を取り押さえられると?」

 

「なら、其方の武器を警備会社に供与すればいいではありませんか?」

 

「碌に訓練もしていないド素人にプロの工作員を捕まえられるか!」

 

「少しは考えてモノを言え!学生達は貴様らの為の玩具じゃないのだぞ!」

 

「我々軍が出張った経緯や工作員の侵入を公表しても構わないのだがな?どうなのだ?」

 

バカみたいな質問をする大会運営委員による発言は国防軍関係者を大いに怒らせるには十分だった。

 

「寧ろ公表しては?学生達に投票を乞うのもいいと思いますよ。」

 

「マスタージェダイ、それでは些か混乱も起きるのではないかと。」

 

「いや、有りだろう。少なくとも公表すれば混乱も起きよう。だが、学生達の安全を大会運営側がこれらからも保証出来る等、誰が信じるのだ?一般人でも信じないぞ。」

 

流れは既に、どう公表するかで国防軍、共和国軍側の協議に移ろうとした時、大会運営側は自身の面子を気にして、それまで反対していた軍による警備を承認したのだった。

だが、それで会議は終わったと去る大会運営側に対して両軍は更に話し合い、有事の際の対応策と大会終了後に工作員事案を公表する事を確かめ合ったのだった。

 

 

 

そうして決め事を互いに確認し合った後に、大会運営側は何事も無かったかのように九校戦開会式は行われ、九校戦は開幕したのだった。

競技日程はパンフレットやスクリーンに映し出されており、本戦の間に新人戦を盛り込んだ日程だった。

 

「さて、我々は議長の警護に着く。ジェダイたちはどうされる?」

 

レッド・ガードの隊長がそう聞くと、代表して九條が答えた。

 

「それぞれの競技は一日ごとに行われます。基本的に貴方方レッド・ガードが居るから問題無いですが、念のため時々私が議長の傍にいます。その上で本来なら立華、聖羅、結城の3人はその日の競技会場外周の一目に付かない場所でショックトルーパーと共に警備に立ち、朝武と黒姫は遊撃として会場周辺の巡回に。としたいところですが、其処までする必要は今のところ無いと判断した為、3人のローテーションで動こうかと。」

 

「そうか、ならその方針で任せた。だが、協議会場内の警戒でトルーパーは入れなかったが故、会場外周待機だが、大丈夫だと思うか?」

 

「後から強行した大会運営側の警備隊がやると言った以上、我々の出る幕は無いです。事件を起こすような無能だったなら、その時にすり替えればいいでしょう。それに議長の傍にいるのは優秀なレッド・ガードが居るわけですから」

 

とは言うものの、隊長さんは大会運営側の警備隊を見ながらあきれ顔になる。

 

「・・・・・些か、危機感が無い連中に思える。」

 

「私もですよ。こんな連中ばかりでは・・・ね。」

 

幾つもある競技会場全体をカバーする事は難しい。だから侵入されない事を前提に軍は動いている。ヴァン・アゲートも代表団の護衛として赴任しているが、会場内を紫音たちに任せて自身は弟子らと共に会場外警備に当たっていた。

 

 

 

第一種目は、スピードシューティングとバトルボードの予選~決勝までのトーナメント戦。

第一高校からは七草真由美生徒会長と渡辺摩利風紀委員長が出場する。

 

「スピードシューティングは、どのような競技なのかな?」

 

「議長、スピードシューティングは俗に言う早撃ちの魔法バージョン。

射手の位置から30m離れたエリアに投射されたクレーを撃ち抜く若しくは破壊する競技ですよ。」

 

「ふむ・・・我々の力ではこの手の繊細な動きは難しそうだな。」

 

「フォースを弾丸のようにして放つのもマスタークラスでも限られた者しか出来ませんからねぇ。斯く言う私も出来ませんが・・・・・フォース・プッシュの範囲限定攻撃型と言ったところでしょうか?」

 

フォース・プッシュの場合、主に相手をフォースを使って押し返す力があるが、能力的に言えば一定の範囲内にいる物体を押しているようなもの。

個数が増えればその分、力も分散され押す力も弱まる。バトルドロイドぐらいなら問題無いが、人間等の生物相手となればフォースの力は半減すると考えられてきた。

また、プッシュもただ押し倒すだけと、遠くに追いやる2種類の使い方が有り、魔法で言えばフォース・プッシュは移動系魔法と加重系魔法の合わせ技のようなものになる。

 

