あなたと私とこの大地   作:ハクゲツロウ

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 前回ィィ!!
 ロドス探訪の回だったわ。本当に色んな設備があって神びっくり。ヴィグナちゃんもいい子だったわね。
 最後ではミクが出てきたけど…タイトルと合わせて不穏ね。神心配。
 本編ッッ!!


第八話 初音ミクの消失

 

「久しぶり、まふゆ」

「ミク……? どうしてここに……」

「まふゆ、画面を見てみて」

 手元のデバイスを見る。そこには無かったはずの『悔やむと書いてミライ』の文字。…だが再生ボタンが見つからない。

「これは…」

「ごめん、まだセカイに行けるようにできなかった…。」

「ううん…それはまだ良いの。…二人は、大丈夫?」

 ミクが俯く。どうやら芳しくないようだ。

「二人とも、あの日……奏と、まふゆが死んだ日から、セカイにずっと籠もるようになっちゃって……まふゆが、これを触るまで、私も動けなかったの。想いのつながりが薄くなってて。だから…」

「……話せなかったんだ」

「うん……」

 …正直に言うと、今すぐにでも会いたい。すぐにセカイに飛び込みたい。だけど…それはまだ出来ない。

「……最初、セカイが出来たとき、まふゆのスマホに入れた時は、こんなことにはならなかった。だから、何か原因があるのかも」

 思えばミクとも、最初は突飛な出会いだった。いきなりスマホからでてきて、セカイなんて言われて、為されるままにセカイに入って…。

 ニーゴに入ってから、奏達も来るようになった。ミクが招いたから。しかし今は、そのミクの招待でも入れないようになってる。…それは。

「ここが…異世界だから?」

 ミクが怪訝そうな顔をする。

「異世界……?」

「うん…ここは私が死ぬ前の…皆がいる世界とは違うの。だから…」

「…まふゆ、ごめん」

 突然の謝罪に顔をあげる。…ミクのホログラムにグリッチが走って、消えかかっていた。

「じジ時間ギギぎぎれミタタたたたい」

「ミク!!」

 どんどんグリッチが大きくなって、声にもノイズが出ていた。

「ままマまマままフゆ、マたタたた会いにニニににくルか、ラ」

 そこまで言って、ミクは弾けて消えた。

 

「………」

 デバイスの画面を見直すと、『悔やむと書いてミライ』は無くなっていた。ミクが現れる前の、ただの音楽アプリ。だが、ミクが出てこれたということは、この世界と私のセカイを繋げることが出来るということ。

──マたタたた会いにニニににくルか、ラ。

「……次、会いに行くなら」

 その時は、奏も一緒に。

 

 

 そんなことがあった五日後。訓練に向かう途中、ドクターから執務室に呼び出された。

「調査任務?」

「ああ」

 執務室に着くと、早速ドクターから話を切り出される。

「やっっっと、ドーベルマンから許可が降りてね。君なら文句は無いだろ、って」

 どうやら私はあの人からも太鼓判を押されているらしい。訓練の時の教官からは厳しい言葉ばかり貰っているが。

「ドーベルマンが新人の出撃許可をこんなに早く出すのは珍しいよ。誇っても良い」

「あ、はい」

 軽く受け流す。ここ数日で分かったが、この人は大分ノリが軽い。

「まあそういうことで……今回向かってもらうのは、サルゴンのある洞穴だ」

「! それって…」

「ああ。君が見つかったところだ」

 あの洞穴。目覚めて、落ちて、オリジムシに襲われた、あの。あれから色んなことを学んだ。この世界の地理とか、言葉とか、生物とか。

「君がなぜここに飛ばされて来たのか。その手がかりがあるかも知れないからね。君は絶対この任務に同行させようと思ってたんだ」

「ありがとうございます。良い結果が出せるよう、精一杯やらせていただきます」

「うん! いい心がけだ。もう少し柔らかければね」

「そういう訳にもいきませんでしょう。あなたは上司なんですから、少なくとも業務中はね」

 後ろから声がする。振り返ると、大柄な…竜? のような体をした男の人が、執務室に入ってくるところだった。

「やぁ、リー。この子だよ。今回の作戦に連れて行く新人」

「ああ、貴女が…初めまして。リー探偵事務所、所長のリーです。此度の任務の臨時分隊の隊長を仰せつかりました。…不本意ですがね。以後お見知り置きを。クレマチスさん」

「…ええ、よろしくお願いします」

 胡散臭い。とても。探偵事務所の所長が戦場で何ができるのだろうか。

「ほら、胡散臭がられてるぞ、リー」

「そんなに胡散臭いですかねぇ。これでも素なんですけど」

「胡散臭いだろうよ。何せ君は探偵だ。それも所長ときた」

「それだけでですかぁ!?」

 ドクターとリーさんがコントを繰り広げる。

「あの、少しいいですか」

「なんだい? クレマチス」

「臨時分隊と先程伺いましたが、人数はどれほどなんでしょうか」

四人フォーマンセルだ。君とリー、あと副隊長と医療オペレーター」

「…失礼ですが、新人の私を含めて、その人数で足りるのでしょうか」

 不安だ。四人。私が怪我をすれば作戦に支障をきたすのではないか。

「安心しろクレマチス。君含めて全員が実力者だ」

「……はい、分かりました」

 私が実力者にカウントされているのは少々驚いたが…本当に大丈夫なんだろうか。

 

