死に別れENDばかりのゲームに転生しました。   作:超高校級の切望

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お姉ちゃん無双

 上級不死者(ハイアンデッド)はテンションハイのまま剣を振るう。

 剣は蛇腹剣となり壁も床も天上も纏めて切り裂く。

 

『ぎゃあああ!!』『いたいいいたたい!?』『やめておにいちゃん!』『ゆるざあああ!!』

 

 ギョロギョロと壁や床に目が作り出される。水晶体の奥にあるのは………機竜の光線砲……!!

 

『し死『死ぃ『しね死市『死ぃねえええええ』音ね』死ね!!』しし!!』

 

 一斉に放たれる光線。鉄すら一瞬で蒸発させる超火力。【呪い】を帯びた、アンデッドに有効な世界を侵す力。ただ………

 

『眩しいわぼけぇぇぇ!!』

 

 百を超える目から向けられる文字通り攻撃力を持った視線を浴び、無傷。生前から纏っていたであろう強化外骨格が溶け中の生体装甲が顕になる。

 血のように赤黒く、強化外骨格にも似て、それでいて何処か有機的な赤鬼鎧。

 

 ただ剥がすのが面倒だから着たきり雀になっていただけだろう。赤鬼本体は無傷…………。

 

『うぉれええがああああ!! いっちゃん、強いいい!!』

 

 巨大な斬馬刀が形作られる。いや、ていうかデカ!?

 

「!?」

 

 と、右足に痛みが走る。視線を向けると赤子のような手が足を掴み、口が傷口から血を啜る。

 

『まんま、まんまぁ………』

「づぅ!!」

 

 チュウチュウと吸い付いて放さない。グチッと赤子の手が溶け足の生体装甲に混ざる!!

 盾の横で足を潰し切る。鈍い断面に激痛で視界が明滅する。

 

 直ぐに左足で飛び退くと床から生えた赤子が巨大な女の顔に食い千切られた。

 よくよく見れば、このあたりを彷徨っていたであろうアンデッドや機械も取り込まれている。

 

 【同化の呪い】………世界を歪めるほどの高い自己を持つ中級不死者(ミドルアンデッド)以上は取り込み難いだろうが、取り込む度に【呪い】の密度が濃くなっている。

 邪魔さえなければこの基地そのものに成り代わるかもしれねぇ。

 

『まであああ!!』『にに、逃げるななな!!』『いっじょにいい!!』『げらげらげら!!』『おにい鬼おにいちゃあああん!!』

 

 地面から、壁から、天上から、次々現れる口に目に腕。

 今この瞬間も広がりながらアンデッドや多くの死者の末期の血を浴びた呪物となった自立兵器を取り込んでいるのか、【呪い】がどんどん濃くなっていく。

 

 ただでさえ【同化】を攻撃と判断されてないってのに、このままじゃ抵抗する間もなく【同化】されるほどの【呪い】になる!!

 

『気安く人の体に触れるなああああ!!』

 

 と、俺に伸びてきた手が槍から放たれた衝撃波で吹き飛ぶ。無数の刃がついた巨大な鍬のような形になり、振り下ろし【呪い】を抉り取る。

 

「…………うっわ」

 

 目茶苦茶だ………。しかも削り取られた場所が再生していない。新しく肉を膨らませて形を取り繕っているが、【呪い】そのものを抉り取られ、その場所だけ大怨霊の体ではなくなっている。密度は未だ赤鬼が上だ。

 

『安心しろおお! お前には、指一本触れさせねえええ!』

 

 わー、かっこいい。というか何でそんなに俺の身体が欲しいんだよ! 寧ろ弱体化するぞ、絶対に!!

 

『ひゃあもう我慢出来ねぇ!! お前の身体寄越せええ!!』

「クソが!!」

 

 どういうテンションで生きてんだ此奴!

 上級なら上級らしく人並みの知性を備えろ! 無理か? 無理だな!! だって元々人をぶっ殺すだけの兵器だもんな!!

