練馬区の住宅街にヒナギクの住まう集合住宅ムラサキノヤカタはあった。
「ただいまー」
扉を開けて中へ入る。
「お帰りなさいませ!」
執事の
「工藤さんとは会えたんですか?」
「ううん。留守なんだって。コナンくんっていうキッドキラーの男の子が言ってたわ」
「そうですか」
「それよりお昼ある?」
「これから作るので少しお待ちいただけますか?」
「分かったわ」
ヒナギクは自室へ移動した。
机の引き出しから封筒を取り出した。中には一枚の手紙が入っている。
桂 ヒナギク 様
貴殿を優秀な探偵と見込んで依頼をさせていただきます。
私の誕生日である十二月二十日に私を殺害するという予告状が届きました。
貴殿には私の命を護りつつ、予告状の送り主を捜し出していただきたいのです。
お金に関してはそんなに用意は出来ませんが、どうかよろしくお願い申し上げます。
ヒナギクは手紙を封筒にしまい、引き出しに戻した。
コンコン──ドアがノックされる。
ヒナギクは扉を開けた。
「食事が出来ました」
「うん」
ヒナギクは食堂へ移動し、ハヤテの作った昼食を食べた。
一方、ポアロの上にある毛利探偵事務所では、
予告状によると、十二月二十日に何者かが郷田の妻を殺害するという。
「警察には行かれましたか?」
「行きました。予告状の送り主を捜して下さるとのことでしたが、進展はないようです。二十日には妻の誕生パーティをやる予定です。恐らく、そのパーティに犯人が潜り込んで妻を殺す手はずになっているのでしょう」
「分かりました! この名探偵、毛利 小五郎が事件ぱぱっと解決してみせましょう!」
「よろしくお願いします!」
健三は五十万ほどの現金が入った封筒を置いて帰っていった。
そして、予告日当日。
小五郎とその娘の蘭、コナンが練馬の東にある皇居とも思えるほどの豪邸へやってきた。
「ほお、こりゃ立派なお屋敷だな」
三人がやってきたのは、三千院家が売りに出したところ、郷田財閥によって買い取られた広大な面積を誇る屋敷だった。
屋敷の裏手には、遊園地や滑走路がある。
「毛利ご一行様ですね。お待ちしておりました」
郷田家の執事が出迎える。
執事は三人を客室に案内した。
「そんじゃ、俺は健三さんに会ってくるな」
ガチャ──扉を開けて廊下へ出る。
「こりゃ迷子になりそうだな……」
「ご案内しましょうか?」
その声に気付いた小五郎が振り返ると、制服姿のヒナギクが立っていた。
「こりゃ可愛いお嬢さんだこと」
「おじさんは確か……」
「探偵の毛利 小五郎だ。君はここのものか?」
「いえ、私も郷田さんに呼ばれて」
「でもさっき案内しようかって」
「それはここが郷田さんに買われる前、知り合いが住んでてよく来てたから少し知ってるだけです」
あ!──ヒナギクは自己紹介をしていないことを思い出した。「私、探偵の桂 ヒナギクです」