迷い人と星の子 作:ポテチバタースキー
★★★★以降は、3人称もどきになっていますのでご注意ください。
で、では、どうぞ。
お説教タイムを終えて、本題であるアイの修行を開始した。
アイがチャクラを練れるようになるために、どうするか。
原則として『身体エネルギー+精神エネルギー=チャクラ』である事を考慮すると、この2つのエネルギーを知覚するところから始めなくてはならない。
ただ、その知覚が中々
「うーん……。
「体の奥の方に、こう、何か感じないか?」
「ううーん……、感じるような感じないようなー……」
目の前で俺同様に座禅を組んでいるアイは、自信無さげに首を
確認がてら万華鏡写輪眼に切り替えアイを見ても、やはりと言うべきか、アイのチャクラは全く見えない。
どうしたものかな……。
以前、話を聞いた限り、節子姉さんは某全身柱間細胞さんからのギフト――尚、現在まで適応できている理由は不明――で、ユナは「転生してからも普通に練れた」と言っていた。
俺の場合も含めて、どれもアイにとって有用な情報と言えないんだよなぁ……。
瞑想は一旦駄目と評価するしかないか。
他の手段……他の……他……。
考え込んでいる俺に、アイが提案してくる。
「ねね、シスイ君。私もシスイ君がやったみたいに飛び降りたら――」
「それは駄目だ。他の手段を絶対に見つける」
「ぶぅ……シスイ君のケチッ」
そんなアイもまた可愛いんだけどな!
もうアイちゃん大天使っ!!
アイちゃんの尻に敷かれるなら本望です!!
いくらでも四つん
こほん……それはともかくとして。
何か良い代案は……。
「シスイ君、そういえばさ」
「ん?」
「チャクラって、あげたり出来るの?」
「出来なくはないけど、滅茶苦茶難易度が高い。基本的にチャクラってDNA型みたいに個々人で質が違うから、相手の体質に合わせて変えないといけないんだ。正直、俺には無理だな。リスクもある」
「へぇ~っ。それじゃ試しにさ、シスイ君のチャクラ、私にちょーだいっ?」
こてんと首を倒して、アイがおねだりしてきた。
その拍子に、彼女の紫がかった長い黒髪が、はらりと肩から滑り落ちていく。
「いや、俺には不可能だし、リスクが……」
「だいじょぶ、だいじょーぶっ! 私とシスイ君なら変な事は起こらないって!」
「う〰〰ん……。仮に出来たとして、最悪アイが死ぬかもしれないからなぁ……」
広義で類似するケースとして、柱間細胞の移植が挙げられるだろう。
かの細胞に大きなメリットがあるのは否定しようが無い。が、一方で移植対象者が適応できなかった場合、細胞に侵食されていき、最期は木になって死ぬ代物だ。
柱間細胞がヤベーだけ……なのかもしれないけど、俺のチャクラがアイに合わなかった場合を考えると……。
「……絶対に死なないよ、私は。だから、……お願いっ」
強い視線を俺に向け、ズボンをギュッと握り締めているアイ。彼女の意志の強さを容易に推察できた。
感情に流されるのは良くないと自覚しつつも
「ん〰〰……」
「……っ」
「……それじゃあこうしよう。ほんの少しずつチャクラを流してみて、大丈夫ならそのまま継続。少しでも
「んっ、ありがとっ」
アイに折れて右手を差し出すと、彼女は俺の手を取って何故か自身の胸元へ持っていった。
ジャージ越しながら柔らかい果実のふにゅんっとした感触が、
「ちょ、ちょちょちょ……っ!?」
「心臓って、チャクラでも重要そうじゃない?」
「そ、それはそうなんだけどもね!?」
「それにシスイ君、凄く奥手だからさー。時々悲しくなったりするんだよ? もしかして私、魅力無いのかなぁって……しくしくっ」
先のシリアスムードは
一転してアイは、俺を
アイさんや、ニヤニヤした表情と言葉の内容が全く合っていませんぞ!
「で、でも、やるなら握手でしよう……っ!! ふんぬぅ……っ!!」
テンパりながらも全力で
というか、何でアイは微動だにしないんだ!?
俺も座っているとはいえ、体重を後ろにかけているんだけど!?
