バッファの力で、シンフォギア世界を無双するぜ! 作:リュウ・セイ
──時は1年前に遡る。
「ゆ、雪音クリスです。よ、よろしくお願いします……」
私は初めて通う学校に慎重していた。
慎重しないために、
練習はしていたが、いかんせん、同い年で初対面のヤツらには、かなり慎重した。
そのせいか、予想していたよりも、自分の体が慎重していたことに、すぐにわかった。
故に、このクラスに慣れるのに時間がかかる──そう思っていた。
「ゆ、雪音クリス……?」
「……ん?」
ふっと、私の顔を見て驚いているヤツが一人居た。
私はそいつを見た時、このクラスにいる生徒と同じ“初めてみる顔”だった。
「わ、私の顔に何かついてるのか……?」
「え?」
ふっと、気がつけば、私はそいつに声をかけていた。
そいつは「えっと、え〜と……」と、歯切れが悪く、何か隠している仕草……いや、私のことを知っている仕草をしていた。
いかにも怪しかった。そう思った私はそいつに近づこうと、足を前に出した。
──その時だ。
「そう!顔!顔だ!」
「……は?」
突然、そいつは私の顔に指を差して、そう叫んだ。
失礼なヤツだ。そう思った私はぶん殴ってやろうかと思ったが、転校初日に問題を起こす訳にもいかず、心の内におさめ、指を差した理由を問い
「私の顔に何か文句でもあるのか?」
「何でそうなる!?いや、指差した俺も悪いが……」
何だコイツ?
悪いとわかっていながら、何故、指を差した?
いや、さっきから、その妙に挙動不審な態度が気になる。
というか、何故だかわからないが、だんだんとムカついてきたな。殴りたくなってきたな。
そう思いながら、私は再度、そいつに問い質した。
「……それで?私の顔に何かあんのかよ?」
「……可愛いな、と思った」
「はぁぁ!?」
な、な、何を言っているんだ!?コイツは!?
本当に意味がわからない!マジでぶん殴ってやろうか!
私がそう思った時、そいつはさっき自分が言ったことに、何かに気づいたのか、急に慌て出した。
「!?い、いや、違う!雪みたいに可愛い顔をしているな、と思っただけで、特別、深い意味はない!ましてや、やましいことなんて……!」
「もう良い!黙れ!後、その挙動不審な態度、キモいから私に近づくんじゃねぇぇ!」
そう言った途端。
気がつけば、私はそいつをぶん殴っていた。
いや、ぶん殴った気がする。そう思ったのは、殴った後の感触がなく、そいつは倒れていた。
──ああ、やってしまった。
心底。そう思った私は翌日から学園で一人で過ごしていた。
──しかし、それはそう長くは続かなかった。
学園のイベント、
何で?って、疑問に思った私は、すぐに、そのクラスメイトに聞いたら、歌がとても上手いと言われた。
それを聞いて、ああ、
何度も何度も、「出て欲しいです!お願いします!」と、頼まれた私は必死に断った。
──そんな時だ。
「「うわっ!?」」
人にぶつかった。逃げるのに必死で周りが見えてなかった私は急ぎ、立ち上がり、そいつに謝って、逃げようと思った。
しかし、相手は転校初日に、私に変なことを言い出した“アイツ"だった。
「いてて……大丈夫か?って、雪音クリス!?」
「お前、私に変なことを言った変なヤツ!?」
「変なヤツ扱い!?それは流石に酷くないか!?」
「うっせえ!今はそれどころじゃないんだ!こっちは!」
「雪音さーん!待ってくださーい!」
「!?」
不味い。もうすぐに来てやがる。急いでここから離れねえと!
そう思って、ここから離れようとした私は誰かに手を握られた。
握った相手はさっきの変なヤツ。コイツ、私を抑えるつもりか!?
