ようこそ一色いろはの教室へ   作:いろはす@

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第2話:ようこそ不良品の教室へ

さて、長々と回想シーンが展開されている間に、バスは目的地へ到着したようです。

 

 

校門から校舎へと向かう道すがら。新入生の群れに紛れつつ、怪しい動きをする輩転生者が居ないか、それとなく辺りの様子を窺います。(そんな私がいちばん挙動不審)

 

 

イレギュラーな存在が私だけ、という確証はどこにもありません。むしろ他にも居るという前提で動くべきでしょう。しかも警戒すべきは転生者だけでは無いのです。一度隙を見せたが最後、川内型三姉妹やぜかましが襲って来るかも知れませんし、ココアちゃんの天然振りに全部持って行かれる恐れすらあります・・・

 

 

あら?みんな声質が似てますねなぜだろう。(棒読み)

 

 

え?大事なシーンが抜けてないかですって?あぁ、バスで櫛田さんが社会貢献とかほざく場面のことですか。もちろんカットしました。だってあのおんn・・・コホン!あの子、なんか苦手なんですもん。裏の顔もありますし。え?同族嫌悪?なにそれ美味しいの?

 

 

ということで、無事クラス分けが貼り出された掲示板の前に到着しました。総武中学を改革した逸材にして、容姿端麗頭脳明晰スポーツ万能な私。きっとAクラス配属でしょう。だって転生ヒロインなんですから。予定調和ですが一応、確認しておきますね・・・っと、あれ?

 

 

ははーん。ちょっとしたサプライズでしょうか。あの坂柳さんとリーダーの座を争わなくて済むのは正直ホッとしてますが、これで葛城くんのハゲ頭に悶絶する楽しみも無くなってしまいました。残念です・・・

 

 

ということは、仲良しこよしのBクラスですか。一之瀬さんでは良い人すぎて少々歯ごたえがありませんけど、そのぶん星之宮先生には注意が必要ですよね・・・あれれ?

 

 

なるほどなるほど、そう来ましたか。つまりCクラスで影の女王になれ、と。ドラゴンご一行様とお近付きになるのはまっぴらごめんですが、椎名さんや伊吹さんは結構好きなキャラですし。では、それでトレードオフってことにしましょう・・・ほぇ?

 

 

Cクラスにも名前がない?ってことはつまり・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【1年D組女子】

 

◎出席番号31番 一色いろは

 

◎出席番号32番 軽井沢恵

 

◎出席番号33番 櫛田桔梗

 

◎出席番号34番 佐倉愛里

 

◎出席番号35番 佐倉綾音

 

◎出席番号36番 佐藤麻耶

 

◎出席番号37番 篠原さつき

 

 

以下略・・・

 

 

な、なんですとー!?ってか私がふたり居るー!?誰かうそだと言って!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、どうしてこうなった?

 

 

突然のよう実転生。名もなくありふれたモブ新入生としての日常が終わり、私は旅立っていた。地獄Dクラスへ向かって。

 

 

初っ端から想定外の事態です。なんで転生ヒロインの私がD組に。大コケ確定の深夜アニメみたいなタイトルですね。やはりこれは、他にも転生者のヒロイン候補が居るからに違いありません。学校側はたぶん、私たちの中から本命を見つけるつもりなんでしょうが、そうはいきませんよ。

 

 

こうなったら仕方ありません。共喰いだろうが渡河作戦だろうがやってやろうじゃないですか。いろはすの本気を見るのです!あ、いまさら後悔したって遅いです、坂柳理事長。女の子は自分で決めたことは変えませんから。

 

 

教室が見えてきました。ようこそ実力至上主義のD組へ。そして私の伝説が始まる・・・(予定)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てか、やっぱり私には無理でした。。゚(゚´Д`゚)゚。

 

 

勢い込んで教室へ入ったものの、居場所がありません。不良品と危険物の巣窟に放り込まれ、暗澹たる未来に打ちひしがれている一色いろはです。D組になった時点で無限列車に乗せられたも同然。しかも主役級のキャラがひしめく中でのし上がろうなんて、百年早かったようです。

 

 

まだ入学式すら始まっていないのに、HPゲージはすでに全損目前のレッドゾーン。そろそろナーヴギアが電子レンジになるお時間です。( ゚д゚)ハッ!

