死に別れENDばかりのゲームに転生しました。 作:超高校級の切望
強制転移を受け、気付けば通路のど真ん中に立ち尽くしていたナナナ。
周囲にはアンデッドの群れ。姿形が近いのは未練が近いから。だからこそ群れているのだろう。
『アヒャ!』『おお多おん、怨、女ナナぁぁ!』『か、顔、かおを寄越せせ!』
目も鼻もなく、大きく裂けた口のみの
今は生体装甲を纏っているのに顔を求めてくる。確かにシャチをもして何処となく可愛げがあるが………。
「…………」
ナナナは地面に潜る。そういう呪いを持っているのだ、この装具は。
他にも頭から衝撃波……というか音波を放てる。この装具の元となったアンデッドに取って鯨類が生き物を殺す形だったのだろう。
『ギ?』『どここ此処何処だああ!?』『探せせ! 私の顔!』
ぬるりと壁から現れたナナナがアンデッドの頭を蹴り砕く。仲間がやられたことに気付きナナナを食い千切ろうと大口を開けるアンデッド達だったが、ナナナが放つ怪音波に体が硬直する。
ナナナの生体装甲の腕から生えた鰭のようなブレードがアンデッド達を斬り裂いた。
「……ふぅ」
床に転がる肉片を燃やしていくナナナ。【火葬場】に持っていく余裕はない。ここで焼いておくべきだ。
呪いを帯びたアンデッドの肉を他の生物が取り込むと呪いに犯され新たなアンデッドとなるのだ。
中にはこれだけバラバラにされても死なないアンデッドもいるし。幸い、ここのアンデッドはそこまで強く自己の不死性を認識出来てないようだが。
それ以前にナナナの押し付ける『死』に抵抗出来ていないだけか。
「で、ここはどこかしら?」
構造的に地下であることは間違いないと思うのだが、見覚えがない。地図も使えない。アンデッドが住み着き手放せなくてはならなくなった旧区画の何処かだろう。
「イッテツは……まあ彼奴なら無事ね。佐々木葬儀官や他の皆は…………」
どうだろうか?
一人一人はそこまで強いわけではない。
隼人は詳しく知らないが、なんでもアンデッドに狙われやすい体質らしく、これまでも任務ランク以上のアンデッドに遭遇したりするらしいが………。
心配だ。まずは彼に合流するとしよう。
『キヒ!』
「!?」
と、地面をゼリーのように抉り巨大な爪が現れる。現れたのはモグラのような爪を持ったアンデッド。
『シャチ? 可愛ねぇ! ぐちゃぐちゃに磨り潰して、トイレから海に流してやる!』
会話が成立するレベルの
『ヒャアアアア!!』
振るわれる爪は、触れれば抉り取られるだろう。モグラといえば掘った土を外に出すと資料で呼んだが、削り取られた範囲に対して散らばる土が少ない。
こいつは一度も地上に土を捨てることなく穴を掘り続けられるのだろう。それこそ、アニメのドリルを先端につけた地底探査船のように。
(ただの穴掘りのくせに、軟化と消滅の【呪い】を………!)