「ふむ、魔法とは色んな可能性を孕んでおるようじゃな。」

 

「はい。」

 

議長と共に座って歓談しているが、目の前ではその競技が正に行われていた。

フォースを用いて戦う事が多いジェダイだが、何かに特化しているのは個々で異なるもの。

攻撃に特化している者、防御に特化している者、支援に特化している者、様々だ。

攻撃型で言えばフォースを用いた格闘戦、マスターウィンドゥはバトルドロイド相手にパンチでドロイドを砕くような荒々しいフォースの使い方をしていた。

フォースを拳に込めて殴るってボクサーじゃないのだからって思うけど、それだけフォース・パワーが長けている証拠なんだと思う。

 

それはさておき、選手として登場した七草真由美が行っている魔法は、当然ながら議長の気を引くには十分だった。

 

「ふむ、どうやって見ていたのだ?有効エリア内に入った瞬間にクレーが落とされていたぞ。」

 

「彼女は確かレアな知覚系魔法が使えますね。」

 

「知覚系魔法?確か、知覚器官外認識力とも言われる超感覚だったな。

 

「はい。彼女の場合、遠隔視系のマルチスコープというあらゆるアングルから実物体を捉えることが出来る魔法を併用しています。私が編み出したフォース・サーチの上位版ですね。」

 

「フォース・サーチ以上の能力か?」

 

「ええ、フォース・サーチではあくまで其処に居るというのをフォース・サウンドの波の波形から知覚するだけで、実物体を正確に捉える彼女とは異なります。」

 

しかもそれに加えてあの魔法だ。

 

「仮に戦場なら脅威足りえるな。」

 

「ええ。ドライアイスの亜音速弾、あれのエネルギー法則は私でも理解に及びません。」

 

「知っておるぞ。この世界で言うエントロビーの逆転は起こりえないのだからな。我々もどうにか制御しようと苦労したが、結局は徒労に終わったな。」

 

「ですが、魔法ならそれが出来る。」

 

「上手く騙されておる気がするのう。」

 

議長の言い分も分からなくない。実際、魔法によって応じた熱エネルギー等を他のエネルギーに変換など科学技術では出来ても自然にそれを行う技術は無いのだから。

 

 

 

そうして、競技は次に進み、バトルボードの競技会場に移動した一行は、所謂波乗りを競うわけだが、この点は議長の興味はそそられなかったようだった。

ただ、一点を除いて。

 

「ふーむ、大衆向けにも思えるな。」

 

「そうですね、コルサントの住民を含め学生による魔法競技というのは馴染みが無いでしょうが、このバトルボードだけは違いそうですね。」

 

実は、この波乗りは、私たちがいたコルサントでも直々映像で目にしていた。

主に、地球型の惑星であるオルデランやナブー、コレリア、ダグ(モン・カラマリ)などにおける娯楽からスポーツとして発展したサーフィンが競技として扱われて毎月とんでもない額のお金で経済ガン回すほど、大きな祭典になっていた。

 

「ですが、共和国として出来るのは練習会場を提供するぐらいでは?」

 

「だが、異文化交流も出来るな。」

 

「しかし、現状の日本では魔法師の流出を防ぐ方策の一環で精々交換留学程度に留まりそうですが・・・」

 

「其処は政治でどうにかする。共和国において、軍を伴わずに安心安全であるのは、オルデランとナブーぐらいだからな。」

 

そう、両惑星共に現地の治安維持部隊や軍警察が地域の安全を確保しており、共和国軍の駐留はあくまで外敵からの防衛のみとされているのだ。

 

「まあ、確かに。2星は地球からの観光客向けではありますね。」

 

「今日はこの競技で終了のようだ。マスター九條、次からは呼んだ時だけでいいかな?私が此方に来た事が帰る予定の議員団にバレたようだ。どうやらマスター九條の居場所を突き止めた議員がいるようでな。」

 

悪戯がバレたかのような表情をする議長に若干呆れながらも、それを了承した。

 

 

 

 

 

 

 

