死に別れENDばかりのゲームに転生しました。   作:超高校級の切望

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2人いるなら3人目もいるかも?

 俺がアンデッドの精神干渉を受けないように、マナコはアンデッドの【呪い】による肉体への変質を受け付けない。

 もちろん攻撃として扱われる【呪い】はその限りではないが、人を作り変えるとか肉体を乗っ取るとかそういった【呪い】が効かないのだ。

 まあその分鵺のように精神的な繋がりが必要とする呪物を扱えないのだが……これはそもそも装具にした方が安全なので関係ないが………。

 

 とにかく、マナコは【呪い】を中和する。

 この世ならざる力を調和させ無力化する。

 それが死者と生者の狭間の者…………『死を呼ぶ者』としての特性。

 

 この世界の『死』を宿すマナコは『死』そのものであるアンデッドの【呪い】に干渉する。ちょうどヒカリが【陣地】に侵入したように、鏡華が己の【陣地】を通して他者の【陣地】から人を攫ったように………。

 そして()()()()()()()()()

 

 つまり既存法則の基準点である人間なのだ。

 散々アンデッドに凌辱され尽くしたこの宇宙が滅ばないのは、人間が持つ長い歴史に裏打ちされた人類の集合的無意識に刻まれた共通認識を基準に宇宙が己を保とうとしているからだ。

 

 まあ、超死星共がその気になれば人類が何兆人と存在しようとも塗りつぶされるのだが………。

 

 とにかく、マナコはこの世界の基準点に繋がっている。故に【呪い】に干渉し、基準点に戻す………中和し消し去ることが出来るのだ。

 

 俺の『死』は………こちらの世界で起きた事ではないからマナコ程の干渉力はないと見るべきだろう。でも『死』には違いない。

 『死』の気配がすると言われてるしな。

 

 多分海水と汽水域程度の違いがあるんじゃないかな…知らんけど。

 ただどちらの特性も持っているから死者を生者の世界に繋げる存在に見える。この世界の『死』が存在しない俺はアンデッドにとっては理解し難く、殺して同じにしようとする………っていうのが俺の考察。

 

「………あれ?」

 

 そうなると、俺って四条女医の読心対象に入っているのでは? いやでも、ある意味未来の知識を手に入れたにしては態度に変化がない…………こっちの『死』ではないから関係ないのか?

 

「おかあさん………?」

「ん、ああ………なんでもない」

 

 絵本を持ってきたマナコの頭を撫でながらそう返す。どうやら考え込んでいたらしい。

 膝の上で丸くなっているミイをそっとクッションの上に乗せる。

 

「ミイ〜、ミイ〜」

 

 寝息を立てるミイ。鼻頭を撫でてやると気持ちよさそうに唸る。

 

「それにしても、こんなに見事な生成獣ですね。これをただでなんて………」

「まあマナコも気に入ってくれましたけど…………それにしたって月の獣(ルナビースト)って名前は………」

「佐々木葬儀官は月神教がお嫌いで?」

「嫌いというか………」

 

 普通に怖いじゃん、彼奴等。何を信じているのか、まるで理解していない。

 月でアンデッドになる可能性はとても低い。時折現れるアンデッドは、まず絶対に【呪い憑き】にはならないし、通常兵器でも倒せる。まあゾンビ映画のように銃だけで、なんて簡単には行かないが、

 強いて言うならゲームのボスゾンビ? 目茶苦茶強いけど重火器で殺せる。

 

 その理由は月の神に守られているから、と言いはるのが月神教。否定はしない…………月にて眠る原初にして序列1位の超死星『蒼白い月の目』輝夜の影響だからな。

 

 眠っていようとその力は強大。

 平和な世界を夢見て眠り続けている彼女の夢は一説では過去の記憶ではなく別の世界を見ているとか無意識に作り出した分身が見ている光景を見ているとか………。

 まあ、そんな存在がいる月で凡庸な思想概念など確立できるはずもなく、まずアンデッドになることは不可能。

 

 地球では死者の王(アンデッドロード)になれたであろう存在がギリギリアンデッドになれる程度。ただし月に住む者同士で輝夜の思想概念に慣らされ普通の攻撃でも通る。

 

