その日私はジェダイ聖堂の瞑想室で一人深く瞑想していた。
自室で寝ている時にフォースで見せられた夢がなんだったのかを、そして何が起きようとしているのかを知る為に。
マスターレヴィナスから学んだリビング・フォースでフォースの霊体となったマスタークワイガンとコンタクトを取っていたが、芳しくない内容を言われた。
『このままでは、アナキンは・・・・・・・・堕ちるだろう。』
『それは、何故?』
私はクワイガンに問い質した、しかし、
『・・・・・・・・・・・・・・・気をつけろ』
其処から先は全く聞こえなくなった。
一人瞑想している部屋に訪問してきた誰かがいるのが分かった。
「何か、見えたか?フォースの行く先に・・・・。」
「いえ、まったく見えませんマスターウインドゥ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「コンタクトを取ったマスタークワイガンからは・・・・・警告が。」
「何の警告だ?」
私は、リビング・フォースで彼と会話した内容を話した。
「アナキンに関する事です。」
「アナキンに?」
アナキンの現状を考えれば、有り得なくもない未来が起きかねないと思っていた。
だから、多少嘘を混ぜて伝えた。
「はい、このまま、今のままアナキンに接し続ける事は、ジェダイがアナキンをダークサイドへ向かわせているようなものだと。」
「・・・・・・・・・クワイガンがそう言ったのか?」
「・・・・・・・・・・・いいえ。ですが、アナキンは何れ堕ちかねないと。」
それを聞いたマスターウインドゥは、壁に寄り掛かっていたのを正して、私の隣に座った。
マスターウインドゥもマスターレヴィナスからリビング・フォースを体得していた。
リビング・フォース自体は大多数のジェダイが受け入れていたフォースの見方ではあるが、リビング・フォースそのものの体得は、時間が掛かるだけでなく、方法そのものを知る者が少なかった。知識としてあっても実行には移せない。そういう状況だったわけだ。しかし、それも過去の話で、現在は多くのジェダイマスターが体得しており、それぞれのジェダイマスターが自らの弟子たちに継承していく方針を取っていた。
「フォースは、常に変化する。善き流れに行くか、悪しき流れに行くか。」
すると、瞑想室にもう一方、
「マスターヨーダ。」
「見せる未来もフォースはその時々で変わってくることもある。」
マスターヨーダも瞑想室にやってきては、傍に座った。
「ふむ・・・・・・・・・。フォースが見せた夢で何を見た?ん?」
マスターヨーダは、私をジッと見てそう言った。
私のフォースの揺らぎを感じ取っての言だろう。私は、誤魔化しきれてないかと思う反面、大きな不安があった。
「アナキンがシスの戦士となり、私やマスターケノービを、そしてジェダイ聖堂を破壊していく光景を・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「有り得ないと思いたいですが、そうならない為に出来る限りの行動をしていく必要があると考えます。」
「2人だけかの?」
「いえ、・・・・・・・・・・よくは見えていませんでしたが、夥しいジェダイの骸がアナキンの背後に積み上がっていた・・・・・かと。」
「・・・・・・・・・・・・・、会って話して見るか。」
ヨーダがそう言って行動に移そうとした時に私が待ったを掛けた。
「いえ、それは私が。彼の事をよく理解していますし。」
ヨーダは、ならオビワンの方が適しているのではと、聞いた。
「オビワンからも言っておくかの?」
だが、オビワンはあくまで師匠としてアナキンは見ている節がある。無論善き友人であり、善き兄貴分でもあるだろうが、それでも話しにくい事を・・・というより、最近はオビワンとの関係がギクシャクしているようにも見えた。
「いえ、厳しいでしょう。アナキンも相談しづらいと感じているようですから。」
「分かった。・・・なら、頼んだ。」
瞑想室を出て、ジェダイ聖堂からパドメさんが住んでいるアパートへ。
まだ、パドメさんと一緒にいる頃合いかなと思って訪れると彼は確かに居た。ただ、今日のアナキンはいつもと違った。
フォースが教えてくれる、とても不安で怖がっていると。
出迎えてくれたパドメさんは、今日は調子が良くないみたいと私に話ながら中に入れてくれた。
「アナキン。」
