「どうした?いまさら驚くまでもないだろう。この学校は実力で生徒を評価する。だからお前たちは出来損ないのレッテルを貼られ、全てを失った」
沈黙する実力至上主義の教室に響く、茶柱先生の容赦ない言葉。1ヶ月の猶予期間を経て、本当の高校生活が始まったのです。
こんにちは。前回からずっと5月1日のままで待たされていた一色いろはです。(?)
原作の流れにイレギュラーが生じました。初めての中間テストが、変則ルールにバージョンアップ。まだ、クラスとしての絆も団結もない未熟な私たち。このまま試験を受けたら、確実に退学者が出るでしょう・・・
「なお、試験前日までにパートナーを選べなかった者は、その時点で退学となる」
まさに鬼畜仕様ですね。
「しかし見事だな。お前らは、小中学校でいったい何を勉強してきたんだ?」
と、先生が黒板に何かを貼りました。先日行われた小テストの結果です。高円寺君がトップで次点に堀北さんや幸村君、綾小路君は安定のオール50点、山内君以下は赤信号点滅・・・
どうやら、ここは概ね原作通りのようですが・・・あれ?私の名前が見当たりませんけど?
「いきなり男女でペアを組めと言われても、お互いの学力が分からなければ不安だろう。だからこれを参考に相手を決めろ」
ざわつくクラスメートたち。いやそれよりも、私の点数どこ行った?予定では、この小テストで全科目満点を取って、一躍スターダムにのし上がる予定だったんですが。
「あと、もしこれが本番だったら、ここから下は全員赤点退学だぞ」
楽しげに言いながら、一覧表に赤線を引くサエちゃん。該当した生徒たちは顔面蒼白。間違いありません。この人もドSですね。
「本校の筆記試験における赤点基準は、クラス平均点の半分以下だ。小数点以下は切り捨てる。また、故意に点数を下げる作戦はやめておけ。徒にクラスポイントを失うだけだぞ」
だからなんで貴女はそんなに楽しそうなんですか、元不良品茶柱佐枝さん?
「なるべく早くパートナーを決めておくことだ。ただし、相手は慎重に見極めろ。組み合わせを誤ると仲良く轟沈だからな」
トドメのセリフを残して話を締める茶柱先生。で、私の名前は何処でしょう?
「おっといかん、忘れていた。一色、これを剥がしてくれないか」
「ひゃい?!」
なんと!!いきなりのご指名に若干キョドってしまいましたが・・・そうです、一覧表の最下部は、シールで隠されていたんです。なるほど、そういうことでしたか。なかなか粋な演出ですね。つまり私は別格の点数を取っていたと。さぁて、何が出るかな、何が出るかな〜♬
ふふふっ・・・遂に主役の座に躍り出る時が来ましたね。ようこそ一色いろはの教室へ!
ぺりっ
な、なんですとーーー!!?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
こんにちは・・・人生最大の危機に瀕している一色いろはです・・・
「以上だ。私は、お前たちならこの試験を乗り越えることが出来ると確信している。1時間目は自習になるから、有意義な話し合いでもしてみたまえ」
生徒に丸投げし、今度こそ出てゆく茶柱佐枝28歳独身。(個人情報漏洩)あとに残されたのは、剥がしたシールを手に燃え尽きた私と、ついさっきまではお友達たちだったはずの皆さん。
「フフフ・・・一色、聞こえていたら君のあざとさを呪うがいい」
「え?あざとさ、ですか?」(゚Д゚)キョトン?
「君はいい生徒であったが、君のめんどくさい性格がいけないのだよ・・・フフフ、ハッハッハッハ!」
「は、謀ったな!サエ!」
脳内劇場おわり。現実復帰。
「さ、さすがにやばくね?」
「お、俺もあの点数は初めて見たわ・・・」
「やめろよ、本人に聞こえちまうぜ?」
「一色さん、貴女本当に残念な人だったのね・・・」
「ははは・・・ドンマイだよ、いろはちゃん」
そうです。私の小テストは、全教科0点だったのです。デデン!(・・; ドウシテ?
1年D組40名。3年間クラス替えは無し。言うなれば運命共同体。互いに頼り、互いに庇い合い、互いに助け合う。
1人が40人の為に、40人が1人の為に。だからこそこの学校で生きられる。クラスは兄弟、クラスは家族。
嘘を言うなっ!