そう思った私だが、コイツの考えはどうやら違っていた。
「……近くに女子トイレがある」
「はぁ!?それがどうしたって言うんだよ!?そっちに隠れたって、相手は──」
「良いから!女子トイレに隠れてろ!後は俺の方で何とかする!」
「!?」
圧倒された。そいつの必死な言葉に私は圧倒された。
同時に、安心感を覚えた。何故だかわからないが、私はコイツの指示に従って、女子トイレに入って、なるべく身を隠した。
「雪音さーん、どこですかー?」
「雪音なら、さっき、向こうで走っていったぞ」
「!本当ですか!?ありがとうございます!」
タタタっと、走る音が聞こえた。それから暫くして聞こえなくなった所で、アイツは私に「大丈夫だ。もう心配ない」と言ってきて、本当に大丈夫か、周囲を見渡してから私は女子トイレから出た。
「……その、あんがとよ」
「お、おう。気にするな!これぐらい昼飯前だ!」
「……朝飯前の間違いだろ?」
「そうとも言うが、今の時間と俺の体は昼飯前だぜ!」
「堂々と言うことじゃねぇ!」
思わず、突っ込んでしまった。
ほんと、何なんだ?コイツは?
と言うか、本当に昼飯を食べてないのか?
「……まぁ、正直に言うと、俺が撒いたタネだからな」
「……は?どういうことだ?」
「アンタが……雪音さんが歌が上手いことを俺がクラスメイトに言ったんだ。言った途端、皆、雪音さんに歌ってもらうと必死になってたし……すまん!謝ってすまなければ、殴ってくれて構わねえ!」
「殴らねえよ!というか、テメエ、私のことを暴力女か何かと思ってるだろ!」
「え?違うの?」
──ブチッ!
そんな音が頭に響いた後、私はいつも間にか、ソイツの頭を殴っていた。所謂、拳骨だ。
「いってぇぇぇッ!結局、殴ってるじゃねぇかよ!」
うっせえ!だまぁみろ!
こっちは
「……まぁ、それはそうと、何で歌いたくないんだ?」
「……そんなの恥ずかしいからに決まってるだろ?」
「……本音は?」
「……歌が嫌いだ」
「その割には楽しそうに歌ってるじゃねえかよ?音楽の時間や買い物の帰り道に鼻歌歌ってるだろ?」
「な!?アンタ、何でそれを!?」
「マジで鼻歌歌ってたのか?歩きながら……」
「ッ──!?」
コイツ、鎌かけやがった!ムカつく!ムカつくから、もう一発、拳骨をぶちかますか!
そう思った私は迷うことなく、コイツにもう一発、拳骨をぶちかました。
「いててて、頭が割れそうだ。いや、割れるな!何でか知らんが、そんな気がしてきたわ!」
「言ってろ!そして割れてろ!バカ!後、キモいだよ!少しは自覚を持て!バカぁ!」
「グッ、ハッ……!」
私が言った途端、ソイツは勝手に倒れた。何でだ?
まぁ、良いや。ほっといて逃げるか……。
──そんなこんながありながら、結局、クラスメイトの女子に捕まり、歌を歌った。
その後に、敵である
「はぁー……」
「何だ?結局、歌ったじゃねぇか?しかも、良い歌じゃねぇか?」
「ッ、うっせえ!バーカ!バーカ!」
「何でぇ!?しかも、2回言われた!?」
「うっせえ、バーカ!」
「だから何でだ!?」
誰のせいだと思うんだ!本当に!本当に!
「うっせえ!とりま、ムカつくからブン殴る!ってか、殴らせろ!」
「待て待て待てぇー!?流石に3連続で拳骨は俺の頭が本当に割れる!?」
「うっせえ!テメエの頭が割れようが、こっちの知ったことじゃねえ!兎に角、殴らせろ!」
「ジャァァァァァッー!理不尽だぁぁぁぁぁッー!」
「知るか、ボケぇぇぇぇぇッ!」
そんな訳で、私とコイツ──紫牛尾との関係はこんな感じから始まった。