リンネ「任せろ(ゆるふわ死生観発動)」
前話って大体こんな感じよね。ちなみにあの後のFOX小隊は倒した敵にめっちゃ執拗にトドメ刺すようになったらしい
減少傾向
「………チヒロ、重いんだけど」
「我慢して、寒いんだから」
いくつかのパソコンと、沢山のモニターが並ぶ部屋。そこのソファで俺は寝ていた。何故か上には我々ヴェリタスの副部長のチヒロが乗っている
エアコンが壊れて寒いので、くっついた方が効率的、との事だ。合理的ではあるが、流石にこの体勢はどうかと思う。柔らかいからいいけど
「ウタハはまだかよ……」
「まだなんだから文句言わないでよ」
少なくともエンジニア部のウタハが到着するまではこのままだ。確かにチヒロは体温高くて暖かいけど、俺にも羞恥心というものがだね?
「……しゃあない、ユウカにカイロでも持ってきてもらおう」
セミナーの会計であり、同じ二年生の早瀬ユウカ。微妙に騒がしい奴だけど、頼めば割と何でもやってくれるから好き
「うっ……寒寒」
「あ、ちょ、もっと引っ付くの!?」
「いいじゃん別に」
チヒロの密着度が上がっていく。チヒロの顔は俺の首筋に埋められてるし、手も指を絡めるように握られてるから確かに暖かいけど、暖かいけど!
「んー……あったかい」
「部長に見られたら今後五十年はネタにされる……ほら、チヒロ離れて。もうすぐユウカ来るから、当たってるから色々と」
「当たって…?あぁ、そういうこと。ちょっと意外、そういうの気にするタイプだったんだ」
「チヒロだから気になるの」
「……ふぅん」
「何でもっとくっつくんだよ!」
ぐにゅ、という擬音が聞こえてきそうな程に胸を押し付けられる。これはこれで悪くない……じゃなくて!
ええい!部長にネタにされる前に無理矢理にでも抜け出してやる!
「っ!っ……!」
「……何してるの?」
ダメだ、抜け出せない。俺力弱い
「……弱すぎない?」
「やめて、自覚はある」
「……そう」
呆れたような声で言われて少し凹む。実際俺は時を止められるのと骨の弾が強いだけで、身体能力は普通…なんなら低い方だ。だからといって鍛えようとは思わないけど
「リンネ君?カイロを持ってきましたけど……」
声が聞こえた。ユウカの声ではなく、セミナーの書記、生塩ノアの声だ。何で?俺はユウカに頼んだ筈なのに
「何でノアが?」
「?リンネ君が頼んだのでは……」
もしかして誤送信した?
ていうかまずい。ユウカならこれを見られても顔真っ赤にして怒るぐらいで済むかもしれないけど、ノアはどうなるかわからない。こいつ微妙に怖いんだよ。笑顔が怖い
「…………」
「…その、これはですね」
この顔はあれだ。この前他の子と喋ってる所を見られた時の顔だ。あの時はマジで怖かった。今も怖いけど
「……カイロ、付けてあげますね」
取り出したカイロを──俺の顔に押し付けてきた
「あっっっつ!?ノア!ノア熱いです!ノアさん熱い!」
「あら?これがお望みだったのでは?」
「違う!これは絶対違う!」
「暖かいですか?良かったです」
「うわー………」
チヒロ、早く離れるか助けて下さい
「待って、いつまでやるのこれ!」
「寒くなくなるまでです」
「は!?ちょ、チヒロ!もうこの際誰でもいいから助けてくれーッ!」
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「……リンネ、大丈夫?」
「だいじょばない……ありがとハレ…」
ノアは帰った。俺の顔は多分赤くなってると予想できる。だって熱くて痛いし。ハレが冷えたエナドリを当ててくれるのが心地良い
「リンネ、モテ期?」
「かける言葉が違うだろうがチヒロォ!」
「う……ごめん」
流石に反省してるようなので許してあげよう。俺は寛大な男だからな。それにしても疲れた。肉体的にも精神的にも
