死に別れENDばかりのゲームに転生しました。 作:超高校級の切望
鯖折りされることなく無事開放された。
報告書を作り、提出した次の日………。
臓器再生用のお高めの治癒ナノマシンを購入し鏡に右目を近づける。
「ぎぅ!?」
白い歯と真っ赤な舌が鏡の向こうに映り、頭の中でブチブチと音がして激痛が走る。
鏡を離すと鏡の向こうで鏡華が視神経をチュルリと飲み込んでいた。
「前回も俺の片手を食ったのか?」
「ああ、あれなら腐らないように保存してるわ………頭を撫でたり頬に添えたり舐めたり……色々使っているの」
うっとりと頬を染め頬ずりする腕は………鏡華のではなく、しかし見覚えがある男の手だった。俺の手だ……本当に腐らないように処置してるのか。
「じゃあその目もホルマリン漬けにでもするのか?」
「いいえ、食べるわ」
そのままゴクリと丸呑みする。俺の右目が………。
血はもう止まっている。治癒ナノマシンを眼孔近くに打ち込む。
再生まで2時間ってところか。
「ねえねえ、お話しましょう? 新しい小説は読んだ? 映画の話でもいいわ………お料理好きよね? お料理の話でもする?」
食料だって持ってくるわよ、そう笑う鏡華。その食料が鏡を通して持ってきたものなら良いが、こいつの【陣地】である鏡の世界の食い物の可能性もある。
【呪い】で構成された思想世界の食い物など食ったらこちらの肉体や精神が侵食される。
「断る。黄泉竈喰はごめんだ」
「ちゃんとそっちの世界から取ってきたものでも?」
「…………その場合代金払ってないだろ」
というか信じられないし。
こいつにとって俺は話し相手。なら、自分の【陣地】に閉じ込められるならそうするだろう。
「………ていうか、そもそも何で俺はお前を見れる?」
原作において名前だけが登場する鏡華……。僅かにわかっている設定は『五条家の汚点』と呼ばれる連中に関わりがあること。
手紙などで彼等とやり取りしていたこと……それだけだ。
此方で新たに知った情報は、『鏡の世界』という広大な【陣地】を持っていること。鏡を通して現実に干渉できるということ。【陣地】の特性上、他者の【陣地】に干渉できるということ。
後は、
多分一部の存在には認識できるのだろうが、それは彼女にとって隠れるべき自身を脅かす存在でしかない。
彼女に遥かに勝る力がなければ彼女を認識することが不可能なのだ。なのに俺は彼女を見れる。
「俺が死を呼ぶ者であることと関係あるのか?」
「死を呼ぶ者………? なにそれ…………その、そういうの言い出す年齢はもう過ぎてると思うよ?」
「…………………」
とても心配そうな目をされた。ぶち殺したい。
でもそうか、『死を呼ぶ者』は俺とマナコだけ。その言葉が出たのは本来制作者のインタビューだけで、マナコについて知っているヒカリはともかく此奴は知らないのか。
「結局、俺がお前を見れる理由は解らずじまいか」
「ふふ、うふふ。それは簡単よ、貴方と私が同じ人間だから」
こいつと同じ? 人の肉体の一部を要求して食ったり頭を撫でさせたりするこいつと? 何だそりゃ、馬鹿にしてんのかこの女。
「冗談はここまでにして、理由を言うわね? 貴方は精神に干渉を受けにくいの」
「精神に……?」
「干渉というか、影響? 私が認識されないけど確かに存在している。存在しているけど認識できない力が働いていて、貴方にはそれが通じていない………心当たりはない?」
「……………………ないな」
記憶を探ってみても、それらしい記憶は一切ない。
だけど、同じ死を呼ぶ者であるマナコは原作において肉体的に【呪い】の影響は受けにくいが精神攻撃の【呪い】は精神値を鍛えない限り普通の墓守と同じ耐性だったな…………。
逆、ということか? いや、そもそも俺とマナコは違う。俺は転生者で、マナコは自身を産んだ後に超死星になった存在の娘。
転生者以外俺には特別なところはない。
(そもそもマナコはあの女から生まれたからこその『死を呼ぶ』体質と【呪い】への耐性であって、一般家庭の俺はマナコとは別の形の『死を呼ぶ者』と考えるべきか?)
とはいえ、精神的に影響を受けにくいのならそれをどうにか利用して………利用して、どうしろと?
