1.動き出す運命
米花町の喫茶店ポアロの上に、毛利探偵事務所はある。
「お帰り、コナンくん」
と言うのは
「ただいま」
コナンは室内を見渡して、「あれ? おじさんは?」
「お父さん、目暮警部に呼ばれて警視庁に行ったわ」
「ふーん」
コナンはランドセルを脱ぐ。
「僕ちょっと博士の所行って来るね!」
コナンはそう言って事務所を出た。
一方、阿笠邸には、金の髪留めをした桃色長髪の端正な顔立ちをした少女、
「本当にすまんのう。助けてくれたばかりか、家事までやってもらって」
すると、そこへコナンがやってくる。
「博士! 眼鏡……?」
コナンはキッチンで食器洗いをしているヒナギクに気付いた。
「お姉ちゃん誰?」
「コナンくん、その子は桂さんと言ってな、ワシが暴漢に襲われてるところを助けてくれたんじゃ」
手を止めて振り返るヒナギク。
「桂 ヒナギクよ。君は確か、怪盗キッドの」
「江戸川 コナン。よろしくね」
「うん」
微笑するヒナギク。
「ああ、そうだ!」
コナンは博士に歩み寄る。
「なあ、博士。眼鏡の調子を見てくれねえか?」
コナンは博士に追跡眼鏡を渡した。
「どれどれ」
眼鏡を見る博士。
「なるほど」
「どうなんだ?」
「どうやら故障してるようだな。ちょっと待っておれ」
博士が工具を用意し、眼鏡をあっという間に修理した。
「阿笠さん、その眼鏡は?」
「ああ、これか? これはワシの発明品でな、発信器から半径二十キロ以内だったら発信器の場所を特定出来る眼鏡じゃよ」
「そうなんですか」
コナンは博士から眼鏡を受け取った。
「さて、そろそろ帰るわね」
ヒナギクはそう言って玄関へ向かう。
「ばいばい、コナンくん」
「ばいばい」
ヒナギクは阿笠邸を出て行った。
「桂さん、可愛かったのう」
「そうだね」
「あら、貴方にはあの子がいるじゃない。それとも、乗り換えるの?」
「いつからそこにいたんだ? 灰原」
「今よ」
「あっそ。んじゃ、俺も帰るわ」
と、コナンも阿笠邸を出た。
工藤邸の前には、ヒナギクが立っていた。
「あれ? 新一兄ちゃんに何か用?」
「え?」
振り返るヒナギク。
「ここ、新一兄ちゃんっていう探偵の家だよ」
「うん、知ってるわ。留守なのかしら?」
「ここには今は誰もいないよ。新一兄ちゃん、今は他のところで事件の調査してるから」
「そうなんだ」
「うん」
「じゃあいいわ」
「新一兄ちゃんにどんな用なの? 僕が連絡してあげようか?」
「別に大したことじゃないわよ。じゃあね」
ヒナギクは去って行く。
コナンは疑問符を浮かべながら帰路に就いた。