エロゲ世界に原作主人公として転生した彼こと扶桑彼方
これはその二人の物語
の予定でしたが、いわゆるプロローグ部分というか書き出しだけの短編ですね。
実は東京が滅んでいたり、四国まるごと死霊が蔓延る島になっていたり、日本各地に妖怪が蔓延っていたり、琵琶湖の上になんかやばい施設が浮かんでいたり、淡路島に巨大な樹があったりしますが、そこそこ平和な世界の魔法少女ものエロゲの話です。
私が転生してから十数年、ついに原作が始まろうとしている。
これまで、原作におけるメインヒロイン、千里遥華のふりを、できるだけ乖離を避ける為にしてきたけれど、ここからはもう、流れに任せるしかない。
なにかあったら、私がなんとか軌道修正するか、最悪此方にあとを任せるしかないだろう。この私自身がLOSTしても、この世界にRESTARTは効くはずだ。
ただ、この世界はゲームではない。保険を信じてRESTART出来なかった、なんて元も子もないからね。とはいっても、私達魔法少女は基本的には不死身、厳密には死んでも生き返る最高で最悪な世界だ。だから、まぁ死んだらエ〇スチル回収されるだけだし、油断しないでやり遂げるしかないだろう。
さて、折角だし、改めて振り返ってみようか。箇条書きで考えていくと、ある程度今後の方針も纏まるだろうからね。
私に前世の記憶が蘇り、ある程度落ち着いてきた頃、私はこの世界がとあるエ〇ゲの世界だと気づいた。ここまでテンプレ天ぷらですね。
そんな世界の
この世界、というか原作について、は正直ネタバレとか言っている場合じゃないよね。ゲーム的には魔法少女VS魔獣のいわゆるTS魔法少女モノの世界観です。長くなると分かりにくので、三行出まとめると
・1999年に夏に魔獣出現
・数ヶ月後、エルフを名乗る者達が魔獣と戦う
・エルフの技術が世界中に広められる
です。
ざっくり説明すると
ノストラダムスの大予言的なあれで世界各地に魔獣が出現して、それに対抗するようにエルフと呼ばれる者達、いわゆる魔法少女的な存在が生み出され、なんとか世界は平和を保っている、って状態ですね。
舞台となるのも世界各地にある魔法学園の一つでエルフに変身出来る才能を持った人だけが入学出来る、って設定ですし。
魔法少女、なんて呼ばれているのは、変身出来るのが基本的に10代の少女だけだからですね。昔から巫女が戦っていたり、世界的にも魔女が実在していたりしますから、女性の方が魔法への親和性が高い、ってことなんでしょう。
なんで、10代の少女だけだったかは......あれ理由なんだったかな。うーん、忘れてしまいましたね。そこら辺は蛇足なのでいいでしょう。
ちなみにこのゲーム、設定上はこのゲームに登場するキャラクターは18歳以上という、あるあるが最初に流れますが、ここは現実なので、しっかり私達は12歳である。魔法少女だから若くて当たり前だよね。
なんで、学園なんて言われていますが、実際は中学生です。一応設定上は高校生くらいの年齢の人も上級生にいたんだったかな。ほぼほぼ出てこない、ぶっちゃけモブだからそこら辺覚えてないんだよね。
私自身はモブ、いわるゆるオリ主への転生じゃなく、憑依型転生です。私こと千里遥華は例えるなら幼馴染キャラだね。負けヒロイン側かどうかは、私の口からは言えませんが。
家柄的にはいい方というか、最初に出現した三人のエルフの一人、【空の魔女】の娘だからですね。
元々は先祖代々続く巫女の家系で、希少な『空』属性への適性がある。私は母よりも適性が強い先祖帰りであり、歴代最高傑作だとかなんと言われているらしい。
ただ、ご先祖さまの伊吹大明神の呪を受け継いでいるので、そこら辺の呪を解くのが、私の個別ルートですね。
ぶっちゃけ、共通ルートの問題もかなりやばいので、そっちを疎かには出来ないので、呪の問題はぶっちゃけ後回しでもいいでしょう。いやよくないっちゃよくないんだけど、結局の所私の家系の問題でしかないからね。
共通ルートは、彼方自身の出生の問題。何故、男でありかがらエルフに慣れるのか。何故、女装してまで学園に通うのか。何故、母親は彼方を産んですぐ亡くなったのか。何故、四国は死国となったのか、そういった問題。それは......だからでしかない。これは人類の自業自得。それを悔やみながらも隠し続けている、大人達の後悔や懺悔、といったものでしかない。
「とりあえず私が今言えることはこれが全部だよ。あーもう、言うつもりはなかったのに、なんで言っちゃうのかな私は」
「ありがとう、話してくれて。とりあえず、【朗報?】エ〇ゲ主人公だった【悲報】何故か女装させられることになった、とでも転生者スレに書き込むか」
「やめなさい。どんな反応をすればいいか分からなくなるでしょうが」
つまる所、私は幼馴染であり義理の弟でもある原作主人公、千里彼方に隠し続けることが出来なかったのだ。彼も私と同じ転生者、ただ彼自身は私と違って、原作を知らない。
