死に別れENDばかりのゲームに転生しました。   作:超高校級の切望

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世界は俺を虐めてるのか?

 ………()()()。いや、感じる。

 迫る脅威が………視界に頼らず、聴覚でもましてや嗅覚ですらなく感じ取れる。

 第六感? 危機感知…………違う。これは、『死』だ。

 迫りくる『死』そのものの情報を脳に、精神に直接刻まれるような感覚。

 生者であるが故に理解できないはずの()()は………やはり理解出来ず違和感というか…………とにかく、気持ち悪い。

 

「つっ!!」

 

 予兆を感じ取りその場から跳ぶ。床の裏から侵食していた大怨霊がまだ融合していない床を噛み砕く。

 此奴、奇襲を仕掛けてきやがった!

 知能が上がってきている? ただの本能? どっちにしろ、厄介な……!!

 

『ころさないでくれええ!』

 

 こっちの台詞だ馬鹿が!

 迫る肉片に対して、片足で避ける。未来が見える故に何とか行える滑稽な逃走劇。と……

 

『あ、はぁ………』

 

 右足が掴まれる。ニタリと笑う頭を盾で潰す。今のは、予知できなかった。直接的な死の要因以外に対して反応が薄いなこの予兆!!

 ただでさえ片足を失い動きづらいってのに、どんどん手数が増えていく。

 

『お前の視ている景色を俺にも見せろ!! 共に分かち合おうぜええ! 一緒に背負ってやるぁ!!』

 

 無数の鉄鞭に変化した武器が振り下ろされる。網の如く迫る無数の鉄鞭。一見すると逃げ場はない………だが、段階的に来る以上1秒にも満たないが、隙間がそこに存在する。

 それを読み取り、道を選ぶ!!

 

『ほぉ!』

 

 接近し、顔面に新しく生成した盾を殴りつける。

 

『あぐっ!!』

 

 噛み砕かれた。畜生め!!

 片足がないせいでバランスを取れず、急な方向転換が出来ない俺の首を掴む赤鬼。殺す気は、無い。あるなら予兆で解った筈!!

 

『ハハァ………!!』

 

 っ! こいつ、さっきの大怨霊に捕まりかけたのを見ただけで気付きやがったのか!?

 万力のような形で首を掴んだまま、赤鬼が走り出す。景色が物凄い勢いで流れる。

 道中追ってくる大怨霊の一部は追い付けず、先回りするように膨れ上がる壁や天井、床は一瞬でふっ飛ばされる。

 

『ほいっとおおお!!』

「がっ!!」

 

 ぶん投げられ、床を転がる。この辺りはまだ大怨霊の侵食が広がっておらず、ただの床。

 大怨霊の追撃から逃れるために移動したのだろう。あそこから、どれだけ離された?

 

「っ………! くるんじゃ、ねえ………!」

 

 背中から叩きつけられ、まともに動かない身体で必死に這う。

 正体不明の力がキレたのか、こいつの気まぐれか、今は死が視えない………感じない? くそ、うまく言葉に出来ないな。

 

『お前一体、何をみている?』

「………はぁ?」

『未来を見ているとか、殺気を感じているとか………その類だと思ったが違うな………違う違う! 何だ? 何を! ()()()()()()()()!?』

 

 訳がわからん。

 何処から? 何の話だ………?

 俺の力について、なにか知っている? いや、これが俺の『死を呼ぶ者』としての特性なら、此奴等のほうが察するのか?

 

『まあ、お前の身体をもらい体験するとしよう!!』

「!!」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 赤鬼は厳密にはアンデッドでは無い。アンデッドの【呪い】が独立した存在。

 形態可変決戦兵器『鵺』……それがその武装の名前。

 所有者はただの強くなりたいと、それだけを漠然と願い続けた。そして死後、【強化の呪い】を発現した。

 触れたものは【呪い】に染まり、棒切はビルを切り裂く刃と化しただの小石が戦車を穿つ。

 

 そして、生前より愛用していた武装たる『鵺』は何よりもその【呪い】を浴び変質した。それはアンデッドが消滅してもなお世界に残り、自らに触れたものを変質させる。

 力を与えるといえば聞こえがいいが、【呪い】に身を侵され変質し、()()()()()される。もはや体の乗っ取りと何も変わらない。

 

 まあこの馬鹿は武器とは振るわれるものであり、力を与えるものであり、持ち主と一心同体であると考えているから自分の意志が他者を塗り潰す事を乗っ取りなどと考えていない。

 結果として自分の意志と所有者の心が一つになるだけで………それを繰り返し、そういうものだと認識していただけ。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

