「いけ、リン!」
「ぃよいしょぉっ 後何人です!?」
「3、5、いっぱい!」
「ふぇぇ」
トールくんが数える事を放棄しながらオバケをぶった斬る。
かつての仲間達は羽の生えた化け物っぽい私達の登場にざわめいたが、魔物化を解除していると気付いて、あとアルス様とレオ様と見知らぬイケメンに説得されて、足止めに終止してくれている。
「これ、朝までに終わるの!?」
「朝までに終わらせんだよ!」
めちゃくちゃ頑張った。
朝になると、当然尋問された。実験も。
それから、隣国の王子だったイケメンに頼まれ、我が店の店員達は二手に分かれる事になった。隣国奪還とこの国の守護である。
私達、もう疲れちゃったし四人ぐみをタコ殴りするお仕事があるんですけど……だめ? 当たり前? 私はそうは思わない。
なんだかんだで言いくるめられ、馬車馬の如く働いて、三ヶ月後。
魔物って種付け力強いでやんの。
生理日バラバラだった女子が全員妊娠ってどういうこと……?
これは当然問題になった。
お話し合いの場で、この国の宰相殿に真面目くさった顔で言われた。
「この子供達に王位継承権は与えられません」
「与えられても困るわ。黙って慰謝料払え」
「王家に伝わる目を継承できたら我が国は王位継承権を与えるぞ」
「怖い怖い怖い。金でいい金で」
隣国の王子がサラッと言う。怖いよ!
「責任は取るよ、えんき。君のも、他の子達のも。皆まとめて娶るから」
「ハーレム作るのは責任取るって言わないんですわ。慰謝料払え」
ふざけんなレオ様。
お金。お金は全てを解決する。
私は慰謝料はお金がいいとこれ以上なくアピールしたつもりである。
「よって、子供の経過観察をしつつ、国が貴方方の婚姻を世話します。幸い、夫として名乗りをあげている者も多くいるので心配はなさらぬよう」
「それって売り飛ばすって言ってない? 大丈夫?」
「売り飛ばすとは人聞きの悪い。実験の第一弾になってもらうだけです」
「そっちの方が人聞き悪いよ!」
とにかく、私は普通の人や異能者の血を吸う事になった。
志願者の血を吸ったら、全身から血が吹き出してゾンビになってしまった。
そしてゾンビは人やオバケを襲い始めた。
しかも、私では何故かゾンビを殺せなかった。
どうやら同族同士は殺し合いできないらしい。そんな凄い喧嘩リンちゃん達とした事なかったから、気づかなかった。
私達も、魔物は魔物らしい。種類違う感じがするけど。
人数いっぱい増やしちゃおう計画は、とりあえず頓挫した。
隣国は復興の為に手段は選ばないと豪語しており、いっぱい実験やらされたし成功例も出たけど、やはり噛む前にこいつ大丈夫かも、って基準が欲しい所だ。
正直、経験則でこの人なら……ってのはある気がしないでもないかもしれないかもしれないけど、そんなあやふやな直感を頼りにしたくはない。
ひとまず、吸血鬼被害者の施設を学校がバーンと立てて、そこから各地に派遣される事となった。我が国と隣国は同盟を結び、噂を聞きつけた他の国もその同盟に参加を表明した。
空前絶後のモテ期が訪れた。
それで分かったのだが、私達の魅了の力は異能者に強力に作用するらしい。
セクハラ案件が凄い。
吸血鬼の犠牲にあったと申し出た子はポツポツと現れるのだが、大体三ヶ月後には妊娠してる。むしろ今までよく無事だったな。
命懸けでいいから噛んでくれというモテ志望の人達も現れた。カオスである。
そして、子供が生まれた。
オバケを見る目と陽に焼かれない肌、おばけと魔物、両方に干渉する異能を引き継いで。
空前絶後のさらに上をいくモテ期が訪れた。
待って人肉食らう本能を持つ化け物を軽率に繁殖させようとしないで。
めでたいじゃねーんだわ。