そして、転生者であるということは、私がなにもしなくても、予測不可能な事態がおこるかもしれない。そういうリスクを考えた結果、結局このタイミングで話すしかなかったのだ。
もしかしたら、別の可能性の私は知っていながら黙っていることによって、なにか大きな失敗をしてしまったのかもしれかい。そんな言い訳を頭に浮かべるくらい今の私には余裕がないのだ。
「私はちゃんと話したんだから、やりとげてよね、女装生活」
「うっ、そこは最大限努力します、としか言えないな」
「私がサポートしてあげるんだから、もしバレたら承知しないんだからね」
女の子らしいというかヒロインっぽい台詞を言うのに恥ずかしくなくなってきたのは、なんかこう死にたくなってくる。
「でもさぁ、僕が女装してほんとに変なやつだとか、男なんじゃないかとか怪しまれない?」
「大丈夫、大丈夫、前世の君がどうであれ、今の君は立派な男の娘なんだから、その為に今まで君を色々な理由をつけて女装させてきたんだからさ」
「知りたくなかったよ、そんな真実。単なるお前の趣味だったら、どれだけ良かったことか」
まぁ、趣味ではあるんだけどね。人を女装させるのも、女装している男の娘をみるのも。私がこの原作をプレイしていた理由が女装ものだから、って理由だし。
「はいはい、愚痴はまた聞いて上げるから、今日ははやく寝なよ、明日は入学試験なんだから。君は地頭がいいんだから、首席をとるくらいの気持ちでいったら?」
「分かっているさ。お前も気をつけろよ、魔法の適性的にも入学出来るだろうけど、あの【空の魔女】の娘が普通の成績だったら色々とアレだろ。せめて、成績上位はとらないと」
これでも、ヒロインの振りをするのは楽ではないので、今世ではちゃんと勉強頑張ってるんですから。彼方には負けるだろうけど。
いや、実技の方では多分まだ勝てるから油断しなければ大丈夫大丈夫。魔法少女に勉強って必要なの、とかは思ってはいけない。
前世と若干違う理科と社会さえなんとか間違わなければ、大丈夫でしょう。
「そだね。まぁ、なんとかなるでしょう」
「楽観的すぎるお前が怖いよ」
「いやー、それほどでも?」
「褒めてないからな」
こういう男友達の距離感というか遠慮しないでぐいぐい話せる相手がいるのに貴重だよね。女友達とかには、こんな距離感では流石に話せないだろうし。
「では、おやすみですわ」
「おやすみ〜」
さて、試験当日になりました。原作では試験当日から原作が始まるので、プロローグ開始といった所でしょうか。今は原作がどうとか心配してないで、まずは自分の心配をしなくては。
なんとか座学範囲は順調にいけました。あとは魔法関連の検査と、ちゃんと変身出来るかの確認ですね。
「えっと、あっ、いた。彼方の方は大丈夫でしょうか、お姉ちゃんちょっと心配です。」
おえー、とか思ってはいけない。千里遥華は主人公のことを弟、あるいは妹だと思っているキャラなのである。これくらいの、さらっと自分を姉だと言わなければいけない。
「千里さんって妹がおられるんですか?」
「あそこにいる彼方は、幼馴染なんだ。だから私が勝手に妹だと思っているだけだよ。実の妹だったらよかっただけどね」
うわこっわ。突然話しかけてこられるとビビりますね。一応、戸籍的には義理の弟だけど、彼方は女装しているので、一応別人扱いしなければいけないですからね。そういう所は少し面倒ですね。
「えっと、あなたは?」
「おっとっと、自己紹介がまだだったね。あたしは茶川 水樹、芥川の芥に芥川の川と書いてサガワ、海水の水に大樹の樹でミズギだね。貴女は?」
「私は千里 遥華です。千里眼の千に千里眼の里でセンリ、遥か彼方の遥に華道の華でハルカです」
こういう独特の挨拶の仕方、嫌いではないのですが、苗字かまあまりにも適当過ぎでは、とはいざなってみると思いますね。
「ご丁寧にありがとね。あたし、人の名前を覚えるのは得意だから、こういう挨拶はちゃんとしたいんだよね」
「分からなくはないですね。」
さて、私の方は
扶桑樹里はいわゆる年上系ヒロイン。他の攻略対象がだいたい同じ年なので、ある意味私なんかと違って、本当の意味で姉といった存在でしょう。
なんで、試験の日に上級生と遭遇するか、は扶桑樹里が上級生の説明として試験会場にきているから、というのもあるのですが、単にあいつが馬鹿だからですね、以上。
みんなが使っているトイレが使いたくないからって、少し遠い所に行ってトラブルにあうのは普通に馬鹿です。そういうシナリオかので仕方ないんでしょうが、あいつは馬鹿なので原作と同じ行動をするでしょ。
『受験番号136番、受験番号136番、5番受付にきて下さい』
「私の番のようですね、行ってきます」
「行ってらっしゃーい」