ジェダイとしての顔は、知り合いが多い中では案外疲れる。

仮面をして顔を隠していても、知っている人からすれば所作でバレるかもしれないからだ。

だというのに、我々ジェダイの休憩室は兄妹も居るホテルの軍関係者しか立ち入れない場所をわざわざ用意されていた。

 

「何故、此処を休憩室にしたのでしょうかねぇ?」

 

「何か深い意図があるように感じますけど・・・、国防軍の幹部も此処を利用しているみたいですし、いいのでは?」

 

実際問題、ジェダイの出番は無いに等しいのだ。

議長の身辺警護もレッド・ガードが居れば不要だし、政治的な話となると私たちの出番は低いものだ。

今日の夜にはマスタードゥークーも現地入りする。

しかし、達也や深雪に会いに行くには少々問題がある。

 

「ですが、ホテルの手配はマスターの実家がしてくれたと聞きましたが・・・」

 

「まあ、何かしらの配慮もあったのでしょうね。」

 

 

 

 

次の日、議長と合流した議員たちが魔法競技を観覧する中、九條は国防軍の会議に呼び出されていた。

 

「要望を聞いて頂きありがとうございます、将軍。」

 

「此処では、ジェダイマスター九條紫音ではなく、ただの九條紫音だった筈では?風間殿。」

 

「そうでしたな。」

 

丸いテーブルの周りに置かれた椅子に腰かけると本命の者が到着した。

 

「失礼します。・・・!?」

 

「来たか、まあ掛けなさい。」

 

席に座るように促す風間少佐だが、達也は扉の前に立ったままだった。

 

「いえ、自分は此処で。」

 

「そう遠慮するな。何せ今日は軍人としてではなく、我々の友人として招いたのだからな。」

 

「達也、君が立ったままでは話しもしづらくて困る。」

 

「そういう事だよ、達也。」

 

「分かりました。」

 

頑固さがある反面、ある程度私の言う事にも従うようになって来た彼に苦笑しながら迎え入れた。

 

「柳大尉、お久しぶりですね。」

 

「半年ぶりぐらいかな。」

 

そうして始まる他愛もない世間話。

だが、その本題は単なる世間話で終わらなかった。

 

「では、やはり共和国軍の警備体制があるのは・・・」

 

「ああ、複数の襲撃事案と不法侵入工作事案によるものだ。達也が遭遇した第一高校バステロ事件もソレだ。」

 

「やはり、テロ行為を行った者による・・・。」

 

「現地の鑑識班も間違い無いとのことだ。」

 

第一高校バステロ事件・・・それは、現在開催されている魔法大会に参加している生徒らを狙った自動車自爆テロによる攻撃だった。

テロ事件自体は、警察と行政が生徒のメンタルを気にして公表を差し控えている状況にあるものだった。

 

「共和国軍の警備も本来は予定には無い事だった。けど、地方警察の協力要請の元で警戒に当たりだした瞬間にも工作員の不法侵入を許していた。それも大会委員会側がGOサインを出した車両ナンバーの名簿全員が工作員だったって・・・ねぇ。」

 

「現状大会委員会への縛り上げを行っているが、どういうわけか、総務省が出張ってきているから芳しくない。」

 

「あれ?九校戦大会委員会の管轄って民間の筈だったのよね。

どうして総務省が?警察にも圧力を掛けているみたいだけど・・・」

 

それまでは民間の組織だった筈なのに、今年に入ってからどういうわけか総務省の管轄下に置かれるようになっていた。

 

「開会式前の不祥事が政府の耳にも入ったようだ。

其処から管轄権が変わった。」

 

民間の管轄というのは、表向きで実際は裏から手を回しているという複雑な構図になっていた。

 

「ところで、達也は選手として出る予定はあるのか?」

 

「いえ、今のところは。」

 

「ええ~、結構良い線行くと思うのになぁ。」

 

「藤林、たかが高校生の競技大会だ。戦略魔法師の出る幕は無い。」

 

独立魔装大隊の面々は、達也の選手としての出場を話始め、藤林だけが賛成で他は反対という構図が生まれていた。

 

「九條さんはどう思う?」

 

形勢不利と悟ったのかこっちに火の粉を被らせようとする藤林さんに

対して苦笑しながらも答えた。

 

