死に別れENDばかりのゲームに転生しました。   作:超高校級の切望

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しかし捕まってしまった

詰みかけの世界が延命してる理由

ある存在が超死星を言葉巧みに敵対させ超死星同士を睨み合わせているから

 

 


 

 

 日課の鍛錬をこなしてから、休暇故に街に出る。

 人間の生活範囲は日光が集められ、朝も夜もない。

 湿気も気温も完全に制御され不快にならず、かつ一年中同じ天気でもないのが今の天候。

 時刻は朝の九時なのに星がよく見える。本日は快晴らしい。最早空は青くないのに日が青いとはこれ如何に。

 

「ぷは………」

 

 昼間っから飲む酒は美味い。人工着色料や着味料を使った安酒だが、今技術なら前世のこの値段の酒より上等だ。

 

「…………………」

 

 公園のベンチでくつろいでいれば元気に遊ぶ子供達の姿が見えた。かつては子供達の安全どうのと言いながら遊び場を奪い、そのくせ外で遊べと矛盾した時代もあったが、今では普通に遊具もある。

 

 後昼間っから子供達元気だな〜と見てても通報されない。

 いい時代になったもんだ。まあ流石に酒呑んでりゃヒソヒソ言われるが………。

 

「さて、どうするかね………」

 

 こんなご時世だが娯楽は豊富だ。いや、こんなご時世だからとでもいおうか。恐怖、不安はアンデッドを呼び寄せるし、病んで自殺したものは十中八九アンデッドに転じる。

 だから精神安定の為娯楽は豊富なのだ。壁際街だってアニメやバラエティが無料放送されていた。存外、子供の生きる希望にもなっていた。

 アニメ、漫画は日本が誇る文化だね、いやマジで。

 

 そんなわけだから遊ぼうと思えば意外と遊ぶ場所はある。特に壁から離れた中町には………。

 ゲームセンター、映画、動物園に水族館。ボウリングやスポーツジム。

 

 一般人用のスポーツジムじゃ肉体改造をしてる俺じゃ満足に使用できないよなぁ。かといって休めと言われてるのに鍛錬室使うのもなぁ。

 

「ゲーセンにでも行くか……」

「あ、おかあさん」

 

 この時代のゲームセンターは凄いぞ。シミュレーターとは異なるVRが当たり前のように置かれて、格闘ゲームやシューティングゲームも光学機器によるホログラム。

 

「おかあさん?」

 

 さて、何をして遊ぶか。シューティングゲームとか? あれは反動も再現されていて、銃の訓練にもってこいなんだよな。

 

「おかあさん!」

「ぐふ」

 

 どん、と背中に叩き込まれる少女の額。栄養失調で年齢より幼く見える少女が抱き着いてきたのだ。

 無視しようとしたが、直接物理できやがった。悪縁、凶縁………この世界の歩く死亡フラグ。なのにこの子が居なきゃ世界は滅びかけて数多の犠牲者が出るという、無くてはならぬ存在。

 大切な誰かが出来るほど、近しい人間に死を振りまく哀れな忌み子。

 

 この子がどんなにいい子でも、俺の目的は死なないこと。死にたくない、生きていたい。だから、関わりたくない。

 

「……………?」

 

 むくれていた少女は俺の顔を見て不思議そうに首を傾げた。

 

「もうマナコ、また勝手に………あ」

「どうも美波葬儀官」

「おとうさん」

 

 ああ、完全にお父さんと認識したのね。そして俺はお母さん、と。なんとも言えぬ空気が俺達の間に流れる。

 まあ別に、今の時代珍しくもないけどな。

 何せこの時代の性転換は子作りまで可能なのだ。お父さんとお母さんが入れ替わるのは、稀にある。

 

 理由は様々だけど。

 子育ての苦労を知りたいとか心は女だけど好きになった人も女だったとか好きな人の中に自分を入れたいだとか入れられたいだとか。

 

 この世界BL、GLの恋愛漫画はあってもそのままいたすのはR-18同人版ぐらいだ。

 それって結局は愛ではなくただの性癖、相手を性別でしか見てないってことだから恋愛ものには使えないってことらしい。

 

「おとうさん、おかあさんいた…………」

 

 まあ、だから男の俺がお母さんと呼ばれてても周りは気にしない。いや気にしてほしいと思うのは、俺の前世の価値観故だろうか?

