バッファの力で、シンフォギア世界を無双するぜ!   作:リュウ・セイ

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牛30:なんか、モヤモヤするな……そうだ!こんな時はバッティングセンターで、アタリを狙おう!

 

 

 

 ──翌日。

 

 学園の昼休み。

 

 

「……どうしたもんかなー?」

「?何がだ?」

「いやー、ちょっとなー……」

 

 

 食堂で、昼食をとりながら、オレは今後について、考えていた。

 

 いや、考えるまでもないが、ただ、後一歩が進めねえ……。

 

 

 ──何だ?このモヤモヤは?

 

 

 ──このやりきれない気持ちは一体何だ?

 

 

 ふっと、自分の中に感じるモヤモヤにオレはどうしたらいいか、わからないでいた。

 

 

「……私はどうしたら良いんだろう」

「響……」

 

 

 そんな時、いつもならテンションが高い響が何やら落ち込んでおり、気になったオレはクリスに問いかけた。

 

 

「立花のやつ、どうしたんだ?」

「……歌が歌えねえことに悩んでるんだよ」

「?歌……?」

 

 

 確か、響達が使うシンフォギアは歌を力に変えてるんだよな?

 

 戦う時も、ギアを纏う時も歌っている。

 

 んで、響は今、歌が歌えない、ってことは、シンフォギアを纏うこともできないのか?

 

 

「……それって、まずいんじゃないのか?」

「ああ、まずいってものじゃないさ……」

 

 

 もし、このタイミングでオートスコアラーが襲ってきたら詰みだぞ?

 

 

 そう思ったオレは打開策を考える。が、冷静に考えて、今のオレじゃあ、完全に足手まといな気がすることに気づき、オレは深い溜め息を吐いた。

 

 

「ハァー、どうしたら良いんだ……」

「お前、今日、ずっとその調子だな。なんかあったのか?相談ならいつでも乗るぞ?」

 

 

 溜め息を吐くと、ふっと、クリスが心配して、オレに声をかけた。

 

 推しに心配させてしまったな……。

 ファンとして失格だな、これは……。

 

 

「……心配してくれて、あんがとよ。けど、今は一人で考えたい」

「……わかった。あまり無理はするなよ?」

「大丈夫だ。どうしようもない時はゲーセンか何かで、気分転換するからよ。その辺は気にするな……」

 

 

 と言っても、それで解決するわけないが……。

 まぁ、何もしないよりマシか……。

 

 

 

 

 

 ──放課後。

 

 

 結局、これといって、何も打開策が浮かばなかったオレは学園の近くにある、バッティングセンターで、体を動かしていた。

 

 

「オラッ!」

 

 

 カコンッ!と、ボールがバッドに当たる音が鳴るが、ボールが行く先は『アタリ』、と、書かれた場所から上に飛んだ。

 

 

「クソッ!またか……!」

 

 

 さっきは下に飛んで、その前は右、その前の前は左……んで、次は……。

 

 

「は、ハズレたぁぁッ!?なんでぇぇッ!?」

 

 

 しかも、『アタリ』に当たる寸前でハズレた!クソ!相変わらず、運が悪いぜ!

 

 

「随分と惜しいところで外れたね?」

 

 

 と、落ち込んでいる中、後ろから聞き慣れた声が聞こえ、オレは振り返った。

 そこにはスーツ姿の火野宮勝奇がいた。

 

 

「いや、何でアンタ、普通にいんだよ!?学園の仕事はどうした!?学園の仕事は!?」

 

「ハハッ、サボってきた!」

 

「堂々と言ってんじゃねえ!!」

 

 

 マジ、何やってんだアンタは!?

 後で他の先生達に怒られても知らねえぞ?

 

 

「なーに、ちょっと体を動かすだけさ」

 

「ぜってえー、ちょっとじゃねえだろ?まぁ、良いけどよー……」

 

 

 と、気を取り直して、オレはもう一度、『アタリ』を狙って、バッドを構える。

 

 そして──全力で振るうが、一向(いっこう)に『アタリ』に当たる気配はなく、すべて、『アタリ』に当たる寸前で、ボールが飛んでいった。

 

 

「クソ!全然当たらねえ!」

 

(りき)みすぎだ。もう少し肩の力を抜いて、バッドを振るうんだ……」

 

「こう……か!」

 

 

 勝奇のアドバイスで、バッドを振るい、ボールの方角は──またしても、『アタリ』の手前である。何でだ!

