死に別れENDばかりのゲームに転生しました。 作:超高校級の切望
壁ができるのは数十分。磁力で連結する超小型ロボットをばら撒けば指定した形を制作する。後はその超小型ロボット達が己を溶接して完成だ。
ちなみにもっとコストを無視すれば某未来からロボットが来る映画のような液態金属があるが、まあ使われない。
高級住宅には使われている。部屋の模様替えもとっても簡単。因みに葬儀社は細かいブロックに分かれていて組み換えが可能。
「もう壁ができてる…………何時見ても仕事が早い」
「そうかしら?」
元の世界の建築を知る俺にとっては普通のことなので、俺の横でイカ焼きを食いながら首を傾げるナナナ。
「佐々木葬儀官は壁際の街の出身だから近くで見てきて、違いが解るんだろ。技術者達の進歩を感じるな!」
と、たこ焼きを食いながら叫ぶイッテツ。因みにどっちも再現食材を俺が加工したもの。買い物してるところで出くわし、弁当を作ってくれと頼まれた。
この二人から見ると俺はレトロ漫画やドラマの料理を再現するのが趣味の人、といったところだろう。
昔の祭りの資料見てこれを作ってくれと頼まれた。因みにマナコは綿飴を欲しがった。
でも見回りの弁当に欲しがるものじゃねえよそれ。
俺は普通に焼鮭弁当………。
人工細胞を決められた形に整えただけなのに、味の再現は完璧。
「二千年前、態々船を出して捕まえていたのも納得ね………」
「海に出て捕らえたり、人の手で育てたりしていたという。勤勉だな!」
因みに安価な人工肉製造技術が出来てから、家畜はどんどん殺された。そりゃそうだ、食わないのに育ててやる理由なんてまるでない。
本物の肉を食いたい金持ち用の小規模な牧場を除き牧場は廃業し跡地にはビルが建つか自然保護区になるか………まあその殆どがアンデッドに奪われ、現代の人類が自然保護区を作る余裕ができたのはほんの50年前らしいが……。
そこでは一部の金持ちが狩猟を楽しむか、一般人から金とって開放するかだが。
鉄の森とも称される旧文明の遺跡を越えた先には自然が復活している場所もあったりするけど………生態系? 生物兵器ならぬ兵器生物達が独自の進化を繰り返して築いてるよ。
「まあでも作れる技術があるなら余計な苦労はしたくないけど」
「労働は最高のスパイスとも言うぞ?」
「それならアンデッド退治で十分でしょう?」
「命を育てる。それ以上の手間暇などあるまい!」
手間ひまかけて作るなら別に人工肉でも良いよ派の俺とナナナに対して、イッテツは手間ひまをかけて手にした食材のほうが美味しいよ派らしい。
「命を守る行為だって軽視されるいわれはない」
「!? そうだな………俺が軽率な言葉選びをしてしまった。すまない!!」
うるせぇ………。
まあ、いい奴ではあるけど……。
「それでは佐々木葬儀官、追えるか?」
「ああ、やってみる………」
建て直しが進んだビル。かつての世界だったらもっと掛かるだろうが、ここは未来。死体が住み着いていたなんて、言われなければ解らないだろう。
そして、ああいう地縛タイプのアンデッドが住み着いた場合、外観や内装を大きく変える。
そこが自分の居場所だと認識させないためだ。
そんな見る影もないほど作り変えられた部屋にて、『死の予兆』を発動する。
取り敢えずは後天的異能という扱いになったこれは、迫る『死』のみならず『死の気配』………アンデッドの痕跡を感じ取る。
ああ、気持ち悪。
「っう………掴んだ………」
嗅覚でも視覚でも味覚でも触覚でも、ましてや聴覚でもない何かで感じ取るそれを、脳で理解するために無理やり五感に当て嵌める違和感。
頭痛がする。目眩がする。耳鳴りがするし鼻も痛ぇし舌がイガイガして肌がチリチリ痛む。
あの時は必死で体の調子を感じてる余裕がなかったが、これキッツい…………。
「うぷ………追うぞ」
「ええ……イッテツ、他のメンバーも呼び戻して」
