夜の子供   作:かりん2022

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炎と魔物

 ドアがノックされて、私はシーツを被って扉を開ける。

 

「うおっ」

「アルスとレオじゃない。何よ、笑いに来たの」

「アルス様にレオ様だろ、え・ん・き」

 

 私はグッと歯を食いしばり、それからアルス様、レオ様と渋々言った。

 今の私は貴族でも異能者でもないのだ。

 ましてや、相手は、特にアルス様は異能者で王子様。むしろ以前の私がどんだけ傍若無人だったのよ、若さって怖い。

 アルス様は、学生服ではなく、討伐隊の制服を着ていた。

 無駄に格好いい。くそう。私は彼のお嫁さんになりたかったのだ。

 学も教養も武力もなかったくせに、よくもそこまで思い上がれたものである。過去の自分が怖い。いやまあ、学校もざっくばらんな雰囲気だったけどさ。

 

「なんか調子狂うよな。俺に勝って嫁に押しかけるんじゃねーのかよ。つかなに、この布」

「おや、私の嫁になるのでは? 男と見れば節操なく声かけてましたよね」

「うるさいうるさい。日差しを浴びると肌が焼け爛れんのよ」

「性病ってマジ?」

「マジ。笑いたければお笑いなさい。そしておかえりください」

「あー。君、この町で仕事をしたかい?」

「炎は使えなくなりましたわ」

「この町、お前が力を失うのと同時期に魔物の出現がパタっと途絶えてんの」

「なんで?」

「俺が知りたい」

「それを調べに私達が来てるんだよ」

 

 私は頭を悩ませるが、心当たりは皆無だ。

 強いていうなら、毎日毎晩のファイヤーぐらいだろうか。

 

 まさかね。

 

「陽が落ちてからなら、案内できるだろ。案内しろよ」

「夜に女子に案内しろと申すか」

「お前えんきじゃん」

「うっさいわ。うるさいですわ」

「敬語」

 

 そうして、私は夜に案内をすることになってしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて夜。私は後悔していた。猛烈に後悔していた。

 扉を開けた途端、化け物にガッチリ捕まっているレオ様が見えたのだ。

 

「ピャッ」

「なんだい?」

「変な顔」

 

 なんか半透明の化け物ととってもグロく同化してますが。

 これはいかん。いかんよ。

 

「ファイヤー!!」

 

 私は渾身の一撃を繰り出した。唸る炎がレオ様にぶつかる!!

 悍ましい断末魔と共に、化け物は消えた。

 

「何かな? 変な顔を変な顔って言って何が悪いのかな」

「うっそ、あんたどうとも感じないの?」

「?」

 

 アルス様とレオ様はきょとんとしている。

 それから、気づいた。

 

「えっと、えんき、もしかして化粧してる?」

「してるわ。学生の時からしてたわ」

「化粧するとすっごく変わるんだね。昼間とは大違い」

「肌の白さとかな。綺麗になった?」

「夜でよく見えないから綺麗に見えるのよ」

 

 実際は夜の吸血鬼効果だろう。 

 それから、私はクラスメイト二人を案内した。

 結局異常は見つからなかった。

 

「しばらくこっちに常駐するから、何かあったら言えよ」

「クラスメイトだったんだからさ、たまにはお茶しようよ」

 

 そんな言葉を交わし、見送る。

 残念ながら、人間の食事はノーサンキューです。

 お茶ぐらいなら……飲めるといいなぁ……多分、お茶菓子がアウトだと思う。

 

 二人を見送ってしばらく。私は、街の外へと出た。

 実験のためである。

 ネズミをおばけに放り込む簡単なお仕事です。

 

 おや? ネズミとお化けが一体化して……?

 

 いくつかお化けを取り憑かせると、ネズミは魔物に変じた。

 魔物は襲ってきて、私は慌てて炎を出した。

 燃えない!?

 でもまあネズミはネズミなので、なんとかナイフで倒す。

 

 なるほど。

 魔物メカニズム見破ったり。

 

 んー。

 

 両親には世話になったし、ここで街を守りつつ余生を過ごしますか。

 でも、このままだと食べていくの大変だし、なんとか商売に結びつけられないかなー。

 

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