はー、座学も胃が痛かったですが、実技は別の意味で胃が痛いですね。希少な属性である以上、こう色々とありますかね、色々と。
やっと試験が終わりました。あとは、もう帰るだけですね。
「彼方はどこにいるでしょうか」
あんまりキョロキョロする訳にはいかないのもあってか、なかなか見つからないですね。
いましたね、なんか私を置いて帰ろうとしているんですけどー。ちょっと、はしたなく思われない程度の早歩きで追いかけますか。はー、私ってなにがしたいんだろう。
「なんで私と置いて帰ったのかな、かな」
「いや、お前と一緒にいると目立つじゃん」
「そんなことないし。親が凄いだけで私自身はそんなに知られてないし。私が目立つなら彼方も目立つし」
正論を言われると人は傷つくものなんだよ。
「少なくとも、お前と一緒にいるよりかは目立たないです〜。というか、僕は一秒でもあの空間にいたくないの。心臓がもたないの」
「誰かタイプの子でもいたの?興奮したの?」
「してねーし」
こいつの性癖は2次元はロリが好きだけど、3次元はお姉さんが好きとかいう、ちょっとあれな性癖なのである。ロリママが好きなのは分かりますが。コッコ〇ママ良いよね。
「冗談はおいておいて、手応え的にはどうでしたか?」
「夕食後に自己採点をする所だけど、多分大丈夫だと思うぞ」
「心配はしていませんでしたが、良かったです。そうそう、今から訓練しませんか?お風呂前に汗を流しておきたいですし」
「えー、今から。気分転換にはなるか」
ストレス発散、もとい訓練をすれば少しはここ胃の痛みもまぎれるでしょう。私って前世では別に体育会系じゃなかったはずなのにな。この体で12年も生きていると、色々と変わってきますよね。
「先に行って待ってますよ〜」
「りょうかーい」
「では、始めますか。魔装!」
魔装と唱えた途端、私の見た目が徐々に変わっていく。黒色だった髪は銀髪へと変化し、眼も碧眼に、耳は尖っていき、肌も更に白くなっていく。服装も普段着から和装に近いものに変化していく。
これが魔装、これがエルフ。ある意味コッコ〇たんみたいなものですね。いや違うけど。これ、口に出したら、怒られそう。
「いやー、何度変身しても私って可愛いよね。普段も勿論可愛いけど、数倍は可愛くなっているいっても過言ではない。」
「はいはい、可愛いですね〜」
「もうちょっと、なんか反応ないの?」
「変身する度に聞かされる、こっちの身にもなれ。流石に聞き飽きたわ」
「むー、
前世からの推しなんだから、可愛いのは当たり前だし、何度だって可愛いッていってみせるか。だって、可愛いんだから。まぁ、客観的にみたら自画自賛でしかないので、偶に死にたくなりますが。
「はー、魔装!」
そうして彼方の姿も変化していく。元々可愛かった顔は更に女の子っぽくなり、茶髪だった髪は金髪に、眼も碧眼に耳は尖り肌は白く。
エルフ、という言葉から連想される、金髪碧眼のエルフそのものといってもいいだろうか。ロリだけどね。
「やっぱり棒と玉がなくなるのって変な感覚だな」
「どうせ、学園に通っていたら慣れるしかないでしょ」
「それもそうなんだけどさ」
私は無くして久しいので、それがなにか、くらいでしかないですからね。私も通った道だから、あんまり強くは言えませんがね。
「では、いつも通り始めますか」
「おう」
そんなこんなで、時間は過ぎでいき、入学式を明日に控えた今日。予定通りではあるけど、少し複雑な気持ちだ。
これから、沢山の事件に私達は巻き込まれていく。その全てに私達が介入出来ないだろうし、してはいけないものもあるだろう。彼方はあまり気にしていないだろうけれど、知っていながらなにも出来ない、というのはつらいものだろう。
それでも、知らないということに逃げるよりも、知っていることを選んだ選択を、私だけが負うべき責任を一緒に背負ってくれるのは嬉しいことだ。
これから始まるのは『扶桑樹の神子』の物語。この地を支える扶桑樹と、かつて存在した扶桑樹の花嫁にまつわる物語。
なんとかきりのいい所まで書き終わりましたが、なにも始まってすらいない短編です。短編ですからね、そんなものですよ、はい(言い訳)。
原作主人公の設定としては
扶桑樹と呼ばれる樹とエルフの間に生まれた子供、という設定です。異種婚系ですね。子供は無事生まれましたが、普通の少女がそんなものに耐えられるはずがなく、無事心を壊しましたとさ。亡くなったと伝えられているだけで、生きてはいるんですよ、生きては。
最初の方に名前だけ出した此方は、一応彼方の双子の妹で彼方と違って扶桑樹と感覚を共有していますね。
扶桑樹はイメージ的には世界樹です。日本の中国における異称が扶桑らしいので、扶桑の国に生えている樹だから扶桑樹、という安直な理由です。世界樹と頭の中で考えながら扶桑樹と書いているので、誤字っているかもしれません。