転生近界民のアカデミア『リメイク』   作:暁月鈴

14 / 16
今回から、小説の書き方(構成)が変わります。

遊真(主人公)の設定を少し変更しました。
詳しくは1話をご覧ください。

2024/05/27
 小説の書き方についてのアンケートを実施しました。

2024/06/01
 アンケートの集計を終了しました。

2024/06/22
 最後の根津校長からの提案を1部変更しました。
 正確には、修正しきれていなかった部分を直した感じです。



職場体験編
第14話「勧誘①」


「あー…… 動けん……」

『これは凄いな』

 

 雄英体育祭が終わり、2日間の休みを挟んだ後の登校日。遊真は波に捕まった。

 比喩でも何でもなく、近くにいた人達が皆して、遊真の元へと押し寄せてきたのだ。

 

 何故こんな事になっているのか。それはひとえに、体育祭で優勝したからだ。

 

 雄英体育祭は、過去のオリンピックに匹敵するほどの注目を集める行事である。それに加えて、今年は敵の襲撃を乗り越えたクラスがあるということもあり、今まで以上の注目を集めていた。

 

 そんな中で優勝したともなると、注目を浴びるのは当然のこと。逃げる間もなく、あっという間に取り囲まれた遊真は四方八方から声をかけられた。

 

 怒涛の質問攻めに加えて、握手や写真を求める声。更にはプロヒーローからのスカウトなど。道を塞がれ、それらの対処を余儀なくされた遊真は精神的に疲弊していた。

 

 学校についてからは声を掛けられることは無くなったものの、周囲の人から向けられる視線は変わらず。しかし、ここではそれだけで話しかけられたり、それこそ通行の邪魔をされることも無かったため、遊真は気にすることなく教室へと足を運ぶ。

 

 そうして、いつもの倍近くの時間を掛けて教室へとたどり着いた遊真は

 

「おはよー。体育祭お疲れ!」

 

「空閑お前、あんなに強かったのか?」

 

 ここでもまた、波に捕まった。

 

 また相手をしないといけないのかとうんざりする遊真だったが、「疲れているだろうから、そっとしとこうぜ」という学級委員長の一言で、相手をする必要は無くなった。

 

 ほんとありがと、委員長。……名前は知らないけど。

 

 そんなことを考えながら席に着き、待つこと数分。チャイムと共に先生が教室入ってきて、その日の授業が始まった。

 

 そして、昼休み。昼食を取ろうとした遊真の耳に、ピンポンパンポンと、鐘の音が届いた。

 

――――1年D組の空閑遊真君。職員室までお越しください。

 

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

 ――――時は朝のHRの時間まで遡り。ヒーロー科、1年A組の教室では。

 

「コードネーム。ヒーロー名の考案だ」

 

「「「「夢膨らむヤツ来たぁぁぁッ!!!!」」」」 

 

 クラス全体が大きく盛り上がっていた。中には、腕を大きく振って喜びを表現している者もいる。

 

 休み明け最初の授業の”ヒーロー情報学”。担任のイレイザーヘッドから「特別」と言われた一同は緊張し、何が来るのかと警戒していたのだがその警戒はどこへ行ったのか。話の途中なのにも関わらず、ワイワイと騒ぐ生徒達に対して、イレイザーヘッドが「うるさい」と髪をざわつかせながら一睨み。

 

 たったそれだけでこの場を沈めたイレイザーヘッドは、説明を始めた。

 

「というのも、先日話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積み、即戦力と判断される2年や3年から…。つまり今回来た指名は将来性に対する"興味"に近い。卒業までにその興味が削がれたら、一方的にキャンセルなんてことはよくある」

 

 残酷な現実を説明された何名かは身体を震わせ、峰田に至っては「大人は勝手だ!」と吐き捨てながら、机に拳を叩きつける。一方で、葉隠はその説明を前向きに捉えていた。

 

「頂いた指名が、そのまま自身のハードルになるってことですね!」

 

「そ。で、その指名がこれだ」

 

 例年はもっとバラけるんだが、今年は3名に注目が集まった。イレイザーヘッドは葉隠の問いに答えながら、背後に設置されたスクリーンに集計結果が纏められたグラフを表示する。そして、その結果を前にまたもこの場にいる者達は騒ぎ出す。

 

 純粋に指名を貰えたことに喜ぶ者。逆に、指名を貰えなかったと落ち込む者。より多くの指名を集めた人物に尊敬を向ける者など。それぞれが多種多様の反応を見せる中、グラフを見ていた誰かの小さな呟きがこの場に響いた。

 

「……やっぱり少ない」

 

 そう。この中で一番指名を獲得した轟の指名数は約2000。次に指名を獲得した爆豪は約1500。他は大体が2〜3桁の人ばかり。全ての指名数を合計しても、その数は5000程度。全体的に指名数が少ないのだ。

 

 その呟きに反応した誰もがその考えに至り、説明を求めるかのようにイレイザーヘッドへと視線を向ける。その視線を受けたイレイザーヘッドはコクリと頷き。

 

「ああ、そうだな。だから最初に言っただろ?

