死に別れENDばかりのゲームに転生しました。 作:超高校級の切望
嘗ての戦争において戦地とは開けた場所ではない。当然だ、そんな場所アンデッドに襲われるに決まっているのだから。
ドローンや小型サイズから人間サイズの自立兵器、人間の兵士。
そんな戦士達に満たされたのが当時の戦場の光景。場所は市街地………当然一般人も多く巻き込まれ、その理不尽な『死』は同調し、他のアンデッドと境界を薄くする。つまり………
『さささむい寒い』『あたためめてええ』『いっしょにいい異様』『抱き四めて!』『にに逃げりゅなあああ』
融合したアンデッドになることがある。
方向性が近いとはいえ、それでも他人。数多の未練や執着を混ぜ合わせた存在のため
それでも『竜』にも迫る脅威の一つだ。例外的に【呪い】を発現した場合は大怨霊と呼称されることもある。因みに竜の【呪い憑き】は邪竜だ。
『あははは!』『待って』『ささみさみしい』『わたしのこどもになって』『おおいにげるなぁ』『キャラハハ!』『とももともだち!』
「ちぃ!」
装具の拡張機能で手榴弾を作り出しぶん投げる。『死』の性質を孕んだ爆炎が不死の肉を焼く。
『あちち!』『ひひやけ!』『さむむいいい』『きゃらら』『まぶしし』
が、効果が薄い。向こうが纏う『死』が濃い。
くそが! 俺も『死を呼ぶ者』ならせめてマナコと同じ性質を寄越せよ!
「ミィ!」
と、肩に乗っていたミイが飛び降り細い穴に身を滑り込ませる。俺もギリギリ通れそうだ。
すぐに飛び込む。
『ああ!』『まってて! いかないで!』『いっしよにしののの!』『みんないっじょおお!!』
ズン! と穴が揺れる。入口から伸びてくる触手を打ち抜きながら奥へ奥へと滑り落ちていく。
「とと………!」
道中穴の間にあった濾過装置を破壊して進み、別の下水道に出て、見つけた梯子を登り地下通路に出る。
300年前の技術で作られたそれらは停止していたが未だ錆びておらず、壊すのに苦労した。
「ミイ、良くやった」
「ミッキュン!」
「さて、しかし………どうしよう」
上に登らなきゃいけないのに寧ろ下に落ちた。
アンデッドが蔓延る時代に作られた街は地下に街一つ分に匹敵する地下施設がある。
戦時中のこの街なら、武器庫、搬送通路、緊急避難通路も合わせて上の街よりも広いだろう。
「ミミィ、ミイ………ミキュ」
これは、多分僕が付いてるよとでも言ってるのだろうか?
背中から登り、肩に足をかけるミイ。
「そうだな、取り敢えずここでなにかしていても変わらん、動くか」
「ミー!」
ミイを肩に乗せたまま薄暗い地下通路を進む。
空気だけを栄養とする発光菌類が照らしてくれるおかげで、強化人間の俺にもそこそこ見える。
「ミミ、ミ、ミ〜♪」
とはいえ、それでもスイスイ歩けるほどではない。走れと言われても、正直不安が残る。
アンデッドの気配はないとはいえ歌うのはやめてほしい。
「お、保存食………賞味期限は…4055年8月5日……いや、空いてるから無理だな」
逆に言えば密封がきちんとしていれば数百年は持つのがこの時代の保存食。そんなにもたせる意味? 何時アンデッドに地上の街を滅ぼされるか解らず、そうなった場合何十年、下手したら何百年も地下で隠れている必要があるからだ。
必要なら作る。それが人類の発展してきた方法。
まあその結果『五条家の汚点』なんてものも生み出しちまった訳だが………。
「…………あ」
そういや鏡さえあれば鏡華と連絡が取れる。取れるが………何要求されるか解ったもんじゃねえな。移動には鏡華の【陣地】を経由する必要がある。不用意に入ればそれこそ鏡の【陣地】に閉じ込められるかもしれん。
【陣地】から脱出できるのは出口を見つければ良いわけだが、鏡華曰く鏡が映す範囲が【陣地】とかいう超特大の【陣地】。砂漠で砂糖のひと粒を見つけるようなものだ。
後は、【陣地】を構成する【呪い】を超える力で境界を破るか………前回ヒカリが【陣地】の中に現れたのもそれだろうな。しかも【陣地】の
多分【陣地】の境界を侵食して一時的に自身が
成り立てが作った【陣地】を力任せに破ったら
俺には不可能。
いや、無理だって。下手したら世界規模の【陣地】を張ってる鏡華の【陣地】から抜け出すなんて。
媒介があるとはいえ、あいつ上級どころかロードクラスはあるんじゃないか?