「シオンか。すまない、今日は・・・。」
「少し出かけませんか?パドメさん、アナキンを借ります。」
「えっ、ええ。アニー気晴らしに行くべきよ。出来ない相談も、シオンさんならいいんじゃない?」
「だけど・・・僕は・・・・・・。」
どうすれば分からないアナキンを無理矢理引っ張って、乗って来たXJ-1レンタルエアスピーダーの中に押し込んで、ギャラクシーズ・オペラ・ハウスに向かった。
そして、2人用の個室の席を確保してアナキンと入り、其処で話を聞くことにした。
「シオン。」
「あまり、他の人には聞いて欲しくない内容でしょ?此処なら防音対策もされているから問題無いよ。盗聴器の類も無い。」
「・・・・・・ああ。」
サワーを買って、一息ついてから漸く、アナキンはポツリポツリと話し出してくれた。
フォースが見せた夢でパドメが死んでしまうかもしれない事、そして、自分が私やオビワン等多くのジェダイを傷つけるような事を起こしてしまうのではないか・・・と。
正夢を現実にしたくないとしても、もしパドメの身に何かあればと考えるアナキンの精神は不安で一杯一杯だった。
同時に、普段から世話になっている私やオビワン、サナを傷つけるような事を起こしてしまうのかもしれない自分が怖いとも。
アナキンの話を全て聞いた上で、私も見た夢の話をして、フォースの霊体となったクワイガンからもたらされた警告の話もした。
その上で、今のアナキンが薄氷の上に立っているような危険な状態でもあるという事。パドメの事でいっぱいになり過ぎていると。
「アナキン。少しナブーで療養したらどう?」
「ナブーで?」
「うん。今までいろいろ忙しくてパドメさんと一緒には居られなかったんじゃない。それに、アナキン自身の心が休まってないんだよ。多分、心がそろそろ安静にして欲しいってメッセージを送っているのかも。」
「僕の・・・・心が?」
「人間にせよ、そうでないにせよ、何にせよ、心が疲弊したら何をすればいいか分からなくなるもの。私の時みたいにね。」
そう、何を隠そう私も色んな星系に回されて調停や交渉の為に足を運び、時には治安維持の名目で分離主義勢力と激戦を繰り広げたりと忙しい毎日を送っていた。無論、休息は取っているつもりだった。でもそれは心から休めてはいないという証拠でもあった。
各所の仕事を元老院議員経由で兼任して対応していたある日に、私は元老院アネックス・ドーム内で倒れてしまった。議員との会話を終えた後、心と身体の限界が分かっていなかった私は出入口付近で支柱に凭れながら倒れてしまったのだ。
当然、私が倒れた事に気付いた議員らが駆け寄って、騒ぎに気付いたショックトルーパーやセネイト・ガードもやって来て、倒れた私はジェダイ聖堂に搬送されジェダイ聖堂にある医療班診療所に運び込まれ治療を受けた。
診断の結果、重過労による睡眠不足。疲労と睡眠不足の蓄積で、一瞬にして意識を失ったわけだからそうなるわけだろう。
頼まれごとをあれこれ熟していった結果、まさかの状態に流石のマスターレヴィナスからも心配されて怒られた。
多くのマスタージェダイも調停や交渉に赴く中、私だけが抱えている仕事は非常に多かったのは、他のジェダイよりも信用出来るという多くの元老院議員からの直接的な依頼ばかりだったからだ。その為、他のジェダイたちよりも依頼が集中する結果となった。中には、依頼に失敗したジェダイの尻拭いまで含まれており、銀河における平和の調停者とは?と聞かれれば多くの元老院議員が、ジェダイナイト、シオン・クジョウと答えるそうだ。
無論、倒れてから療養している間、マスタージェダイたちが代わりを請け負っていたが、対処仕切れない問題が多く、寧ろそれらの依頼を達成し続けれた私をより高く評価していたらしい。一時ジェダイマスターへの昇進も考えられたが、誰かが言った「まだ若い」という理由から保留となった。
アナキンも私の代わりに依頼をした側であり、当時はパドメさんからも心配された挙句、療養名目でナブーにある湖の畔で過ごしていた時期もあった。(パドメさんの薦めと手配があってかなりゆっくり過ごせた。)
「分かった、そうしてみるよ。」
「コルサントだと仕事の事が頭に入って休めないだろうし、2人でジェダイでも議員でも無いプライベートで過ごすといいよ。私から、マスターケノービとマスターウインドゥには伝えておくよ。」
「だけど、まだ戦争は・・・。」