「さて、すり合わせはまた夜にやろう。今は解散だ。クレマチス、訓練頑張れよ」

「はい、ありがとうございます」

「リーは少し残ってくれ。話がある」

「はいはい、仰せの通りに」

 執務室を後にして訓練場に向かう。存外時間を食ってしまった。ドーベルマン教官に怒られないといいが。

 

──────────────────────

 

「で、話ってなんですか。ドクター」

「そう言うが、大方分かってるんじゃないか? 君こういうの得意だろ?」

「まあそうですけど…腹の中を探ってほしい、って訳ですね? 今回の任務、俺以外みんなロドスの人じゃないですか。そのためだけに俺呼んだんでしょう?」

「言い方……まあそういうことだよ。言っとくが、クレマチスは腹に一物抱えてるような子じゃ無いからね」

「はいはい。少し話しゃあ分かるんですよ。それは無いって。こちとらプロですからね。お安い御用ですよ」

「頼んだぞ、探偵」

「こういう時だけ…本当に、狡いお方だこと」

 

──────────────────────

 

 その夜。

「初めまして! 貴女がクレマチスだね。副隊長のアンジェリーナだよ。これからよろしく!」

「はい。よろしくお願いします」

 狐耳の同年代くらいの女の子。『トランスポーター』と言って、私達の案内をしてくれるらしい。

「アタシはガヴィルってんだ。迷わず突っ込んでいいぜ。全部治すからよ」

「あ、はい。お願いします」

 ワニの尻尾が生えた女の人。ススーロさんと同じ医療オペレーターらしいが…随分大雑把そうな印象を受ける。

 

「さて、全員揃ったね。じゃ、ミーティングといこうか」

「「「了解」」」

 みんなの雰囲気が変わる。私もちゃんと聞いていないと。

「メンバーは隊長、リー。副隊長、アンジェリーナ。ガヴィル、クレマチス」

「皆さんよろしくお願いしますね。隊長のリーです」

「そして今回の目的地はここ…サルゴンの洞穴だ。密林からほど近い所にあるんだが、ガヴィル、何か知らないか」

「…いや、ここは知らねぇな。密林から近いっっても荒野だからな。どの部族の連中も寄り付かねぇだろうよ」

 …それ、私が見つけられたのってかなりの幸運だったんじゃないだろうか。ロドスが偶然作戦を展開していなければ、全然死ぬ可能性も有った訳か。

「なるほど……分かった。では、任務の最終目標について。結論から言うと、この洞穴から大量の源石反応が得られた。今回はそれの調査というわけだ。場合によっては大規模な作戦になることもあり得る。気を引き締めてやってくれ」

 …新人を含む隊に任せるには、少し重すぎないだろうか?

「…これに関して、クレマチス」

「! はい」

「君はこの洞穴で保護された訳だが、何か見たものはないか?」

 いきなりドクターから質問を投げかけられる。…確かに今までのインタビューで話さなかったな。聞かれなかっただけだけど。

「…オリジニウム、ですよね。ならいくつか見ました。私の足くらいの大きさから、壁みたいな大きさのものまで…」

「待て…そこまでの大きさのものは検出されなかったはずだ。どこまで深く潜っていたんだ?」

「え……いえ、起きたときに、とりあえず周りを見て回ったので、分かりません」

「…君、随分登って来てたんだな」

 皆から注目を向けられる。…そんなに登ったのか、な。

「まあ、それは任務終了後に詳しく聞こう。日程だが、二日後を予定している。予定を空けておいてくれ。以上、解散! それぞれ当日まで英気を養うように」

 二日後。意外と近かった。今日は早く寝よう。

 

「ねぇねぇ、クレマチスちゃん」

 執務室を出て、宿舎への廊下へ向かう途中、アンジェリーナさんから声をかけられる。

「どうしたんですか? アンジェリーナさん」

「アンジェリーナでいいよ! …連絡先、交換しない? 同年代の人、ロドスの中だと割りと少ないからさ」

 確かに、携帯デバイスを貰ってから、連絡先を交換したことは無い。

「わかった…はい、これ」

「ありがと〜! …よし、これで大丈夫!」

 『安心院アンジェリーナ』…これ、もしかして本名?

「ああ、それ? ちゃんと私の本名だよ。びっくりした?」

「あ、ああ、そうなんだ」

 この名字、なんて読むんだっけ…『あんしんいん』では無かったと思うけど…。

「じゃあ、またね! 二日後はよろしく!」

「うん、さようなら」

 反対の廊下へアンジェリーナの背中が消えていく。…何か浮いてない? あれ。

「……行こ……」

 再び、宿舎へ歩き出した。

 




 お久しぶりです。評価バー赤くなってる!!! 嬉し〜〜〜〜!!! 八評価ありがとうございます!!
 初音ミクの消失(序盤)。第八話書き終えてから思いつきました。タイトル詐欺みたいになってしまったのは謝罪します。本当に申し訳ありませんでした。
 今回リー先生が出てきた訳ですが、プロセカの小説としてこの小説を読んで下さっている方は是非、『リー アークナイツ』で検索してみて下さい。竜人長身イケメン(CV三木眞一郎)です。よろしくお願いします。
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