猜疑に歪んだ暗い瞳がせせら嗤う。
無能、怯懦、虚偽、杜撰、どれ一つ取ってもこの学校では命取りとなる。それらを纏めて無謀で括る。誰が仕組んだ地獄やら。国立エリート教育機関が嗤わせる。
お前もっ!(きよぽん)
お前もっ!(すずのん)
お前もっ!(裏櫛田)
だからこそ、クラス間闘争宜しくねっ!(やる気なし)
私達は、何のために集められたのか。
1時間目を使って、中間テストに向けた話し合いが始まりました。こんにちは。発言権も拒否権も無い、モブ色いろはです。シュン
「じゃあまず、男女で組み合わせを決めたいと・・・」
司会を務める櫛田さん。その言葉が終わらないうちに、軽井沢さんをはじめとする
「平田く〜ん!私と組もう?」
「待ってよ!私と組んで!」
「あは、あはは・・・みんな、ちょっと落ち着こう」
困惑しながら、苦笑いを浮かべる平田君。男子諸君の視線が険しさを増してゆきます。ふはははは!男の嫉妬とは実に醜いものだねぇ。こんなものを見せられたら、私はいったいどうなってしまうのやら。(高円寺風モノマネ)
「僕は試験までの2週間、毎日勉強会を開いて、みんなの学力を向上させるべきだと思う」
やっとウマ娘たちから解放された人気者が提案します。
「賛成!みんなで協力すれば、きっと上手くいくよっ!」
櫛田さんも賛同します。これで男子の大半は堕ちたでしょう。
「俺は反対だ。正直、2週間で須藤たちを赤点回避ラインまで引き上げるのはムリだ」
「んだと!このガリ勉野郎!」
幸村君のセリフに須藤君が噛み付くと、あとはもう話し合いにすらなりません。揉めるクラスのすみっコで空気と化しながら、私は思考を巡らせます。
今回の中間テスト、いくら自分が頑張っても、パートナーがポシャればお終いです。となれば、自ずと結論は見えて来るのですが、果たして・・・
「ふははは!君たちの話し合いも、無駄に時間を食うばかりで実がないようだねぇ」
爪を磨きながら横槍を入れる唯我独尊。相変わらずですね。
「高円寺!じゃあ、そういうお前はなんか良い案があるのかよ!」
「簡単なことさ。学力に自信のある者同士で組めばいい」
ほぅ、早速そこに気付きましたか。
「え?でもそれじゃ・・・」
「ああ、残酷なようだが、これがいちばん合理的さ。実力至上主義にぴったりの解決方法だねぇ」
「そうね、学校側も私たちがこの結論を出すことを望んでいるのかも知れないわ」
高円寺君の正論を前に、堀北さんも同調します。むしろ、貴女みたいなのを炙り出すのが目的かも知れませんよ?まあ、貴方達からすれば、バカの巻き添えで退学なんて、それこそバカらしくて堪ったものじゃないんでしょうね。
「ダメだ!そんなの・・・絶対に認められない!」
あらら、過去のトラウマを刺激されてしまったのでしょうか。平田君の様子が少し変です。
「クラスの仲間を見捨てるなんて、僕には出来ない!それに、もし一度に大量の退学者を出したら、何かしらペナルティーがあるんじゃないかな?」
「確かに、一理あるわね」
正義の味方の力説に、クラスの雰囲気が少しだけ変わりました。
「じゃあ、多数決をとらないか」
どうやら、この場の主導権は平田君が握ったようです。まあ、そうなるな。
「全員自分の席について、机にうつ伏せになってほしい。あとは黙って挙手すれば、匿名性も確保できる」
うーん、そのやり方って意外と気配とかでバレちゃうんですよね。(経験者)
「なら、中立の立場で意見をカウントする役目が必要だな」
幸村君が口を挟みます。
「うん、それなんだけど・・・綾小路君と一色さんにお願いできないかな?」
「えっ?!綾小路はともかく、一色ってのは・・・」
難色を示すゆきむー。はっ!?まさか私、数を数えることすら覚束ないおバカさん認定されてます?
「別にそのふたりで良いんじゃない?こう言っちゃなんだけど、どうせ
「なっ?!」
「軽井沢さん!それはあんまりだよっ!」
悲しげに涙まで浮かべて抗議する櫛田さん。これで裏の顔がアレなんですから、お友達なんて下手に作るだけ時間のムダってことになるんでしょうか。あれ?なんか、せんぱいと思考回路が似てきたような気が・・・
さて、みんなの前でお友達から戦力外通告を受けた私の選択肢は3つ。
①泣きながら教室を飛び出す
②右眼を押さえて苦悶の表情を浮かべる
③スカートのまま逆立ち歩きをする
詰みました。いいえ大丈夫です。ここはまさかの④で行きましょう。(書いてない)
と、その時。
「1年D組、綾小路清隆君と一色いろはさん、至急職員室、茶柱先生のところまで来て下さい。繰り返します。1年・・・」
救いの呼び出し放送は、新たな戦いの始まりを告げるものでした。てか、どうしてこの組み合わせ?(・・;) ガビーン
【次回第9話:ようこそ生徒指導室へ】
チエちゃんの手を逃れた私を待っていたのは、サエちゃんだった。私が放つ主人公の匂いに誘われて、危険なやつらが集まってくる。次回、給湯室。
来週も、いろはと地獄に付き合ってもらう。