流石にオーバーロード程じゃないとは思うが………。
「最終手段にしとくか…………」
それでもまあ、最悪生きてはいられるだろ。多分、きっと………相手はアンデッドじゃないし。あ、でも俺がアンデットにされる可能性も………。
「!!」
ズズンと地下通路が震える。
すぐに物陰に隠れる。結構遠く………遠く、だよな?
音の発生源自体は遠くだったが………。
「………は?」
物陰から通路を見ていると、ジュインッと真っ赤な光の線が通過し壁が赤く発光し溶ける。
ズシンズシンと溶解する鉄をものともせず現れたのは、巨大な四足の自立機械。
「……機竜………!」
アンデットが世に蔓延り『竜』が生まれる以前において『竜』の名を冠した自立型殲滅兵器。まだ稼働してんのか、300年前の
いやまて、稼働していたとしてここに来た理由は何だ?
俺を狙った、にしては狙いがだいぶ遠い………。と………
「……へ?」
空間固定物理遮断壁だの気象打撃兵器だの分子結合分離ブレードだの光熱式高熱線だの、殺意MAXな兵器満載の機竜の足が両断される。
よくよく見ると人影が………
「………あ、美波葬儀官」
「ミイミ?」
装具を纏った美波葬儀官だ。その手に水の塊………。
放たれた異能の水は既存法則に則った空間固定遮断壁を一瞬の拮抗すら許さず貫く。
〘─────!!〙
「ぎっ!?」
音響兵器!
この距離にいて内臓が震え脳が揺さぶられる。が、それは最後の抵抗。
水の槍が核を貫き強制的に沈黙させた。
あれで
佐条家の異能も併用したら、
「これ救助隊必要なかったんじゃ…………」
と、そこまで考えふと気付く。なんであの人ここに?
ポータルから離れたのは、巻き添えでポータルを破壊されないようにするため………ならつまり、少なくともあの人と戦闘出来るだけの何かがいるということになる。
「ミイ!」
「っ!?」
ミイの慌てた声に振り返ると同時に迫る一閃。咄嗟に後ろに飛び避ける。避けたつもりだが、胸の生体装甲が切り裂かれ血が吹き出す。
「ぐっ……!」
幸い内臓には達していない。けど、骨が削れて目茶苦茶いってえ!!
何処のどいつだ!?
『ん、ん〜? 変だなぁ、お前。変だ………』
「………!」
理知を感じる言葉………最低でも、
『人間のくせにそれだけ『死』の気配を抱えているくせに、強くない? てっきり殺して殺して殺し回ったかと思ったのになぁ』
黒い生体装甲………いや強化外骨格を身に纏ったアンデッド。片手に握るのは禍々しい気配を放つ身の丈程の大剣。
『あれかぁ? 弱い奴をぉ、女子供を殺しまくったかぁ? ケヒャヒャヒャ。楽しいよなぁ、あれ楽しいよなぁ!? んん〜? でも血の匂いがしない………何だぁ、お前何だよ気持ち悪い』
死を呼ぶ者、だからか? こいつが何を言いたいのかわからないが、多分おしゃべり好き。
治癒ナノマシンを打ち込み傷を治す。完治まで、10分はかかる。
『でも面白そうだ!
「!!」
と、俺に向かって斬り掛かってきたアンデッドは水のレーザーにふっ飛ばされる。
『ぐへぇ! まぁたお前か! 俺は金槌なんだよ!! 沈むから水は嫌いだぁ!』
「そこの貴方、下がりなさい!」
アンデッドの言葉を無視して俺に向かって叫ぶ美波葬儀官。俺が後ろに下がると、一瞬だけ驚いたように身を震わせる。
『あ! でも
テンションクソ高いな。脳がやられてハイになってんのか?
