死に別れENDばかりのゲームに転生しました。   作:超高校級の切望

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ミイ、ミキュ………ミ!

 ミイは謎が多い。何せあのホムラが

 そりゃ、まあ………()()ホムラが連れ着いた生物で月の獣(ルナビースト)なんて不穏な名前な時点で何かあるとは思っていた。

 

 それでも受け入れたのはそもそもホムラが小細工するとは思えなかったのと、ホムラに逆らえるわけも無いからだ。

 

 だから、何があっても受け入れるつもりではいた。いた、が……これは流石に予想外。まさかの中級不死者(ミドルアンデッド)瞬殺。

 

 このペット、俺より強くね?

 

「ミュウ〜」

 

 トテトテと駆け寄って来るミイの後ろで、影が動く。

 

「ッ! ミイ!!」

「ミッ!?」

 

 咄嗟に割り込んだ。

 振るわれたのは拳。振るったのはお兄ちゃんアンデッド。

 

「がっ、ぁ………」

 

 腕が折れた。

 背中から叩きつけられ、背中側の肋骨が肺に刺さった。喉の奥からゴボッと血を吐き出し呼吸する度に激痛が走る。

 

「!!?」

 

 此奴、何でまだ動く!? ミイの攻撃には【呪い】が込められていた。アンデッドにすら死を与える濃密な『死』の気配。それも、明らかにお兄ちゃんアンデッドより格上だった。

 

「………あぇ?」

 

 ゴボッと喉奥から血が溢れる。背中から胸にかけての痛み。背中の肋骨がへし折れ、肺を貫いている。

 

「うぶぅ………!!」

 

 陸地で溺れそうになる。肺に満ちる己の血液と空気が胸を圧迫する。治療用ナノマシン………無理だ! 骨が邪魔!!

 

 鵺の一部を穴の開いた針に変形させ肺の中の空気と血を排出する。少しは楽になった。

 

「ミュウ………ミイイイィィ!!」

 

 と、ミイが()()()した。

 

「…………は?」

〘…………はぁ?〙

『…………はぁああ?』

 

 一瞬痛みも忘れ呆け、鵺も困惑して、お兄ちゃんアンデッドも再生しかけの目を見開いた。因みに、かっこいい成獣になるとかじゃなく、かわいらしい幼獣の形態(フォルム)がそのまま巨大化した。

 

 質の悪い映画のCGみたい。

 

「ミイ」

 

 カプッと何かを噛む動作。瞬間、ミイの目の前が全て抉られた。

 熱はなく、音はなく、衝撃もない。唐突に、ミイの目の前が直線上に消えた。

 

「モキュモキュ」

 

 コクン、と喉を鳴らす。けぷ、と吐き出す。

 食った? 全部? いや、何かが違う。むしろこれは、()()()()…………。

 

「っ! まだ動く!?」

 

 残された足から再生を始めるお兄ちゃんアンデッド。おかしい、いくらなんでも再生能力が異常過ぎる。

 

 と言うか、これはまさか…………。

 

「…………『家族』?」

 

 【呪い(感情)】の共有による、存在同調。互いが互いの存在を補填し、存在を維持するレギオンの亜種。

 

『おにぃ、ちゃん………まけぇ、ないで………』

 

 再生する肉塊から一瞬覗いた少女の顔。間違いない、【呪い】が共有されてる。血の繋がりが全てとは言わないが、出会ったばかりの、それも片方は片方を殺したのに!?

 

 どんだけ家族に飢えてたんだお互いに!!

 

「づぅ!?」

 

 血を流しすぎて視界が歪む。ドーパミンが切れてきた。次はドーパミンとオピオイドの分泌量増やす改造手術受けよう。

 

 今はとりあえず痛み止めを………。

 

「つ、はぁ………て、ったい………」

「ミイミキュ………ミ!」

 

 ミイは不満そうにお兄ちゃんアンデッドを睨むも、倒し切るのが面倒だと判断したのか俺を加えると背中に乗せる。あ、ふわっふわ………。

 

 薄れかけていた意識が、闇に沈むように毛皮に沈んだ。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

〘あっぶねぇ! 兄貴が落ちる!!〙

「………………」

 

 鎖になって自分と隼人の体に巻き付く鵺と、再生を始める中級不死者(ミドルアンデッド)を睨むミイ。

 片方には首を切り落とされたし、片方はそこそこ本気で攻撃したのにしぶとくこの世にへばりつく。

 

 本気を出せば自分が上だと自負しているが、本気でやればこの辺り一体を()()()しまう。

 

 それは本意ではない。飼い主である隼人を巻き込む。隼人を巻き込まなかったとしても隼人の仲間を巻き込んでしまうかもしれない。

 

 ミイは良い子なので、創造主の計画がなくても大好きな隼人は守るし、隼人が悲しむことはしないのだ。

 

 ミイは思う。彼を好む人間(むしけら)腐肉(アンデッド)は数入れど、自分の愛が、一番純粋だと。何せ自分は彼を守るために創られた。

 

 顔も、性格も、行動も、何一つ関係ない。彼が彼であるというだけで好き。彼が悲しむ事は絶対しない。彼に嫌われたくないから、嫌われるようなことは絶対しない。

 

 でも、バレなきゃ嫌われないかな?

 

「ミッ!?」

 

 と、そこまで考え、意識を広げ、悍ましい気配を感じた。

 先程までの強者の自負を容易く吹き飛ばす圧倒的な気配が、2つ。

 

 片方はヒカリだろう。創造主をして喧嘩になったら土下座して謝ると言い切る絶対強者。創造主を超える2人の内一人。

 

 もう片方は、創造主より弱いが自分より遥かに強い怪物。恐らくは創造主の同種。下手に刺激して世界が崩壊の危機を迎える前にここから離れ………

 

『ああ、見つけた』

「────」

 

 何時から居た、とか………何処から現れたとか、そんな事考える必要もないことを知っているミイは全力で駆け出す。

 

『……………』

「────」

 

 唐突に現れた女は手を前に持っていき指を摘むように動かす。ミイの体がミシリと軋んで、骨が砕けその場に倒れた。

 

 

 

 世界の法則を弄び、物理法則すら無視し、呪いも異能も容易く上書きする無知万能の神。

 天地開闢すら容易く行う超死星。

 

 彼女の前に存在してしまった時点で、文字通り全ては彼女の掌の上。

 

『貴方は私の子供だったかしら?』

 

 ウブメは倒れる隼人を見て首を傾げる。まあ、とりあえず産み直してから考えればいいとその身を己の中に沈めようと口を開いた。

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