バッファの力で、シンフォギア世界を無双するぜ! 作:リュウ・セイ
「──あれから10日が経過したか……」
ふっと、
そろそろ出撃の準備に取り掛かるか。と、思ったところで、ロックもせず、ガリィが突然、俺の部屋に入ってきた。
「マスターから、今日の夕方に残りのギアを壊してこいと命令されましたー」
「そうか……それをわざわざ知らせに来たのか?」
「んなわけねえだろ!テメエも一緒に来い!あの牛ヤロウを今度こそ、叩きのめすぞっ!!」
「……なるほどな」
可愛いらしい表情から一変。ガリィは機嫌が悪いのか、いつもにまして、カリカリしていた。
相当、
理由はわからないが、俺はなんとなく、そう思い、俺はデザイアドライバーの中央にはめられているダパーンのIDコアを引っこ抜き、代わりに、キツネ模様のIDコア──ギーツのIDコアをデザイアドライバーに差し込んだ。
〈ENTRY〉
と、ドライバーから音声が流れ、俺は椅子から立ち上がり、デザイアドライバーを腰に巻き付け、机の上にあるマグナムバックルとブーストバックルを左右のレイズバックルホルダーに着け、ジャマトバックルを服の外側にあるポケットに入れて、ガリィに近づいた。
「……んじゃ、行くか」
俺がそう言うと、ガリィはニヤッと笑みを浮かべ、俺達はそのまま出撃した。
──ダパーンとガリィの戦いから10日が経過したある日の朝。
新しい家に引っ越した
だが、その途中、道端で、折紙一騎と遭遇した。
「おい、お前!」
「……?オレのことか?」
「お前以外、誰がいる!」
そう言われても、隣にクリスがいるし、てっきりクリスに用があると思ったからなぁ……。
などと、脳裏で思うオレだが、正直、面倒なヤツに絡まれて、うんざりしている。
ここのところ、平和に過ごせていたから、正直、面倒事は避けたい気持ちがいっぱいだ。
だが、一騎を見るなり、さっきまで機嫌が良かったクリスの表情が、一瞬で機嫌を悪くしていた。
それを見たオレは脳裏で、ああ、面倒事が起きる気がする、と、そう予想した。
──そして、その予想は最悪な形で、的中した。
「お前、俺のクリスに、最近馴れ馴れしいぞ!クリスだけじゃない!響達と馴れ馴れしいぞ!お陰で俺と一緒にいる時間がめっぽう減ったじゃないか!どうしてくれる!」
「……は?」
いや、知らねえよ。そんなこと。
脳裏でそう思ったオレは一瞬、ぶん殴ってやろうか、と、思ったが、すぐに手を引っ込め、代わりに、言葉で論破しようと思い、すぐに行動に移した。
「良かったじゃねえか?その時間に勉強するなり、ゲームするなり、音楽聴くなり、読書するなり、色々とできる時間が増えたじゃねえか?」
「そういう問題じゃない!推しとの時間を奪われて、俺は迷惑してるんだよッ!!」
いや、だから、知らねえよ。そんなこと。
いや、そもそもの話。コイツはクリスのなんなのだ?
そう思ったオレは一騎に問いかけた。
「大体よー、お前、クリスの彼氏なのか?」
「はぁっ!?牛尾、おま、何言って……!?」
「彼氏ではないッ!!だが、いずれそうなる関係だッ!!」
「──なっ!?お前はお前で何を言っているんだっ!?」
「そー、照れるなよー!クリスー!」
──プチッ。
オレの中で何かが切れる音がした。
いや、正確に言うと、オレはブチギレた。完全に、だ。
──そして。
「お前の方が一番、馴れ馴れしいんだよッ!!」
「へ?──グハッ!?」
気がつけば、オレは一騎をぶん殴っていた。
──数時間後。
「……やってしまった」
「そう思うなら、次から手を出す前に、少し考えてから行動しろー。後、僕まで巻き込まないでくれると助かるー」
「……すまん、火野宮先生」
オレはあの後、生徒指導室で、担任に説教を受けた。
その少しした後、現場にいたクリスと、偶然、見かけた火野宮先生が事情を説明し、オレの処分は反省文を書かされることで済まされた。
監視役の火野宮先生がオマケでいるのは納得いかないが、まぁ、仕方がない。
「……君、結構、独占欲が強い感じ?」
「……は?」
どういう意味だ?
突然、火野宮先生に言われて、オレはこの教師が言った言葉の意味に理解できず、頭にハテナを浮かべた。
「いや、さっさのアレだけでキレるって、相当、独占欲が強くなちゃできないことだよ?まぁ、彼の場合、粘着質が強いけど……」
「……」
そう言われて、オレはこれまでのクリスとの接し方を思い出した。
よく口喧嘩をするが、困ったことがあれば助けるし、嫌だと思うことは互いに、はっきりと、嫌だと言うし……なんやかんやで一緒にいる時間が多い気がする。
そこまで考えた
「……多分、オレ、クリスのことが好きなんだとおもいます」
「お?それは異性としてかい?」
「いや、普通に推しとしてです……ただ、最近はそうじゃない気がします。自分にはあまり分かりませんけど……」
「……なるほど。難しい問題みたいだね」
「ええ。けど、これだけははっきりしています──どんなに彼女が好きでも、そこから一線を越えてはいけない気がします」
「ん?それは何故だい?」
そう質問されて、オレは少し間を置き、真剣な表情で、火野宮先生に、こう答えた。
「──自分は仮面ライダーだからです」
「……あー、なるほどね」
何か、自分に思い当たるのか、火野宮先生は納得したかのような表情で、そう言った。
「……それなら彼女がもし、君に告白したら、君はどうする?」
「……難しい質問っすね」
「そう考えることでもないよ。あくまで例え話だ」
「……」
そう簡単に言うが、オレには難しい問題なんだよ。
脳裏で悪態を吐きつつ、オレはもしも、クリスが告白したら、どうするか、考える。
「……多分、最初は喜んで受け入れると思います。けど、段々と嫌なところが互いに見えて、別れると思います」
「なるほど。後出しで別れる感じか……」
「最低、ですよね?こんな答えは……」
「いや、悪くないと思うよ。何事も挑戦と経験が大事だ。そういう意味では、君はまともな答えを出したと思うよ」
「……どうだろうな。あんま、自信がない」
「自信がない方がちょうどいいよ。さっきも言ったが君はまともな答えを出したよ。それだけでも一歩前進だ」
そこまで言って、先生は突然、椅子から立ち上がり、まだ書き切っていない反省文の紙をオレから奪い取った。
「今日はもう帰りたまえ。明日も学校があるし、何より、そろそろ“動く頃合い”だ……」
「……良いんですか?」
「構わない。後は大人である僕の仕事だ。任せたまえ」
「……ありがとうございます」
そうお礼を言って、オレはカバンを持って、生徒指導室を後にした。