死人の二度目   作:かゆ、うま2世

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誘い

「お〜?」

「んん?」

 

 

暇だったので適当に散歩していると、目の前に見知った顔があった。あれは…そう、カズサと同じぐらい仲が良い……

 

 

「イチカ〜!」

「リンネさんおはよっす!散歩っすか?」

「そんなところ、イチカも?」

「あたしもそんなところっすね〜」

 

 

正義実現委員会のイチカだ。カズサとは違った意味でノリが良く、とても付き合いやすい。多分一番仲が良いんじゃないかと思う

 

 

「……そういえばさ、この先スイーツ売ってる店あるよな」

「ありますね」

「なんかさ、予感がするんだよね」

「予感…?あぁ、そういう事っすか。行きます?」

「行こーう!」

 

 

スイーツが売ってる店だ。つまりあの人がいるかもしれない。いたらイチカと一緒に全力でイジリ倒せるし、居なかったらそのままイチカとなんか食べて帰れば良い。どちらにせよ俺に損はない

 

 

「あ、いた」

「こっそり近づくんすよ〜」

 

 

お目当ての彼女を発見。後ろからこっそり近づき、二人でタイミングを合わせ──

 

 

「「ハスミせ〜んぱい!」」

「うひゃぁっ!?」

 

 

あ、かわいい。驚いた時の声めっちゃ可愛い。この人はハスミ先輩。正義実現委員会のナンバー2だ。とにかく優しくていい人なのだ。あと色々デッカい

あとめっちゃスイーツ食べるのに体重気にしてるのも面白い

 

 

「あっはははは!驚いたっすねぇ〜」

「びっくりしたじゃないですか……」

 

 

うん、楽しい。すごい自然に学生できてる気がする。今度こそ平和に学園生活送れるんじゃないだろうか……

ハスミ先輩に向かい合うように座ると、隣にイチカが腰掛ける

 

こんな感じに、スイーツを食べているハスミ先輩を見つけてはイチカと二人で襲撃するのは何回かやった事が有る。毎回反応が可愛くて楽しいのだ

 

……しかし、改めて見てみてもでっか…

 

 

「…………」

「リンネさん、見過ぎっすよ」

「痛っ」

 

 

隣のイチカに脇腹を小突かれてしまった。確かにジロジロ見るもんでもないな。反省しよう……それにしても、本当にでかい。何がでかいって胸がでかい。俺だって健全な少年なんだからそりゃあ気になる

……なんか、気になる理由は単純な性欲だけじゃない気もするけど。これは…うん、最近の抱きしめられたい欲求だろう。でもハスミ先輩やってくれないんだよなぁ……

 

 

「イチカ、俺たちもなんか食べようぜ」

「奢りっすか?」

「………いいよ」

「すごい嫌そうなんで勘弁してあげますね」

「仲が良いですね」

 

 

その後、普通に頼んだスイーツを三人で食べた。美味しかった

 

 

「リンネさん、また抱かれたいんすか?」

「うーん…何か最近ずっとその気持ちが収まらないんだよね」

「あたしがやってあげてるじゃないすか」

「なんか違う」

「贅沢っすね」

「それを言われると何も言えない……」

 

 

実際カスみたいな事してる自覚は有った。でもどうしても誰かにハグされたかったんだよね。仕方ないじゃん。誰だってわかるでしょ

 

 

「ん、多少は満たされるかもしれないっすよ」

「ありがとイチカ」

 

 

抱きつく。イチカはやっぱり良い奴だ。カズサの時も思ったけど、こんな頼みを聞いてくれるなんて中々ないぞ。感謝しないと

 

 

「……あたしで良ければ、いくらでもするっすよ」

 

 

──────────────────

 

 

「……はぁ」

 

 

救護騎士団のベッドに勝手に寝転がりながら、溜め息を吐いた。トリニティでの三度目の学生生活は今のところ順調だ。体に不調もない。化け物…黒服はビナーとか言ってたっけ。そんな奴が現れる事も無い

友達も沢山できた。みんな優しい。本当に文句なんて一つもない良い学生生活だ。ただ、何というか…時々ちょっとセンチな気分になる

 

 

「いつか俺も終わるのかな……」

 

 

死んだとしても、また復活する俺という存在に、本当の意味での終わりは訪れるのだろうか。無駄死にじゃなければ、死ぬのは別にいい。俺の二度目……もう四度目の生が、誰かの一度目に捧げられるのなら、死ぬのなんて怖くない。どうせ復活するんだし、ちょっと痛いだけだ