「私のおっぱい、シスイ君好みになってきたでしょー? ほらほら、私にチャクラちょーだい?」
「こ、このままだと歯止めが効かなくなるのぉ……っ! ど、童貞根性舐めるなぁ……!!」
「自分で言っちゃうんだ」
「うぉぉぉっ!!」
綱引きガチ勢のように、腰を低くして踏ん張る体勢へ移行。更にチャクラを脚に
けれども、形勢に変化は無く……。
「ぜえっ……ぜえっ……チャクラで身体強化しても……
へたり込むように座り、呼吸を整える。
アイとユナの間で俺の引っ張り合いに発展した時といい今回といい、条件不明ながら物理法則を無視できるアイさん、マジチート……。
「ふふーんっ♪ 私の『愛の力』だよ? 素直になったら良いのにぃ」
「愛って凄いなぁ……。分かった、降参する。降参するから、その、手首を解放して欲しい。せめて手を添える感じで」
色々と俺の限界が近くなってきてるからぁ……。
そんな俺の内心を知って知らずか、アイはバッサリと切って捨てる。綺麗だけど、断固とした笑みを浮かべていて――。
「
「……ど、どうしても駄目?」
「うん。駄目」
「……」
「……」
「……ぜ、全面降伏します」
「よろしい」
満足そうに首肯したアイを受けて、掌の感触をなるべく意識しないようにしながら、少しずつチャクラを流していく。体の中心から、腕、掌を経由してアイへ流し込むイメージ。
眼は万華鏡写輪眼を維持しておこう。アイの体調とチャクラの動きを注視しないとな。
「んっ、温かいの入ってきたぁ。これがシスイ君のチャクラなんだね」
「体、具合悪くなったりしてないか?」
「大丈夫だよっ」
弾んだ声で答えたアイ。
顔色やチャクラの流れを見ても、今のところは拒絶反応も無く問題無いようだ。
だが、俺のチャクラがアイの全身に行き渡った、次の瞬間。
異変が起こった。
彼女の体から俺のチャクラが徐々に消失しているのだ。まるで、波打ち際で薄れていく砂絵のように。
「アイ、大丈夫か!?」
「んー? どうしたの? そんなに慌てて」
「渡したチャクラがアイの体から消えていってるんだ……! 何か
「えっ?
その言葉とは裏腹に、アイは何らかの確信を得た様子だった。
「いや、そんな
「大丈夫だよーっ。元気ピンピンだしっ!」
「それでもだ。大事になってからじゃ遅い」
浅慮だった。数分前の自分を張り倒したい。
いや、嘆くのは後。現状への対処を最優先にしろ、俺。
「シスイ君、結構心配性だよねー。……不謹慎だけど、何か良くない事が起こった時に心配されるとさ、悪いなぁって思う反面、嬉しくもあるんだぁ。しっかり私を見てくれてるんだなぁって」
「そりゃ、自分にとって大事な人なら心配するさ。アイの『彼氏』にして『パートナー』だぞ、俺は」
「……えへへっ」
はにかんだ彼女は、俺の手首を離してくれた。
直ぐさま俺はアイの容態チェックに入る。
センシティブな箇所はアイ自身に確認して貰うとして、目や手といった野郎が診ても良い箇所を全て診ていく。拒絶反応があれば、内臓に
そうして一通りチェックした結果、現時点で特段の異常はみられなかった。けれども安心はできない。
「ねっ? 大丈夫だったでしょ?」
「今のところ、はな……。
本日2度目の土下座。
本当に
「シスイ君、心配し過ぎだよー。頭を上げて欲しいな? 何と言うか、私のチャクラとシスイ君のチャクラが
土下座のまま、アイの言葉を思わず
「……くっついた?」
「うん。それでね、貰ったチャクラが、
後ろめたさを感じつつも顔を上げ、改めて正面に座っているアイをつぶさに見ていく。
アイの言う通りならば、アイのチャクラが俺の眼に映って
そもそも写輪眼系統は、チャクラを視る眼としての側面があるのだから。
なのに何故、
血縁すら無いのにチャクラが結合する事もそうだが、極めて不可解だ……。
「真剣な目のシスイ君、きゅんきゅんするよっ」
「……」
「前に先輩達が言ってた視○プレイってやつなのかな? んふっ、シスイ君のえっちぃ」
自分の体を抱きつつ身を
華の乙女が言ってはいけない、
それよりも。
「……アイ」
「んー?」
「体は本当に大丈夫か? いつもと違う感覚は無い?」
「うん、バッチリだよっ!! むしろ、今は元気が有り余るくらいだねっ!! だから、続きやろっ?」
アイは、力こぶを作るポーズで元気アピールしている。
今までの彼女に照らして、無理していない等身大の本心だろう。
アイの健康状態への懸念を
「……分かった。それじゃあ、続きをやるか」
「うんっ」
「
それからは時間が許す限り、アイの修行に付き合った。
「チャクラを持ってる」という発言を裏付けるように、次々と忍術を習得していく彼女の姿には感嘆の一言。
……。
……。
……ところで、この後の混浴はどうなるんだろうか?