何にも思いつかない。
300年前。
アンデッドから人類の生息圏を取り戻し始めた時代。
今の医療技術なら三、四世代ほど前の時代に、人類は取り戻し始めた領域を取り合い戦争を起こした。
結果としてアンデッドが大量に生まれて、また生息圏を減らすという愚かな戦争。
「その跡地の調査、奪還任務?」
「はい。長期任務になるかもしれません………この子を預かってほしくて」
戦後の跡地だけありアンデッドが大量発生した冥府領域。
美波葬儀官は自らの隊を率いて向かうらしい。
「おとうさん、しゅっちょー? おかあさん、うわき? は、めー」
人の膝の上でなるべく体を小さく丸めたマナコがそんな戯言を宣う。チラリと美波葬儀官を見ると気まずそうに顔を逸らされた。
「………情操教育の一貫です」
「マナコ、見たものは忘れなさい」
というか以前休憩室で暇つぶししている時備え付けのテレビでそういう番組を一緒に見る機会があったが、男と女が近づいただけでアワアワと顔を赤くして、かと思えば恋人でもない男女がデートするのを見て怒ったりと忙しかったのに……まだ見てたんだ。
「…………因みに美波葬儀官は付き合った男性が浮気をしたらどうするんですか?」
「え、殺しますよ?」
「ころします」
「ああマナコ! いけません、今の私を真似しては………!」
そうか、殺すのか。この人結構真っ当なヒロインしてるけど、この人でルート固定すると他の女性キャラの好感度メインストーリー以外では上げられなくなるんだよな。
CG集めるならこの人の攻略は後回しにしなくては……あ、因みに姉の佐条葬儀官が逆NTRしてくるCGはあるよ。
「ま、まあ殺すのは言いすぎました。浮気されるような相手を選ぶのも、心を引き止められなかったのも、私の不徳がなすところでしょう…………」
「いや、普通に付き合ってるのに浮気するほうが悪いのでは?」
寂しかったから、なんてのは理由にもなるまい。相手だって同じだけの時間しか過ごしてないのだから。
まあ性欲が溜まるのは解るが昨今は便利な道具が多い。やはり浮気する理由にはならない。
「そうですか? じゃあ、遠慮なくこ……お仕置きできますね!」
「おしおき………?」
恐るべき佐条の血筋。家に害為す可能性は徹底的に排除するようだ。
「まあ、子作り自体は結婚してなくとも推奨されてますが…………」
超死星共が健在な限りアンデッドが生まれやすい世界であることには変わりなくとも、生者が多い場所をアンデッドが忌避するのは変わらない。
余程力のあるアンデッドでもなければまず距離を取る。
「こづくり?」
「子供が出来るってことだよ。詳しい内容はもっと大きくなってからな」
「こども………あかちゃん? おとうさんとおかあさんの? わたし、おねえちゃんになれる!?」
「マ、マナコ!?」
マナコの言葉に顔を赤くする美波葬儀官。
「マナコ、俺と美波葬儀官は子供作ったりする関係じゃないよ」
「あ、そ……そうですね…………」
「じゃあわたしは?」
「あ〜……マナコはコウノトリが運んできたんだ」
今の世界にコウノトリなんて自然保護区か動物園にしかいないが…………。
「ずいぶん古い迷信ですね? 500年以上前の、半ば神話化している逸話ですよ?」
「俺は古書の読書が趣味なので」
嘘ではない。遥か昔の本の方が、俺にとっては馴染み深いのだ。買うと滅茶苦茶高いけど………。
「まあ、預かるのは了承しました」
「はい、お願いします………」
遠征か………確か、【呪い】により変質し【呪い】の主を失っても尚も【呪い】を帯びた物体、呪物が登場するんだっけ?
「数多の死人が出てアンデッドが生まれた忌地ですからね………呪物には気をつけてください」
俺が言えるのはそれだけ。
呪物のせいで30人ぐらい死んだけど、じゃあ俺に何か出来るかと言われたら出来ることなんて一つもない。精々忠告ぐらいだ。
「はい、気をつけます………マナコ、お母さんの言うことをちゃんと聞くんですよ?」
「うん、わたしいいこだもん………!」
と、胸を張るマナコ。
ちゃんといい子にしてられたらペットでも買ってやろう。前回途中で中止になった発表会、新しいペットも含めてまたやるらしいし。
Q付き合ってる人が浮気したらどうします?
四条世看
どんなふうだったかしっかり見たうえでより凄いことをやらせる
天藍天音
…………え?(涙目)
佐条美波
殺します
佐条舞香
美波ちゃんなら良いわよお
■■鏡華
獣姦は昔からある性処理法の一つでしょ?
番外
ホムラ
ん〜? まあ良いんじゃない?
ヒカリ
相手が俺なら良いが、あの子がいて浮気したなら両方殺す
黒井透也
凄く悲しい………どうすればいいか友(隼人)に相談しよう