ん・・・
ゆっくりと浮かび上がる意識。
「知らない双丘だ」
そっと開いた目に映ったのは、丘と呼ぶにはやや慎ましい光景でした。
こんにちは。中学時代に戻ったと思ったら、やっぱり夢オチだった一色いろはです。
堀北会長とヤりあった私は、見事な一撃を浴びて意識が飛んでしまいました。あんなクリーンヒットをもらうなんて、いろは一生の不覚です。
てか、こっちに心得が無かったらどうするつもりだったんですか?華の女子高生に中段蹴りとか、責任取って下さいね、シスコンメガネさん?
で、気付けば誰かに膝枕されていたんです。見上げる視線の先には、雪乃先輩似の黒髪ロング・・・って、すずのん堀北鈴音!?
「はっ?ま、まさかの超絶美少女淫乱百合展開とかぶっちゃけちょびっと興味はありますけど雪乃先輩激似の貴女が相手とかガチすぎてムリですごめんなさい」
跳ね起きた私は、久し振りに
「えっと・・・何を言っているのか良く分からないのだけれど」
戸惑う雰囲気まで、ゆきのんそっくりです。(敵認定)
「そんなことより、か弱い乙女に本気の蹴りって、貴女のお兄さん鬼ですか鬼畜ですか無惨様ですか?」
「それ、全部同じではないかしら・・・というか、乱暴したことは謝るわ。でもあれは、兄さんが『本物』と認めた相手だけに繰り出す、いわば甘噛みのようなものなの」
ものなの、じゃねえだろ!!
「兄さんは空手と合気道の免許皆伝よ。それと互角にヤりあうなんて、一体何を習っていたの?」
さっきから意図的な誤字が見受けられますけど、絶対気のせいですよね?
「だから截拳道と茶道を少々・・・」
「さっきは香道と戦車道って言わなかったかしら?」
あんまり細かいことまで気にしていると、お相手がおバカさん須藤君だけになっちゃいますよ?
「それよりも貴女、さっき兄さんに対して聞き捨てならない言葉を吐いていたわよね?」
すっと表情を強張らせ、更にゆきのん化するすずのん・・・・。あぁ、シスコン云々・・・のセリフですね。じゃあ、トドメの一発をば。えいっ
「あの・・・ひょっとして図星でした?」
「っ!?!」
顔を赤らめ、言葉に詰まる堀北鈴音。(唐突な呼び捨て)あらら、まさかのクリティカルヒット?さすおに。
「私・・・貴女のやり方、嫌いだわ」
どうしてでしょう。どっかで聞いた覚えが・・・??
さてさて、その後の状況は原作通り。文武両道・容姿端麗、加えて性格美人な私に時代がまだ追い付いていないようです。既定路線にイレギュラーがひとり加わったところで、全体の流れは変わらないようで・・・
いえ、ぼっちなんかじゃありませんよ?みーちゃんや愛里ちゃんとは精神的同盟関係ですから。え?実際に会話したことは無いですけど何か?孤独と孤高を履き違えているのは、どっかの拗らせブラコンだけです。
そして高校1年生にもなって、今日も元気に絶賛学級崩壊中の1年D組です。私語に居眠り遅刻にスマホ。親御さんが見たら泣いちゃいますね。てか、この惨状をSNSに流せばこんな学校一瞬で終わりです。念の為、動画モードで隠し撮りしておきますか。てへヽ(=´▽`=)ノ
あ、そう言えばここってネットにアクセスは出来るけど、書き込みは不可でした・・・(´;ω;)
あれ?でもグラビアアイドル雫こと愛里ちゃんって、確かブログに写真アップしてましたよね?ってことは、その気になれば学校の機密情報なんて簡単に漏洩出来ちゃうんじゃないですか?(原作崩壊)
おっと、誰か来たようです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さて、待ちに待ったお昼休み。みんな三々五々、食堂や購買へと散ってゆきます。リア充です。羨ましいなんてこれっぽっちも思ってないです。べ、別にご飯を一緒に食べる相手なんて全然欲しくないんだからねっ!
自分で言って虚しくなってきました・・・
「誰か、これからお昼ごはん食べに行かない?」
すると堕天使櫛田さんが、満面の笑みで呼びかけてくれました。これぞまさしく天の声。もちろんご一緒させて頂きます!(手のひら返し)
「行く行く!」
「私も〜!」
チッ!雑魚共が次々名乗りを上げやがりました。男子の前でイクイクとか、完全にビッチですね。
「僕らも一緒に食堂へ行かないか」
平田君も男子へ呼びかけます。その言葉にわらわらと集まるお猿さんたち。バカですね。
と、天使櫛田さんの視線がこちらを向きました。はっ?!まさかこの流れは・・・平田君の誘いを受けたらしい綾小路君も、待ち切れない様子で席を立とうとしています。おめでとう!入学したばかりだけど一緒に仲良く(ぼっち)卒業だね!
そして同じく、期待をこめて腰を浮かせた私だったのですが・・・
「洋介君、桔梗ちゃん、はやくはやくぅ~」
軽井沢さんに引っ張られ、天使はイッてしまいました。(誤字)平田君たちも、それに続いて教室を出てゆきます。必然的に、残されたメンバーは所謂余り者・・・
「哀れね、一色さんに綾小路君。いっそのこと、貴方達ふたりで一緒に食べたらどうかしら」
中腰で固まる私と最高傑作に、堀北さんの毒舌が炸裂しました。えっ?何ですか?まさか私までディスられてるんですか?
「いや、オレはもともと、ひとりで食べるつもりだったんだが・・・」
「はぁ・・・そこまで来ると、哀れを通り越して滑稽ね」
「そう言うお前はどうなんだ?」
「私は孤高を目指しているの。
だからどうしてそこが複数形になるんです?
どうしてこうなった・・・
こんにちは。華々しく高校デビューを飾るはずが、お昼ごはんを食べる場所を探してひとり彷徨う、一色いろはです。
ククク・・・これはたぶんアレですね。そう、主役はいつも遅れてやって来るものです。落ちるところまで落ちたら、あとは上がるだけ。そろそろ私のターンでしょう。次回あたり、一気にお友達が増えて表舞台に躍り出ること間違いなし!(希望的観測)
・・・って、なんで
【次回第5話:ようこそ変態だらけの屋内プールへ】
お友達が、出来ました・・・(;´д`)トホホ…