「うん。グリーヴァス将軍を逮捕、撃破する必要がある。」
「なら、グリーヴァス将軍を撃破するまでは僕も続けたい。その後なら休める筈だよ。」
「・・・・・分かった。だけど、注意してよ。」
「分かっているさ。」
だけど、彼のストレスは意外な事で更に溜まってしまった。
その次の日、私とアナキンはジェダイ評議会に突然呼び出された。
理由は、昇格の件だった。
「2人をマスターの地位を与える事は認める・・・だが、クジョウの評議会への列席は認められない。」
「はい・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・。」
マスターウインドゥからもたらされたのは、私とアナキンのマスターへの昇格。最年少で最速の異例な事だが、私は数々の調停の功で、アナキンは今までの功績に加えドゥークー逮捕の功で。そして評議会議員はアナキンだけ。私にとっては丁度良かったのだが・・・。
「どういう事なんです!シオンだけ、評議員になれないなんて!」
突然酷く憤慨するアナキンをオビワンやレヴィナスが宥めていたけど、私はやれやれと思いながら言った。
「アナキン、いいのよ。」
「いいのか!?君だけ評議員になれないのは・・・。」
憤る彼を私は優しく宥めた。
「ただでさえ、元老院議員からの要請であちこち動いていた身だから本音を言えば評議会メンバーに選ばれたら辞退するつもりでいたんだ。」
そう言うと、アナキンもオビワンやメイスも驚いていた。
「そうなのか?」
評議会の仕事まで掛け持ちするほど、心の余裕が無いというのが第一だった。
「ええ。身体が持ちません。それに、少しは自由が欲しいので。(本音を言えば、評議会の要請と言って尻拭いもしたくないし」
「シオン、途中から本音が駄々洩れしてる。」
そんな内心の考えも分かる筈のウインドゥと駄々洩れた本音に対して冷静にツッコミを入れたオビワンだけど、ウインドゥは少し困ったような表情を浮かべながらも直ぐに切り替えた。
「・・・・・、そうか。確かにシオンも評議員になれば思ったが・・・・・いや、分かった、」
まだ仕事を押し付けたいのか、そんな事を考えているのかは知らないけど、私は結構ですと顔を背けるとウインドゥは渋々理解を露わにしていた。
「アナキンの言う通り、評議員にしてもいいとは思ったが、定員の関係もある。それに、本人が拒否する以上は此方からは何も言えん。分かったな。」
「シオンが良いなら・・・。」
「よし、ではこの件は終わりだ。では次だが、シオンの件だ。」
私の件、他にもあるの?って顔をアナキンがした。
「シオンの?」
「私の故郷があるとされるアース星系への調査をお願いしていたの。前最高議長権限で封印されていたんだけど、解除してもらってからね。」
ただ、調査するには私が忙しすぎた。だから他のジェダイに調査依頼を出していたんだ。
「結果から言うと、シオンの言う地球らしき惑星を確認したそうだ。現地調査を控えるようにと・・・だったがいいのか?」
「200以上の国家が乱立しているのです。それに宇宙への目も多く向けています。我々のような者が行けば、下手な争いの芽になりかねないので。」
「面倒な惑星だな。」
「ええ。ですので、詳しい調査結果を。」
「これがそうだ。」
調査結果では、地球の衛星である月の裏側から調査をした時の結果が記されていた。
漸く見つかった、私の母星が。その嬉しさから、一筋の涙を流していたらしくマスターレヴィナスに久しぶりに頭を撫でられた。
「その星が出身地で間違いないのか?」
「特徴となる構造物、衛星写真で見たものとほぼ同じなので間違いないかと。ただ・・・」
「ただ・・・?」
「いえ、まだ推測の域なので確証は無いのですが・・・。」
地球儀の如く、その調査結果の画像を見ていると気になるものを発見した。それがなんであるかの確証は無いが・・・・・。
「詳しく確認してからまた報告ということで良いでしょうか?」
「うむ。不安要素だけで話しても裏付けも問題があるからな。」
そう言ってから評議会を出た。
アナキンはオビワンと会話しながらだったが、まだ不服そうだった。
アナキンの歳でマスターと評議員両方が得られるという前例に無い事態、更に言えば私の歳でそれこそマスターに成れること自体、異例中の異例である筈。
