美少女に転生したので配信者になりますっ! 作:Senana..
-- とある格ゲーマーの配信にて。
「おっけーおっけー。すぐだわ、この人わりと単調に見えるね」
配信画面上では道着を着た金髪の男、ケンが相手の攻撃を的確にガードしつつ一方的に自分の攻撃を通していた。
・うめぇぇ
・相手もmasterなのにこんなあっさりかw
・俺にはちゃんと攻め方にバラエティあるように見えたけどそれでもあかんか
・硬直狩るのがマジで上手い
・いじめやこれはww
相手の体力が削られあと少しとなり、画面上のケンが相手のキャラクターにアッパーパンチを入れると、画面中央に大きく"K.O."の文字が表示される。
「うし、これで21連勝やからとりまこっから30目指すかぁ」
・カスタムでmaster以上に絞って30はエグい…
・さすがやわ
・世界最強はやっぱ違うねぇ
・負ける気がせん
・さすがCapcomCup優勝者は伊達じゃない
「これ今日でケンはグラマス届くかもな」
そう言うと、格ゲーマーの男はランクマッチのマッチングを開始した。
・ほんとに届きそうな勢いなんよなw
・今のボーダーどれくらいなん?
・上とマッチングすれば全然ありえる
・それくらい簡単にグランドマスターとか言ってみたいわ
・連勝中やからこれ続けばいけそう
「どうやろね、たのむBP*1高いけど微妙な人こい〜」
・おいwww
・それはみんな思う
・まあたまに擦り*2が上手くいったんか変に高い人おるけどな
・お前はどんな相手でもいけるやろw
・時間的に強いひと多そうやけどな
しばらくマッチング画面で待機していると、マッチングが完了して相手のキャラクターである筋肉質な金髪の女性が登場し、プレイヤー名が表示される。
「うい、77さんよろしくお願いしま〜す」
・キャミィか〜、相手さん瞬殺されないように応援しとこ
・BPかなり高いけど見たことない人だな
・さてどうなるか
・どれくらいで終わるか数えとこw
・がんば〜
「ほんまや、この人かなり高いね。美味ぇ…」
・もう勝った気持ちかww
・実際勝てばかなりもらえるな
・ちゃんと真剣にやれよ?
・BPが謎に高いのが怖いな
・これは擦りで成り上がった民か?w
画面上ではお互いのキャラがステージに入場し、戦いの始まりの合図となる"FIGHT"の文字が画面中央に表示された。
「……おっと。これでどうや……っ、いや、きつ」
・おや
・このひと間合い管理めちゃくちゃ綺麗だな
・これは…w
・当たらねぇwww
・まじ?
男の操作するケンは、リーチの長い技や隙の小さい技で相手のキャラであるキャミィに牽制を行うが、ギリギリ当たらない間合いの調整と完璧なタイミングで行われるガードでその悉くを防がれていた。
「これこの人やばくないか?こんな当たらんの初めてやねんけど」
・あのBPはマグレじゃなかったか
・ダメージ入らねぇなぁ
・しかし攻撃はしないww
・タイムオーバー狙ってる?
・様子見か?
・耐久でもする気かww
そう、相手のキャラクターであるキャミィは自分に向けられた攻撃を全て躱すか防ぐことに成功しているにも関わらず、一向に攻撃をしてこなかった。
「っっ、なんやこれ、やばいやろ…」
つい数日前に行われた、大手ゲームメーカー「CAPCOM」公認のストリートファイター世界大会"CapcomCup2014"で見事優勝を果たし、"世界最強"の称号を手に入れたばかりの彼は、大会で戦ったどんな世界の強豪たちよりも自分のしたいことをさせてくれない目の前の対戦相手に、得体の知れない不気味さを感じていた。
・遊ばれてる??