 

 

そんな私はイヤホンを付けて、自分の机に突っ伏していました。座席の位置は窓際のいわゆる主人公ポジション。そこまでは良かったのですが・・・

 

 

前は軽井沢さんで後ろは綾小路くん、そしてお隣は櫛田さん。あ、あと当然斜め後ろは堀北さんです。ナニコレ最凶の半包囲態勢じゃないですか。ここで各個撃破に出るなんて金髪の小僧ラインハルト様じゃなきゃムリです。

 

 

話しかけないでオーラを全開にして身を硬くする私の周りでは、堀北さんが綾小路くん相手にツンデレ夫婦漫才を始め、櫛田さんと軽井沢さんは満面の笑みを浮かべながら砲火を交えています。早くもクラスの主導権争いに突入したのでしょう。

 

 

てか私のこの姿、どっかの誰かさんにそっくりな気がするんですけど、それこそ気のせいですよね。はがない。

 

 

「あ!確かさっき一緒のバスだったよね?」

 

 

「いえ人違いです」

 

 

そう言えたらどんなに楽でしょうか。

 

 

天使のような笑顔を浮かべた承認欲求さん櫛田桔梗さんが、大音量で『華の二水戦』を聴いていた私の防衛ラインを軽々と突破して来ました。やっぱりそのコミュ力は伊達ではないようです。

 

 

「私は櫛田桔梗って言います!宜しくね!」

 

 

ええ知ってますとも。中学時代の黒歴史も、ピンチになったらおっぱい触らせちゃう痴女なこともね。

 

 

「こちらこそ。私は一色いろはです」

 

 

仕方なく社交辞令で挨拶を交わします。いつの世も、リア充女子を敵にまわしたら終わりなのです。頭によぎる苦い記憶を振り払いながら、私も微笑で応じました。

 

 

え?私があざとくない?なにを仰っしゃっているんですか?もともと素・はこんな感じですよ。例のアレは、あくまでも男子向けの外面です。ふっ・・・若さ故の過ちか・・・

 

 

「一色いろはさんかぁ・・・あ、そうだ!いろはちゃんって呼んでもいいかな?」

 

 

(グーグルいろはす翻訳:名前呼びしたから貴女もう私のグループだよね。逃げるなよ?)

 

 

この流れで拒否出来るはずもなく・・・

 

 

「私は軽井沢恵。じゃあ私も名前で呼んでいい?」

 

 

(グーグルいろはす翻訳:待てやコラ!アンタ名前呼びしてやるから私のグループに入りな。逃げんなよ?)

 

 

すかさず軽井沢さんも絡んできました。言葉だけが上滑りしてゆく仮初めの人間関係。本物なんて何処にもありません。どっちを向いても敵だらけ。たちまち神経が磨り減ってゆくのが分かります。助けて、せんぱい・・・(泣)

 

 

「いろはって付き合い良さそうじゃん?だから友達になりたいなって思ってたんだ」

 

 

早速サラリと呼び捨てですか。てかイヤホン+狸寝入りのどこを見たらそうなるんでしょう?そもそもYOUはいつから友達に?だいたい『友達だよ』って言ってくる女は後々高確率で『もうあんたなんか友達じゃない』をいじめの決まり文句に使うんですよ。ここまででワンセットですからね。(実体験)

 

 

「あのさ、いろはの声って独特じゃない?」

 

 

すでに女王様気取りの軽井沢さんが、早速私のトラウマを抉りに来ました。てか私が平田くんを横取りしたら、この子どうなっちゃうんでしょうね?そんな面倒くさいこと絶対しませんけど。まあ、元いじめられっ子同士、仲良くしまsy・・・無理ですねごめんなさい。

 

 

「そうそう!なんか聞き覚えがあるような・・・まさか声優さんとかやってたりする?」

 