 

「つ、ぐうぅ!!」

 

 振るわれる大鎌。盾2枚で防ごうとして、切り裂かれる。左腕がぶった斬られた。衝撃で吹き飛び、大口開けた大怨霊の口を突き破り隣の通路に出る。

 巨大な足に踏み潰された。それこそ虫けらみたいに。

 

『誰の身体だと思ってやがる!!』

 

 持ち上がり、足裏に口と目が出来た足に赤鬼がチェンソーの鎖を凶悪にしたかのような刃の付いた鎖を巻き付けズタズタに引き裂く。

 

『チクッとするぞ。なぁに、一瞬だ!』

 

 と、大怨霊を相手しながら俺を狙い続けてもいずれ取られるとでも思ったのか、標的が俺に変わる。殺して身体を奪うつもりだろう。

 殺す………殺される…………死ぬ

 

 

         死ぬ?

 

 

 

 

 ()()

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「あらぁ?」

 

 地上にて、舞香はふと地面を見つめる。揺れている。地震? いや、これは………何かが………途轍もなく巨大な何かが地中で蠢いているような………。

 

『おや、如何なされましたかな?』

 

 そう尋ねてくるのは、シュモクザメのような頭をしたアンデッド。大きさは180を少し超えた程度。だが、纏う異質な気配は周囲に集まるアンデッドを遥かに凌ぐ。

 

『キヒ、キヒヒ』『ギイィィ』『クスクスシクシク』『ガギギ』『かか、かかか』『女ぁ……金、家、人ぉぉ』

 

 既に人の言葉すら忘れたり、人の言葉を発しているが知性も品性も欠如した下級不死者(ローアンデッド)

 中には下卑た視線を向けるものもいる。死ぬ間際に女を犯したいとでも思っていたのだろう。

 

「あら、ごめんなさいねぇ………」

 

 そんな敵に囲まれた状況の中、舞香は声をかけられ思い出したのように彼等に視線を向ける。上級不死者(ハイアンデッド)はギチリと歯を鳴らした。

 見た目はさながら、現代人が見れば日曜日に出てきそうとでも言いそうな見た目。

 そもそもこの世界を記したゲーム自体、味方キャラは日曜日にバイクを乗り回してそうな姿に変身するのだが………。

 

「それで、えっと…………なんだったかしらぁ?」

『………私につきなさい、そういったのですよ。最後に殺されると解っていても、最後の一人になるまで死にたくないのが人間だ』

「うふふ、人間をよぉく解ってるのねぇ。元々人間だもの、当然かしらあ?」

 

 人間を嘲笑するアンデッドに対して、お前を人間だっただろうと笑顔で吐き捨てる舞香。染み出す【呪い】が鉄の瓦礫を燃やす。

 

「貴方達は潜めるものね? 人を使うのも、まあ納得ねえ」

 

 思想法則を持つアンデッドにとって世界の基準点たる人間は不快な存在。だが、世界を歪める【呪い】を持つ【呪い憑き】は、抵抗力があるが故に【呪い】を持たぬものより薄い。

 それを例えるのするならば、ゴキブリに身体を這い回られるのは耐えれずとも硝子越しに蠢いているのを見るだけなら我慢できるとでも言い表そうか。

 

 人間は不快だ、気持ち悪い。だが、一匹一匹叩き潰すのではなく巣を潰す。そう考える上級不死者(ハイアンデッド)は時に人間社会に紛れることもある。というか、現在も間違いなく紛れているだろうと睨んでいる。

 

「でも、ね? 貴方程度じゃ、何も出来ないわ」

『小娘が………!!』

 

 幼子を諭す教師のように困った顔をする舞香に上級不死者(ハイアンデッド)は苛立ち、炎を身体から放つ。それを合図に配下のアンデッド共が飛び出し……

 

「跪きなさい」

 

 グシャリとアンデッド共が地に伏せる。重力操作………催眠術、その何方でもない。

 

『……は? な、馬鹿な!? 我らは此の世の理から外れた………!!?』

「ええ、そう………だから効きにくいの。でも、この世に存在しているでしょう?」

 

 アンデッドにこの世の存在が行うあらゆる行為が効きにくい。だが、この世に確かに存在している限り多少は効く。力任せに押し切ることは可能だ………途轍もない力を必要とするが。

 

「効率が悪いけど、私が『佐条』の血を引くものである証拠………使うと、とても心地が良いの」

『さじょう………? 佐条だと!? 始祖三家の…………!?』

 

  佐条は異能を開発した一族。だが、その遺伝子には思想を定める本能が刻まれている。何故か? それは、自ら開発した能力にも現れている。

 