〘どういうことだぁ!?〙

 

 頭の中で声が響く。俺が聞きたい。

 無理やり武器を持たされ、眼の前で赤鬼の肉体が朽ちたと思ったら頭の中で喚かれる。

 だが、意思は俺のまま。肉体が変化した様子もない。

 

〘何で俺になってない!? 何で俺と一つにならない!?〙

「知るか……つーか、うるせえ。武器なら大人しく使われてろ」

〘…………まあそうかぁ!!〙

 

 …………素直ぉ。

 

「というか形を変えて俺を殺すとかはしないんだな?」

〘はぁ? 俺は武器だぞ馬鹿だなお前!!〙

 

 ゲラゲラと頭の中に声が響く。此奴はあくまで【呪い】がこびりついた呪具。末期の血を吸い【呪い】を濃くすることはあっても、新しい【呪い】を生み出すことはありえない。

 

 こいつの思想概念は此奴の持ち主が定めたものであり、此奴自身の願いはない。ただ【呪い】の主の行為を参考に強さを求め続けた結果に過ぎない。本来の持ち主に所有されていた時の真似事………即ち誰かの肉体に振るわれること以上は出来ないのだ。

 

〘じゃあ主、これからどうする?〙

「…………………」

 

 馴れ馴れしいなこいつ。

 だが、正直此奴の存在はありがたい。此奴の【呪い】の密度なら、あの大怨霊にも傷を与えるだろう。

 

『きひ、び……みちゅけだああああ…………』

「………………」

〘あ、おい!? 斬らないのか!?〙

 

 無理だろ。

 蜂の毒を得たからって象に自分から喧嘩うる虫けらがいるか。少しでも知能があるなら逃げを選択する。

 片足がないせいで上手く走れな………あ、そうだ。

 

「お前ちょっと義足になれ!!」

 

 剣を切れた足に押し付け形が変わるように命じる。直ぐ様形が溶け崩れ、黒い義足へと変化した。

 これで走りやすく……

 

「…………うわ」

 

 前方の壁床天井にギョロリと目玉が現れ、牙や爪や肋が壁のように展開し、無数の手が伸びてくる。

 再び感じる死の予兆………逃げ場は…………ないな。はは、これって絶望的な状況じゃなんの役にも立たねえや!!

 

 などと現実逃避を一瞬だけしてしまう。すぐに正気に戻る!!

 なんでも良い! なにかしろ! こんなところで死んでたまるか!!

 

 と、片足がグンと上がる。

 いつの間に脛から膝にかけてブレードが走り……迫ってきた手や行く先を塞ぐ骨壁を切り裂いた。

 

「お前……俺の身体を!?」

〘まだくるぞ兄貴ぃ!〙

 

 さっきと呼び方が違う!?

 などと考えながらも迫る大怨霊の手を避けねばと思った瞬間、体が勝手に動き隙間を縫う。

 変身していようが俺には絶対無理な動きだ。筋肉がちぎれ、関節が軋み、骨が罅割れるような激痛が走る。

 

「ぎ、がっ!?」

 

 頭痛もする。視界が歪む………気持ち悪い!

 それでも此方の都合を無視して迫る大怨霊をぶち殺したいと睨むとまた身体が勝手に動き肉を切り裂き、義足の足裏にエネルギー砲が形成され放たれたエネルギーが階層壁ごと大怨霊をぶち抜く。

 

「あっつ!! おいてめぇ、勝手なことするんじゃねえ!!」

 

 ていうか結局俺を操れるのかよ!?

 意識を保ったまま肉体だけ操られるなんてどんな拷問だ。俺が一体全体何したってんだ!!?

 

 銃身と至近距離どころか接触した状態でエネルギー砲なんて放たれたものだから文字通り神経が焼かれる痛みに失禁するかと思った。

 

〘なぁに言ってんだ、俺は武器だぞ!使われる存在! 旦那が言ったんだろ!? 痴呆症か!?〙

 

 溶鉱炉に投げ入れて封印してやろうかこの鉄屑。

 だが………確かにそうだ。此奴はあくまで強くなることを願ってアンデッドの【呪い】が染み付いた呪具。ただただ純粋に殺すことを臨んだアンデッドの【呪い】でもない限り、武器の範疇…………意思あるものを操れないという常識を超えない。

 

「本当だろうな!? うお、まだ来る!」

 

 とはいえ、そもそも何故俺程度が此奴の【呪い】に染められないのか、それも解らない。転生者にして『死を呼ぶ者』というこの世界の異質がそんな常識に当てはまるかはわからない。

 事実として俺の身体は俺の意思を無視して動いている……。

 

「っ!!」

 

 頭を熱した鉄棒で砕いて中の脳に押してたかのような激痛に襲われ、死の予兆が消える。背後から迫った無数の腕で組まれた拳に気づかず殴り飛ばされる。

 

〘主!!〙

「統一、しろよ………てか、何で避けなかった………」

〘御主人が動かなかっただけだろ? 人のせいにするのは政治家の始まりだぁ!〙

 

 こいつの時代どんな政治家が収めてたんだ?

