転生近界民のアカデミア『リメイク』   作:暁月鈴

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GW期間中に投稿したかったんですが……
内容を文章にするのが難しく投稿できませんでした。
プロの方って凄いですね。

2024/05/14
 『トリガー』に関する説明を少し追加しました。


第13話「表彰式」

「それではこれより! 表彰式を行います!」

 

 雄英体育祭の全ての種目が終了し、表彰式の時間がやってきた。

 

 ミッドナイトの音頭と共に打ち上がる花火がポンポンと音を立て、観客席から無数の拍手と歓声が響き渡る。それらを聞きながら、おれは表彰台の一番高い所に上がる……んだけど、その前に。

 

 ――――何でいるんだ? こいつ

 

 イレイザーヘッドと同じように全身を包帯でぐるぐる巻きにしつつ、車椅子に座るバクゴウの痛々しい姿を前にそう呟くと、それに反応したバクゴウが血走った瞳で睨みつけてきた。その鬼のような形相から目を逸らしながら、もう一つの疑問点について、イイダがこの場に来ていないことについて考える。

 

 素人目でも分かるほどに大怪我を負っているバクゴウですら来ているのに、そこまで酷い怪我を負っていないイイダが来ていないのはどうしてだろうか。最も、その疑問は「家の事情」というミッドナイトの手短な説明によって、直ぐに解消したのだが。

 

「それではメダル授与よ! 今年メダルを贈呈するのは、モチロンこの人!!」

 

 ミッドナイトがパッと手を広げるのと同時に、高らかな笑い声が空から響いてきた。その声が聞こえてきた方向に視線を向けると、金色の前髪を角のように立てた筋骨隆々の大男。オールマイトが笑顔と共に、空から舞い降りて――――

 

「わしがメダロー、ールマイ!!

 

 打ち合わせをしていなかったのだろうか。何とも酷く、悲しい光景が出来上がった。

 

 オールマイトの「私がメダルを持ってきた」という声と、ミッドナイトの「我らがヒーロー、オールマイト」という声。この二つが見事に被ってしまい、凄まじいくらいのグダグダ感が生まれてしまった。

 

 せっかくの登場シーンを台無しにされたショックからか、オールマイトはミッドナイトに無言の圧力を笑顔で仕掛け、それを直に受けたミッドナイトは「カブった、ゴメン!」と言いたげに手を合わせて謝罪する。

 

 いたたまれない空気が会場全体に漂う中、その空気を払拭するかのように咳払いをしたオールマイトはミッドナイトからメダルを受け取り、すぐさま授与に取りかかる。まずは、3位のバクゴウからだ。

 

「さて……まずは爆豪少年。伏線回収、残念だったな。しかし3位だ! 見事な成績じゃないか!!」

 

「…ッ、オールマイトォ…! 俺は完膚なきまでの1位が欲しかったんだよ……! だから、こんなメダルは絶対に要らねぇッ………!! 1番以外に……何の価値もねぇッ……!!」

 

 オールマイトは笑顔と共に慰めの言葉をかけるが、それを聞いたバクゴウは歯を食いしばり、悔し涙と共に身体を震わせる。そんなバクゴウに対して、オールマイトは努めて冷静に、落ち着いた声でバクゴウを慰めつつメダルを渡そうとするが、それは逆効果だったようで。「要らねぇっ!!」と、バクゴウは大きな声で拒絶した。

 

 まあ、キモチはわからんでもないけどな。「1位を取る」と選手宣誓で大口を叩いたのにも関わらず、どの種目でも1位を取ることが出来なかったのだから、そりゃあ悔しいだろう。逆の立場なら、おれだって悔しさでいっぱいだわ。

 

 最終的にオールマイトは半ば無理矢理メダルをかけ、バクゴウをぎゅっと抱き留めた後、トドロキの元へ歩み寄る。こちらはバクゴウのような受け取り拒否は無く、スムーズにメダルの授与が完了した。

 

「それじゃあ最後に空閑少年! 優勝おめでとう!!」

 

 まさか普通科の生徒が1位になるとは思いもしなかったよ!! そんなオールマイトからのお褒めの言葉と共に渡されるメダルを素直に受け取る。

 

 その後、オールマイトは二人と同じようにおれを抱きしめた後、表彰台から降りて観客達をぐるっと見渡し、腕を広げ、大きな声で宣言した。

 

