死に別れENDばかりのゲームに転生しました。   作:超高校級の切望

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腹の中って危険じゃない、腹の中なら

 異能と【呪い】の違いを話そう。

 とはいえ、これは制作者が言っていた話をそのまま伝えるだけだが………。

 

 まず1つの本がある。ページ数が世界の大きさ、文字が人の名前、人生、動物一匹一匹の生涯に過去未来現在概念、原子から電子の数に位置まで記された宇宙そのものの本。

 異能はそこに刻まれた文字をインクに戻し書き換える力。ただし修正力によってやがて元に戻される。

 世界のリソースを超えることの出来無い力。

 

 対してこの世の理から外れ、本来ならそれ以上を記されていない筈の死者が扱う【呪い】は新たなインクを書き足す行為。

 死者が動く、それ自体が本来存在し得ぬインクで新たに刻まれる文字故に、古い文字を上から塗り潰す。

 古い概念は新たな概念に殆ど影響を与えることが出来無い。

 

 もちろん、何度も上からインクを塗りたくられた世界は摩耗していき人間という基準点による修復を持ってしても少しずつ滅びに向かっているわけだが………。

 

 なら、アンデッドに有効打を与える装具とはなにか………?

 決まっている。

 アンデッドの力を人間に装備する道具だ。

 アンデッドの力を体に流し、自ら変質しアンデッドにその身を近づける。変身を繰り返し異能に目覚めるのは、つまりそれだけアンデッドに近付いた証拠。

 異能は異能でも【呪い】に近い、この世そのものを侵す力。

 

 そこまでいけば、死んだら必ずアンデッドになる。それこそ自己の思想概念を消し飛ばせるほどの密度の【呪い】を持つ【呪い憑き】に殺されるか、インクで塗りつぶすどころかページを破いたり付け足したり出来るロードクラス以上に死後アンデッドにならないように書き直してもらわない限りは絶対だ。

 

 だから装具には強力な【呪い】が仕込まれているわけだが………。というかそれがなけりゃ運用なんてとても出来ない。だからこそそれを用意できる五条は政治的に高い影響力を持つのだ。

 

 最も、設備だの土地だの資産だので独裁は出来ないように各国に足を引っ張られているわけだが……。

 正直幾つかの国を力で侵略しちまえば死者は出ても人類のためにはなる。ただ、五条の名の下に虐殺を行なうのは本能的に出来ないし出来たとしても【呪い】の元が動くという………。

 

 つまり、【呪い】に対応できるのはアンデッドだけ。異能付き………より厳密には【呪い憑き】の装具は、世界概念の中で動く自立兵器に対して高い耐性を得る。

 特にこれはあのクソガキの【平等の呪い】を持つ装具。こちらから攻撃せぬ限り攻撃を受けることはない。

 

「終わりました………」

「あ、どうも………」

 

 こちらから攻撃するわけにも行かず体育座りで待っていたら美波葬儀官が自立兵器や武装ドローンを全部ぶっ壊してくれた。

 

「大した防御性能ですね………」

「まあ、旧時代の武器ですから」

 

 これを異能のみで破れるとしたら佐条姉妹か五条宗一郎ぐらいのものだろう。だが、アンデッド相手となれば中級不死者(ミドルアンデッド)でも場合によっては力尽くで破られるだろう。

 

 所詮は残滓だからなぁ。オリジナル以上に発揮するには使用者が強くねえと………。

 あまり長く【呪い憑き】を使用すると俺程度じゃ引っ張られそうなので変身を解除する。

 

「…………?」

「体に異変はありませんか?」

「ええ………思ったより」

 

 俺がマナコと同じ死を呼ぶ者だからか?

 でも俺はマナコのように全装具への適性を持っていない筈……。

 まあそこは向こうの審査だから嘘をつかれている可能性もあるのか? だとしても理由が解らないが………。

 或いはよほどあのクソガキと相性が良かったのか……それとも適性さえ合えば一切影響を受けないのか………。

 

「佐々木葬儀官?」

「あ、いえ………初めての異能付きに戸惑っていました」

「そうですか…………それは、貴方を変質させていきます。いずれ貴方の異能にも目覚めるかもしれませんね」

 

 美波葬儀官のような属性型はその属性に因んだ後天性異能に目覚めやすい。逆に、このクソガキ製のように新しいルールを設けるタイプは本人に因んだ異能に目覚める。

 力を使用できても世界の感じ方が違うからだ。

 

 例えば美波葬儀官の装具は溺死、炎なら焼死、ヒカリのは確か………太陽光収縮による兵器によって焼け死んだアンデッドから作られたんだっけ?