「軍事機密指定魔法以外の魔法でも十分にやれると思いますよ。何より此処の高校生達が持っていないモノを持っていますから。」

 

「ん?それは・・・なんだ?」

 

達也が習得していて、他の生徒たちが習得していないモノ、それは・・・

 

「九重八雲殿レベルの弟子など、早々居ないものですよ。」

 

そう、達也が身に着けている体術は、其処らの道場や教室で学ぶものよりも遥かに実戦的だった。

それ故、父九條剛蔵や長兄直政に気に入られてしまった結果、達也が習得した体技術は驚く結果となった。

 

「長兄直政から結構習ったでしょ?」

 

「そうですね、色々学ばせていただきました。」

 

実際、習った武術は、柔術や骨法、弓術、空手の他にクラヴ・マガ、システマ、剣道、剣術、抜刀術、棒術、居合術など。

途中で孝行の奥さんである未央奈さんも参戦し海外留学で培った海外徒手等を教えていった結果、武術面で言えば魔法師相手で自身が魔法を使えなくなった状況下でも魔法師と同等かそれ以上に戦える戦士が作り上げられてしまったのだ。

 

尚、2人とも陸軍と海軍に属する軍人であり、事の次第を知った上官からこってり絞られたらしい。身内の事なので一応御咎め無しだったようだが。

 

 

だが、それを聞いた風間少佐が固まったまま動かなくなった。

 

「少佐?」

 

「・・・・・九條殿、一応確認するが、直政殿は何処に所属していると?」

 

「詳しい所属は、例え部署が異なるからと言えど明かすことは出来ない。強いて言うなら陸上総軍隷下であるとしか・・・。」

 

それを聞いて、風間は益々顔色を悪くしていた。

 

「なんだ?問題あるのか?」

 

「いや、無い。無いのだが・・・・・達也を指導した人に心当たりがある。確かに所属を大っぴらにする事が出来ない。だが、達也は耐え抜いた・・・と?」

 

「さて、どうかな?私が聞く限り高校入学前の冬休み中に指導したとしか聞かなかったからね。」

 

「姉さん、それは集大成を見るテスト期間だ。鍛錬はもっと前からやっていた。」

 

「だって。」

 

風間は密かに気付いた。気づいてしまった。

達也が大隊内に限定して魔法抜きで対人戦闘能力が極めて高い兵士である事に。

大黒竜也特尉という国際法上の軍事資格を持つ非正規士官でなければ、陸上総軍の引っ張りだこになる存在であるという事に。そして、これからその引き抜きに精を出すであろう部署の存在に内心頭を抱えざるを得なかった。

 

「なら、猶更じゃない?」

 

「いや、身体的打撃は禁止されているから難しくないか?」

 

「いやいや、やりようは幾らでもあるぞ。」

 

そうして、達也が選手として参戦する事なった時を楽しみにしながら時間は経過していった。

 

 

 

その後、話の流れは会場に展開する共和国軍の警備についてになった。

 

「共和国軍の警備を段階的に国防軍に移行させる・・・ねぇ。」

 

「ええ、軍上層部でも同様の議題になり、警備体制の見直しが議論されています。」

 

これだけの騒動が起きれば、そうなるのも無理はない・・・か。

とは言うものの、共和国軍の警備の主体は最高議長直属のレッドトルーパー部隊と治安維持目的で増派されたショックトルーパー部隊のライオットトルーパー部隊

彼らの言い分では議長を含め、観覧している議員らを専属的に守る部隊を排除しようとしているようにも見えかねないのだ。

 

「言い分はある程度理解出来ます。しかし、現状においては警備隊の撤退は無いものと考えて頂きたい。議長や議員らを優先する警備隊であると」

 

「確かに、議員の護衛には赤い服装の者や青い服装の者がガードしている。だが、その身近な者達だけでは駄目か?」

 

「通商連合製の爆弾が出てきた際の解除や避難誘導はどうすると?