 

「もう外出許可が降りたんですね」

「はい。宗一郎総長のはからいで」

 

 絶対囮に使ってるな。前日譚の外伝小説で、結構な頻度『彼岸の園』やこの子を欲しがっていた政治家の私兵に狙われてたもん。

 原作を知らない、前日譚だからとゲームをやる前に購入したプレイヤーから迂闊すぎるだろと言われていたが古参プレイヤーはあえて沈黙。

 

 ゲームを開始して優しそうな見た目のくせに平然と主人公を使い潰そうと………何なら好感度高めても犠牲にしてくる宗一郎にプレイヤーは阿鼻叫喚。

 しかもそれは本人も逆らえない本能のようなもの。

 『天に立ちそうな見た目で地の底で闇を見つめ続ける宗一郎さん』とは彼のこと。

 

「………………」

 

 美波葬儀官はお人好しだから、世間を知らないこの子に世界を知ってもらいたい、程度の考えなんだろうな。

 その結果何度も襲撃を受けることとなるわけだ。まあ特尉という立場は伊達ではなく、返り討ちにするが。

 

 原作開始頃から敵が強くなっていくのはある理由からだが、特尉クラスは超死星以外ならある程度戦えるしな。

 ロードは強さや相性によってはきついけど。

 因みに本作のラスボスであるアンデッドロードはロードでありながら柱と数えられる真なるロード、或いはオーバーロードと呼ばれる上位種だ。美波葬儀官でも単独では勝てない。

 

「よろしければ貴方も一緒に行きませんか? マナコも………その、離れませんし」

「………………はい」

 

 ぎゅーっとしがみついてくるマナコ。無理やり引っ剥がすわけにも行かず、仕方なく手を握る。えへへ、と笑うマナコは反対の手を美波葬儀官に差し出した。

 美波葬儀官はキュンと来ている。可愛いと思っているのだろう。

 とっくに成人してるのに未だぬいぐるみを抱いて寝るような人だしな。

 

「それで、何処に向かうんですか?」

「やはり情操教育が大事ですからね。映画です!」

 

 パンフレットには子供向けアニメの絵柄。

 命を持つパンと、未来から来たお世話ロボットの映画だ。

 因みにこの時代の未来からくるロボットは、なんかもう色々とすんごい。だってテレポート装置とかスイッチ押すだけで飯作る機械とか物質圧縮装置とか普通にあるからね、この時代。

 

 もちろん光に当てるだけでとか、ドア、テーブルクロス、ライトといった小型化はされていないが、その程度では未来から来た凄いロボット? と首を傾げられるのである。

 現代人の感覚からすればなんかもう無茶苦茶過ぎて………例えるなら蜂の巣駆除に火の七日間を起こしそうな奴が投入されているのを見るような感覚なのだ。

 

 命持つパンも、町並みが未来的すぎて敵が使う嫌がらせ機械が惑星間遠距離狙撃装置だの地殻振動誘発爆弾だの気象操作装置だの大陸分断レーザーとかなんだよね。

 一話一話の敵の行為が現代感覚だと映画のボス級。

 映画は言わずもがな。

 

 何なら現代アクションのほうが、SF映画に見えるぐらいだ。だから俺が見るのは超レトロ映画か動物モノ、機械の類がバイク(空を飛ぶ)ぐらいしかでてこないファンタジーぐらいなんだよな。

 因みに動物は基本的にフルCG。

 数十年前、絶滅動物だった象は種族再生が行われるまでサイクロプスみたいな生き物だと思われていたらしい。

 

 今では絶滅動物も再生されて、一部の動物園にいる。もしくは上流階級の箔付けペット。恐竜飼ってる奴もいる。

 ちなみに、一日の餌代は俺の月給より高い。

 