 まあ、要は死ぬ瞬間の強い記憶により発現した『死の形』を模す【呪い】は理解しやすいが、価値観によって生まれた【呪い】の場合当然簡単に理解出来ない、というわけだ。

 

「異能に目覚められりゃ、良いんですけどね」

 

 いや本気(マジ)で。後天性異能……………【呪い】に目覚めれば【呪い憑き】に対して漸く即死しない可能性を持てるのだ。

 

「ミイ〜!」

「ん? わ!!」

 

 と、暗闇の奥から金色の毛玉が飛びついてきた。ミイだ………。本当に無事だったらしい。

 艷やかな毛並みを撫でてやると目を細めミィミィと気持ちよさそうに鳴く。

 

「………その子がペットのミイちゃんですか。よろしくお願いします」

「ミゥ〜………」

「こらミイ、仲良くしろ」

「ミ…………ミィ!」

 

 不機嫌そうなミイだったが俺の言葉に大人しくなり、渋々と言った風に肉球を美波葬儀官の足に乗せる。

 

「賢い子ですね」

「ええ、こっちの言葉も理解しています。逃げる時も道を示してくれて」

「それは凄い! よろしくね、えっと………ミイちゃん」

「ミゥ!」

 

 ツン、とそっぽを向くミイ。やっぱり他のやつに懐かねぇなあ、こいつ。

 

「それよりも、地図を手に入れました。地上を目指しましょう」

 

 と、美波葬儀官が機竜から手に入れたであろう地図データを見せる。幾つか崩れた箇所もあるだろうが、これで少しは帰りやすくなった。

 

「………っ」

 

 と、美波葬儀官の後についていこうとして、何かに足を引っ掛ける。何だ?

 

「……………は?」

 

 右足首からしたが、なかった。床に現れた口が牙を赤く染めグチグチと咀嚼音を鳴らす。ゾワッと全身の毛が泡立ち、慌てて左足で跳ぶ。

 先程まで居た床が縦に裂け、鋭い牙が生え、砕けるほどの力で空を噛む。

 

「ミイ〜!」

「!!? へ、変身!」

EQUALITY(イクオリティ)

 

 即座に変身。壁に着地し勢いを殺そうとして、ギョロリと壁に目が現れる。

 

「んな!?」

 

 【EQUALITY(イクオリティ)】の専用武装は鎖の付いた円盤2つ。イメージは天秤だろう………それを呼び出しパイプに絡め空中で止まる。

 目の視線は、俺を追っている。

 

「はぁ!」

 

 直ぐに水の槍が目玉を貫く。壁を突き破りその向こうの壁ごと何枚も吹き飛ばす。だが……

 

『寄越せ』『渡せ』『感じる』『かか、感じるぞぉぉ』『死にたくない』『いきいきき』『かか蛙!』『あはは』『いい行かないで』

 

 目が、耳が、口が幾つも現れる。ぐにぐにと通路が形を変えていく。

 

「ミ、ミイ!」

「うわ!?」

 

 パイプが千切れ、変形しながら鎖に絡み付く。あれは………女の腕?

 

『キャハハハ!!』

 

 ガバリと壁に口が開く。そのまま噛み付かれるが、【平等の呪い】が無抵抗の俺に傷を付けることを許さない。

 

『ぬいいい!』

「佐々木葬儀官!」

「ミイィ!!」

 

 美波葬儀官と振り落とされたミイが慌てて駆け寄ってくる。が………壊されたはずの機竜が発したレーザーが邪魔をする。

 よくよく見ると床と同化している。

 

「こいつ………いや、此奴等!?」

 

 『死』に満ちた戦場跡地故に接近に気付けなかった……そう思ったが、違う。

 大規模な融合。変成型でありながら変質形。

 個はなく、群。【呪い憑き】のレギオン…………大怨霊!!

 

「う、おおお!?」

 

 バグンと飲まれる。そのまま下の階層に落ちる。下に本体がいて侵食していったのか、そこは正しく地獄の如き光景。

 目が、耳が、口が、顔が、手が、足が………人のパーツが人の形のまま、或いは異形化して生え蠢き、互いに食い合い殺し合う。

 

 それが俺に気付き一斉に振り返る。

 

『いっしょにいいい』『みちゅげたああ!』『よご、ぜえええ!!』

「!!」

 

 迫りくる肉や……融合しアンデッドの体となった鉄の群。感じる【呪い】の密度からして、恐らく俺の守りも簡単に突破する。

 そして俺は間違いなく此奴等を殺し尽くすことは出来ない。そんな死肉の群が………ぶった斬られた。

 

『ははははぁあはははは!! みぃつけたぁ!! 寄越せ寄越せ、その体! 『死』の匂い香るその体! 次はお前だ、お前が次の俺だぁ!!』

 

 美波葬儀官と戦っていたアンデッド………呪物により変質したアンデッドが壁を切り裂きながら現れた。

 

 


 

レベルにすると

佐々木隼人Lv.12

大怨霊Lv.45ただしレイドボス

上級不死者(ハイアンデッド)Lv.295

 

因みにゲームにおいて最大Lv.は500

 

ただしゲーム上のLv.500はあくまでゲームで登場する比較的に若い超死星なので、超死星の上位層はこれ以上

 

ホムラやヒカリはゲーム上Lv.490

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