あなたと私とこの大地   作:ハクゲツロウ

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 ぜ、ん、か、い、のあらすじっ!
 まふゆ、ロドスへ就職おめでとう〜〜!(パンッ)適性テスト! もう見てるこっちがハラハラしたわ。でも何事もなく入れそうで良かったわね。ちょっと時間はかかるけど……奏ちゃんも見つかると良いわね。
 本編を始められるのは誰かいないの?
???「いるさっ ここに ひとりな!!」


第六話 コードネーム

 

「邪魔するぞ、ドクター」

「どうぞ〜」

 ドーベルマンが執務室へと入ってくる。

「で、何の用だい?」

「例の新人についてだ」

 マフユのことか。何か問題でもあったんだろうか。

「というと?」

「あいつ、本当に戦闘経験は無いんだよな?」

「ああ、勿論」

 私のその答えに、ドーベルマンは無言で資料を渡すことで答えた。

 

 【機動力テスト】63回

 【戦略論テスト】3/10

 【アーツ適性テスト】アーツ使用不可。

 【生理的耐性テスト(映像)】平常。

 【戦闘実技(クロスボウ)】28秒

 

「へぇ28秒……28秒!?」

 早い、早すぎる。クルースの自己ベストが27秒とかじゃなかったかあのテスト。

 生理的耐性テストに平常なんて書かれてるのも始めて見た。良くて体の震えとか書いてるのに。

「ああ、狙いも精確、ほとんどのターゲットが急所に当たるところを貫かれていた。おまけに装填から次弾発射が異様に短い。手品を見ているようだったよ」

「恐ろしいな……これで戦闘経験なしか…」

 いやまあ戦闘経験なんて当てにならないとはわかってるんだけどね。パゼオンカとかピンクループスとかドゥリコンとかのせいで。

「私の意見としては、即刻狙撃オペレーターとして採用することを考えている。今回はドクターの意見を聞きに来たんだ」

「私の? 人事部ではなく?」

「最終的な決定はお前がするのだろう? ならお前に聞いたほうが早い」

「随分せっかちだな。逸材を見て早く育てたくなったか?」

「……悔しいが概ね合っている」

 やはりドーベルマンも人間だな。

「そんなドーベルマンには悪いが、能力測定の結果は他のオペレーターに記録を見てもらい、人事部に認可されて始めて本人に通告される。それまではオペレーターとしては採用できない。ドーベルマンなら、わかっているだろう」

「ぐっ……」

 そう、測定の結果は結構回りくどいやり方で発行される。それに加えて私や教官オペレーター、ヘラグなどの実力者との協議で最終決定がなされる。これ改善したほうが良いかもな。

「ま、射撃の結果を見るに、三日か四日もあれば通るだろう。気長に待てば良い」

「………すまない。邪魔したな」

「気にしないでいいよ。逸る気持ちがあるのも分かるよ、私もマフユの結果は気になってるから」

 実際私も気が気でない。

 ドーベルマンが退室したあと、未だ山積みの書類を見て、ため息が出た。

 

─────────────────────

 

 あのテストから数日後。暇を持て余して、宿舎でヴィクトリア語の勉強をしていると、ドアがノックされた。

「マフユさん、ドクターからお呼び出しです。執務室まで案内します」

「はーい」

 ペンを置いて立ち上がる。どうやら結果が出たようだ。

「それでは、こちらへ」

 案内役の人についていく。段々と廊下が薄暗くなっていく。目的地が近いようだ。

「こちらです。……ドクター、例の方をお呼び出しいたしました。」

『オッケー、入っていいよ』

 ピッと音がして、扉が開く。

「私はここまでです。どうぞ、お入りください」

 案内役の人に促され、中に入る。そこには、山積みの書類に埋もれたデスクの上で、ひたすらパソコンを叩くドクターの姿があった。

「ごめんマフユ。これ、だけ、すぐ、終、わ、す、っと。よし」

 ターンと気持ちいい音を鳴らし、ドクターがこちらを向く。

「……お仕事ですか?」

「ああ…どうしても終わらなくてね。といってもこれは来週締め切りなんだけど。……それよりマフユ」

 仕切り直しとでも言うように、ドクターは立ち上がった。その手には一枚の紙が。

「マフユ、ロドスへの就職おめでとう。配属される部隊と、君の担当職種、能力測定の結果が載ってある。一通り目を通しておいてくれ」

 渡された紙に目を落とす。一つ、未記入となっている欄を見つけた。

「すみません、この未記入というのは…」

「ああ、それは君のコードネームだよ。そう言えば、希望を聞いていなかったからね。こちらで決めるわけにもいかないから、保留にしているんだ」

 コードネーム? ……なるほど、軍事作戦の時の意思伝達を明確にするためか。

「ホントに何でもいいよ。本名や名字をコードネームにしてる者もいるし」

「みょ、名字、ですか?」

 本名はまだしも、名字は何かしら支障が出るんじゃ無かろうか。

「それだけ自由ってことさ。余程のコンプラ違反でも無い限り通るから、好きに決めていいよ」

 なら……

 雪。ニーゴで活動していた時。

 OWN。ニーゴを離れて、一人で活動していた時。

 思えば私は二回も自分でコードネームを決めている。今回はどんな名前にしようかな。

「……クレマチス」

 テッセンの学名、クレマチス・フロリダ。花言葉は『精神の美』、『心の美しさ』……『縛り付ける』、『甘い束縛』。

「……うん、オペレータークレマチス。それで良いのかい?」

「はい」

「そうか、なら、これで登録しよう」

 ドクターがまた椅子に座ってパソコンを操作する。………終わったようだ。

「よし、これで君は晴れて我々ロドスの仲間だ。クレマチス」

 黒いバイザーの中の目と視線がぶつかる。

 