 というか、俺が動かなかった? こっちは身体を勝手に動かされ………いや………

 

『あははぁ!』『そばに痛ええ!!』

 

 迫る肉塊を斬ると念じる。体が動き、ぶった斬る。

 避けろと念じる。僅かな隙間を潜り抜け回避する。

 

「………こういう感じか」

 

 ゲームの操作に似ている。『攻撃』『回避』『防御』のコマンドがあって、それを選択するとキャラがその行動をする、みたいな………俺がそれを行うと決めれば最適な形で実行する。

 

 ただしこちらの身体の都合は気にしないものとする。

 

 身体が悲鳴を上げる。身体能力を上げるために【強化の呪い】を流したのだ、異質な力に肉体が耐えられない。

 もっと【呪い】に耐性があれば別だろうが………

 

『ひひひ!』『死にたくないよぉおおお!!』『ここから出して』『おおまえもみみちづれにいい………!!』

 

 クソが………。

 

「生きてるなら俺の身体を使い潰せ! ここから、まずは生きて──!!」

〘逃げろ! やべぇのが来る!!〙

 

 クソ剣が叫ぶと同時に、『死』を感知する。

 俺の周りを包むように現れた、濃密な死。次の瞬間大怨霊が侵食し変質した肉も、鉄も、耐腐食樹脂も……何もかもが纏めて腐り果てる。

 

「あら………あらあらあら………変わった子がいるわ。その子を持ったまま意識を保てるのに、貴方自身からは【呪い】の匂いがしない」

 

 崩れていく古代都市の崩落に巻き込まれるなか、急に落下が止まる。何時から現れたのか、包帯を巻いた女が俺の片腕を掴んでいた。

 

「ぎぃ、ぐぅ!?」

「あらあら! ごめんなさい、ええと…………」

 

 触れられた箇所が腐り始めるのを見て、女はキョロキョロあたりを見回し、無事な地面見つけると俺をそこにぶん投げる。

 

 俺が立ち上がろうとする中、ふわりと目の前に降りる。少し地面から浮いているが、足元が腐り始めている。

 

 攻撃、ではない。収まりきらない【呪い】が溢れ出しているのだ。

 

「………腑廢の王………緋佐奈」

「あら? 私を知っているの?」

 

 ニコリと微笑む肉感的な女。包帯から覗く箇所だけでも十分美しさが伝わるが、その包帯の下は醜く腐り果てている。

 

「お顔を見せて? そんなもの似合わないわ?」

 

 とん、と軽く額に触れられ、変身が解除される。

 

「──っ!? ぶぅ、うえええ!!」

 

 途端に流れ込んでくる何か………あまりの気持ち悪さに吐き出し、頬を暖かい何かがつたり地面に赤い斑点が描かれる。

 目元から………いや、鼻からも…………血?

 

「あらまあ、可愛い顔。それに……ふふ、不思議ね。貴方生きているのに、『死者』の匂いがするわ? はじめまして、自己紹介は必要かしら? 私は緋佐奈。可愛いお方、貴方の名前を教えてくださる?」

 

 


 

 

『死の予兆』

異能とも【呪い】とも異なる佐々木隼人の『死を呼ぶ者』としての特性。

本人の感覚としては数秒先の『死の要因』を認識している。

その本質は訪れる死に対して俯瞰的に観測するというもの。使いこなせれば間接的な死の要因を読み取れるようになる。

本来生きてる人間に『死』は理解出来ない。全く対応してないデータを突っ込んでるようなものなので、長時間使用すると脳細胞が死滅する。

定期的に使用し続けると…………?

 

 

鵺ちゃん

嘗ての所有者の【呪い】により変質し自我を得た呪具。身体を乗り換えながらより強大な存在へとなろうとしていた。

本来の歴史において美波に空間ごと捻じ砕かれる。

 

 

腑廢の王

アンデッドロード

天音ちゃんの死亡要因1因

Lv.370

腑(はらわた。または考え性根。心)

廢(廃れる、衰える、滅びる)

つまり精神すら………

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