死に別れENDばかりのゲームに転生しました。   作:超高校級の切望

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かつての敵が力貸してくれるあれ

 幾つもの階層をぶち抜く熱線によって崩れる床。落ちる俺達。

 この真下には、熱線を撃った何かがいる。

 

「佐々木葬儀官! 手を!」

「っ!!」

 

 美波葬儀官の声に反射的に手を伸ばす。水の道が出来上がり、その中を通る美波葬儀官が同じく腕を伸ばす。

 そのまま美波葬儀官に手を引かれ別の階層に入り、美波葬儀官は俺を抱え走り出す。

 

「……………………」

 

 お姫様抱っこ………まあ俺の方が足遅いしな。

 

 

 

「ふぅ……索敵範囲から、外れましたか?」

 

 暫く走り、美波葬儀官が俺をそっと床に下ろす。行動がいちいちイケメンだな。

 

「数日ぶりですね、佐々木葬儀官………どうしてここに?」

「貴方が行方不明と聞いたので………」

「……っ…………それは、心配してくれたということですか?」

「ええ、まあ…………マナコも心配してました」

 

 俺はまあ、全然役に立たなかったけど。あれ、多分前日譚の小説に出てきた奴だよな? 挿絵とだいぶ変わってるけど。

 

「マナコは、元気にしていますか?」

「ええ、ペットも飼って…………ペット…………ミイ!?」

「ど、どうしました!?」

 

 ミイがいない。はぐれたか!? アンデッドが優先して殺すのは人間とはいえ基本的に生物を見つけたらまず殺すし、機竜……というか自立兵器は生体反応に反応する。放置は危険すぎる!

 

「落ち着いてください佐々木葬儀官!」

 

 慌てて探しに行こうとした俺を美波葬儀官が抑える。腕が外れるかと思った。

 

「不用意に動き回るのは危険です! アンデッド………は確実ではありませんが、自立兵器の優先度は人間を優先。あのアンデッドも、貴方を狙っていました。逃げる小動物への優先度は低いかと………」

「…………そう、ですね」

 

 少なくとも人間が来ていると認識した以上、自立兵器はそちらを優先して狙うはず。過去の戦争時に使用されたウイルスが変異して野生化した個体もいるが、あれはあくまでこの街に来た未登録の人間を狙っているから、システム上の行動プロトコルに則るはず。

 

「取り乱しました。すみません………」

「いえ………まずは、情報交換をしましょう。ここに来たのは何人ですか? 臨時隊長は…………」

「佐条特尉が………副官は天音……じゃなくて、天藍大隊長補佐。後は俺を含め佐条大隊の大隊兵が50名」

 

 俺が組み込まれたのは上が俺と美波葬儀官の関係を誤解したか、佐条葬儀官が何か言ったかだろうな。何故か知らんが気に入られてるし、吊り橋効果で美波葬儀官と接近させ………は、まあ考えすぎか。でも知り合いが自分の捜索に来たとなれば悪い気はしないだろう。

 

「お姉ちゃんが…………」

 

 嬉しそうな、それでいて複雑な表情。姉に迷惑をかけてしまって申し訳ない、とでも思っているのだろう。

 家を守るという刻まれた本能が世代を経て家族を守るに変質した佐条家の中でも、この人は『家族』というあり方そのものを大切にするからなぁ。

 

「その後いくつかの部隊に分かれて散策していたんですが………老朽化した床を踏み外して下水道に」

「…………そうですか。あの、ところでさっきペットを探そうとしていたのは?」

「ああ、どうもポータルをくぐる時に付いてきていたみたいで………さっきまで一緒に居たんですが」

 

 無事だと良いんだが………まあレギオンから逃げる際に俺に道を示してくれたり、危機回避能力は高いように見えた。多分、生きてるだろ。

 

「持ち物は?」

「食料は先輩が………俺が持ってるのは装具とただのナイフと………………」

 

 と、ポーチをあさり、ふと止まる。目茶苦茶嫌だが、それを取り出す。

 

「………………新しい装具です、適正あったので渡されました。防御系……まあ俺が使ってもあのアンデッドが【呪い】を纏わせた時点で破られますが」

「初撃は防げるでしょう。あれは、なかなか厄介でして…………」

 

 と、頭に手を置く美波葬儀官。

 

「私はお姉ちゃんと違い加減が下手です。部下を巻き込みかねないし、何よりこの冥府領域で疲労は避けたかった」

「でしょうね…………」

 