「佐々木葬儀官はどんな映画を見ますか?」

「今やってるものでしたら、動物映画を」

「ふふ、帰りに動物のぬいぐるみでも買いに行きますか?」

 

 

 

 

 未来ロボットの映画では金持ちの友達にハブられて月旅行に行けなかった主人公がロボットに頼んでガニメデ旅行に行き、古代文明の遺跡を見つけるという物語だった。

 因みにこの世界、技術としては火星には行ける。ただし火星は当時の旅行者、住民がアンデッド化した死の惑星だが。

 居住区の外には空気がないからな。アンデッドは真空でも普通に活動するから圧倒的に不利なのだ。

 

 因みに月は比較的近いこともあって奪還済み。旅行もできる。往復56800円、宿も安けりゃ21200円とちょっとお金を貯めれば行けなくもない。

 

 もっとも? 人が死ねばアンデッドになり暴れる可能性があり居住区の外は死の世界なんて場所には行きたくないが。

 更に言うなら心優しき超死星が自らを封印した地だからな。なにかのきっかけで目覚めたら月が消えるって公式で言われてた。

 

 番外の小説によると地球が好きで、地球を壊さぬために自らを眠らせたのだとか。目覚めると月が2つに増えて巨大な目になるらしい。

 

 パンの方は太陽が凍らされたけど皆の希望を炎に変えて殴ったらなんか再び燃えた。だから規模がでかいんだよ規模が。

 でもほんの僅かな時間だけ子供達が青空を見るってシーンは良かったな。

 

 動物ものは海の生き物達だった。

 といってもこの時代の海の生物の分布は人間に制御されてるけどな。されてない冥府では命を疎むアンデッドか大戦時代の遺物である生態系攻撃自立兵器や海洋生物兵器によって殺されまくるから、人間が再現したそれらしい光景でしかないんだが。

 

 それでも魚達は必死に生きるために泳ぎ、食らい、食われる。そこはまぁまぁ楽しめた。

 生き物の躍動とでも言うのか。ただ殺すだけのアンデッド共を相手にしていると、ああいう唯生きる姿に心惹かれる。

 

『生きとし生きる者達は! 生きるために他者を殺さねばならぬのです!』

 

 と、その時やかましい声が響く。見れば選挙カーにのった男が何やら叫んでいる。あ、この時代の選挙カーは当たり前のようにホログラム機能もついている。

 

『アンデッドとは、その生から開放された新たな局地! 解脱なのです!』

 

 集まった者達は嘲り、欠伸し、真面目に聞いているものはいない。人類の敵たるアンデッドを崇拝しているかの如き物言いだから、まあ当然だが。

 

「『不滅党』か………」

 

 『彼岸の園』が過激アンデッド崇拝団体だとすると、『不滅党』は表向きには騒ぐだけのアンデッド崇拝団体だ。

 裏では『彼岸の園』と繋がっているが。

 

 ただ、宗一郎はあえて黙認している。

 ガス抜きに丁度いいからだ。過激な思想ほど世間から弾かれる。

 それでもまあ、不死は魅力的らしいが………。

 

「いきましょう、佐々木葬儀官。マナコも、ほら……」

 

 原作開始時には過去の事件として扱われた。要は潰されるのだ。それでも、名を変え形を変え言い分を変えアンデッド崇拝者は必ず現れる。

 

 アンデッドは生者を嫌う。なら死者は? アンデッド同士で殺し合わないのか? いいや、殺し合う。

 例外を除き、力を持つアンデッド程他の力を持つアンデッドを嫌う。

 

 それらを力で纒めることが出来るからこそオーバーロードは真なる死者の王(アンデッドロード)とも呼ばれるのだ。

 

「だからといって、こんなガキを…………」

 

 囮に使う。その事に嫌悪感を覚えこそすれ、非難する権利は俺にはあるまい。何せ俺もまた原作主人公にネジがぶっ飛んだ超死星の封印と、それを利用するアンデッドロードの討伐を任せる気なのだから。

