書斎。
帰ろうとする二人の警部。
「待ってください」
「何だね? 桂くん」
「自殺なら遺書を残すと思いませんか?」
「と言うことは何か? 桂くんはこれが他殺だと?」
「その通りです」
コナンは心中で同意した。
「それじゃ、殺人の線も視野に入れて調べてみるか」
ヒナギクたちは大広間に移動し、招待客たちから話を聞く。
招待客は現在この場に六人いる。他にも招待されている者はいるが、まだ来訪していないようである。
「会長が殺されたかもしれないだって!?」
「誰が健三おじさまを殺したのよ!?」
「ひょっとしたらこいつじゃねえか?」
一人の男が別の男を指差した。
「どういうことですかな?」
「こいつ、金なしでよく親父に借金してたみたいでよ。今日も借りようとしたみたいだが、断られて大喧嘩してたのを見たぜ」
「俺は殺してねえ! そういうあんただって恨みがあんだろうよ!」
「何だと?」
「お二人とも、落ち着いて下さい」
目暮が二人の名を聞く。
「では鎌田さん、貴方は被害者からいくらくらい借りていたんですか?」
「さ、三百万ほど……」
「光さん、貴方は被害者に恨みがあるとのことですが?」
「あいつには昔、母さんを自殺に追い込まれてな。だからって殺しちゃいねえぜ?」
小五郎が光に歩み寄って難癖をつける。
「とかいって本当はお前が殺したんじゃねえか?」
「そんなことしてねえよ。証拠はあんのか?」
舌打ちする小五郎。
「とにかく、皆さんには個別に事情聴取を行いますので、ご協力下さい」
「あら?」
ヒナギクがこの場に健三の妻がいないことに気付く。
「どうした?」
「今気付いたんですけど、健三さんの奥さんがいないんです」
「言われてみれば確かに」と、小五郎。
「平山警部、実はこんなものを」
ヒナギクは平山に手紙を見せた。
「奥さんは狙われているのか」
「捜しましょう」
ヒナギクたちは健三の妻、奈美子の捜索を開始する。
「奈美子さん──っ! どこですか──っ!?」
屋敷中をくまなく捜すが、奈美子は見付からない。
一同は大広間に戻る。
「奥さまは見付かりましたか?」
そう訊ねるのは屋敷の住み込み執事、
「それが……」
「そうですか……」
「分かりましたよ目暮警部!」
「一応聞いておこう」
「健三さんを殺害したのは奥さんなんですよ」
「では捕まりたくないから逃げたと?」
「でもそれだと脅迫状の説明がつかないのでは? むしろ真犯人が犯人だと思わせようとしてどこかへ監禁してるのだと私は思います」
「桂くんのが信憑性があるぞ、毛利くん」
「そういえば、まだ捜してないところがありましたね」
「捜してないところ?」
「別館ですよ」
「別館? そんなのがあるのかね?」
「はい」
ヒナギクは小五郎たちを別館へ案内した。
別館をくまなく捜す一同。
風呂場に入ると、湯船に女性が浮いていた。