・すごい…
・マジでお互い0ダメでタイムオーバーするぞこれ
・○も○相手に遊べるのがおかしい
・こっちはこのまえ世界最強なったばっかやぞww
ついにそのまま互いにダメージを与えることがないまま、画面中央上部にある残り時間を示す数字が0となり"TIME OVER"の文字が表示され、ラウンドの勝敗はドローとなり互いのラウンド勝利数が1になる。
2回のラウンド勝利が試合の勝利条件であるので、次のラウンドを勝利した方の勝ちだ。
「…………。」
冷静な状況判断と差し合いの強さを武器に、ついに悲願の世界最強へと至ったその男、"○も○"は、先日の世界大会の決勝を思わせるような真剣な表情で、一言も発さず次のラウンドに進む。
・○も○が本気や
・いやこれは頑張ってくれ
・まじナニモンやこいつ
・頼む勝ってくれ
・舐めプされた仕返しや
画面上に"FIGHT"の文字が表示され、2ラウンド目が開始される。
「…っっ!?ちょっ、っっ!いや、おいっ、まてまてっ」
2ラウンド目開始直後、1ラウンド目ではまったく積極的な姿勢を見せなかった相手は、○も○のキャラクターであるケンが放った長リーチの牽制を簡単にガードすると、急にケンの間合いに入り込み低姿勢での打撃を放ってきた。
・ガードが鮮やかすぎる…
・きたか
・こいつ未来見えてんのか?
・踏み込むタイミングが完璧すぎる
・先制食らったか
「くっっ、ひとつでもあたれや…!!」
相手のキャラクターである金髪の女キャミィは、接近しての先制攻撃を当てたあとすぐバックステップでケンの蹴りを躱すと、その隙にまたケンに急接近し攻撃のコンボを開始する。
○も○のケンはコンボが途切れた一瞬を狙い反撃を試みるが、キャミィの完璧な間合い管理により全て綺麗に躱されてしまう。
・あかん厳しい
・攻めターン継続させるの上手すぎやろ…
・なにかひとつでもさせてくれぇぇぇぇ
・これはひどい…
・運ばれたか
・何も出来ない…
・ああ、あああ
「…っ!くそっ、あっ、、なっ……。」
ケンの反撃を丁寧に捌いたキャミィは、再び攻撃を開始しケンをステージ端に追いやると、コンボを繋いで必殺技の一つである"キャノンストライク"をケンに叩き込んだ。
その瞬間、ケンの体力ゲージは0となり、画面中央に"K.O."の文字が表示される。
・世界大会勝った○も○に言うことじゃないけど、これは相手が強すぎた
・まじか…
・こんなことあるんか
・この何もさせてくれないキャミィの動きになんか既視感あるなと思ってたけど、よく考えたら相手の名前"77"だよね…
・うわ…
・えっ?そういうこと?
・そういやあの子たまに1ラウンド目はノーダメでドローチャレンジとかしてたなww
・このキャミィ強すぎんか
「77??キャミィ?……え。まじ?そゆこと?」
ガックリと項垂れながらコメントを見ていた○も○は、戦った相手のプレイヤー名"77"とキャミィの動きに言及したコメントを見ると、何かに気づいたかのように目を丸くする。
・でもあの子スパ4までしかやってなくない?ウル4発売の時はもう旅に出てたような
・そういうことかあ…
・別に旅先で買っててもおかしくないだろ
・どおりで意味わからんくらい強いわけね
・77でキャミィであのBP…気づいてみるとなんで最初何も思わなかったんだろうww
・スパ4の配信で使ってたプレイヤー名は漢字で"七七"だったからすぐに結びつかなかった…
「そうかあ…"殺戮の天使"ちゃんストに帰ってきてたか…」
○も○は納得したような表情でそう言った。
・そういや"殺戮の天使"とか呼ばれてたなww
・名前が物騒すぎるw
・ひたすら一方的に瞬殺しまくってたからな…
・今見たら20分前に"キャミィちゃんたのしい〜"ってツイートしてるわwww
・はいななちゃんで確定
・チュートリアルのCPUにボコされた以外負け知らずの天使
・まさかの天使降臨w
・唯一負けたのがチュートリアルなのいつ聞いても笑えるww
・うん、これは気にすんな。あの天使みたいな人外と人間は違うんだからさ。人間ではお前が最強だよ
「帰ってきてくれたのは嬉しいけどさ、俺、まだ勝てないんだ?世界大会勝ったのに?…ははは」
世界大会で優勝し、今なら前作で最強と言われていたあの"殺戮の天使"七海七瀬にも勝てるかな、などと思っていた○も○は、あまりにも大きかった自分と彼女の実力差に、"どんだけ遠いんだよ…"と遠い目をして苦笑いを浮かべるしかなかったのだった。