美少女に転生したので配信者になりますっ! 作:Senana..
今年の6月初めからアニメの投稿を開始して約5ヶ月が経った。アニメは現在37話まで公開されている。
世間ではいまこのアニメが大流行中だ。俺のこだわりのストーリーや、神スペックボディによって作り出された高クオリティなアニメーションが人々に高く評価されている。
本格的にアニメの人気に火がついた15話公開あたりでは、毎晩のようにテレビ番組でアニメ制作者がいったい誰なのかの考察が行われていた。
OPとEDを歌っている俺のことも番組で語られていて、字幕も22言語で作られているため俺が深く関わっているだろうことは世間でも知られている。
このアニメの関係者で唯一明らかになっている俺に、なんとか取材できないかなどと言っている番組出演者もいたが、いまだに俺自身に取材の依頼が来たことはない。(連絡手段がないだけだが気づいていない)
アニメを投稿しているYouTubeチャンネルの登録者はすでに100万人を突破しており、この作品がいかに人気かがわかる。
また、OP・EDに使われている曲のフルバージョンを俺のメインチャンネルでMVとして投稿していて、こちらはなんとすでに再生回数が1億回を突破している。
『蒼星』も投稿から一年以上が経って1億回を超えているが、たった数ヶ月で1億回を突破したこのアニメのテーマソング2曲はすごい勢いだ。
このおかげで俺の知名度もさらに上がり、メインチャンネルの登録者はつい先日150万人を突破した。いやあ、バズりってすげぇよ…
ただでさええげつないクオリティで人気が出ること間違いなしなのに、作者不明という話題性のおかげでメディアにたくさん取り上げられたのでとんでもないバズり方をしている。
主人公や重要キャラクターたちの髪型が流行になったり、主人公の口癖が流行語大賞になったりと、普段はアニメを見ない層からも根強い人気を得ており、1種の社会現象となっている。
自信を持って公開した作品とはいえ、ここまでの爆発的人気を得るとは思っていなかったので、最近は上機嫌が日常化している俺である。
さて、今日の配信についてだが、初めてのお絵描き配信をしようと思っている。アニメ制作で死ぬほど絵を描いたから、しばらくは絵を描くのはいいかな、と思わなくもないが、この配信で俺がアニメの制作者であることを発表するつもりなので、俺が絵を描けることを知ってもらう必要があるのだ。
配信の流れとしては、初めは駄天使たちからのリクエストに応えつつ絵を描いて、少ししたら、リクエストの有無に関わらず俺の作ったアニメのキャラクターたちの集合絵を描く。
アニメと全く同じ画風で描くので、ここで気づく人も出てくるだろう。そして、その後は少しだけ本気を出して描くスピードをはやくして、駄天使と七瀬が一緒に踊っている簡単なアニメーションを配信の中で作ってみようと思う。
ここまですれば、きっとみんな私が制作者であると気づくだろう。そしたら、私が制作者であることをきちんと明かして、アニメ制作に関する質問なんかを募集して雑談タイムにしようと思う。
ざっと配信の流れを確認した俺は、配信で絵を描けるようにセッティングを始めて、のんびりと夜の配信までの時間を過ごしたのだった。
ーーーーー
「こんばんは〜、今日も七瀬の配信のお時間ですよ〜。駄天使さんたちこんばんは〜」
・こんばんは〜!
・お、珍しい髪型してるね?
・今日もかわいいね〜!
・お団子似合ってる!
・お絵描き配信初めてだね!
今日は配信タイトルに既にお絵描き配信と入れてあり、サムネイルもペンを持って丸メガネをクイッとするポーズをした俺の写真になっている。ちなみに今はメガネはかけていない。
「はい、今日は初めてのお絵描き配信をしていこうと思います〜!まだ何を描くか決めていないので、私に描いてほしいものがあったらどんどんリクエストしてくださ〜い」
・歌配信と同じようなシステムだね
・絵もリクエストしていいんだw
・は〜い
・なにがいいかな
・ピカチュウで!
