歌姫との世直し珍道中   作:クロアブースト

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暫く空いたけど投稿。
ガープ中将あれだけ孫に愛情注いでたんだから孫に甘えられても良いよね。


エルとガープ

海軍の英雄ガープは目に入れても痛くないと言える程に可愛がってる孫達がいる。

その一人が、エーデルワイスことエルである。

 

『私って、生きてて良いのかな……』

 

元々はガープの息子ドラゴンの姉であった女性が嫁いだ先で産まれた子。

ドラゴン同様に可愛がってた娘であったのだが、エルが幼少期の頃に病で死亡し、厄介払いの形で親族から追い出されたエルの身元引き受け人になったのが出会いの切欠だった。

一心に愛情を与えてくれた母が死に、もう一人の父はエルを母が死んだ疫病神扱いから見放した。

だからこそエルはガープと出会った当初、自分が生きてて良いのかと思う程に思い詰めてしまっていた。

 

それに対してガープは……

 

コツン

 

『バカモン!産まれて来て良くない子がおるか!ワシが〇〇の変わりに全力で愛情を注いでやるから生きろ!』

『ふぇ……ふぇぇぇん!』

 

頭にコツンと痛みを感じない程度に乗せた愛の拳は、存在意義が揺らいでいたエルの心を決壊させてガープに抱き付きながら号泣する。

愛のある拳が一人の子供を救った一幕である。

 

 

 

 

 

「おじいちゃ〜ん!」

 

遠方から高速で飛んできた白髪の少女がガバッとガープに抱き着いてきた。

 

「おおよく来たエル!任務の帰りか?」

「うん!今日の海兵のお仕事終わったから来たの!」

 

ガープが頭を撫でると目をキラキラさせながらガープに甘えるエル。

 

「今日おじいちゃんの家に泊まっても良い?」

「うむ!泊まっていけい!」

「やったぁ!?」

 

ぴょんぴょん跳ねるエルとガハハと笑うガープ傍から見れば孫に甘える娘と甘やかすお爺ちゃんという微笑ましい光景だ。

しかし周りの海兵は親贔屓で無いのを誰もが知っている。

 

「そういえばエル。軍艦バッグはきちんとやっておるか?」

「うん!この前、四艦目が砕けちゃったから新しい軍艦買うんだぁ」

「ふむ……ならばワシがエルのサンドバッグに合う新しい軍艦を選んでやろう」

「本当!ありがとうおじいちゃん!新しい軍艦楽しみだなぁ」

 

エルとガープの会話を聞いてドン引きする海兵達。

軍艦バッグとは、廃船場にある軍艦の装甲をサンドバッグの変わりに殴り続ける鍛錬である。

若き日の英雄ガープが何十年もの日課で今もやり続けており、他には青キジもガープの弟子として行っている事から有名なのだが、エルの場合は海兵で稼いだ持て余した貯金で新品の軍艦を購入して行っているのである。

鍛錬の為に新品の軍艦をサンドバッグ代わりにし、実際に四艦も砕いた実績はエルが親贔屓ではなく実力で勝ち取ったのだと他の海兵達の妬みすら吹き飛ばした。

因みに幼馴染のウタからは海兵になる為の自主トレーニングの話をしたら「こんなの絶対おかしいよ!」と言われたのは余談である。

そうしてガープと共にエルがガープの住む家に向かおうとすると……

 

「ガープ!」

「なんじゃいセンゴク」

 

海軍元帥であるセンゴクがいた。ガープと数少ない同期であり、海軍における最高権力者とも言える存在である。

 

「あ、センゴクさんだぁ。こんにちは!」

「おお、エル中将か。相変わらずガープの側にいると感情が豊かだな……」

 

エルの満面の笑みでの挨拶にセンゴクは思わず戸惑う。

普段のエルは『殺戮の天使』と言われる程に礼儀正しいが、落ち着いた態度で話すのだがガープと一緒にいる時は歳相応に明るく愛嬌があるのである。

『おはようございますセンゴクさん』

『海賊の捕縛ですね。かしこまりました』

『目標の海賊達、全員捕縛しました。負傷者も軽症のみで任務継続に支障はありません』

 

海軍本部中将としてセンゴクにでんでん虫で報告する時はこれ位淡々としているのである。

最初ガープの弟子として連れて来られた時と、見習い海兵として鍛錬中の性格のギャップに見間違えたかと何度も見返したのは余談である。

 

「貴様!また書類提出をサボって出航しおって!まだガープ中将からの報告書が届いておりませんと苦情が来てたわ!」

「ガハハ!書類提出は後でも良いじゃろう!」

「良くない!」

 

何時もの如くガープの任務後の書類提出不備で直接来たのである。

因みにセンゴク以外で催促してもやらないでバックレるので直接来ざるを得ないのがセンゴクの悩みの種である。

 

「久し振りの孫との団欒なんじゃ後にせい!行くぞエル」

「ううん。書類仕事終わらせてからにしよ」

「「え?」」

 

ガープの言葉に基本全肯定なエルがまさかの反対にガープとセンゴクは思わず呆ける。

 

「サカヅキさんに教わってた時からの教訓だけど、『書類一つといえども手を抜けば巡り巡って仲間を困らせる。仲間が大事なら与えられた仕事はきちんと果たせ』だよ?私も手伝うから早く終わらせよう?」

「むぅ〜サカヅキめぇ……」

「うむ!良い教訓だなサカヅキ」

 

エルの言葉に仲間が大事なら仕事しろと教えを説いたサカヅキの正論に否定出来ず呻くガープと、関心するセンゴク。

センゴクはエルの教育係にガープと同じくサボり魔である青キジではなく、サカヅキを選んだのは英断だったと今でも思っている。

こうして山程あった書類をエルの補助ありきとはいえ強制的にやらされたガープが真っ白になったのは余談であった。

 




エル
…ガープに会えてハッピー。教育係だった仕事には一切手を抜かないサカヅキの教訓含めて海軍大将の中では一番尊敬してたりするのは余談である。

ガープ
…エルを愛ある拳で救ったおじいちゃん。書類仕事を諭すのがエルで無ければ逃げてたが、溺愛する孫の前で職務放棄する姿を見せない辺りはやる時はやるおじいちゃんである。

センゴク
…エルがある程度育った時にサカヅキを教育係にしてたのは英断だった。
普段のエルとガープしゅきしゅき孫モードのギャップは何度見ても慣れない。
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