 

 

「……またですか」

「げ、ミネ団長……」

「げ、ではありません」

 

 

俺の寝ているベッドの上、ちょうど頭の方に位置どって座ったのは、救護騎士団団長の蒼森ミネ。この人の前だと何故か妙に緊張してしまう。なんだろう、怖いわけじゃないんだけど……

 

 

「勝手にベッドを使わないでください。貴方の体は病人ではないのですから」

「すいません……」

「……いえ、責めるつもりはありません。きっと何かあったのでしょうから」

 

 

色々と変わった人だけど、悪い人では無いと思う。たまにこうして気にかけてくれるし

 

 

「わふ」

「………」

 

 

気付けば、ミネ団長の太ももの上に頭を乗せられていた。これ膝枕ってやつじゃないか?

 

 

「私で良ければ話を聞きますよ」

「……別に、ちょっと感傷的になってただけですから」

「そうですか」

「……」

 

 

頭を撫でられている。なんか恥ずかしいな……でも不思議と心地よい。そういえば昔もこんな風に、優しく包み込んでくれる人が居たはずだ。忘れてしまったのは悲しいが、戻る事よりは余程いい

 

 

「……貴方も、我々の救護対象です」

「ミネ団長が言うと怖いんですけど」

「心配しなくとも、必ず守りますよ」

「……そっすか」

 

 

微妙に恥ずかしくなりながらも、眠気が襲ってきたのでそのまま目を閉じた。この人には不思議な魅力がある。何だか安心するからね

 

 

「……それで、どうしてこうなった」

 

 

寝て、起きた。そんなに時間は経ってない筈なんだけど、ミネ団長は寝てる俺に後ろから抱きついてるし、前からはセリナが抱きついてる。どういう状況だよ

 

 

「動けんけど……まぁいっか」

 

 

幸せがいっぱいだし

 

まぁ、こんな感じで楽しい日々が続いていく──そう、思っていたのに

 

 

──────────────────

 

 

 

「あ、アリウスの皆わっぴ〜!アイス食えアイス!」

「いただきます!」

「…………」

「……まぁ、食べよっかな」

「私も食べる」

「お前たち……!」

「サオリもアイス食えアイス!」

「あははっ、リンネ君その調子!」

 

 

ミカに連れられてやって来たのは、アリウス分校の元だった。大昔、トリニティの一部だったアリウスは、なんやかんやあって追放されてしまい、それからは相当辺鄙な場所で細々と暮らしているらしい

ミカはどうやらアリウスと和解したいようで、わっぴ〜の意味を知り、俺なら理解してくれるかもしれないという事で声をかけてきたのだ

断る理由もなかったので普通に着いてった

 

 

「まだまだアイスあるからね」

「もっと下さい!」

 

 

アリウス分校の精鋭であるアリウススクワッド。錠前サオリ、戒野ミサキ、槌永ヒヨリ、白洲アズサ、秤アツコ。アリウスに訪れるようになってから二週間程経ったけど、一番関わりが多いのはこの人達だろう。めっちゃ強い

 

 

「ありがとう、リンネ。アイスは美味しいな」

 

 

俺はというと、何故かすっかり溶け込んでいる。最初はちょっと警戒されてたりしたけど、今は普通に受け入れられてるっぽい。やっぱりわっぴ〜とアイスは全てを解決するんだね

 

 

「見たかサオリ。わっぴ〜とアイスは全てを解決するんだぞ」

「……馬鹿馬鹿しい」

「そんな事言わないでさ!皆でアイス食べよ?」

 

 

アリウス分校。追放された彼女達の環境は劣悪そのものだ。全ては虚しいとか、何とも悲しい事をよく言っているし

 

 

「ねぇねぇミサキ」

「……何」

「あの虚しいとかってやつ、誰が教えてるの?」

「マダムが教えてるけど、それが何?」

「へー…ありがとね。はいアイス」

「……別に」

 

 

多分、ミサキは一番気難しいタイプだ。他の三人もそうだが、特に彼女はよくわからない。でも、こうしてお礼を言うとちゃんとお返しもくれるし、根は良い子だと思う

 

………それにしても

 

 

「……マダム、ね」

 

 

流石に、ちょっと腹が立ってきた

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