「ようこそ、ロドスへ。歓迎するよ」

 

──────────────────────

 

「さて! 私も休憩がてらロドスを案内させてもらお…」

「ドクター?」

 ドクターが勢いよく立ち上がると同時に、後ろから少女の声が聞こえる。その瞬間、ドクターは萎縮したようにまた椅子へ座る。

「ア、アーミヤ。いや違う。これは決してサボりではなくて、ちゃんと案内しようと」

「ええ、分かっています。ロドスは広いので、案内は重要です。が、」

 アーミヤと呼ばれたウサギ耳の少女は、真剣な面持ちで話を続ける。

「今日締め切りの資料、出来ましたか?」

「え………アッ!!!」

 あれ、さっき一週間後の仕事やってるって言わなかったっけ。

「やっぱり忘れてたんですね…いつもは遅くても二日か三日前には提出するのに、今回はやけに遅いなと思ったんです」

「マズイ! アーミヤ助けてくれ! ケルシーに殺される!」

「も〜」

 アーミヤがため息をついて、ドクターの机へと向かう。

「すみません、クレマチスさん。ロドス内の案内はまた後ほど……あ」

 何か気づいたようにして、こちらを向く。

「申し遅れました。私はアーミヤ。ロドスの現CEOです」

 ………CEO最高経営責任者? この子が?

「あ、私が子供だからって心配してますね?」

「え」

「ふふ、全部お見通しですよ」

「アーミヤは立派だぞ。ともすれば私よりな」

 ……本当に大丈夫かな…この会社……。

 

──────────────────────

 

「ああ〜〜〜終わった〜〜〜〜」

 マフユが執務室を去った後、アーミヤの助けもあり、どうにか資料は完成までこぎつけた。というか3分の2程は既に終わっていた。過去の私に感謝。

「お疲れ様です。ドクター。コーヒー淹れて来ますね」

「あー…いや、自分の分は自分で淹れるよ」

 椅子から立ち、執務室の中にある給湯室へアーミヤと入る。

「そう言えば、マフユ…クレマチスの案内は誰にやらせるんだ?」

「うーん……エリジウムさんが適任だとはおもうんですけど…」

 エリジウムは、これから偵察任務の予定がある。そう簡単には命令できない。

「あ、インスタントのやつ取ってくれ。そこの棚にあるから」

「はい。……貰い物のコーヒー豆、まだ使ってないんですか?」

 シルバーアッシュから貰った高価なコーヒー豆が目に写る。調べてみたらべらぼうに高くて目が点になった。

「ああ…勿体なくてな」

「使わないほうが勿体ないですよ。今日はこれにしませんか?」

「そうしようか」

 上の棚からコーヒーミルを取り出す。

「で……誰をつけようか」

「そうですね……あ、そうだ! カナデちゃんと仲が良かった人に案内してもらうのはどうでしょうか」

「アーミヤ、君は天才だ」

 親バカが発動する。親じゃないのに。

「えへへ、褒めても何も出ませんよ。…となると…」

 マンティコア、キララ、エーベンホルツ。論外。

 ムース。ちょっと不安。

「ヴィグナか……」

 ヴィグナ。赤毛のサルカズ。ロックを愛し、防音室を欲し、無いと知れば共用宿舎でギターをかき鳴らす迷惑屋兼、勤勉な槍使い。背こそ小さいが、親しくなったものには甲斐性を見せる。

「適任じゃないか…?」

「ええ! ヴィグナさんなら、ロドスでの交友関係も広いですし」

「よし、この件はヴィグナに任せるとしよう……もう良いかな」

 挽きたてのコーヒー豆を取り出し、ドリッパーに入れて抽出を待つ。

「アーミヤはマフユの射撃を見たことあるのか?」

「いえ、私もドーベルマンさんから聞いただけです。でも、ドーベルマンさんがそんなに言うってことは、きっと私達の頼もしい仲間になるはずです」

「ああ、全くだ。あんなに興奮したドーベルマンは私も始めて見たよ」

「そんなに、ですか……ふふ、私もちょっと見てみたかったです」

「本人に聞いてみるといい。"快く"教えてくれるだろう」

「もう! ドクター、冷やかさないでください!」

 アーミヤが頬を膨らませて叱る。かわいい。

 コーヒーのドリップが終わるまで、二人の心地よい雰囲気が給湯室を満たした。

 

 

「で、提出が遅れたと」

「「本当に申し訳ありません」」

 数十分後、提出期限を過ぎて、アーミヤと共に帰還したケルシーに盛大に土下座をかますことになるとも知らず。

 




 どーしてもプロファイルと一緒に投稿したくって少々遅れました……すみません。
 見事、まふゆのコードネームとなったクレマチス…が学名のテッセンですが、劇中でも語られる通り、花言葉が『精神の美』『心の美しさ』。これらの花言葉から、母の日によく贈られる花としても有名です。
 方や『縛り付ける』『甘い束縛』。これはまふゆにとっては奏を意味します。救う束縛と救われる束縛。プロセカ中でも「呪い」と言われてます。
 お母さんと奏。まふゆが大好きな二人を表す花というわけです。(まふゆの初期のバースデーカードに写っている花です。調べました。プロセカ運営様すごいね)
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