 

「ひゃっほー!」

『そこのバイク! とまりなさい!!』

「…………………」

 

 眼前をタイヤ付きという趣味を感じるバイクに乗った赤い服の少年が走り去る。二人乗りで、後ろには黒いコートを着た男。

 どちらも顔が見えないが、あれは……。

 

「………そういや一般社会に紛れてるんだったか」

 

 赤い方は前回あった時とは服が違うが、間違いなく同一人物だろう。あの二人をうまく利用できれば大概のことは片がつく。ただしその場合周囲の破壊規模は考えないこととする。

 ルート次第で味方にも敵にもなるが、味方になっても超死星戦ぐらいでしか力貸してくれないんだよねあの二人。

 

「……………?」

 

 あの二人に一つだけ存在する生存ルート。あくまで描写される範囲で死に別れないだけではあるが生存する世界線。それをマナコにやらせるか?

 

 ……………はっ。俺も俺で最低だな。人の事が言える立場か。

 

 

 

 

 

「いやー、楽しかった! 良いねえ、警察! 働き者!」

「最後の最後に俺に力を使わせやがって」

 

 ケラケラと子供らしく笑うホムラに、ヒカリは部分変身を解除しながらため息を吐いた。

 

「どういうつもりだ」

 

 警察を見るなりいきなり急加速。なんの目的が………いや、少々お高いレトロ映画を見せてしまったのが原因だろう。カーチェイスがしたくなった、それだけだ。

 

「ガキめ」

「僕のほうが歳上なのに?」

「精神年齢の話だ」

「いやぁ、若々しいなんて照れるね」

「……………」

 

 ヒカリはイラッとした。

 

「………街であの子を見かけた」

「いい人に保護されたみたいだったよね」

「あの子の側にいた、あれは何だ?」

「さあ? でも、あの子に近いよね」

 

 ふっしぎーと笑うホムラになんとも言えぬ顔をするヒカリ。ヘルメットをホムラに向かいぶん投げた。白い髪がさらりと流れる。

 

「おう、頭がクワンクワン………」

 

 ホムラもヘルメットを取り蒼味がかった髪を外気に晒す。

 

「可愛いあの子に良く知らない男が近づくのが不安なのは理解るけどさ、親バカは治した方がいいよ?」

「俺はあの子の父じゃない………あの子でなくとも、父など名乗れるものかよ」

 

 ふん、と吐き捨てるヒカリにホムラは肩を竦める。

 昔っからの付き合いだが、こいつはこういうところはとても真面目だ。

 出会う前の生活環境など言伝に彼から聞いただけだが、良くこんな性格に育ったもんだ。

 因みに昔言ったら「お前に言われたくない」と言われた。

 

「五条家の組織に預からせてよかったの? だいぶクソだよ、あそこ」

「もとよりあの子は普通には生きられない。なら、多少マシな生活を送れる道を用意しておくだけだ」

 

 少なくとも五条は本人の考えを、命を、ある程度は尊重する。『彼岸の園』はしない。なら何処に育てさせるかは明白だ。

 

「……………もう行くぞ。バイクは処理しておけ」

「ほい」

 

 ホムラも片腕だけ変身し指を鳴らすと一瞬で炎に包まれ溶けていく。

 

 

「また新しいバイク作って〜。今度は飛ぶやつ! ワニっぽい見た目!」

「最近捨てることになりすぎ、3ヶ月は我慢しろ」

 

 3ヶ月後には作ってくれるんだ、と思ったが口にしないホムラであった。

 

 


 

ホムラとヒカリ

原作において生存ルートが一つしかない。どちらかを生かすためにはどちらかを見捨てる必要があるんだね。因みにどっちも恋愛までには発展しない

会話選択ミスっても基本的に死ぬことはない、素人向けの攻略対象。

ヒカリはいろんな職場を転々としていて、その技術で自分達の暮らしを良くしている。ホムラは子供(自称)なので遊ぶのが仕事

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