私としては、ジェダイマスターの地位も早すぎる気がするからそっちも辞退しようとしていたけど、余計アナキンが憤慨して会議どころじゃ無くなると思ったので言わなかった。
(実はクジョウのマスター入りに関しては元老院側からの要請が度々行われていたという事実もあった。まだ若いからと流していた評議会だったが、実力も半端な者がマスターになるより彼女の方が適任の筈、彼女に勝る功績と能力を持つジェダイこそ、マスターにふさわしいのでは無いか?とその話題が持ち上がるとマスターヨーダやウインドゥ、ケノービらはほぼ毎日のように元老院議会に呼び出されては聞き出されていたらしい。)
評議会の会議が終わってからマスターレヴィナスやメイスにそれを言おうとしたのだが、私の考えが分かっているからか、
「その地位昇格は受け取るべきだ。君にはその資格がある。」
「シオン、今までよく頑張ったんだ。評価する側として、地位昇格は褒美の一つだ。何も言わずに受け取っておくべきだ。」
「いえ、ですが・・・・。」
「な、言っただろ。頑固だって。」
「その頑固さは誰の受け売りなのだろうな?」
「マスターのですが、ってそうじゃなくてですね!」
「シオン、君はジェダイナイトとして弟子を取り、同郷のサナ・タチバナやユウキ・ナオエをナイト昇格まで育てた。今や彼らも立派なジェダイとなっているんだ。少しは誇りに思ってもいいんじゃないか?」
「驕って傲慢になるよりかは謙虚でもいいかと。」
2人のマスターは困った奴だというような表情で見つめ合ってから、
「だとしてもだ。」
「過分な評価は痛み入りますが・・・。それは本来先に散っていた戦友たちに向けられるものであり・・・」
「自分の評価では無い・・・と?」
「全てがとは申しませんが。」
「・・・・・ウインドゥ、これはどうだろうか?戦争終結の折には終戦記念と合わせて慰霊セレモニーを開くのは。」
「どういうことだ?」
「慰霊セレモニーでは、この戦争中に亡くなったジェダイ、クローントルーパー、共和国にその身を捧げた者たち全員を叙勲するんだ。共和国軍として協力し力を尽くした英霊だ。ただ、歴史の中に埋もれて消えるよりかはいいと思うし、これまでどれだけのトルーパーが死んだか俺達も把握しきれてないだろう?」
レヴィナスの提案に、ウインドゥは顎に手を当てながらも、
「・・・・・それは・・・確かに。」
「シオンが率いる第327機動大隊では、新兵、古参兵に拘らず一人一人所属し戦死したメンバーの名が刻まれた慰霊碑なるものがあったな。」
「はい、これまでに3286名のトルーパーたちが戦死。一人一人のその名が刻まれており、大隊メンバーは誰一人として忘れていません。」
「ほらな?」
マスターレヴィナスに言われ、少し考えた後に
「・・・・・。我々は一つ危惧していた。クローントルーパーへの感情移入の強いシオンがダークサイドに堕ちるのではと。・・・だが、それは間違いだった。許してくれ。」
そう謝罪してきた。
「マスター、その危惧に間違いはありません。幾度か、その経験がありました。しかし、支えてくれる者、善き理解者、善き相談者に恵まれていたからこそ、何度も乗り越えることが出来たと思っています。無論、当初はダークサイドに堕ちかけた事もありましたが・・・。」
「それでも、乗り越えたからこそ、此処にいる。良い仲間に恵まれたな。」
「はい。」
「分かった。慰霊セレモニーに関してはジェダイ評議会で検討しよう。元老院への話し合いも必要だな。」
「それは問題無いだろう。シオンほど、元老院議員のコネを持っているジェダイは居ない。」
「それもそうか。ってか、・・・・・・コネて。」
「ですが、・・・・・・やはり危惧すべきはアナキンですか・・・。」
「ああ。あいつのマスターへの昇格も時期尚早だと思ったのだがな。」
「彼は今、様々な不安を抱えて精神的には参っているのでしょう。グリーヴァス将軍を逮捕、撃破した暁には、暫く休ませたいと考えますがどう思いますか?」
「・・・・・・・・・。本来ならジェダイマスターとして色々仕事があるが・・・それもそうだな、マスターヨーダには俺から話しておこう。」
ヨーダはレヴィナスを経由してシオンからもたらされたアナキンの事について、一先ずグリーヴァス将軍を逮捕してからと保留にしつつも、アナキンからの要望には出来る限り応える必要性があるかどうか、それについて話し合う必要があるとレヴィナスに伝え、2人きりで話し合うのだった。