誰かの為。それが俺の全てだった
何をやっても中途半端だったんだから、自分の価値をそこに見出したかったのかもしれない。誰かの為に頑張ってるんだから、自分は価値ある人間なんだ、と。そう思いたかったのかもしれない
でも、そんな独りよがりを、神様は許してくれなかった
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「……これ、結構強くて面倒だったんだけど、便利だね」
「喜んでいいのかわからないけど、色彩様様だな」
その辺で見つけた大きめの獣のようなフォルムの機械……無名の守護者、って名前らしいけど。そいつを色彩で操って背中に乗って歩いていた
「戦力は多いほうがいいし、沢山集めておこうか」
「ん、賛成」
方舟の元に向かう前に、キヴォトス各地を回ることにした。方舟は多分大きいだろうし、俺たちだけじゃあまりにも手が少なすぎる。それに、戦える奴は多い方がいい
「……集まったね」
「集めたからな」
沢山の無名の守護者に、ユスティナ信徒に、マーケットガードやドローンに……戦力はありったけ集めてきた。これだけいれば大丈夫だろう
「それじゃ、行こうか」
「……ん」
集めた戦力を率いて、そのまま方舟の元へと向かう。向かう先はアビドス砂漠のどこか。このまま無名の守護者に乗っていれば楽に辿り着ける筈だ
「方舟、だっけ?」
「あぁ。方舟を使う以上、あっちの世界との対立は避けられない。……嫌なら、どこかに隠れててもいい。俺一人でやる」
「……馬鹿にしないで、私も戦う。リンネ先輩だけに背負わせたりしない」
「……悪いな」
「謝る必要なんてない。私がそうしたいからやってるだけ」
「……そっか、ありがとう」
シロコの手を握りながら、俺達は方舟があるというアビドス砂漠の奥地へと向かう
……この先に、俺の世界があるんだと、信じて。これからその世界に行くことを願いながら──俺達を乗せた無名の守護者は砂の上を駆けていた
「……流石に広いな」
「迷っちゃいそう」
「ワープみたいなのできるんだから、迷ったりしないだろ」
「あれ、疲れるからあんまり使いたくない」
方舟の内部を、二人歩く。目指すのは方舟の中心部、そこで方舟を起動して、俺が元いた世界に行く
「……ここか、中心部」
「ここですね」
「……!誰!?」
「え?プラナ?」
気がつけば、真横にプラナが立っていた。色彩の力を使って外に出られるのは知っていたが、何故このタイミングで外に出たのか
「リンネ先輩、知ってるの?」
「これの中にいるOSなんだ。外に出てくるのは珍しいんだけど」
「ここでは、色彩の力無しでも外に出られるようです。早速始めましょう」
コートのポケットからカードを取り出す。先生が持っていた、明らかにヤバい何か。でも、この状況で方舟を起動する、恐らく唯一の手段だ
「……準備はできましたか?」
「……あぁ、やろう」
使い方はシンプル。カードを持って、その力で何をするのか、強くイメージするだけ
「方舟、起動────!?」
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「──輩!リ……先ぱ………先輩!」
「ん、んん……」
誰かに揺すられて、目が覚める。目の前にはシロコの姿
「シロコ……?」
「やっと起きた……!」
「あぁ……ここは?俺たち、方舟の中にいたんじゃ──」
「その認識であっています」
俺が寝ていた横でプラナが立っている。相変わらずの無表情ぶりだが、どこか嬉しそうな雰囲気が漂っている気がした。そして同時に感じるのは、体に感じる倦怠感
「方舟起動によるダメージでしょう。数日の間、意識を失われていました」
「よかった。本当に、よかった……!」
「シロコ、苦しい……」
シロコが思いっきり抱きついてくる。鬱陶しいとは思わなかった。きっと、俺も同じことをしただろうし、思っただろう
「……もう、大丈夫なんだな?」
「えぇ。方舟は起動されました」
「ならよかったよ……」
立ち上がり、軽く伸びをする。体の調子は……本調子ではないが、動くのに問題はない。それなら充分だ
「……早く、やる事をやろう」
「……大丈夫なの?」
「当たり前だ。プラナ、顔を隠したい。何かないか?」
「それなら、こちらを」
どことなく、俺が殺した無名の司祭の顔に似た銀色の仮面を手渡される。軽く触ってみた感じ、質感は似ているし、視界も良好だ
「何をすれば良いの?」
「こっちの世界のシロコを連れ去る」
「……何の為に?」
「黙って従え」
「……わかった」
「リンネさん…?」
「何だ」
「……いえ、何でもありません」
ずっと、あの声が頭から離れない
『私の生徒を、よろしくお願いします』
名前も知らない、初めて会った変な女の声が、今の俺を動かしている。頭から離れないあの声が、呪いのようなそのお願いが、今の俺の原動力だ
「……成し遂げてみせるよ、先生」