「同級生に容赦が無いんだノアは…」
「……まぁ、カイロ持ってきてもらったし。先輩も」
「ありがと、ハレ」
皆は正しくカイロを使えているようで良かった。本当に
「……はぁ、疲れた。ちょっと外歩いて来る」
「いってらっしゃい」
「いってきます」
建物を出て、一人歩く
七回目の生。キヴォトスに来てからは六回目の学園に選んだのは、ここミレニアムサイエンススクールだった。理由は特に無い。アビドス、山海経、トリニティ、ゲヘナ、ヴァルキューレ
残ってるのは百鬼夜行とレッドウィンターとミレニアムだけだったから、その中で適当に選んだだけだ。
「……もうすぐ俺も二年生か」
こっちに来てからの最初の死のせいで、学年が一年ほどズレた。それさえなければもうすぐ三年生の筈だったというのに
「皆……いや、心配する資格なんてないか」
今まで俺が死んで──その後の、覚えてすらいない誰かの事を、時々思う。記憶を保持したままにしないのも俺の意思。忘れると知っていて、命を投げ打つのも俺の意思。なのに、ふとした瞬間に思い出すのだ。そしていつも、妙な寂しさに包まれる
「結局、未練があるんだろうな」
本心としては、また皆に会いたいんだと思う。でも、それは無理な事だ。死人がまた出向く訳にはいかない。そもそも、俺は誰一人覚えてない
「……馬鹿らし、悔いは残さないって言ってたのに」
昔の関係を掘り返す事はできない。今俺にできるのは、今回を死なないように生きるだけ。また会いたくならないように、いつでも会える関係を維持する。それだけの話だ
「──あぁ、やっと見つけた。探したよ」
「あれ、ウタハじゃん。どったの?」
エンジニア部の部長である白石ウタハ。彼女を一言で表すなら、頭の良いバカだ。人格も良い、頭も良い、ついでに言えばスタイルもいい。だけどバカだ。とにかくバカなんだ
「ヴェリタスのエアコンの修理を終えてね。ついでに君に用があったんだけど、行ってみたらいなくてね。探したんだよ」
「あぁ、それはごめん。用って何?」
「頼まれていたものが完成したから、渡しに来たんだよ」
「マジ!?」
「あぁ、これだよ」
渡されたのは一丁のハンドガンだ。俺が死ぬその瞬間に触れていた物は次の俺に持ち越せるが、前回の俺は死ぬ前にハンドガンを落としたらしい。どうせなら、という事でエンジニア部に依頼していたんだ。実際ロマンだろ特注の武器とか
「反動が少ない通常弾。反動は大きいが高威力の特殊弾。着弾地点で爆発する爆破弾の三種類を切り替えられる。どうかな?」
「最高!」
「ふふ、そう言ってもらえるとこちらも嬉しいよ」
「……あの、本当にそれだけだよね?他に機能とか付けてないよね?」
「銃以外の機能をつけないでくれとあれだけ言ったのは君だろう?安心したまえ、ちゃんと要望通りの機能しか付けていないさ」
「ならよし」
たまにそういう変な発明に付き合ったりはしているけど、自分が使うものにそういうのは勘弁して欲しいからな
「ありがとう……けど、俺本当に何もしなくていいの?」
「お代は要らないさ。また私に付き合ってくれるだけでいい」
「……そっか。ありがとう」
「こちらこそ。これからもよろしく頼むよ」
言葉を交わし、互いに別の方向に向かって歩き出す。ある程度離れた時、後ろから声が聞こえた
「言い忘れていたけどね、その銃、ウタハって言うんだ」
「え?」
「くれぐれも、私をよろしくね」
振り返っても、背を向けて歩く彼女の姿が見えただけだった
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「……来たのね。待っていたわ」
「結構ビクビクしながら来たんすよ。俺みたいな一学生に何の用ですか」
「────リオ会長?」