「おお!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
戦場となった都市の真下に広大な地下空間が広がっていたように、今の文明の地下はまるでシロアリに食い荒らされた樹木のように穴だらけだ。
天候すら操作可能な今、水害を気にしているわけでもない。
浄水機能が遥かに発展して今、態々深く水道を通す必要はない。
地下は避難施設だ。地上の人間をそのまま避難させ、数百年繁殖しながらでも過ごせるように整えられている。
しかし同時に、管理しきれぬ部分が存在する。地上に行場のない者達が勝手に住み着き、死後アンデッド化して広大な地下に潜み………時に設備を破壊し堂々と住み着く。
嘗て人が作り、今や人の手が届かぬ地下の迷宮………そこで死んだ人間がアンデッドになったり、そこに死者が住んでいるという人々の無責任は無意識がアンデッドに住みやすい環境を作り出す。人呼んで黄泉。
「お兄ちゃん、それとって…………」
そんな場所で見つけた居住区の整理をする幼い少女と少しだけ年上の少年。テキパキ働く少女と、ぼんやりした少年。
しっかり者の妹とのんびり屋の兄のような光景だ。
のんびりした兄に頬を膨らませる妹。
「もうしっかりしてよ。お父さん迎えに行くんだから………」
「……………うん」
「部屋をきれいにしてね、お父さんに褒めてもらうんだあ」
頭を撫でてもらう妄想をして、笑みを浮かべる少女。少年はそんな少女の頭を撫でる。
「えへへ、ありがとうお兄ちゃん! ほら、お兄ちゃんも一緒に頑張ろ? 2人で褒めてもらおうよ!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「………地下か」
ヒカリは地下に潜っていく隼人達を見て呟く。
今、この地下には彼女がいる。本来死したその瞬間に変質するはずの超死星…………その前例を覆した異端の超死星………マナコの母にして、ヒカリの………
「面倒なことになった………」
強い我を持ち、生前と変わらぬ人格を持つ筈の中級以上のアンデッド……しかし彼女はその異端な生まれ故か、狂ってしまっている。
そんな彼女が娘と同じ『死』を纏う生者を見てどんな反応をするのか、ヒカリにも想像できない。
ただ、面倒なことにはなるだろう。
自分が出向けば或いは片付くのだろうが………そこが人間性を捨てきれないヒカリの甘さだろう。
ヒカリやホムラが本格的に動けば、この世界の大抵の問題は解決できる。出来ないのは超死星関連やアンデッドの発生ぐらいだ………。
いや、アンデッドの発生だけなら今の人類を1割以下にすればできるかもしれないが、その過程が現実的ではない。
「はぁ………仕方ない」
自らの身を光で焼いてでも【
そのためには全てを捨てると決めたとはいえ、狂ってしまった彼女はともかく今を生きているマナコには自分で判断できるようになるまでは安全に生きて欲しい。
ホムラが聞けば「やーい、中途半端ー」などと煽られることだろう。自覚はしてる。
「久し振りに彼奴に会いに行くか」
ヒカリはそう言うと片腕だけ変身させ、周りの屈折率を弄り姿を消す。【呪い】による痕跡も一切漏らさぬように隠蔽し、地下の入口へと歩き出した。
イッテツ(五木哲也)
元気、五月蝿い。ホワイトデーにケーキバイキング連れて行くタイプ。ナナナとは幼馴染でしっかりした妹のようなものだと思っている。
ナナナ(樹菜奈々)
ちょっと面倒くさがり。ホラーが苦手。バレンタインにハート型作った後作り直すタイプ。イッテツとは幼馴染で世話の焼ける弟のようなのものだと思っている。
因みに誕生日は同じで、お互いの父は親友同士で「さすが兄弟、同じ日に仕込んだな!」とよって叫んで嫁さん達にボコボコにされた
因みに作者の性癖は血の繋がらぬ親子の絆。
強く出てるのは『性格の悪いインキュベーター』と『オラリオに失望するのは』だね
感想くれ