 

堕天使の櫛田さんが、いかにも興味津々といった表情で会話に加わって来ました。ホントは全然興味なんて無いくせに、大した演技力です。貴女こそ、声優さんでもやったらいかが?てか、もしここで裏の顔をバラしたら、私にもおっぱい触らせてくれるんでしょうか。結衣先輩とどっちが凄いのか、ちょっとだけ気になるところです・・・

 

 

「ふぇ?そ、そんなことあるわけないじゃないですかー」

 

 

原作破壊を妄想していることなどおくびにも出さず、敢えて馬鹿っぽく振る舞って誤魔化します。クラスメートに芸能人が居るなんてシチュエーション、そうそうあるもんじゃないですよ。あ、ここにはひとり現役グラビアアイドルが居るんでしたっけ。(暴露)

 

 

ふと顔を上げると、羨ましそうにこちらへ視線を送る綾小路くんと目が合いました。友達が居ない彼からすれば、私たちは仲良く会話を弾ませているリア充JKに見えるのでしょう。何なら代わってあげましょうか?ここ。ホワイトルームどころじゃない地獄ですよ。

 

 

後々Dクラスの中心人物として活躍する天才も、いまはまだ堀北さんに罵倒されるだけの哀れな陰キャです。奉仕部で散々見慣れた光景ですね。原作では無表情なイケメンに描写されていましたが、実は意外と分かりやすい性格なのかも・・・

 

 

はっ!?危うく轟沈ルートに入るところでした。ふぅ・・・人付き合いに不慣れな彼の様子に騙されてはいけません。事なかれ主義とか言いつつも、その本質は闇なのです。先輩みたいな捻デレさんなのかな?と勘違いでもしようものなら、命がいくつあっても足りないでしょう。咲いて散ってそして咲くのは那珂ちゃんだけで充分です。

 

 

いつの間にか堀北さんは読書タイムに突入していました。友達作りに汲々とする周りの様子など、どこ吹く風です。つ、強い・・・

 

 

それよりも、これからどうしましょう?このまま行けば、来月は阿鼻叫喚のゼロポイント生活が待っています。しかも、放って置けば原作通りの展開になるとも限りません。いまの私なら、みんなに適切なアドバイスをすることも出来ますが、情報の出どころを疑われたら即アウトです。他にも居るであろう転生オリ主の餌食となって、ジ・エンド。

 

 

まさか、せっかくの原作知識がチートどころか、却って足枷になるとは。(ノД`) 下手に先が読めるから怖くて動けないんです。知らぬが花とはよく言ったものですね・・・

 

 

いずれにしろ、この後のSHRが最初の山場になるでしょう。潜伏するオリ主どもを炙り出すには絶好の機会です。(独り相撲)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クラス担任の茶柱佐枝だ。これから三年間、諸君はこのメンバーで学ぶことになる」

 

 

(グーグルいろはす翻訳:私はゲームマスターの茅場晶彦である。諸君は今後三年間、自発的にログアウトすることは出来ない)

 

 

いよいよ囚われの高校生活が始まりました。いくら原作を知っているとは言え、油断大敵です。βテスター気取りでいたら、真っ先にアインクラッドからも、よう実世界からも退場させられてしまうでしょう。このヒリヒリするような緊張感。ヒヤッホォォォウ!最高だぜぇぇぇぇ!!(パンツァー・ハイ)

 

 

ゴホン!・・・さて、Sシステムの説明が終わり、質疑応答が始まりました。五連装酸素魚雷、行っちゃって〜!

