死人の二度目   作:かゆ、うま2世

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ハロー、ティーチャー

「……シッテムの箱がある以上、こっちの位置は常に捕捉してるんだろうし、いずれはこうなると思ってたよ。なんならこっちから会いに行こうかとすら思ってた」

「そうなんだ」

 

 

嘘なんてつかない。全て本心だ。同じ箱を持つ者同士、いずれ会わなければならないと思っていた

 

 

「まさかこんな所で会うとは思わなかったけどな。こんな時間まで先生やってるのか?」

「うん。RABBIT小隊の事も気掛かりだったし」

「うちのも同じだったみたいでさ。後輩の顔を見に来たわけ」

「そっか。……あれ、リンネの車?中で話さない?」

「……もちろん」

 

 

二人の状況を作るって事は、聞かれたく無い話をするって事だ

 

 

「……リンネ君」

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「聞きたい事は──俺の事と、シッテムの箱…あとシロコの事、だよな」

「うん。教えてくれる?」

「……まぁ、いいよ。隠しても無駄だろうし、誰かに言わなければ何の問題もない」

 

 

別の世界の事、転生の事。プラナから教えてもらった事と、俺が知っている限りのことを、全て先生に伝えた

 

 

「……そっか、大変だったんだね」

「覚えてないから想像だけど、大変だったんだろうね。でも、今は普通に幸せだよ」

「そっか……覚えてないって、記憶喪失って事だよね。どのぐらい忘れてるの?」

「……交友関係はほぼ全部。場合によるけど、死因とかは覚えてる事が多いよ」

「ほぼ?覚えてる人もいるの?」

「黒服。知ってる?」

「……知ってる」

「あんまり印象良くないみたいだね……」

 

 

黒服に幸運がありますように

 

 

「……自分が関わってた人に会わないのは、それが理由?」

「うん。覚えてないから、会っても何話せばいいのかわかんないし、あっちが一方的に知ってるだけで、俺はあっちを知らないし」

「じゃあ、今リンネが一緒にいる子はどういう人なの?」

「死人を追ってきたヤバい奴らの集まり。最近はFOX小隊がやって来たけど」

「……そっか」

 

 

やっぱり、何だか微妙に暗い。俺が死に続けている事に、きっと心を痛めているんだろう

 

 

「……私、さ」

「うん」

「リンネの事を知って、何を言えばいいかわからなかったの。簡単に命を捨てないでって怒ればいいのか、もう大丈夫って慰めればいいのか。それとも……リンネのおかげで今があるから、ありがとうって言えばいいのか、わからなくて」

「別に気にする事無いよ。先生が気にする必要なんて、これっぽっちもない」

「……あるよ。私は、先生だから」

「俺は、やりたかったからやっただけだから」

「でも……」

「あーもう!」

 

 

先生の肩をガシッと掴んで、まっすぐ目を見つめる

 

 

「でもじゃないんだっての。先生が気に病む必要なんてないし、俺は大丈夫な事ぐらい知ってるだろ!どうせ復活できるんだし、どうしようもなかった事に心痛める必要はないんだよ!」

「どうせ……って、自分の命をそんな風に思っちゃ駄目だよ!」

「……粗末にする気なんてないさ。俺にとって俺の命は、ここぞって時に使える弾丸みたいなものだから」

「っ……!」

「うわっ!?」

 

 

いきなり抱きしめられた。それも思いっきり

 

 

「ちょっ、先生!?」

「……そんな事、絶対させないから」

「あー……うん」

 

 

先生は俺を抱きしめる力を強める。俺もそれに応えるように、そっと背中に手を伸ばした……なんか凄い事してる気がするのは…まぁ気の所為だろう

 

 

「……あのさ先生。俺体に微妙に引っ張られてるけど、ちゃんと精神大人だからな?どこの学園所属でもないし、先生の生徒じゃないぞ?」

「……リンネは私の生徒」

「違うから離れろー」

 

 

持ってるプラナから並々ならぬ圧を感じたので先生を無理矢理引き剥がす事にした

 

 

「そういえば、先生は最近どうなの?」

「RABBIT小隊の事を見に来たり……あ、最近だとミレニアムのゲーム開発部の子達に頼られたかな」

「へぇ、上手くやれてるの?」

「なんとかね。新しい部員も増えたし、何とか廃部を避けるために頑張ってるよ。ただ……」

「ただ?」

「いや、ミレニアムの皆の新しく入った子を見る目がちょっと変で」

「変?」

「皆優しい子だし、仲良くしてるから大丈夫だと思うんだけど……」

「ならいいんじゃない?ま、何かあったら相談してよ」

「……そうする」

 

 

もう夜も深い。そろそろ寝る時間だし、皆を呼ぶとしようか

 

 

「そろそろ帰る。先生もあんまり無理すんなよ」

「うん、リンネもね」

「わかってる」

 

 

そう言って、運転席を出て───

 

 

「……リンネ君」

「うおわ──っ!?」

 

 

すぐそこにニコがいた。何、怖い

 

 

「お、おお……お前か……びっくりした…」

「何もされてない?」

「されてないし、俺のことバラすとも思えないよ。疑わなくて大丈夫」

「……そっか」

「皆呼んできて、帰るから」

 

 

その後は何事もなく、普通に帰った

 

 

──────────────────

 

 

 

「リンネ先輩」

「離してくれたら話せるかな。駄洒落じゃないよ」

 

 

帰ってくるなり起きてたシロコに胸ぐら掴まれて持ち上げられた。普通なのは帰るまでだったわ

 

 

「私がリンネを連れ出したんだ。リンネは悪くな───」

「リンネ先輩が車を貸せばよかっただけの事。違う?」

「…………」

 

 

ユキノにはもうちょっと頑張って欲しかったな。シロコはユキノの言葉を無視して俺の事持ち上げ続けるし、ユキノは何か言いたげだけど諦めてるし。てかFOX小隊全員そんな感じだし

 

 

「外に出ちゃダメって言ったのに」

「夜だし顔も隠してたし俺だって外出たかったの」

「バレたいのかバレたくないのかどっちなの」

「バレたくないです」

「……私だって、リンネ先輩の好きにさせてあげたい。でも、リンネ先輩はバレたくないんでしょ?」

「……そうだけど」

「なら大人しくしてて。不自由はさせない……とまではいかなくても、極力感じさせないようにするから」

「……ごめん」

「いいの。……楽しかったなら、それで」

 

 

そう言って俺の胸ぐらを放した。……前々から思うけどシロコって怒ると怖いな。普段は結構大人しいのに、こういう時だけは別人みたいだ

 

 

「……幸せになろうね、リンネ先輩」

「お、おう……そうだね…?」

 

 

………幸せ、か

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「アリスちゃんの上着……シワの形まで完璧に同じ……間違いありませんね」

 

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