「どうしよう!いまから勉強したって絶対間に合わないよ!」
「私、もうダメかも・・・」
「みんな、落ち着こう!まず新しい試験範囲を確かめるんだ!」
こんにちは。一色いろはです。
茶柱先生が去り、騒然とする実力至上主義の教室。なにしろ試験範囲が大幅に変更され、昨日までの勉強会がほぼ無駄になってしまったのですから。すると、クラスのアイドルが立ち上がりました。
「みんな、ちょっといいかな」
「どうしたんだい、櫛田さん」
いつもと違う彼女の様子に、みんなの注目が集まります。しかし、例のメンバーだけがなかなか収まりません。退学の可能性が高まり、自暴自棄になっているのでしょう。
「ふざけんな!やっとレギュラー取れるかも知れねえって時に!茶柱のやつ、ぶん殴ってやる!」
「イヤだ!俺は彼女を作るまで絶対退学なんてしないぞ!」
「こうなったら全科目カンニングだ!!」
やっぱりこの人たち、ここで退学させといた方が良さそうです。
「ごめん、ちょっと聞いてもらえないかな?お願い・・・っていい加減黙れねぇのかよ三バカ!そんなに赤点取りたいなら、とっとと寮に帰って寝てろボケェ!」
へ?
言われた3人も、私を除くその他のクラスメートたちも、自分の目と耳を疑いました。ほほぅ、やりますねぇ。早速実行に移すとは。
「あはは!なんてね。あんまり悪い子には本気でプンスカだよっ!でも、できれば真面目に聞いてもらいたいなっ♫」
星之宮先生も真っ青なあざとかわいさで、裏の顔を自ら暴露した櫛田さん。これは強敵になりそうです。いらぬアドバイスをしてしまったかも知れません。で、クラスの反応は・・・
「お、俺、なんかゾクゾクしちゃった・・・」
「く、櫛田ちゃん!頼むからもう一回罵倒してくれ!」
「やべぇ、俺、惚れたかも・・・」
全員バカですね。
「みんな、これを後ろに回してもらえるかな」
新たな性癖に目覚めた変態どもは放置して、サクサク話を進める櫛田さん。さすがです!
「桔梗ちゃん、何これ?」
「中間テストの過去問だよ。知り合いの先輩から譲ってもらったんだ」
「え?それって・・・」
「うん!毎年おんなじ問題が出てるらしいから、使えるんじゃないかなって思ったの」
「おおおおっ!!マジかよ?!ありがとう櫛田先生!」
哀れ、堀北さんは塾長の座から滑り落ちたようです。
はい、原作準拠の過去問作戦です。もともと私がマナブくんから貰っていたものを、櫛田さんに流しました。これで中間テストはバッチリでしょう。てか、彼と一瞬目が合った気がしましたが、やはり君のように勘のいいガキは嫌いだよ。
あとは本番前にもうひとつ、やるべきことがありますね。むしろ今回は、これがキモでしょう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「それじゃ、みんないいかな?」
いまや救世主として、クラスのトップに立った大天使櫛田さん。軽井沢さんあたりは、主導権を奪われるのでは、と内心穏やかじゃないでしょうね・・・
「おう!どっからでもかかってきやがれ!」
過去問で気が大きくなったのか、須藤君が吠えました。いやあなた、別にこれから戦うわけじゃないですよ?
悪役令嬢櫛田嬢の合図で、全員が自分のスマホを開きました。アプリを使って、ランダムにペアを決めたのです。彼女の発案にしては、なかなか粋なことをしてくれたものです。
さてさて、結果は・・・オープン!
櫛田・平田ペア
堀北・綾小路ペア
佐倉・山内ペア
長谷部・池ペア
軽井沢・高円寺ペア
以下省略
ほほぅ・・・これはひどいwwwすずのんのお相手は鉄板として、佐倉さんや長谷部さんは貞操の危機ですし、軽井沢さんは・・・ワロタヽ(=´▽`=)ノ
それにしても、ランダムアプリが聞いて呆れます。完全に出来レースじゃないですか。で、私はどうなったかな・・・って、たうわっ?!!
