死に別れENDばかりのゲームに転生しました。   作:超高校級の切望

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心配してくれる人が居るのは良いことだ

「はっ!」

 

 今度こそ起きる。一晩寝て副作用の痛みも消えた。

 隣りにいた四条女医はいない。ほっとしたような、残念なような………。

 いやいや冷静になれ。あの人間不信が主人公以外に心を許すわけがない。

 

「結局なんであんな事を………ああ、人間扱いされてないのか」

 

 抱き枕代わりと言っていたように、言葉通り無機物の代わりなのだろう。それかまさか、モルモット?

 医療部に所属する特尉だけあり人体実験も普通にする人だからなあ……。

 

「………どっか改造されてないよな?」

 

 ルート次第では主人公をアンデッドに改造する人だからなあ。大丈夫だよね、俺?

 脈も呼吸も体温もある。だけどそれだけでアンデッドじゃないと安心は出来ない。人を殺したいとは………思わない。なら、大丈夫なのか?

 

 枕元に置かれていた籠の中の服を取り出し病衣を脱ぎ捨て着替える。

 体内洗浄は終わった。また暫く装具の連続使用には耐えられるだろう。

 

 部屋から出て、自販機に向かう。

 超未来って設定だから馴染み深い飲み物も多いのだ。まあ人工的に再現した味もあるけど………。

 このコーンスープだって果たして本当に本物のコーンが使われてるのか………。

 

「佐々木葬儀官?」

「? これは分隊長。おはようございます」

「………………」

 

 不意にかけられた声に振り返ると、病衣を来た青年がいた。俺が所属していた分隊の分隊長だ。装具こそ【PLAIN(プレイン)】だが適正率が高く、俺よりずっと強い。油断して竜に丸呑みされたけど、ただの大型なら十分倒せたはずだ。

 まあ大型よりもよっぽど恐ろしい連中には手も足も出ないんだろうが、それは俺も同じことだ。

 

「怪我のほどは?」

「分隊長程では。明日……いえ、今日にでも復帰できるかと」

「…………復帰」

「ああ、確かに。自分たち以外全滅しましたから……新しく編成するまで時間が………分隊長?」

「お前は、怖くないのか?」

 

 その言葉は、震えていた。

 ああ、そうか。と、胸中に宿るのはただの納得。

 別に珍しくもない。ゲームのサブストーリーでも、この世界でも見た。

 

「怖くなったんですね」

「………ああ、情けないことにな」

「…………………」

 

 死ぬのは誰だって怖い。それは当たり前のことだ。

 だから正式入隊前にアンデッドとの戦いを経験させられるのだから。

 まあ俺の場合透也が同期って時点で目茶苦茶逃げ出したかったけどな。何せ同期で組まれた班の初任務で竜より厄介なのが出て、透也はその際同期の主席を差し置いて討伐するという偉業をなしたという過去設定があったのだから。

 

 実際本筋では3分の2、こっちでも半数が死んだからな。ああでも、本来なら透也は右手が義手になってたんだっけ?

 それが俺がいたからの変化なら、まあ嬉しいな。

 

「お前は、アレと遭遇した経験もあるんだろ?」

「まあ…………」

 

 初任務、という情報はなかったからなぁ。

 何時来ても良いように色々準備こそしていたけど、既存の物理法則による効果が薄く人類全滅間近まで追いやった原因の一つだからまじ死ぬかと思った。

 あれで後半は雑兵と変わらないんだからエロゲのインフレはひどい。

 

 まああれに関わるなら辞めたいとも思ったが、だからといってならどう生きるかと問われれば百鬼夜行に巻き込まれて死ぬわ、としか言えない。

 

 ホムラやヒカリに情報を流して未然に防がせるかと考えたこともあるけど、あのインフレ筆頭の二人と百鬼夜行の黒幕が戦えばそれこそ余波で街が消し飛びかねないし。

 

 まずは冥界を構築させてこの世界の外に追い出してからじゃないと殺せるだけの技が使えないから二次創作でも固○結界とか宇宙まで吹き飛ばすとか、オリ主も超チートを当たり前につけなきゃならないんだよな。