「お、さっそくいくつかリクエストが来てますね〜。ポケモンのリクエストがいくつかきてるので、最初は何匹かのポケモンの集合絵にしたいと思います〜」
・集合絵描けるのすごいね
・いきなり描くの難しそう!
・ルカリオお願いします!
・次はドラゴンボールで!
・どんな絵になるかな〜
俺は慣れた手つきで絵を描くソフトを立ち上げると、配信画面に映して絵を描きはじめた。
まずはピカチュウに、ミュウツーもリクエスト来てたな。あとはリザードンにカイリューにルカリオに…
俺はリクエストにきたポケモンを次々と素早く描いていく。キャラクターの質感や陰影にも気をつけて、クオリティにも力を入れる。
・え、やばww
・めちゃくちゃうまい…
・訂正まったくなしでこのクオリティってまじ!?
・色塗り早すぎだろww
・さささって適当にペン動かしてるように見えるのに完璧なバランスだし、色も全くはみ出さないwww
最初から能力を抑えるつもりはなかったので、自分が楽なスピードで楽しく描いていたら、コメント欄は大騒ぎになっているようだ。そりゃ、普通ならありえない速度でありえないクオリティのイラストが完成していくんだから驚きもするだろう。
このあとで簡単なアニメを作る時は、両手で、なおかつさらにはやいスピードで描いていくので、もっと驚いてもらえるだろう。
「よし、1枚目のイラスト完成〜!まずはリクエストにきた17種類のポケモンの集合絵を描いてみました〜!いや〜、我ながら可愛く描けたと思います!次はどうしようかな〜」
・こんな大作がこんな一瞬で…
・神絵師だ
・さすがロボ天使だわ
・さも当然のように新しい能力を見せつけていくぅ!
・普通の絵描きなら9時間はかかってるぞこれw
さっそく駄天使たちを驚かせることに成功した俺は、その後もリクエストに応えながら絵を描いていった。
ーーーーー
「じゃあ、リクエストから描くのは次が最後にしますね!え〜と、では最後はいま大流行中のあのアニメのキャラクターたちを描いていこうと思います!!!」
・きたー!
・お絵描き配信どんな感じかと思ってたけど最高です
・ここまで消しゴムツールの使用回数0回ww
・キャラクターのポーズとか表情とかまじですごいな
・お、そのアニメにななちゃんが触れるのか
・色使いもすごい。鮮やかなんだけど派手過ぎなくてちゃんとキャラが活き活きしてる
俺は、七瀬の画力に少し慣れてきた駄天使たちのコメントを見ながら、アニメ制作でさんざん描いたアニメのキャラクターたちを描いていく。絵柄はあえて全く同じにする。
・ほ…?
・絵のタッチまで原作の真似してる、すごい
・服の装飾のデザインまで完璧やんw
・ここまで同じ画風で描けるもんなん?
・うまいね〜
「よし、最後の絵もかんせ〜い!皆さんたくさんのリクエストありがとうございました〜!そのうちまたお絵描き配信しようと思うので、今日採用されなかった方もまたリクエストしてくださいね!」
・すごかった!
・さらっと描く絵のクオリティがレベチや
・描くスピード半端ないな
・あのアニメって…?
・楽しかった!
「では、最後に少し遊んでから配信を終わりますね!よいしょっと、では、始めます!」
・え?
・え?
・ペンタブ2つめ?2画面?
・は?
・どゆこと?
俺はおもむろに机の画面外に置いてあったペンタブを移動させて、配信画面にももう1つの画面を表示させると、左右に持ったペンで絵を描き始める。
・はぁぁぁ!?
・並列!?
・左右同時進行とか…
・手の動きおかしいって!www
・なにが起こってる!?!?
「うん、2コマかんせーい、まだまだいきますよ〜」
・右下のななちゃん本人に目がいってたけど、このイラスト俺たちとななちゃんか!
・えー!?
・手の動きがはやすぎて残像がww
・このマヌケな顔した天使って駄天使?ww
・ななちゃんがまたやらかした…
俺は3コマ目4コマ目も高速で描き終わると、さらにどんどん描き進めていく。
・これ、もしかしてアニメか…??