 元より名家、特権階級の佐条は血の本能とも違う、それでも代々教育で育まれた支配欲を持っていた。

 支配とは他人より優れた証明。容易く人を殺す力を得た佐条は身内同士で殺し合った。故に、家族を、血を尊ぶ本能を植え付けた。

 

 それでも血を尊ばせる当たり、筋金入りの選民思想。そんな者達が生み出した『支配の異能』。新たに炎を灯すことはなく、水なき場で激流を生むことは叶わず………されどそこにあるなら汎ゆるものを支配する異能。

 

 生き物も、現象も、本人が認識し、この世界に存在するなら例外は存在しない。

 

『だが………所詮は旧世代の力…………!!』

「そうね。だから、貴方達の力を混ぜるのよ」

 

 そう笑い、チョーカーのスイッチを押す。

 

「変身」

【BLOOD】

 

 【血の呪い】と『支配の異能』が混ざり合い、世界を歪める。

 上級不死者(ハイアンデッド)が万物を燃やす炎を纏い飛び掛かり………跪いたままのアンデッドと共に内側から赤い刃にバラバラにされた。

 

 

 

 

「ところで、私の可愛い妹と弟君をみなかったかしら?」

『…………お前の? 知りません、ねぇ』

 

 首だけになったアンデッドに尋ねる舞香。彼につけた隊員からこの辺りで旧文明の遺跡に落ちたと報告を受けたのだが、何処にいるのだろう?

 多分下にいるのに巻き込まれているんだろうなぁ?

 

『どうせ、死んでいる………』

「あら、あの2人を舐めないで欲しいわぁ……美波ちゃんは私程じゃなくても強いし、弟君は………とっても不思議。異能を持ってない………でもね? 死にかけた時、とっても良い目をするのよ?」

 

 初めて殴り殺そうとした時も、そうだった。

 殺気に反応するよりも速く動き出していた、あの時の目。この世ではない何処かを見つめ、それでいて全てを見透かすかのような特別な目。

 

「……………今も、あの目を浮かべてるかしら?」

 

 事を起こす前に事故が起きてしまって、残念だ。本当は自分が見ている範囲で死にかけてもらおうと思ったのに…………本当に死にそうになった時に助けてあげれば、お姉ちゃんとして頼りがいのある姿を見せられるかもしれないし…………。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

『…………お?』

 

 剣をかわされた。この身体で、良くやる。ますます欲しくなった!

 歓喜しながら心臓を狙い槍を放ち…………空を突く。

 鎌に変え首を狙い振るうが、既に飛び退いていた。

 

『うははは! 何じゃそりゃ、動きは遅いのに、()()()()()()()()ぞ!』

 

 挙動がワンテンポ速い………否、早い。

 異能? いいや、そんな気配はない。香るのは【呪い】にも似た『死』の気配!

 

 此奴は何だ? これは何だ!?

 知らない! 知らん! どうでも良い!!

 

『やはりお前は俺になれ! 身体ぁぁ、寄越せええ!!』

 

 初動が早かろうと思考速度は人間。妙なのを纏い多少上がっているとはいえ、此方のほうが速い。

 より素早く、苛烈に攻める……! さあ、どう対応する!?

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「…………………」

 

 頭痛い………痛い? 違う、気持ち悪い。

 死にそう………

 

 


 

大怨霊『百々目鬼』

特殊ギミック

時間経過による体力の回復とレベルの上昇

範囲攻撃以外の無効化

 

続編における初見殺し

推奨レベルを見て何だよ、余裕じゃんと挑めばHPの高さから倒しきれずしかもどんどんレベルが上がっていく

 

 

上級不死者(ハイアンデッド)『赤鬼』

特殊ギミック

討伐後アイテム回収し手に入れた武器をキャラに装備させるとキャラが敵対状態になる

ターン毎に攻撃範囲が変わる

 

前日譚小説一巻のボス

頭がとても悪い。CVイメージは勇者王かな

 

 

上級不死者(ハイアンデッド)『シュモクン』

本当はちゃんと強いのにお姉ちゃんがやばくてかませになった可哀想な子。え? 作中でどれぐらい強いって? ホムラが見たら「水族館行こうぜ!」とヒカリに迷惑をかけるぐらい印象にのこる

上級なだけあってクソガキアンデッドの【呪い】をぶち抜くぐらい強い

 

 

アンデッドの名前

発見者が名付ける

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