 小説版でも一度は瞬殺していた。

 

「この辺りを縄張りにしているとはいえ、それでも佐条家の異能を使わずとも勝てたのですが…………あれの()()()()()()()()………」 

 

 そう、それが本来なら瞬殺されたはずのアンデッドに対して、原作で30人死んだ理由。倒したと油断した途端、別の体を奪い復活した奴にアンデッドの死体を回収しようとした部下達が殺され、僅かな動揺の隙に更に殺された。

 

「事前に佐々木葬儀官から呪物に気をつけるように言われなかったらもっと死なせていたでしょう………いえ、このような場所に呪物がある可能性は高いのに、助言までされておいて部下を死なせてしまった」

「戦場で呪物が見つかることが多いとはいえ、確実ではありません。貴方だけでなく、全員の油断が招いたことです」

 

 いや、実際これは本心だ。だってここは冥府領域、人の世界とは異なる『死』に満ちた世界。少しでも油断するのが悪いのだ。

 

「佐々木葬儀官………」

「だから、自分を責めないでくだ……………っ!!」

 

 再び、悪寒。明らかに俺より後に反応した美波葬儀官が俺より速く動き俺を抱えて飛ぶ。

 薄暗い闇の向こうから光線が放たれ壁や床を溶かした。

 

「捕捉されましたか………」

「機竜………」

 

 大型級が一体………そして、大型級が呼び寄せたであろう小型級5体に武装ドローンが14機………。

 

「変身」

AQUA(アクア)

 

 即座に変身し、水の膜を張ると同時に再び放たれた熱戦が屈折する。が、蒸発し水蒸気爆発が起こる。

 

「佐々木葬儀官…………正直言うと、この環境で貴方を守りながらは少しきついです」

 

 この環境じゃな。あと、本当に少し面倒なだけだろう。俺が戦えませんと言ったら、守りながら戦ってくれる。問題はさっきのアンデッドや地下を縄張りとするアンデッドがその隙に現れること。

 

「まあ、自分の身ぐらいは自分で守れますよ…………変身」

EQUALITY(イクオリティ)

 

 新型装具に付け替え、変身する。構成される生体装甲の色は黒と白のツートンカラー。再び放たれる光線やドローンの放つ実態弾は………俺にダメージを与えない。

 

「でもこれ、こっちから攻撃できないんで後は頼みます」

「わかりました」

 

 防御性能は高いけど、こちらから攻撃すると向こうからも攻撃が通るようになるんだよな。

 ()()()()()()妙なところで律儀な【呪い】を残しやがって…………。

 

 

 

 

 深い深い地下。戦時中、非戦闘員が逃げ込む最下層。多くの民が逃げ込んだ。だが、この街は滅んでいる。

 電気設備の一部を破壊され、避難民が閉じ込められ最後まで戦おうとしたものは敵かアンデッドに殺された。

 

 もちろん閉じ込められた避難民達が何もしなかったわけではない。外に出ようと必死だった。でも、食料をめぐり、一度でも争いが起きてしまえば歯止めなど聞かない。

 

 殴り殺された者達はアンデッドとなり、アンデッドに殺されアンデッドになる。閉鎖空間内において殺し合う彼等の『死の記憶』は『部屋にいる者を全員殺さなきゃ殺される』………そう、全員だ。

 故に重なり合い、混ざり合い、一つとなりそれでも殺し合いをやめずその空間で殺し合いを繰り返していた。

 

『あああ』『敵だ』『クソが、死ねええ』『死にたくない』『来るなああ!』『助けてええ!』『良くもこの子をおお!』『死ね死ね死ね!!』『誰かこいつを殺してぇぇ』『あはは』『消えろ!』『ずっとお前が嫌いだったああ!!』

 

 新しい顔が生えては食われ、潰され、砕かれ、引き裂かれ、抉られる。

 それでも無限に再生し続ける肉体は300年の時を経て【呪い】を生み始めていた。

 

 ふと、体中の目玉がギョロリと天上に向く。

 何か………何かがいる。欲しい………それが欲しい。

 

『ほほ、欲しい』『殺す!』『喰らう!』『潰すす!』『飲む!』『食べる!』『ぎゃはは!』『殺してやる!』『キャハハ』『抉る!』『殺す』『殺す!』『殺す!!』

 

 本来の歴史において後数百年は地下深くで殺し合いを続けていたであろう塊は、何かに呼ばれるように上を目指す。

 

 佐々木隼人がこの地に訪れた、丁度その時の出来事だ。




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