重曹を舐める天才子役の双子の兄として転生しました。でもなんだか世界観が可笑しいもようで……?   作:混沌の青魚

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第1話

 どうやら俺は、『推しの子』世界に転生したらしい。

 

 

 アニメ第一話にて、『よくある転生モノか、つまんね』と最初に思わせておきながら、『なるほど。これは家族愛に溢れた、ほのぼの系だな。面白い』と確信させたところで、突如として現れた準主役級のストーカーことリョースケくんに母親のアイを殺され、突如として復讐系サスペンスを開始し、全視聴者の脳を焼き切ったあの『推しの子』。

 

 

 そしてどうやら俺は、『推しの子』を語るにおいて捨て置けない、俺的主人公のヒロイン候補筆頭、重曹を舐める天才子役こと有馬かなの双子の兄として生を受けたらしい。

 

 

 名は、有馬貴将。5歳と幼いながらも、知的なイケメンフェイス(中身は俺なのでただの馬鹿)で数多の幼女たちを虜にしてきた陰キャである。

 

 

 ちなみに妹からは、このキャラが原因で盛大に嫌われていて、ここ最近で一番の悩みとなっていた。

 

 

 さて。俺の身の上の話も済んだところで、アイの死亡という『推しの子』世界における最大の鬱場面をどうやって回避していくか考えよう。

 

 

 確か、アイがストーカーに刺殺されるのはドーム公演当日の朝。つまりは明日である。

 

 

 ちなみに犯罪的手段(ヒ・ミ・ツ♥)により、現場となるマンションの特定は済んでいる。

 

 そしてなぜか俺の身体能力は、自分で言うのもなんだが可笑しい。

 

 以前、路地裏に入ったところで不審者に襲われたのだが、その不審者は不審者だから当然だが様子がおかしかったのだ。

 

 被っている趣味の悪い画面から覗く目の色は赤黒く、腰のあたりから生やした尻尾のようなもので襲いかかってきたのだ。しかも身体能力も半端じゃなくて、20メートルは離れていたであろう距離をひとっ飛び。

 

 幸いなことにその日は雨上がりで傘を持っていたため、それでぶちのめすことができたのだが、まさか戦闘の余波で周囲が瓦礫の山になるなんて思ってもいなかった。

 

 

 俺は確信した。ここは『推しの子』世界の裏、つまりはファンタジー的な裏設定部分も全て反映した完全版『推しの子』世界であると。

 

 あのカラスを引き連れた謎の幼女が神様的な存在だとすれば、そんな裏設定があってもおかしくないと考えたのだ。

 

 あの不審者は、つまり人の姿に扮した悪魔。そして俺は、それを祓う力を生まれながらに持つことになったエクソシスト。

 

 

 ……イイ!遥か遠い過去に卒業した厨二病が再発するのを自覚しながら、俺は花束を抱えた大学生ほどの男を蹴り飛ばした。

 

 

「こ、この餓鬼……!!」

 

 

 男ことリョースケくんは激昂し、目を赤黒く染めて俺に襲いかかってきた。

 

 ……リョースケくんも悪魔だったのね。好都合だ。

 

 

 一拍の後、彼は肩の辺りから羽のようなものを生やし、そこからなんだかいっぱいの弾を飛ばしてきた。

 

 ……ここはトップアイドルの住むマンションの階段。そんな狭いところでは避ける術があるはずもなく、俺は仕方なく路地裏で拾った悪魔特攻武器である刀を、肩に下げていたケースから取り出し、すべてを斬り伏せた。

 

 

「な!?そ、その武器は……っ」

 

 

 幸いなことに彼はそこまで強い悪魔ではなかったようで、動揺していた隙に懐まで詰め寄り、心臓を一突き。

 

 

「こ、こんな餓鬼が……餓鬼に、俺は殺されるのか!?」

 

 

 おっと心臓を潰したのに元気だな。

 

 腕を振り回してきて危ないので、刀を抜き、腕、そして首をひと刎ねして今度こそ息の根を止めたのを確認して、俺はその場から立ち去るのだった。




有馬繋がりで、唐突に思いついた設定です。

続く?
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