 ここだけ聞けば良いことだらけ。後は装具でも持って行けばアンデッドにも対応できる………などと思っても月では装具は使えないし、目覚めた時まばたきで死ぬ。

 

 ゲーム本編で目覚めることはなかったがゲーム後は知らん。というか『死を呼ぶ者』である俺が行ったらどうなんの? 怖いんだけど。

 

「佐々木葬儀官?」

「こんな世界を放置してる時点で、ろくな神では無いでしょうし」

 

 序列2位と3位の方がまだ崇めがいがある。

 因みに二つ名は『星なき闇夜』と『滞留する冬地』だ。

 虫けらに竜の大きさの違いなど解らないから序列は確認されている順につけられていたが、それぞれ2柱の超死星を宇宙を壊さぬよう気を使いながらぶち殺してその序列になった。

 

 制作者いわく『この2人は他の超死星と同列に扱わない方がいいです』とのことだ。

 

「ろくな神ではない、ですか………それは人前で言わないほうが………」

 

 月面だけではなく、地上にも信者はいる。何なら葬儀社の中にも居るぐらいだ。流石に不敬だぶっ殺せという程の信者は葬儀社にはいないと思うが、まあいい顔はされないだろう。

 

「それに、月の巫女が今度うちに来るらしいですし………」

「え、なにそれ知らない」

「おかあさん、えほん、まだ?」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 月面都市。

 人類の手に取り戻して100年。地球上の大都市にも匹敵する程発展していた。

 二千年前の科学では再現も説明もできぬ技術で作られた巨大ドーム内は月の氷を溶かしてた水を分解して造られた酸素を人間にとってちょうどいい濃度に調整された空気を守っている。

 

 嘗ては隕石や宇宙線の影響を考慮して地下空洞に作られていたため地下にも広大な街が存在する。しかし今は技術が発展し、また月の女神が地球を見守れるようにという理由から大聖堂を中心として修道院が建てられ、街が作られている。

 月の外から見れば巨大な眼球が月に埋まっているように見えることだろう。

 

 そんな月の大聖堂で祈りを捧げる集団。

 月の女神に自らが見た日常を捧げるという意味で、両手で目元を押さえるという代わった祈り方だ。

 

 今は祈りの時間。教主が合図すると、全員手を離す。

 

「明日より我等が巫女が、地球へと旅立ちます。悲しいことに、地球では我等の住まう月ほど女神の加護が強くない。しかし、神の代弁者たる彼女ならば悲しきアンデッド達を輪廻の道へと導き神の威光を示すことでしょう」

 

 パチパチと拍手が響く。中には涙を流すものまでいる。

 そんな様子を、特別席から冷めた目で見下ろす少女が居た。

 

「神の威光ねえ……知らないわよ、そんなの」

 

 ふぅ、と憂いを帯びた貯め息を吐く少女。巫女、聖女…………様々な呼ばれ方をするが、彼女は自分をそんな大層な存在だとは思っていない。

 

「だいたい、本当に神なんてのがいるのなら、あんなわけの分からない存在を人々のために消し去ってるでしょうに」

 

 月にいるアンデッドは弱いらしい。

 地球上のは強い。

 月の女神の威光? 何だそれは。そんなのどうやって使えば良い。

 彼女は月の女神など信じていない。それでも彼女が月の巫女などと崇められる理由は………アンデッドに有効な力を持っているから。

 

 この世界で死んだという『死』に干渉し、『死』を増幅させる力。アンデッドを死体に戻す力。

 こんなの、ここに来るまで持ってなかった。

 

「…………私、ただのハンターだったのだけれど」

 

 ここではない何処からか来た『死を呼ぶ者』は、疲れたというようにため息を吐く。

 

「地球のアンデッドとか、会いたくないわ…………」

 

 

 


 

 

月の巫女ちゃん

『死』に関わる3人目の生者。

主人公と年の近い23歳。彼女は本当に、偶然現れたのだろうか?

全ては月の女神様が知る。さあ、みなのもの讃えよ。

 

女神スゴーイ!!

 

え? 碌でもない神の匂い? まさかまさか。序列1から3はましな超死星ですよ。

 

能力は全員ヤバいけど超死星に限っていえばツァーリボンバと水素爆弾の爆心地にいるアリにどっちがヤバかったですかと言うようなもの

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