 

 

「なにか質問はあるか?」

 

 

「はい」

 

 

「お前は・・・一色いろはか。言ってみろ」

 

 

敢えて悪目立ちするのは覚悟の上で挙手します。どうせこのあと、転生オリ主どもがドヤ顔で引っ掻き回してくれるでしょうから、イキった彼らに丸投げして私はフェードアウトです。完璧なフィクサーです。要は発射ボタンさえ押してやればいいんです。ポチッとな♬

 

 

「先生、ポイントは毎月必ず10万円振り込まれるんですか?」

 

 

さあ、原作知識を持つ転生者、オリ主なら黙ってはいられないはずのネタですよ。喰い付いてくるお馬鹿さんは、誰かな誰かな〜 

 

 

ところが、思わぬ邪魔が入りました。

 

 

「は?いま先生がそう言ったばっかじゃん?」

 

 

何やら残念なものを見る眼で私を揶揄する軽井沢さん。チッ!余計な真似を!他のクラスメートたちもハテナマークを浮かべるばかり・・・みんな、頭の回転おっそーい!!

 

 

「さっき説明した通りだ。それ以上でも、それ以下でもない」

 

 

言いながら獰猛な笑みを浮かべる茶柱先生。はっ!?目を付けられた?てかこれって典型的な転生主人公の行動パターンでは?策士、策に溺れる。飛んで火に入るいろはちゃん。しかもこのままでは私の馬鹿っ子認定も待ったなし!

 

 

いえ、油断しましたね。次発、装填済みです。

 

 

「有難うございます。次に伺いたいのは、多数の監視カメラが設置されている理由についてです」

 

 

これにはクラスがざわつきましたが、敵はまだ姿を現しません。しぶといですね。

 

 

「ほぅ、ずいぶんよく見ているな」

 

 

「防犯用にしては、些か数が多過ぎる気がしましたので」

 

 

そろそろ、ひとり芝居がキツくなって来ました。早く来い来い転生者〜♬

 

 

「お前は何故だと思う?」

 

 

「それをお聞きしているんですが」

 

 

お願い!誰か早く喰い付いて!てか喰い付け!

 

 

「ふむ、疑問を疑問のまま終わらせない姿勢は評価するぞ、一色」

 

 

「その疑問に答えるのも教師の役目だと思いますけど」

 

 

中二臭漂う思わせぶりな会話に、クラス全体が引いてゆくのが分かります。さっきから、のらりくらりとはぐらかされ、一向に会話が成立しません。みんなの視線が痛々しいものを見る色に変わり始めました。さしずめ、デキる子を自演乙しようとして轟沈した可哀想なヤツ、とでも思われているのでしょう。(大正解)

 

 

「ふははは!そういうことかね、一色ガール」

 

 

不意に響く高笑い。釣れた!って、よりにもよってこいつかよ??

 

 

「つまり彼女はこう言ってるのだよ、諸君。この学校は変態の集まりだと」

 

 

ここで自己紹介ですか?コロ助くん。

 

 

「いくらでも撮るがいいさ。私は構わんよ。つむじからつま先まで、見られて恥ずかしいところなどないからねぇ」

 

 

言い放つと、爪のお手入れを始める自由人。ダメだこりゃ。

 

 

私は切り札を出すことにしました。

 

 

「では最後に。先生はさっき、ポイントで買えないものはないと仰いましたが、テストの点数や過去問も購入出来るのですか?」

 

 

ふふふ・・・ここまでバラされて黙っていられるはずがありません。さあ、転生オリ主ども、出てこいや〜!(髙田延彦風)

 

 

「時間切れだ。以上でSHRを終了する」

 

 

「はい・・・??」( ゚д゚)ポカーン

 

 

先生が出入り口の向こうに消えると、痛いほどの静寂が実力至上主義の教室を包みました。あとに残されたのはドン引きするクラスメートと、高校デビューに失敗した哀れな中二病美少女。いっそのこと開き直って、右目に眼帯でも付けてみましょうか。

 

 

ぐぬぬぬ・・・この上は華々しく散り、栄光ある帝国貴族の滅びの美学を完成させるのだ!(キャラ崩壊)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たぶんこれに反応してくれるのは外村くんだけでしょうね。ヲワタ。




【次回第3話:ようこそ黒歴史の過去へ】
入学早々、やらかしてしまいました。ボッチ確定です。そして、そんな傷心を抱えた私に近付いてきたのは・・・


絶対無理ですキモいです論外ですアウトオブ眼中ですごめんなさい。
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