 

 ”今年は3名に注目が集まった”とな」

 

 その瞬間、ある人物の姿が生徒達の脳裏に浮かび上がる。その圧倒的な実力で、自分達ヒーロー科を叩きのめした、白い髪をした少年を。

 

 この場にいる者達の目が、大きく開かれる。その反応を見たイレイザーヘッドは「気づいているようだな」と口を開いた。

 

「そう。お前達も覚えているだろう。体育祭でお前達が手も足も出なかった普通科のあいつ。あいつが、今年1番多くの指名を獲得した」

 

 因みに、これがその結果だ。そう言うと同時に、スクリーンの文字が切り替わる。

 

 空閑遊真 5,237

 

 予想以上の指名数に、ヒーロー科で最も指名を獲得した轟と爆豪を大きく上回るどころか、A組の総指名数に匹敵するほどの数を前に、生徒達は思わず息を飲む。

 

「この結果から分かるように、お前達のライバルはヒーロー科だけではない。場合によってはこいつがヒーロー科に入ってくることも、あるいはその逆もあり得る。体育祭を終えたからといって、決して気を抜くなよ」

 

 はい!! と、威勢の良い返事が教室に響く。その様子を見たイレイザーヘッドが「よろしい」と頷いた後、再度説明を始めた。

 

「……と、この話題はここまでとして、お前達には指名の有無に関係なく、いわゆる”職場体験”ってのに行ってもらう。お前らは一足先に経験してしまったが……プロの活動を実際に体験して、より実りのある訓練にしようってことだ」

 

 ヒーロー名が必要な理由も判明し、クラス全体の空気が再び盛り上がる。

 

「まあ、仮ではあるが適当なものは「付けたら地獄を見ちゃうよ!!」

 

 そんな生徒達に釘を刺そうとしたイレイザーヘッドの声に被せるかのように、1人の女性の声が教室の外から響いてきた。

 

 ガラガラガラと扉が開き、そこからミッドナイトが姿を現す。

 

「この時の名が世に認知され、そのままプロ名になっている人も多いからね!!」

 

ミッドナイトはポージングと共にカツカツと靴の音を鳴らしながら、教壇へと足を進める。その一方で、イレイザーヘッドはいそいそと寝袋を準備していた。

 

「その辺のセンスはミッドナイトに査定してもらう。俺はそういうの出来んからな。将来、自分がどうなるのか。名を付けることでイメージが固まり、そこに近づいていく。それが“名は体を表す”ってことだ。よく考えてヒーロー名を付けろよ」

 

 それじゃあ、後はよろしく。最後にそれだけ言うと、イレイザーヘッドは目を閉じる。ここでは見慣れた光景だ。

 

 そんなイレイザーヘッドをよそに、ミッドナイトの査定の元、コードネームの考案が始まった。

 

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 そして、時は昼休みへと戻り。職員室にて

 

 遊真は今、根津校長を始めとした複数人の教師達と向かい合っていた。

 

「お昼ご飯時にすまないね! 少し、君に聞きたいことがあるのさ!」

 

 校長が呼び出したことに対する謝罪を口にする。それを聞いた遊真が「ならさっさと用事を済ませてほしい」という旨を伝えると、校長は頷き、質問を始めた。

 

「それじゃあ、早速だけど……」

 

 君はどこでそれほどの力をつけたんだい? 誰から学んだんだい?

 

 校長が、真剣な表情で問いかける。遊真はその質問に対して「戦争を生き抜いた結果」だと答え、そのまま淡々と説明を続ける。

 

 幼いころから親父と共に紛争地帯を転々としていたこと。

 

 ある程度大きくなった所で、同じ『個性』を持つ親父から戦い方や武器の作り方を教えてもらったこと。

 

 とある地域で親父が亡くなってからは、親父の変わりに戦い続けたこと。

 

 戦争が終結した後は遺言に従って、親父の故郷である日本に来たこと。

 

 これらは遊真が転生するにあたって、神様がオリジナルを元に作成した背景設定だ。しかし、それを知らない教師達は、その壮絶な過去を前に、そろって言葉を失っていた。

 

「――――で、聞きたい事は終わりか?」

 

 なら戻りたいんだけど。と、静まり返る部屋の中で、しびれを切らした遊真が問いかける。すると、校長が「待ってくれ」と慌てた様子で声を上げた。

 

「確かめたいことはまだあるのさ。君、ヒーロー科に転科する気はあるかい?」

 

 その質問に、遊真はノータイムで否定の意を示す。校長も、そう返されることが分かっていたのか「やっぱりそうだよね」と頷いた。

 

 分かっていたのなら何でわざわざ聞いたのかと、遊真は疑問を覚える。そんな遊真に向けて、校長は「最後に1ついいかい?」と問いかけた。

 

 その質問に遊真がコクリと頷いた後。校長はどこか申し訳なさそうな表情で口を開いた。

 

「これは質問じゃなくて、お願いなんだけど……」

 

 近々ヒーロー科で行われる職場体験。君にも、それに参加してほしいのさ。

試しに小説の構成を変えてみたのですが、どちらの方が見やすいですか?

  • ①「一人称」と「三人称」で分ける
  • ②「三人称」で固定
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。