そんな虹夏にリョウが行動を起こす話です
ここは…何処だろう…私は気づくと暗い場所にいた。当たりを見回しても誰もいない…仕方がないから少し歩いているうちにこれは夢なんだと分かってきた。そうして歩いていると私の前に光が現れ無意識に私はそこを抜けた、抜けた先には…私の学校の屋上だった、そして目の前にはこちらに背を向けているリョウがいた。なんだか…私がリョウをメンバーに誘った時と同じ状況だな…そんなふうに考えながらもあの時のようにリョウの肩を叩きこちらを振り向いた瞬間指でほっぺを触った
虹「ねぇ、暇ならベースやって!」
「……もう、私はベースもバンドもやらない…無理してやっても続けられない」
虹「え?」
「だからもう、私に話しかけないで」
私の思い出の中のリョウはこの後何故なのかと聞いてくれた…けど私の前の「人物」は私の手を払い除け悲しげな顔をし私の横を通り過ぎた
虹「っ…ご、ごめ」
「………じゃあね」
虹「…り、リョウ!!」
私が手を伸ばすとそこにはリョウは居なくて…代わりに見慣れた天井が見えた。もう私の好きだったベースの音が聞けなくなる瞬間という最悪な夢を見ていたのだと再び気づくのに少し時間がかかってしまった、私の中ではそれほど嫌なものだったからだ…
虹「……リョウ…居なくならないよね」
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その日の練習はリョウの事が気になってしまい私は何度もミスをしてしまった。その度にリョウがいなくなるのではないかと怖くなってしまい元気も無くなっていった
ぼ「に、虹夏ちゃん…大丈夫ですか…?」
虹「う、うん…大丈夫…」
喜「なんだか顔色も悪いですよ…?今日はやめた方が…」
り「……」
虹「……ううん!大丈夫!次は失敗しないから!」
ぼ「…わ、分かりました…」
喜「じゃ、じゃあもう一回だけやってみますね」
虹「うん!2人ともありがとう!」
カンカンと私の合図と共に曲が始まる…うん、いい調子…このままいけば今日の失敗なんか返せるくらい上出来な演奏になるはず。私は無心になるようにドラムを叩いた、しかし…サビに入る瞬間私はあの悲しげに私の手を払ったリョウの顔が浮かんでしまいスティックが飛んでいってしまった
虹「あっ…!」
もちろん、そんな状態で続けられるはずもなくみんなの演奏は止まってしまった。ぼっちちゃんと喜多ちゃんが何かを言おうとした瞬間リョウが私の近くに来てドラムスティックを渡してくれた
り「ごめん、2人とも。今日は虹夏の体調も悪いし練習はここまででいいかな?」
ぼ「え、あ…はい、大丈夫ですよ」
喜「私も大丈夫です」
り「ん、そういう事だからみんな片付けようか」
虹「……リョウ…」
結局みんなの練習はここまでになった、私は何も言えずに淡々と私の物を片付けみんなをスターリーの入口で見送ることにした
虹「今日はごめんね!なんだか疲れてるみたいで…」
ぼ「……虹夏ちゃん」
喜「そういう日もありますよ!ゆっくり休んでくださいね。それでは…また明日」
ぼ「……ま、また明日…」
ぼっちちゃんはなにか言いたそうにしていたけど喜多ちゃんに手を引かれ帰って行った。いつもなら静かなスターリーに1人で戻るのだけど今日は何故かリョウは帰ろうとしていなかった
虹「リョウ…?どうしたの?」
り「虹夏、もう1回練習室に戻ってもいい?」
虹「いいけど…なんで?」
り「いいから、虹夏も」
虹「へっ!?」
何故かリョウは私の手を引いて練習室に戻った。練習室の椅子に2人で座り暫く無言が続いたものの先に口を開いたのはリョウだった
り「……それで?今日はどうしたの?」
虹「え…な、なにもないよ?」
り「…あのね、虹夏も私に長年幼なじみやってるって言うけど私だって長年幼なじみなんだよ、今日私を見てたのだって気づいてるから」
虹「……」
普段は天邪鬼なのにこういう時だけはふざけた態度を取らず真面目に私の顔を見てくる…そして私はその目を見るとあの夢を思い出してしまい目を逸らしてしまう
り「……言うまでは返さないから」
虹「…分かった…言うよ」
この幼なじみからは逃げられない…多分悩んでる内容は分からなくてもリョウのことに感じてだと言うことには気づかれてるだろう。私は観念して話すことにした
り「ん、どうしたの」
虹「……今日…リョウがバンドを諦める夢を見て…それが怖くてずっとリョウを見てた」
り「…なんでそれが怖かったの?」
虹「……私の好きなリョウのベースが聞けなくなるし…それに…なんだか悲しそうなリョウの顔が頭から離れなくて…」
り「それで、私をずっと見てたって訳だね」
虹「うん…」
り「……はぁ」
リョウはため息をすると何故か閉まったはずのベースを取り出し始めた。私はリョウの急な行動に頭が追いつかずじっと見ていると準備が終わり私の方を向いた
り「…私の初めてのワンマン、聞いてて。話はその後」
虹「え…な、何言って…」
何がなんだか分からず質問をしようとするもそれはリョウのベースの音にかき消された。これは…リョウの曲…?ギターやドラムがいないベースだけなのに…こんなに心を惹かれる……うん…このベースの音…私の好きな音だ。曲を弾き終わるとリョウはベースを置いた
り「ふぅ…虹夏。虹夏は私のベースが好きだって言ってくれるけど私はそれと同じくらい、いやそれ以上に虹夏のドラムが好き」
虹「……」
り「夢の私がなんて言ったのかは知らないけど、ぼっちがいて虹夏がいて郁代がいて…そして私は前のバンドでは続けられなかった大好きな青臭いけど真っ直ぐな歌詞を弾き続けられるそんな結束バンドに入れなかった夢の私は可哀想だと思う」
虹「……」
り「これでも安心出来ないなら安心できるまで弾き続けるから」
その言葉を聞いて…私の心は安心した。黒いモヤモヤが無くなったようにすっきりとしていた
目の前のリョウは何があっても結束バンドを続けてくれる、辞めることなんてないんだって
虹「……ううん、大丈夫」
り「んっ…この授業料は高くつくからね」
虹「それは私のドラムを聞きたいって事?」
り「……それもいいね」
虹「じゃあ明日に備えてご飯食べないとね!」
り「うん、お腹空いた」
リョウがベースを片付け一緒に上にあがる…うん、これなら明日も頑張れそう!明日はぼっちちゃんや喜多ちゃんにも謝らないとね!
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また、夢をみた。目の前には青髪の女の子、私はその子の肩を叩いてほっぺを触った
「……なんど来ても私はバンドやらないよ」
「それならなんでそんな悲しそうな顔をするの?そんな顔をするくらいなら一緒にやろうよ!」
「……なんで私にこだわるの」
だって私…
「リョウのベース…好きだし!それにこれからも私のドラムを聞いて欲しいから!」
虹夏がリョウのベースが好きならリョウは虹夏のドラムが好きなのではという考えから産まれました
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