 むしろチートつけても俺TUEEになりきれないし。

 

「でも逃げたってどうにもならないですからね」

 

 この世界は残酷だ。モブにも、ネームドにも厳しい。そんな世界に生まれたからには、生きるために出来ることは力を手に入れることしか無いのだ。

 いっそ後天的異能に目覚めたならまだ逃げようもあるが、今のままではちょっと身体能力の高い只人。

 

 今なら壁際よりも安全な中町に住める。まあ、百鬼夜行は『彼岸の園』の支部や地下から溢れてくるんだけど。

 

 そう考えれば、何処も安全ではないのか? いや、壁際はそもそも治安が悪いし百鬼夜行時には壁際街の何処かが超大型種の竜に踏み潰されたはず。

 

「まあ、この場に残る理由があって、そのためにはあの程度に怯えることができないっていうのが俺の本音です」

 

 だってあの竜ですらアレにくらべたら弱いわけだし。

 

「お前は、強いな…………」

「それは勘違いですよ。弱いから、少しでも力を手にできる道を選んだんです」

「…………そうか。俺は、あんな思いをするぐらいなら弱いままでいいよ」

「そうですか………」

 

 無言で互いに買った飲み物を啜る。

 カランとゴミ箱に捨てる音が不愉快なほど大きく響き、俺はその場を後にした。

 

 

 

 

「お待たせ」

「ああ」

「やっほ〜先輩♪」

 

 透也から第2修練場に来いとメッセージが送られていたので向かえば既に天音と共に来ていた。

 結局何の用なのだろうか。

 

「竜と遭遇した同期を心配してはいけないか?」

「…………透也」

「ですよね〜。先輩ったら弱いんですから、心配しちゃいますよね〜」

「死ね……間違えた。消えろ」

「はあん!?」

 

 メスガキって、実際目にするとうざいよね。本気で死ねとまでは思わんし死ぬ運命をなんとか回避してやりたいとは思うが………。

 

「だが馬鹿にしてくる奴とは仲良くしたくねえ」

「隼人、人を嫌うのは良くない。どんな人間にも、必ず美徳があるとおばあちゃんが言っていた」

「その美徳が俺の得にならないなら意味がねえだろ」

「む………確かに」

 

 俺の言葉に素直に納得する透也。こいつ本当に素直だな。

 

「……いや、それでも女を許してやるのが男だとおじいちゃんが言っていた」

「俺はフェミニストだから女なら暴言を吐いていいとかは許さん」

「そうか、本人の思想ならとやかくは言えないな」

 

 まあ誰かを傷つけない限り、こいつはそう言うな。

 

「それでも死ねは駄目だ。俺達のような仕事についているものは特に」

「それもそうか………すまんな、天音」

「別にいいですけど………」

 

 不服そうだな。まあ自分は冷たく当たられたのに、透也の言葉にはあっさり従ったからだろう。自分を蔑ろにされたと過去のトラウマでも思い出したのだろう。

 でも実際にあの家の連中のように理不尽に扱ったわけではないから文句も言えない。

 

「なら改めて、心配かけたな二人共」

「無事で何よりだ」

「本当ですよお。もっとちゃんと強くなってくださいよ」

 

 俺だって強くなれるならなりたいけどな。

 でも強くなれない。何も持たず、ただの人間として殴り合うならそこそこ上位に行けるとは思っているが、平隊員の中の話。

 

「時に、お前のところの分隊長が辞めるというのは知っているか?」

「さっき知った。フリーのチームだったからな、これからどうするか」

 

 基本的には大隊長を筆頭に○○大隊○○番中隊、小隊、分隊といった感じに分かれる。あくまで基本であり、俺達みたいに大隊長の部下ではなくフリーで組むものもいるが。

 

 自由だが他の隊と組んだりすることもある。というか原作の主人公もその立場だからこそ色んな奴らと交流を持てたんだよな。

 

「良ければだが、俺の隊に来ないか?」

「藤堂大隊は嫌だ」

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