 

 

「……惜しいね。もう少し力を入れてみようか?」

 

「感覚で言うな!感覚で!こっちは……前世はただのオタクだよ!」

 

 

 叫びながらバッドを振るうが、またしても、『アタリ』に当たる寸前で、ボールが飛んでいった。

 そして、終了のコール音が鳴り、オレは一度、ネットの中から出て、ベンチに座り、水分補給をした。

 

 

「140キロ……か。まぁまぁ早いな……」

 

「……アンタ、元は野球選手か?」

 

「?いや、違うよ。元はボクサー……だったけど、今は引退して、学園の保健と体育の担当をしているよ」

 

「それは知ってるけど、アンタの体つき的に、ボクサーの体じゃないだろ?」

 

「……身長の話をしてる?」

 

「いや、そうじゃなくて……」

 

 

 めんどくせえなぁ、この教師は……。

 

 

「まぁ、何でも良いけどよ……」

 

「……それよりも、そろそろ時間じゃないの?」

 

「え?何が?」

 

「何が?じゃないよ。響ちゃん、助けなくて良いの?」

 

「あ……」

 

 

 完全に忘れてた!

 

 いや、でも、今のオレの実力で、助けられるのか?

 

 

「……」

 

「何を迷っているの?」

 

「……怖いんだよ。戦うことが」

 

「今に始まったことじゃないだろ?」

 

「けどよ……」

 

「……はぁ、めんどくさいなー。フィーバースロットバックルある?」

 

「え?あるけどよ……」

 

「なら貸して」

 

「何で?」

 

「良いから、早く」

 

 

 突然、フィーバースロットバックルを貸せと言い出す勝奇に、オレは渋々、鞄の中からフィーバースロットバックルを取り出して、勝奇に貸した。

 

 

「ほらよ」

 

「ありがとう……一つ、賭けをしよう」

 

「?賭け?」

 

 

 何を言い出すんだ?コイツは?

 

 

 そう思った時、勝奇は不敵な笑みで、オレにこう言った。

 

 

「うん。賭け。モンスターか、マグナム、ビートが出たら、響ちゃんを助けに行く。それ以外が出たら、響ちゃんを助けに行かない。どうだろう?」

 

「どうって?いや、そんなんで……人の命を賭けて良いのかよ?」

 

「ウジウジしている君が悪いんだよ?」

 

「……」

 

 

 いや、そうだけどよ……仮にも、人の命がかかってるんだぞ?

 

 

「それに良いじゃないか?時には運命に任せて、行動するのも?ま、賭けに勝つのは僕だけど……」

 

「……良いぜ!やってる!」

 

 

 自信満々に言う勝奇の態度に、オレはムキになり、その賭けに乗った。

 

 

「それじゃあ、回すよ?」

 

「……」

 

 

 ゴクン、と、思わず、喉から唾を飲み込む音がなり、それを合図に勝奇はフィーバースロットバックルのダイヤルを回した。

 

 

 〈FEVER SLOT!〉

 

 

 ダイヤルが回され、マスが出るのに、数秒かかり、やがて、ピチーン!と、音が鳴り、マスが止まった。

 

 その音を聴いて、オレと勝奇はマスを確認した。

 

 

 止まったマスは──MAGNUM。

 

 よって、賭けは勝奇の勝ちだ。

 

 それを見た勝奇は満面の笑みで、オレに見せつけた。

 

 

「賭けは僕の勝ちだ。約束通り、響ちゃんを助けに行くんだよ?」

 

「……わかったよ」

 

 

 そう言って、オレはフィーバースロットバックルを鞄の中に戻し、バッティングセンターを出ようと出口に向かった。

 

 

「牛尾!」

 

 

 出口の手前で、勝奇はオレに呼びかけ、オレは振り返った。

 

 

「何悩んでるか知らないけど、運命は自分の手で掴むもんだよ!それから、迷った時は、運に任せると良いよ!さっきのフィーバースロットみたいに!」

 

「……フッ、何だよそれ……けど、わかったよ!」

 

 

 ──ダメ元で、やってみるかッ!

 

 

 そう決意したオレは、出口を出て、今度こそ、バッティングセンターを後にし、響の元に向かった。

 

 

 

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