【呪い】を濃く纏う変成型とはいえ、ここまで強力な【呪い】を持つとは、自己認識により強い
「あの爪に触れるのはまず…………」
と、目の前に光の柱が現れた。
「っ!!」
離れていても生体装甲にピリピリと痛みが走る超強力な【呪い】の余波。
【光の呪い】は総じて強力なものが多いが、これは………。まさか、
下から来たのかも上から来たのかもわからないが、少なくともこの場に確実に、自分では手も足も出ない強者がいる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その『死』は大戦時代ありふれた死に方。
空気中に漂うナノマシン。太陽光を屈折させ、熱を遠方に届ける発電・環境制御微粒子。それにより収縮された熱線は地面を容易く蒸発させ、当然目標となった存在を消し飛ばした。
ただの
レーザー砲で死んだ者も似たような呪いを持つが故に見分けが付きにくいが、兎に角『光の呪い』は最強格の呪い憑きとみて間違いない。
ヒカリが扱う装具の元となったアンデッドは、そんな『光の呪い』を持つ呪い憑きの中でも最強だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「たく、数が多いな」
蟻型のアンデッドの頭蓋を踏み砕き愚痴るヒカリ。取り敢えず濃い【呪い】に向かい光線を放ってみたが、死体が消滅しない事から本体ではないのだろう。
時折生まれるのだ、増殖能力を持ったアンデッドが。生み出されるアンデッドは本体の劣化だが、性能を一部特化させその性能に限り本体に近付ける事もある。と、大物の気配が近付いてくる。
『ギジィィィィィィィッ!!』
天井を食い破り現れたのは女王蟻型のアンデッド。人の上半身に蟻の顔。異様に膨れ上がった虫の腹部を持つ下半身。
『ギ、ガ、ギシャアアアアア!!』
「
邪竜よりはマシかと構えるヒカリ。次の瞬間……というのも短い刹那で、アンデッドの首を引き抜いていた。そのままグシャリと握り潰す。
『────!!』
不死なる体はそれでも敵へと向かい、無数の光線で穴だらけにされた。
『カ、ガ………ガエ、ゼ』
「ん?」
『我、子を………返せ………』
「お前が産んでいたのは腐肉だろうに………」
ヒカリは再生しようとする頭部を踏み潰そうとして止まり、適当な蟻型アンデッドの死体を女王蟻型に投げつける。
『ア、ア………!』
人に近い上半身を動かし抱きしめ、ヒカリの呪いに蝕まれ事切れた。ただの分身でしかない蟻型アンデッドの死体はすべて消える。
「はぁ………」
ポリッと頭を掻くヒカリ。その背後から襲いかかるトカゲ人間のような
『なるほど、お強い』
「む……」
と、影からズルリと現れる人影。黒い鎧を纏ったような人に近いアンデッド。先程まで【呪い】の気配を完全に隠していたようだ。
この【呪い】の密度は
『ですが、それだけ他者の【呪い】に身を浸していればまともに死ねませんよ? 死後アンデッドに成ったとしても、それは成るのではなく
「馬鹿言うな、俺がこの程度の、しかも搾り滓に飲まれるわけねえだろ。奴にできるのは俺がわざわざ使ってやって、長い時をかけて漸く俺を消す程度だ」
『思い上がりますね。良いでしょう、その自我……死後強いアンデッドになりそうだ。装具の【呪い】に食われる前に、私が殺してさしあげましょう……』
ざわりと周囲の影が蠢き、平面のはずのそれが空中に這い出してくる。
「…………
と、ヒカリが片手に光をため………
『あら、やっぱり…………』
『!?』
突如、床を砕き現れた巨大な口が
『久し振り。じゃあやっぱり、あの気配はあの子の? ねえ、どうしてあの子を私の前から連れて行ったの?』
巨大な口の眉間辺りに、美しい女が生えていた。白い髪をした赤い瞳の美しい女だ。女はヒカリに親しげな笑みを向けながら尋ねる。
「あのままだと、お前が彼奴を殺したからな」
『? それより、あの子の名前考えてくれた?』
「…………マナコ」
『マナコ! あの子、不思議できれいな目をしてるものね! 素敵な名前、ありがとう!』
本当に嬉しそうにお礼をいう女に、ヒカリは生体装甲の下で表情は解らぬが、なければ苦虫を噛み潰したような顔をさらしていただろう。
「悪いが、お前をあの子にあわせるわけにはいかない」
『…………どうして?』
「さっきも言ったろ。お前があの子を殺すからだ」
『私、そんな事しない!』
「じゃあ、どうする?」
『生み直すの』
「…………ほらな」
寂しそうに言うヒカリの言葉を、女は理解せず首を傾げる。
「だからあわせられねえんだよ」
『………どうしてそんな意地悪するの!』
と、触手の一つが振り上げられる。ヒカリを攻撃する気だろう。
「馬鹿が、お前が俺に勝てるわけねえだろ」
触手が鞭のように振るわれ、ヒカリを吹き飛ばした。壁を何枚もぶち抜き道中のアンデッドやまだ稼働していた自立機械を破壊しながら漸く止まるヒカリ。
「………まあ、俺から攻撃出来るかと言われれば別だが。ん?」
と、ヒカリの周囲の影が波打つ。現れたのは先程の
「生み直したか…………」
しかも、先程より世界に対する【呪い】の影響力は増しているはず。此奴等はもはやアンデッドですらないのだから。
『もう知らない!』
距離を無視して拗ねた母神の声が聞こえた。あの女、とヒカリが少しキレた。
「気が変わった、やっぱ後で一発殴る」
序列外超死星ウブメ
権能『産む』
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