あなたと私とこの大地   作:ハクゲツロウ

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 前回のあらすじ〜〜。
 ついに洞穴に入ったまふゆたちだけど、早速災難ね。ムシの群れ……ムシの群れねぇ。考えたく無いわ。ここではまふゆの射撃スキルが活かされたわね。
 綺麗な地下湖ね。あそこは本当に綺麗よ。ウユニ塩湖に並ぶわ。嘘よ。
 リーさんもまふゆに話があるみたいね。頑張れ!
まふゆ!
 本編よ! 今回はシンプルにしてみたわ!


第十一話 心のムシばみ

 

 正直に言って、この状況を作ってくれたガヴィルには感謝しか無い。あの人も気づいてんのかな。

 洞穴という閉鎖空間にいる都合上、クレマチスと二人になれる時は限られてくる。そうなれば、ドクターから課せられたおれの任務の遂行は難しくなる訳だ。……まぁできないってことは無いんだけどね。

 

 それはさておき……まぁ適当に探り入れますかね。

「……私のこと?」

「あぁそんな大層なことじゃあありませんよ。ドクターから事情は聞いてるんでね。どうです? ()()には慣れましたか?」

「……そうですね。みなさんお優しい方ばかりですし、訓練でも色んな人と交流させて頂いてるので」

「そりゃ重畳」

「……でも」

 クレマチスが言葉を詰まらせる。

「? 何かご不便な点でも?」

「…………いえ、何でもありません」

 よし、ここだ。

「何か悩み事があるなら、吐き出してみるのも一番でしょう。ここ数日見てりゃ、多分貴女は溜め込むタイプだ。周りに頼ることができなくてね」

「……ええ、存じております」

 おや、自覚がある。以前にも指摘されたことがあるのかねぇ? ともすれば『あの人』か。

「……良友をお持ちのようで良かった………名前は『カナデ』さんですか?」

「!」

「すみません、耳に入ってしまいました……聞くに、その方は今は会えないそうで」

 う〜ん、我ながら胡散臭い。こんなんだから初対面で疑われたりするんですよねぇ……。

「……まぁ、会えない状況にあるのは事実です。私も、奏を探すためにオペレーターになったんですから」

「それなら……」

「でも」

 おれに話してみるのは、と続こうとしたところでぶった切られる。まぁ俯瞰してみりゃ案外不自然なもので、疑われるよりありがたい。

「私は、一人ではないので」

「……ほう? ちなみにそれはどういうことで?」

「秘密です」

 ほう、ここは明かせない、と。無理に詮索するのも野暮か。ここまでにしておこう。相談相手が居るならまぁ問題は無いだろう。

「……あの、すみません」

「おや? 何でしょう」

「私も少し質問してよろしいでしょうか。この世界の事について」

「ええ勿論ですとも。おれにお答えできることなら何でもお教えしましょう」

 

 

「龍門の飯屋ァ?」

「はい」

 予想外の方向から殴られた。いやまぁ、お友達アンジェリーナと行くってんで微笑ましいなとは思ったけど。

「飯屋ねぇ……おれだいたい自炊だからなぁ……ウンも料理作るし……」

「ご存知で無いですか……?」

「あぁいやいや、有る、有りますよとびきり美味いやつが」

 あのウルサスの坊主がやってる魚団子屋を思い出す。

「ジェイ、ってやつがやってる魚団子の屋台。人相が悪いからすぐ分かりますよ。いい奴なんですけどね。ロドスにもよく来てます」

「ジェイさんですね。ありがとうございます」

「礼には及びませんよ……っと、帰ってきたみたいですね。おれたちも準備しておきましょう」

 

──────────────────────

 

「よし、全員揃いましたね。それじゃ再出発といきましょう」

 ガヴィルとアンジェリーナが戻り、すぐに探索を再開する。アンジェリーナと行く所の目星もつけられて良かった。

「ねぇクレマチスちゃん、リーさんと何話してたの?」

「龍門のご飯のこと。聞いておこう、って思って」

「あぁ〜! ありがとう! クレマチスちゃん! それで、何て言ってたの?」

「ジェイさんって人の屋台」

「ジェイさん! あの人なら間違い無いよ! うわ〜私もすぐに思い出せば良かった……」

「大丈夫だよ。こうやって目処も立ったわけだ……し」

 気配。曲がり角の向こう。多くは無い。せいぜい三、四匹。だけど……。

「リー。これ大きくねぇか?」

「ええ……変異種でしょうか。記録で見たシエスタのやつみてぇな」

 そう。先程遭遇した群れの個体よりも大きい。

「慎重に進みましょう。鬼が出るか蛇が出るか……」

「警戒!」

 私が叫ぶと同時に、死角から触手が飛んでくる。幸い誰にも当たることは無かった。

「ギュゥ……」

「チッ! 何だアレ!」

「でかいですねぇ! しかも群れ! あんなのは見たことがない!」

 色とりどりの鉱石のような甲殻に、黒い二本の触手。それに目玉。とてもムシには見えない。

「あれじゃねぇか!? アイアンキャロットの! ミラノだったか!」

「そいつは温厚な種って聞いてたんですけど!? それも一匹だけって!」

「知るかよ! 野生化で凶暴になることなんていくらでもあるだろ!?」

 ガヴィルさんには心当たりがあるようだが、どうも意見が食い違っている。

「クレマチスちゃん! 合わせて!」

 アンジェリーナと同時に攻撃する。アーツ、ボルト、共に命中。しかし。

「ま、全く効いてない……!」

 相手は一切怯む様子がない。

「ヘコむな! 本来なら数十人で対応しなきゃならねぇ状況だ! 逃げるぞ!」

「了解!」

 アンジェリーナが退却する。次弾装填。発射。今度は目玉を狙ってみる。

「! ギィィ……」

 効いた。止まる様子は無い。でもこれで時間稼ぎは……。

「ギィィァァ!!」

「! 痛っ!」

 激昂した一体の触手を肩に受けてしまった。クロスボウが手から離れる。まずい。

「くっ……」

「クレマ……!」

「ギィィ! ギィィ!!」

「ぐっ……がっ……」

 身を丸めた私に次々と触手が襲う。相当怒ってるな。

「うっ……!」

 下を向いてるから状況が見えない。みんなはもう逃げたかな。……奏。まだ会えてない。いるはずなのに。私は……まだ……。

「……死に、たく……ない……」

 

