死に別れENDばかりのゲームに転生しました。   作:超高校級の切望

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闇の神

 『光の神』。嘗てそう呼ばれた超死星がいた。

 超死星の中でも随分と単純な名前のそれは、人類に最初に観測されたが故に序列1位とされ、しかし実際に当時最強だった輝夜に迫るだけの力を持っていた。

 

 彼は運が良かった。

 『神の種』とも言える存在を、宇宙を滅ぼしうる存在を、己の本能を誤魔化し、利用し、消し去っていた輝夜が歪み始めた宇宙を狙う外宇宙の神々を皆殺しにしている間に生まれ、『神の種』を見つけ、土壌を用意した。

 

 未練、死の記憶、生前の強い思想が【呪い】として現れるアンデッド。当然その超越存在である超死星の【権能】も同じ。だから思考を混沌化させる為にアンデッドを強化し、戦争を扇動し、世界の混沌指数を上げた。

 

 結果として生まれた超死星達と手を組み輝夜ですら早々に手を出せないだけの戦力を手に入れた。

 

 アンデッドは独自の思想法則を持つがゆえに既存の法則下にある世界が不愉快で、法則の基準点である人間を嫌う。

 

 もし人間がいなくなれば、今度はアンデッド同士で殺し合うだろう。そしてその結果、己だけの小さな世界を手に入れる。

 

 だが超死星はその限りではない。

 本来宇宙すら作り出せるが、その宇宙で生まれたが故に縛られる彼等は全ての柵を解き真なる神として顕現することを望みとする。

 

 その本能を強靭な理性や【権能】で留める輝夜を廃した後、神々による唯一神の座の争奪戦。それこそが『光の神』の真なる目的。

 

 『光の神』は確信していた。輝夜さえいなくなれば自分が勝利すると。唯一神の座は他でもない自分が手にすると。

 

 そして、超死星の神軍は輝夜へと挑み、たった2柱の新参者に敗走した。

 アンデッドと同存在なのか疑わしい超死星の中にあってなお同存在か疑わしい圧倒的な強者。

 

 僅かな生き残りが見逃されたのは今の宇宙に住まう生物が滅びぬよう超死星を狩るのが面倒だから。潰したい蟻だけを潰すのは難しい、その程度の感覚で見逃された超死星達は自身の力を少しでも上げるために干渉しあい【権能】の邪魔となる他の超死星を消滅させんと動こうとし、しかし超死星自身の力や勢力が拮抗するように誘導された事に気付けず睨み合うことしか出来なくなった。

 

 その後、第二の超死星『光の神』を一瞬で滅ぼした超死星は、『光の神』を崇めていた者達により序列2位『星なき闇夜』と名付けられた。

 

 

 

 

 

「ふぅ………」

 

 闇とは何か?

 基本的に暗い、光が少ない、光がないことを指す。闇の力などは正規ではない、光のみ込む負の側面………冥府たる地下に広がる故に死の力などマイナスのイメージが強いだろう。

 

 まあ言ってしまえば、闇とは()()()()だけだ。光すら存在し得ぬ究極の無。

 

 見えないが重力を及ぼす何かとされる暗黒物質とも異なる。そも彼にそんなイメージはない。

 光を崇めるカスどもに罪人とされ、何もない暗闇に閉じ込められた日から闇とは何もない空間でしかないのだ。

 

「………クソ、これまでの全部台無しだ」

 

 本性から人の姿へと変ずるヒカリ。白かった髪は光を一切反射しない輝夜の髪よりもなお深い純黒と化していた。

 

 輝夜が空を見上げれば地上まで通じる巨大な穴が空いていた。

 地上まで、というのは語弊がある。未だ宇宙にあった隕石も、その間の大気も、磁場も、大気中のナノマシンも、その穴から降り注ぐはずだった宇宙線も遥か彼方の星々も纏めて消え去り、星なき闇夜が姿を現す。

 

 数千光年先の星も消えたんだろうな。()()()()()()()()()()()()()に。

 

 自分達はそう言う事が出来てしまうのだ。

 存在しているだけで世界を歪める。故にこそ消えようと本来なら相性が悪く、同時に自身を滅ぼした故にヒカリには絶対に使われんと抵抗する『光の神』の装具を使い3世紀をかけて弱体化していた。

 

 真空に空気が流れ込む。否、世界に空いた穴に空間そのものが引き寄せられ一瞬世界が歪んだ。

 

 たった一度、本来の力を使っただけでその身を蝕んでいた【神の呪い】が跡形もなく消えている。

 装具自体も摩耗していったことを考えれば、いかに相性が悪かろうと【SHINE】で弱体化することはないだろう。

 

 精々強すぎる力で壊しすぎない加減用の武装として使うのが精々だろう。本当に自分と同族なのだろうかと輝夜は思った。今更か………。

 

 存在しているだけで世界が軋むように空間が震える。力を抑えている筈なのに、数百年ぶりの力にうまく抑えきれていないようだ。

 

『……………!!』

 

 ウブメはヒカリの髪が白くなっていた時に出会った。つまり、生前も今もヒカリの本当の力を見たことがない。

 

 初めて見る力に驚愕しているようだ。

 

同じ髪の色(おそろい)じゃない!?』

『ええ、そっち…………?』

『その女と、同じ………!』

『ええ、そうなるの………?』

 

 輝夜はこれ以上付き合ってられないと胸に両手を突き刺す。ヒカリが来た時点で時間稼ぎは終わっているのだ、眠ろう。

 

 胸骨を貫き、力任せに引き千切る。開いた胸から顔を出すのは小動物の顔。

 

 輝夜の指先は裏返りながら毛先ほどの力の化身と入れ替わった。

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