タオルくらいは巻いて欲しいなぁ……。
★★★★
時は少しばかり
その夜中に、
服装は共に黒一色。深く被ったフードで顔を隠していて、その表情を窺い知る事は出来ない。
「僕、明日はワークショップで講師をやらないといけないんだけどね……」
「場所は特定してあるから直ぐよ。ついてきなさい」
「はぁ〰〰……っ」
女は男――少年の長い溜め息を無視し、森へ入っていった。
月光すら射し込まない真っ暗な場所であるにもかかわらず、まるで全てが明瞭に見えているかのような足取りで、その姿に迷いは無い。
少年も持参した懐中電灯を照らして、女の後をついていく。
「ずっと書物を読み
「そうね……、言うなれば課外授業といったところかしら。……ここまで来るのに誰にもバレていないでしょうね?」
「それはもう。女神様のお怒りが恐いですから」
「……その女神様呼ばわり、止めてくれる? 神なんて
「……そう殺気立たないで欲しいんだけどね。物騒な
少年は肩を
それから、何かを思い出したように口を開く。
「今まで
「……」
「僕にとって、
「……かつての私に似ていたから」
「……そっか、そうだったんだね」
その少年の
そうして、一際背が高い大樹の前で立ち止まった。
暗がりの中、少年は懐中電灯の明かりだけを頼りに周囲を見渡す。
「この木だけ、随分と太くて高いね。秋にもかかわらず葉が落ちていないから、……常緑樹なのかな? ギネス記録も狙えそうなんじゃない?」
「木自体はどうでも良いわ。欲しているのは
「下?……まさか?」
「掘らないわ。手ぶらで掘る訳無いでしょう。意外そうな顔しない。……少し下がりなさい。……土遁・地動核」
少年が後ろに下がってから、女は印を結び大地に片手をついた。
すると、大木の前の地面だけ四角く
大樹を追い抜き、尚も地層の柱は高く伸びていく。
「やっぱり便利だね。……それで、この下に何があるんだい?」
「見れば分かるわ」
「……
女は地面から手を離し、術を止めた。
懐中電灯の光を当てて、少年も気づく。
明らかに経年劣化した棺らしきものが、地層の間に埋まっているのだ。
しかも不思議な事に、それは
女は忍術で地層が崩れないようにしつつ器用に棺だけを抜き取り、地面に置いた。
その後、
元通りの地面になってから、女は答えた。
「用があるのはこの中のものよ」
「死体に用がある? よく分からないな。中身は腐敗を通り越して骨になっているだろう? そもそも棺として存在している事自体が奇跡的なのに」
「普通なら、ね。もし、しーくんと戦う事になった時、どうしても力が必要よ。彼を圧倒する力が。それの源が
棺を雑に叩く女。対する少年は
「……ふぅん? でも、陸路君を
「あり得ないわ。私達の絆は何があっても断ち切れない。そもそも事がどう運ぶにせよ、本質は
「えぇぇ……」
「悪女1人殺しても、その過程で赤の他人が大勢死んでも、しーくんをボコボコにしてもお仕置き。原初の幼馴染みたる私が、ヤンチャなしーくんをしっかり
「はいはい」
女は棺に何かの術式を書き込んでいった。
程無くして、突然煙を立てて棺が消失する。
あり得ない現象を前に、少年は狐につままれたような顔をして
「消えた……?」
「口寄せの術の応用よ。チャクラで合図を受けた自宅の影分身が口寄せしたの。私の家にテレポートしたと考えれば良いわ。距離があっても、こういう形で物を運べると見せたかっただけ」
「なるほどね、勉強になったよ」
「さっ、帰りましょう。ここはもう用済みだから」
そう女が言い終えたタイミングで、煙が2人を包み込む。
先程の棺と同じように、2人は
2024.3/11:項目整理のため、後書きを削除しました。