「さあ、今回は彼らだった! しかし皆さん! この場の誰にもここに立つ可能性はあった! ご覧いただいた通りだ! 競い、高め合い、更に上へと登っていくその姿! 次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!」

 

 ――――いや待って。おれは別にヒーローを目指しているわけではないんだけど。

 

 思わずそう呟きそうになったが、寸前のところでそれを呑み込む。何というか、居心地が少し悪くなった気がした。

 

 そんなことを考えている中、オールマイトが再び声を張り上げる。

 

「てな感じで、最後に一言! 皆さんご唱和下さい!!」

 

 せーの!! という合図と共に、おれは大きく息を吸う。後に続く言葉となると、恐らく雄英の校訓であるあの言葉だろう。それに、声を出せばこの居心地の悪さもマシになる気がした。

 

「「「「プ疲れウルトした!!!!」」」

 

 って、ええ……

 

 「お疲れ様でした」とただ一人、別の言葉を叫んでしまったオールマイトに対して、この場にいる皆からの冷ややかな視線がグサグサと突き刺さる。後から追い打ちをかけるかのようなブーイングの嵐に、オールマイトは大量の冷や汗を流しながら、恐る恐るといった様子で謝罪する。

 

「何というか……閉まらない最後だな」

『同感だ』

 

 最後の最後で再びグダグダになってしまったが、体育祭は無事に終了した。まあ、なんだかんだで楽しかったな。

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

「それじゃあ、これから会議を始めていくのさ」

 

 雄英体育祭が終了し、生徒達も全員が帰宅したであろうこの時間に。雄英高校内にある一つの部屋に人だかりが出来ていた。話を主動するのは雄英高校で校長を務める根津。そして、今回の会議にはオールマイトやイレイザーヘッドといった教師達が参加していた。

 

 緊急で行われた職員会議。その話の中心となるのはもちろん、今年の体育祭でヒーロー科の生徒を打ち負かすどころか、プロヒーローにも匹敵するほどの戦闘能力を見せつけた普通科の少年、空閑遊真だ。この会議に参加している教師達は遊真のことについて、体育祭の映像を見ながら語り合う。

 

 彼らが真っ先に気になったのは、遊真の『個性』についてだ。イレイザーヘッドが”個性届け”と記載された資料を片手に遊真の『個性』についての説明を行う。

 

「空閑遊真。彼の個性は『エネルギー』。特殊なエネルギーを心臓の真横にある見えない器官で作り出すという異形型の個性。また、そのエネルギーが視覚に影響を及ぼした結果、他人の嘘を見抜くことも可能……とのことです」

 

 その説明に、この場にいる者達は疑問を覚える。それなら、あの遊真の姿が変わる現象や、使用していた武器は何なのかと。だがそれは、後に続く説明によってすぐに解消された。

 

「また、彼が所有する『トリガー』という名のサポートアイテムを使用することで、そのエネルギーで構築された戦闘体へと姿を変えることができるみたいですね。その状態だと運動能力が大幅に上昇し、『個性』以外での攻撃ではほとんどダメージを受けなくなるほか、エネルギーを消費することで、『トリガー』に設定されている武器を使用することが出来るようですよ」

 

 因みに、その『トリガー』は彼が制作したもののようです。イレイザーヘッドの口から発せられたその言葉に、この場はシン…と静まり返る。全員が、信じられないという目をしていた。己の『個性』を十二分に生かすためのサポートアイテムを自作できる技術力と、プロヒーローにも匹敵するほどの戦闘能力を併せ持った普通科の生徒。こんな人が今まで存在しただろうか。

 

 教師達の頭を悩ませるのはそれだけではない。雄英体育祭が終了した今、世間の話題は遊真に関することで溢れかえっており、「彼を立派なヒーローとして育て上げるべきだ」や「あれほどの実力者を普通科に在籍させるのは勿体ない」といった声が多く、雄英高校には既にそういった内容の問い合わせが既に何件も寄せられている。

 

 本人が望んでいるかも分からないのにも関わらず、彼をヒーローの道に進めようとする世間の声の対応に、雄英高校の教師達は困り果てていた。

 

 これらの問題をどう対処するか、どのように解決していくか。教師達の夜は、その話し合いと共に過ぎていくのだった。




因みに、遊真のトリガーが転生特典だということを教師陣は知りません
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