正直に言って、まだそれらに対する態勢が整っていない間は我々が対処していく方針でいるが?」

 

オールドナンストルーパーによる爆発物の解体方法の伝授など、分離主義勢力が使った兵器の種類や爆発物の処理方法は、軍のみならず警察の爆発物処理班に順次訓練させている状況で、最近警視庁の爆発物処理班の訓練が終わったばかりだった。

 

「だがなぁ。」

 

「予定を早めても良いことは無い。軍上層部に言っておいてもらえる?死人が出たら責任はそちらで、とね。」

 

其処まで言われては風間も黙るしかなかった。

九校戦を観覧に来る来場者は競技内容によっては数万人を超えることもあるからだ。

即応出来る爆発物処理班や鎮圧部隊を含めれば現在の警備体制は、日本側からすれば過剰という見方も無理もなかった。

だが、それでも我々としてはまだ足りないと考えてしまうのだ。

幸い、会場外の警備に過剰戦力は要らないとして各会場入り口にAT-PTを1機ずつ配備し、1個小隊のショックトルーパー部隊と警察隊の体制となってから、大きな混乱は起きていない。戦力を廃したのはそれぐらいだった。

 

 

 

 

あれから議長は、特別観覧席で感嘆しながらある競技を見ていた。

スピード・シューティングで準々決勝に登り詰めた選手たちの中で一際目立つ生徒が居たからだ。

 

「予選から全く同じ手法、にも係わらず失点が無い。・・・・・もしや見えておるのか?」

 

議長の呟きは当たっていた.

競技に出場している七草真由美の知覚魔法「マルチスコープ」は、実物体を多角的な方向から知覚する先天性のスキル。言わば多元レーダーに匹敵するものだった。

 

「なるほど、これが十師族の令嬢か。」

 

パルパティーンは、九條から事前に得ていた情報から選手が誰なのかを理解し、同時にその魔法に匹敵するものは無いかと思案し始めていた。

同レベルの魔法を得ることは難しい。況してや先天性スキルとなれば猶更だった。

 

「成程、これが魔法か。フォースと違って面白いではないか。」

 

探究心が擽られたのか、怪しい笑みを浮かべるパルパティーンに護衛のレッドガードは顔を合わせて、またかと、また始まったと呆れながら見ていた。そして、変な方向に進まないように、通信でマスター九條を呼び出すのだった。

 

 

 

パルパティーンがハリセンで叩かれる10分前の出来事だった。

 

 

 

 

 

大会2日目

 

議長が探究心から暴走仕掛けた為、特別観覧室にはパルパティーン議長の他にパドメ・アミダラ議員とアナキン・スカイウォーカーの姿があった。

途中から九條紫音も合流する予定だが、事情を聴いたアミダラ議員は喜々してハリセンを受け取っており、それを見たパルパティーンが震え上がったらしい。

 

 

競技アイス・ピラーズ・ブレイクという自陣と相手陣にそれぞれ氷の柱が12本設置され、相手陣内の氷柱を先に全て壊した方が勝者となる。

 

使われる魔法はAランク魔法も可とされており、それぞれが思い思いの魔法で自陣を守り敵陣の氷柱を破壊するわけだが、パルパティーンの探究心が擽られないわけがなかった。

尤も、パルパティーンがやろうとしているのはフォースでの再現だった。

ライトフォースとダークフォースの合わせ技で何か出来ないかとあれこれ模索し、現状出来上がったのは、パルパティーンが禁忌と記す程のヤバい魔法の形をした何か、

それを見た九條は、そのフォースによって生み出された魔法のようなものを「ブラックホール」と称した。そのブラックホールは、惑星の軌道衛星を一つ吞み込んで消滅したが、あまりに危険すぎるため、使用厳禁とし禁忌魔法とした。

銀河系に実在するブラックホールそのものを生み出すなど禁忌にも程があった。

 

その騒動の後、もっと限定的な魔法開発に取り組みだした。ブラックホールを生み出してからどういうわけか原理も不明だが、九條らと同じく魔法を使う事が出来るようになったパルパティーンはフォースの探究と並行して魔法研究に打ち込むようになり、その都度アミダラ議員に書類で叩かれていたらしい。そのアミダラ議員が、ハリセンを持って不敵な笑みを浮かべているのをパルパティーンはビクビクしながら観戦していたらしい。

 

 




九校戦開催しました。

視点としては九條や議長からの視点多めでしたので、次は他の視点で書いていきますよ~。

次作は今週中に出したいですね。4か月も放置してしまったのですからね。

ではまた。
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