死人の二度目   作:かゆ、うま2世

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二度目の山海経
NEW LIFE


 

 

「……ここ、どこだよ」

 

 

俺は、目覚めた

まただ。あの化け物をぶっ殺した代償で死んだ筈なのに、何故か生きている。また別の世界に転生したのかとも思ったが、頭の変なのがある事を見るにそうではないらしい

 

しかし、マジでここどこなんだ。どっかの路地裏みたいだけど……なーんか建物の感じに見覚えがあるというか

これは…そう!思い出した!前世の中国ってとこみたいな感じの建物だ!

 

 

「……てことは、ここは山海経?」

 

 

ここがあの世じゃないんなら、そういう事になる。俺が死んでからどれだけ経っているのか知らないが、本当にどういう事なんだか

 

 

「制服も腕もそのままだし……」

 

 

無くなった筈の左腕は生えてる。制服も前と同じ。骨は……二本生えてきた。いつも通り……

 

 

「……ん?」

 

 

壁を背に座り込んだまま、目の前の光景を見つめる。骨の右腕が、二本。目を擦っても、やっぱり見える

 

 

「増えたー!」

 

 

今までどんなに頑張っても生やせなかった二本目の腕が生えている。理由なんて一つだけだ。一回死んだ事によって何かが変わったに違いない

とすると──

 

 

「……死亡数カウンターか何かなの、これ」

 

 

俺は二回死んだ

骨の腕は二本ある。つまりはそういう事だろうか。死ねば死ぬほど骨の腕が増えていく。もしそうなら、とんでもない話だ

 

 

「とりあえずこれからどうするか……」

 

 

ここを抜け出して、アビドスに戻る……いや、アビドスでの俺は死んだ。死人が戻ってきてもなんか…ねぇ。そもそも、俺が死んだ後のアビドスはどうなったんだろう

 

 

「あいつら無事かな……」

 

 

アビドスの二人。名前は………名前…

 

 

「……あれ」

 

 

思い出せない。どんな顔だったっけ。どんな声だったっけ。どんな話し方で、どんな性格で、何が好きで、何が嫌いなのか。何もかもが分からない

大事な人だったのは覚えてる。けど、肝心な部分が思い出せない

 

 

「……死ぬとこうなるの?」

 

 

……まぁ、嫌われてる事はなんとなく覚えてるし、総評としては戻らない方が良いだろう。死んだ人間が戻って来るよりも、どっか別の場所で生きてた方が問題は起きづらいと思う。そういう事にしよう

 

 

「さて、と」

 

 

本当にこれからどうしよう。死人がバイトに戻れる訳ないし、そもそもアビドス生がこんな所で何やってるんだって話になるかもしれない。そうなれば俺が死人である事は間違いなくバレる

 

 

「服を誤魔化して…金もどうにか……働ける場所探さないとなぁ」

「妾が手配してやろうか?」

「それなら助か………る」

 

 

待て、今のは誰の声だ?

 

 

「なんじゃ、挨拶くらいせんか」

「いや……ごめん、誰?」

 

 

黒いチャイナドレスに、似た色の上着。起伏の無い……言ってしまえば幼児体型の少女がいた

 

 

「妾を知らぬのか?」

「ごめん、知らない」

「竜華キサキ。玄龍門の──いや、ただのキサキじゃ」

「……骨崎リンネ、よろしく」

 

 

平静を装って受け答えを続ける。山海経の人間でない事は制服を見れば一発で分かるだろう。そこから探られたら──俺が死んだ筈の人間だとバレてしまう

そうなれば、もう平穏な生活は望めない。こいつが俺を、骨崎リンネの正体に迫ろうとするのであれば、それ相応の対応をしなければならない

 

 

「……そう警戒するな。訳ありなのはわかった。追及はせぬよ」

「え」

 

 

普通に良い人だった。疑ってごめんなさい

 

 

「妾の上着を貸す。制服は隠した方が良かろう」

「あ、ありがとう」

「礼などよい。困った時はお互い様と言うからの」

 

 

結構小さいが、見た目はそれっぽくなった。一目ではわからないし、これなら周りに溶け込む事ができるだろう。流石にいつまでもこの制服を着ているわけにはいかないので、新たな服を手に入れるまでの応急処置だが

 

 

「助かったよ、本当に。何かお返しとかしたいんだけど、できる事が何もないんだよな」

「気にせずとも構わんぞ」

「そういう訳にもいかないって」

 

 

お人好しなのか、それとも他に目的があるのか。恐らく前者だとは思うが、キサキと名乗った少女は、特に見返りを求める様子もなく、ただ微笑んでいるだけだった

 

 

「それよりも、其方これからどうするつもりなのじゃ」

 

 

これから、か。アビドスには戻れないだろう。問題を生みかねないからな。とするともうここに居座るしか無いのだが、そうなると働く場所が無い。結局の所、行き詰まる

 

 

「うーん…ここの人間でもないし……どうしようもないっていうか……」

「そうか。ならば────」

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「ここか…」

 

 

『玄武商会に行け。そこでならどうとでもなるじゃろう』

 

 

キサキの言葉に従い、頑張って玄武商会の元まで辿り着いた。あの子が何でここまでしてくれるのかは知らないが、とにかく今は感謝しかない。いつか必ず恩を返そう

 

 

「お、君が?待ってたよ」

「んえ?」

 

 

声のした方を向くと、またまた人がいた。今日はこういう出会い方が多い気がする。獣耳の生えた、茶髪の女性だ

 

 

「骨崎リンネ君、あってるかな?」

「あってますけど…貴方は?」

「朱城ルミ。玄武商会の会長をやってるんだ。キサキから色々聞いてるよ、訳ありなんだってね」

「会長!?」

「あーあー、そんなに畏まらなくても良いからね。気軽に接してくれて構わないよ」

「は、はい」

 

 

言われてみれば……なんだろう、貫禄みたいなのを感じる。キサキの知り合いなら、とりあえず悪い人ではないだろう。そう信じたい

 

 

「まずは……そうだね。長い付き合いになるだろうし、連絡先交換しよっか」

「あ、はい」

 

 

言われるままに携帯を取り出……す…

 

……無い

 

 

「……携帯、投げ捨てたんだった」

「投げ捨てた!?君、本当に何があったの……」

「一回死んだって言ったら信じます?」

「ちょっと落ち着いた方が良いんじゃないかな」

「ですよね……」

 

 

困った。本当に困った。俺のスマホは壊れてなければアビドス砂漠に落ちているだろう。取りに行く事は勿論不可能だし、連絡手段が一切なくなってしまった

 

 

「……まぁ、なんとかなるでしょ!」

「出来るだけ早く新しいの用意しますね……」

 

 

 

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