一色・須藤ペア
お、おのれぇ・・・は、謀ったな、桔梗!!Σヽ(`д´;)ノ ジオン公国に栄光あれーーー!! ヲワタ
おはようございます。遂に特別中間テスト当日を迎えた一色いろはです。
まだ始業前ですが、なんと既に全員揃っています。この様子なら、退学者が出る心配は無さそうですね。
そんな中、最悪のババを引かされた私には、周りからの視線も同情的です。彼がミスってこっちまで一緒に退学とか、洒落にもなりません。主人公補正が効くはずですから大丈夫だとは思いますが、いざとなれば作者にお願いしましょう。(?)
そう言えば、退学したらどうなるんでしょうか?原作でも、そのあたりはあまり描写されていなかったようですが、まさかトレセン学園に強制編入とか?いえ私、走るの得意ですけどウマじゃないんでそれは絶対ムリですごめんなさい。
「いよいよ本番だね。いろはちゃん、前に出てひとことお願い」
「ひゃい?!」
考えを巡らせていたらいきなり話を振られ、変な声が出ちゃいました。てか、なんで私??あぁ、いまのうちにお別れの挨拶をしておけって言うことですね分かります・・・
黒板を背に立った私は、艦内放送用マイク(私物)を手にしました。え?なんでそんなものがあるのか、ですって?女の子のカバンには、夢と秘密と妄想が入ってるんです。さて・・・と。ここはアレでいきましょうか。
「一色いろはです。皆さんそのまま聞いて下さい。まもなく戦いが始まります。ろくでもない戦いですが、それだけに勝たなくては意味がないです。勝つための算段はしたのですから、無理をせず気楽にやりましょう。かかっているのは、たかだか退学です。個人の自由と権利に比べれば、大した価値のあるものじゃありません。それでは皆さん、そろそろ始めるとしましょうか」
「自分の世界に浸っているところを済まないが、そろそろいいか?ヤン・ウェンリー提督」
「ぎょえ!?」
気付けば白けたクラスメートと、いつの間にか登場していた担任教師。確かにひとこと、とは言われましたけど、しょうがないじゃないですか!だって盛り上がっちゃったんですから!いや、だからこうなると周りが見えなくなっちゃうのが中二病なんですよ!そこは生・・・ケホケホ!暖かい目で見守るところでしょう?
「早く席に戻れ。試験を始めるぞ」
フォロー無しですか。(ノД`)シクシク ん?裏櫛田さんが口パクで何か言ってますね・・・
く・ろ・れ・き・し
全砲門、背後の空域で回頭する腹黒い艦隊を撃て!!
「さて、全員揃っているようだな。驚いたぞ」
問題用紙を配り終え、鼻で笑う茶柱先生。
「はい。僕たちは一生懸命テスト勉強をしました。だから誰も退学にはなりません!」
力強く宣言する平田君。でも過去問の丸暗記は、果たしてテスト勉強と言えるのでしょうか。
「いろはちゃん、名前書き忘れないでね!」
はうっ!こっちが言い返せないの分かってて、ここでそれ言います?あームカつく!櫛田のやつ、あとでまたおっぱいもみもみしちゃうぞ?!(ダメ!)
「一色さん、試験開始のチャイムが鳴ったらまず記名しなさい」
悔しいですが、堀北さんの上から目線も甘んじて受け入れるしかありません。
「一色、名前忘れて俺の足引っ張るなよ?」
須藤君にはあとで、北斗百裂拳をお見舞いしましょう。ほわたぁ!!
「では、始め!」
そしてサエちゃん先生の合図とともに、入学後初めての定期試験が始まりました。ぱっと見、やはり過去問通りのようですね。周りを見れば、みんなすらすら解いています。進め進め!勝利の女神はお前たちに下着をチラつかせているぞっ!(超巨大フラグ)
あ、茶柱先生の下着なら要らないですごめんなさい。
【次回第15話:ようこそ結果発表のSHRへ】
茶柱の放ったひとことは、いろはの半身を打ち砕いた。人は失ってはならぬ物を失った時、どう変わっていくのか?次回、さらば、遠き日。
銀河の黒歴史が、また1ページ・・・