・すごいすぎるよななちゃんw
・理解が追いつかないww
・え、これってそういうこと?
・まさか
鼻歌を歌いながら少しの間描き続けて、30秒間分のイラストを描き終えると、俺はペンを置いた。
「はい!イラストが完成しました!次は音楽を入れたあと、声を入れていきます!」
・もう、言葉が出ない…
・やばい、やばいよw
・やっぱロボ天使は事実だったか…
・次は声??
・この配信がなんのための配信か分かったよ僕
俺は前もって作っておいた愉快なダンスミュージックにアニメーションを合わせると、専用のマイクを取り出して描かれた3人の駄天使たちにそれぞれ声を入れていく。
・ふぁ!?!?
・待って、声も!?
・伝えたいことは分かってたけどそれも!?じゃあ全部…
・まじかwwww
・なんでもありかw
・声帯どうなってんだよww
俺は、小さな女の子の姿をした天使、小太りのおじさんの姿をした天使、男前で筋肉質な男性の姿をした天使、そのそれぞれに容姿にあった声を入れていき、七瀬と3人の駄天使が一緒に踊るアニメを完成させたのだった。
「作業しゅーりょー!出来ましたよみなさん〜、一緒に完成したアニメを見ていきましょう!」
俺は配信上で、完成した30秒のアニメを再生した。
・やっべぇぇぇ!
・キャラクターが生きてるよ…すごい!
・そういうことなんだねななちゃん!
・ななちゃんの口からあんな声出る違和感すごいw
・だからクオリティやばいって!w
・かわいいアニメだ〜
「さて、いいアニメができて私は満足したので、本題に入りたいと思います!みなさん、お気づきになられましたか?」
・うん、さすがに分かったよw
・これはさすがに予想してなかった
・これができたら可能だわな…
・神アニメをありがとう!!!
・ロボ天使であることが証明されました!
「ふふふ、みなさんちゃんと気づいてくださったみたいですね!それでは、この配信をご覧の26万人の皆さんにお伝えします!実は!私が!私が!あのアニメの作者です〜!!!」
・まじなのか〜!!!
・すげえよほんとにw
・誰も予想してなかった
・あれが個人制作とかやばいだろww
・どっかの企業の極秘プロジェクトとばかり…
「いつ発表しようか迷ってはいたんですが、物語も終盤に差し掛かってきて、そろそろいいかなと思ったので発表させて頂きました〜!」
・ななちゃんはいったいどれだけの才能を持ってるんだ…
・出来ないことないねななちゃんは
・そりゃ作者が分からないわけだw
・これ明日のニュースやばいぞw
・教えてくれてありがとう〜!めちゃくちゃ驚きました!
「自分が作ったものをたくさんの方に楽しんでいただけて本当に嬉しいです!最初は自分で楽しむだけのつもりだったんですが、せっかくなら皆さんにも見てもらいたいと思って、新しいチャンネルで投稿してみました!」
・投稿してくれてよかったw
・あれを自己満足のためだけに作れるのはおかしいのよww
・あ、アニメのチャンネル名が『7’s animation 』になってる!
・両手描きに異次元の声帯、本当に何者なのななちゃん!
・『最高のアニメです、ありがとう』
「ということで、今回の配信でお伝えしたかったことを伝えられたので、そろそろ配信は終わりにしたいと思います〜!私のアニメチャンネルは『7’s animation』になりますので、こちらも登録お願いします!
現在投稿中の作品は完結まですでに完成していて順次公開していくので、是非最後までご覧ください!それでは、最後まで見てくださってありがとうございました〜!おやすみなさい〜!」
・分かった〜!ありがとう!
・おやすみ〜!
・楽しかった〜!!
・ななちゃんおやすみなさい!
・おやすみ〜
・配信ありがとう!
無事、アニメの制作者であることを発表できてほっとした俺は、いつもより早めにベッドに入ってぐっすり眠ったのだった。