美少女に転生したので配信者になりますっ! 作:Senana..
1周年記念配信から数日がたった日、俺はYouTubeに投稿した『蒼星』のMVを再生しながら動画についたコメントを眺めていた。
ふむ。
『蒼星』めちゃくちゃバズってるーー!!!!!
俺は動画に寄せられた大量の賞賛コメントや1周年のお祝いコメントを見ながら緩む口もとを抑えられなかった。
1周年記念配信をした次の日、俺はMV撮影用に新たなビデオカメラを購入し、MV制作にとりかかった。
出演は俺、ひとりである。
場所や服を変えて色々なところで俺は自分を撮影した。ビルの屋上でアンニュイな雰囲気を出してみたり、川沿いで風に髪を靡かせてみたり、人通りの少ない商店街を歩いて奥様ごっこしてみたりなど、とにかく色んな俺を撮った。
いくつかはまったくもって『蒼星』のMVには使えないような映像もあったが、MVに必要な数分をうまく彩るには十分な素材が撮れていた。
映像が撮れたあとは、パソコンに映像を取り込んで曲に合うように編集し、歌詞なども雰囲気を壊さないように入れて、『蒼星』のMVは完成した。
結果的には記念配信で『蒼星』ができてからちょうど24時間でMVを投稿することができた。
この早さにはリスナーのみんなも驚愕したようだった。
自分でもたった1日で納得のいくMVが作れるとは思っていなかったので、リスナーが驚くのは当たり前と言える。
まあ、こんなにも早くMVが完成した理由としては、『蒼星』の曲自体がすごく良くて、ある程度雰囲気に合った映像であれば"なんかいい感じ"にしてくれるということと。
もうひとつは、俺が泣く子も黙る超絶スーパー・ウルトラ・ミラクル美少女であり、どんな場所でどんなことをしていても画になってしまうということだ。
つまるところ、美しい歌に美しい少女がいればそれだけで十分というわけだ。
『蒼星』のMVは、投稿された次の日あたりまではいつものリスナーが見てくれたんだろうな、というくらいの再生回数だったのだが、さらにその次の日くらいから今までに見たこともないくらいに急激に再生回数が伸びた。
この急激な伸びの要因が気になって調べてみたところ、どうやらバズり始めたその日の朝、あるテレビ局の朝の情報番組で『蒼星』のMVが取り上げられていたらしいのだ。
そのおかげで、放送された『蒼星』を聴いて興味を持ってくれた人達がMVを検索して再生してくれたようだ。
いや〜、テレビ局様様である。
数年後にはスマホがさらに普及したことでテレビ離れなんてことも言われるようになるが、まだこの時代はテレビが最強だ。恩恵を受けられるに越したことはないというのが正直なところだ。
にしても、たった数日で1000万回再生か〜。さいこう〜。
リスナーと一緒に作った、俺にとって初めての曲ということもあって思い入れがあるし、こうやってなにがきっかけであれ、たくさんの人に聞いてもらえるのは素直に嬉しいな。
今回のバズりのおかげで世間的な知名度はさらに高まっただろうし、そろそろテレビにも少しくらい出てもいいかもしれないとか思ったりもしている。
以前にも言ったが、テレビで取り上げられる俺の映像は歌配信で歌っているところがほとんどだから、テレビの情報だけで俺のことを知っている人たちは、おそらく俺のことをネットで活動している歌手だと思っているだろう。
そして、今回の『蒼星』でさらに七海七瀬は歌手だという認識が広まってしまった気がする。
そこで、俺自らテレビに出演して歌も披露しつつ、普段はゲーム配信や雑談をメインに活動しているよ、ということを宣伝してみるのもいいかなと思ったのだ。
まあ、思っただけで俺にテレビ出演のオファーが来ているわけでもないので実現するかは分からないが。
あれだけ勝手に映像使って話題にしているというのに、雑誌の取材もテレビ出演の打診も1つもないっておかしくね?
と、SNSのアカウントも仕事用メールアドレスも作らず、他人からの連絡手段を一切用意していないにも関わらず俺は勝手に不満を抱いていたのだった。