「しっかりしろ!」

 洞穴の中に、無骨な音が響く。

 

 

「おらムシ野郎ども!! こっち向きやがれ!!」

 触手の攻撃が止む。顔を上げると、ガヴィルさんがチェーンソーを携えてムシたちと応戦していた。

 呆然として見ていると、体が浮く感覚。アンジェリーナのアーツだ。そのままリーさんのもとまで運ばれる。

「とりあえずキャンプまで戻りましょう! 処置はそこで! おれはもう少し残ります! ガヴィルを連れてかなきゃならないんでね!」

「了解!」

 私は浮いたままだ。

「あの! ガヴィルさんは……」

「大丈夫! あの人前衛もできるから!」

 ……医療オペレーターって何だっけ。

 

 そのままキャンプへ連れられて、アンジェリーナに寝かされる。

「ええ〜と? 薬は〜……あった! よし、クレマチスちゃん。傷見せて……」

「……私は、大丈夫だから」

「え?」

 自分の意志に反して、言葉が口をついて出てくる。もう止められない。

「私が迷惑をかけたんだから、もうこれ以上なにかしてもらう訳にはいかないの。たがら……私はここに置いて……」

「何言ってるの!」

 アンジェリーナが叫ぶ。初めて聞いた。こんな声。

「そんなの、迷惑だなんて思ってないよ! そんなこと言わないでよ! 会いたい人が居るんでしょ!? ……そんなの、嫌だよ」

 俯いて、どんどん声が小さくなる。

「……あたしは、感染者なの。……それを初めて知らされた時は、もう何も考えられなくて。大学のこととか、お母さんとお父さんになんて言おうとか。もういっそ……なんて考えた」

「………」

「だけどね」

 アンジェリーナがこちらに向き直る。真っ直ぐな目。

「大学を辞めて、トランスポーターになって、ロドスに入って、色んな人の荷物を届けて……その人を見てきたの。何もかも投げ出したいって人もいた。……それを見て、助けたいって思った」

 どことなくデジャヴを感じる。前にも聞いた、多分これから言うのは、私が聞いたことのある言葉。

「だからね、これはあたしのエゴ。お願い、()()()ちゃん」

 私が救いを求めた人に、限りなく似ている。

「……あたしのエゴに、付き合って」

 

 

「アンジェリーナ! クレマチス浮かせ!」

 ガヴィルさんがリーさんを脇に抱えて戻ってきた。後ろにムシたちを連れて。

「下ろしてくださいよ! 自分で歩けま……ってちょっと!? 投げるこたないでしょうが!」

「うるせぇ! 緊急事態ださっさとしろ!」

「はいはい! 総員撤退!!」

「クレマチスちゃん! いくよ!」

「………うん」

 何だか懐かしい気持ちに包まれながら、どんどんと来た道を戻っていく。後ろでキャンプが破壊される音が響いた。

 

 

 やがて入口に辿り着いた頃、もう既にムシたちは追って来ていない。

「ゼェ……ゼェ………なんとか、ですかね」

「負傷者一名。上で治すぞ」

「歩ける? クレマチスちゃん」

「うん、大丈夫」

 アンジェリーナごアーツを解除し、ゆっくりと降ろされる。まだ強い痛みは残っているが、我慢できない程じゃない。

 ガヴィルさんに肩を貸してもらい、地上に出る。

「おーい! キララ! いるか!」

「ウェ……もう戻って……ってクレマチス!」

 キララが駆け寄ってくる。心配させてしまった。

「こっち! 薬はあるよ」

「おう、助かる」

 

 

「で、何があったのさ」

 ガヴィルさんの治療アーツで治され、作戦会議に参加する。まずはキララに状況説明だ。

「でけぇオリジムシが、三体ほど。全部変異体でした。こっぴどくやられましたよ」

「みたいだね……とりまドクターに連絡したんだけどさ」

 キララが言葉を詰まらせる。

「どうした? 何か不都合なことでもあったのか?」

「いや……やりたくないなぁ……って」

「え?」

 ますます頭を抱えている。本当にどうしたんだろう。

「…………いや、ドクターが言うにはね」

 やっと決心したように話し始める。

「……私が作戦指揮を執れ、ってさ」

 





 お気に入り40件ありがとうございます!!!!

 の前に、皆様に謝罪しなければなりません。私、柏餅の極みは、リー先生の一人称を勘違いしていたことをここに謝罪いたします。

 正しくは『俺』→『おれ』です。

 アークナイツファンの皆様並びにリー先生ファンの皆様、誠に申し訳ございませんでした。又、プロセカファンの皆様にも、誤解を与える表現にしてしまったこと、心よりお詫び申し上げます。今後二度とこんな事が起こらないよう、勉強頑張ります。
 今回の話では直しましたが、過去話についても、順次訂正していきます。
 重ね重ね、本当に申し訳ありませんでした。

 この話はここで終わり、改めて、
 お気に入り40件ありがとうございます!!!!!日々増えるUA数も励ましになっております!!!!!これからも宜しくお願いします!!!!!
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