『人間来るの何年ぶりだぁ? あれだろ、足人!』
「…………アジア人」
『そうそれそれ。それも久しぶりだなぁ………』
まあ、骨董品とはいえ戦時中の兵器が眠ってるから色んな国が欲しがるか。機竜もいたし………。
『というわけでその男寄越せ! 俺のだ! 心臓を突き刺して持って帰る。女はいらん! 俺は男を────おっと』
と、水の砲弾が鉄の通路に穴を開ける。アンデッドはうひょ〜、と穴の下を暢気に覗く。
「殺す」
『もう死んでんだよバ~カ!!』
と、アンデッドが持っていた剣の形が変わる。あれは、銃………
『ヒャハァ!』
紫電が銃身に走り、放たれる血のように赤黒い荷電粒子。美波葬儀官は素手で殴りそらした………。
えぇ……。
ちょっと引いてると荷電粒子砲が形を変え、今度は鎖鎌になる。美波葬儀官も三又槍を構えた。まさに、その時……
「!?」
ゾワッと、2人の殺気で張り詰めていた神経をヤスリで撫でられたような悪寒。まだ、何かが来る!!
と、床が赤く光り膨らむ。次の瞬間極大のレーザーが俺達の眼の前の空間をぶち抜いた。
『あはははははあっちぃ!』
動体センサーに反応されレーザーの直撃を喰らうアンデッドはゲラゲラと嘲笑う。既存の法則の下行われる兵器の攻撃など、アンデッドに大した効力を発揮しない。
300年前は既に墓守達が存在したのだ。今ほどの強さはなくとも、アンデッドに対抗できる存在がいる以上対人兵器にアンデッドに対応したセンサーは搭載されない。
落ちてくる瓦礫の一部と認識されたアンデッドはそのまま着地するとただの死体と判断され機竜の標的から外れる。
『またなー!』
人感センサーを駆使し他の標的に向かおうとする機竜。そんなこと知らないアンデッドは取り敢えず別の方向に向かうかと歩き出そうとした瞬間、金色の何かが飛び出してくる。
『おっと』
「………チッ」
反射的に剣を振るうと首の切れた金色の獣の死体が地面に転がる。アンデッドは特に興味を持たず歩き出した。
「………………」
首を失った体は立ち上がり、切り口から無数の牙を生やす。
トテトテと首に近づき牙で掴み、剥き出しになった食道が大きく開き牙で引き裂きながら飲み込んでいく。
ゴポッと傷口が膨らみ新たに首が生える。
「ミゥ………」
苛立つように鳴くと鼻を鳴らし首を振る。
首が取れれば大概の生物は死に至る。なのに、そいつは死んでいない。死んでない故に殺戮兵器たる機竜の小型機が背後から迫る。
小型といえど大きさは3メートル。現代の武装した歩兵隊でも或いは一方的に蹂躙しうる性能を持つ。
ブゥンとメインカメラ付近のライトが発光する。警告色、或いは殺害宣言。威圧するためだけにつけたその機能は戦場で多くの兵士を絶望に落とした。
機械仕掛けの『死』の化身が小動物の命を奪う為にその機能を発揮し………
「ミフゥ………」
スッキリ、というような声を出すミイ。
運動でもしたのかグイッと伸びをする。そのまま機械の残骸から飛び降り鼻をスンスンと鳴らし闇の中に消えていった。
機竜
美波ちゃんと戦っていたのはアンデッドと墓守の戦闘の余波で瓦礫が無くなり日光を浴び再稼働した個体。
最後に現れた大型級は敵発見の報告を受け再起動した個体。頑張れ機竜! 負けるな機竜!
アンデッドとは相性最悪だし美波ちゃんには滅茶苦茶劣るしミイちゃんのサンドバッグにされたけど、主人公には勝てるぞ!
アンデッド
テンション高めのアンデッド。
位階は果たして幾つだろうね? 少なくとも地下深くでおこぼれ待ってた中級よりは強い。主人公を狙ってる