死人の二度目   作:かゆ、うま2世

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小鳥は遊ぶ

俺、別の世界から来たらしい

ちな情報源はシロコ。あっちだと色々大変だったらしいけど割愛。重要なのはシロコ本人が無事な事と、俺が受け取ったもう一つのシッテムの箱のOS、プラナについてだ

 

 

「へー、そんな事が。そっちに行く前の俺も同じ感じだったのかな」

『私が観測したのはあちらの世界での出来事だけ。こちらの世界でのリンネさんの事は分かりかねます。恐らく同一とは思いますが……念の為調べておきます』

「ん、よろしく」

「へぇー…本当に二つあるね」

 

 

先生の物と俺の物。二つにそう大きな差異は見受けられない。唯一の違いはOSくらいの物で、先生曰くこっちのプラナはちょっとテンションが低いらしい

 

 

「リンネ先輩、これ」

「ん?あぁ……ありがとね」

 

 

結局、あの後シロコにはシャーレの部員兼俺の護衛的な人として近くにいてもらってる。非常に優秀。何なら俺よりも優秀

 

 

「何だろこれ、手紙?」

 

 

発足して割とそんなに経ってないシャーレ。手紙なんて送られてきたのは初めてだ。危険物はここに来る事すらできないから、真っ当な手紙である事は間違いない筈。つまり、本当に誰からだろう?

 

 

「えぇと……アビドス高等学校…」

 

 

封筒を開けて中身を覗いてみれば、一番上に乗っていたのは丁寧な文字で書かれた学校の名前。アビドス高等学校……聞いた事ないな

 

 

「二人とも集合!」

 

 

皆で見なきゃいけないタイプのやつと踏んだ俺は、二人に声をかけてから手紙の中身を読んでみる

内容を纏めると

"うちの学校がヤバいから助けて!"

 

って事らしい

 

 

「明確に助けを求められちゃったね」

「よし、行こうか。リンネは来る?」

「うーん……」

 

 

決めかねている、というのが正直なところだ。理由としては、前の三人みたいな事がまた起きるかもしれないという事。もう一つは───

 

 

「っ………」

 

 

シロコの表情が、涙を見せた時のそれと同じだったから。多分、シロコにとっての地雷がアビドスにはある

シロコは俺の護衛みたいなものだ。あれ以来、本当に片時も離れずに俺を見ている。俺がアビドスに行くならば、その地雷すら飲み込んでシロコは俺についてくるだろう

 

 

「……シロコ」

「…何?」

「どうする?」

 

 

シロコは、何かを堪えるように俯いてから顔を上げた。迷いは見せない

 

 

「………行こう、リンネ先輩。多分、その方がいい」

「いいんだな?」

「うん。……でも、アビドスの子達に私の姿は見せられない。多分、互いに混乱すると思うから。遠くから見守ってる」

「わかった。頼んだよ」

「……任せて」

 

 

シロコは俺を抱き寄せると、首筋に顔を埋めた。何か、トラウマを刺激するような出来事があったんだろう。……大丈夫かな

 

 

「それじゃ、行こっか」

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「……先生、大丈夫?」

「………ギリギリ」

 

 

アビドス自治区。その正体は砂漠化に蝕まれ、人が殆ど消えたゴーストタウン。やたら広い自治区の中、歩きっぱなしで俺たち二人は疲弊していた

 

 

「背負おうか?」

「………………大丈夫、自分で歩けるよ。リンネこそ大丈夫?」

「ヘイロー持ちを舐めるなよ」

 

 

アビドスの事を知っているらしいシロコからの案内で迷う事は無い……と思っていたけど、どうもシロコの知るアビドスとこちらのアビドスは地理が微妙に異なるらしい。端的に言えば、迷った

 

 

(………割と、洒落にならないピンチかもな)

 

 

隣で歩いている先生は、俺よりも遥かに──というか、割と危険なレベルでしんどそうだ。ヘイローの存在がある以上、俺と先生の体の強度には天と地の差がある。最悪シロコに助けてもらえるが、どこに地雷があるかわからない関係上最後の手段……

 

 

「……先生、ちゃんとまっすぐ歩けよ」

「わっ……!?」

 

 

ふらつき始めた先生に肩を貸し、全体重を預けさせた。軽い。あまりにも軽い。普通に背負っても多分いける。てかそっちの方がいい。背負おう

 

 

「り、リンネ?別に歩けるから……」

「喧しい。黙って背負われてろ。あと水も飲め」

 

 

背負った先生にペットボトルの水を手渡す。先生は躊躇いながらも受け取ったようだ。申し訳なさそうな顔が目に浮かぶ

 

 

「………お、シロコから連絡だ。この辺の地図、新しいのだ」

「……ごめんね」

「謝るなよ。俺だって先生には感謝してるんだ。たまにはこんな風に世話も焼かせてくれ」

「……」

「こっちか」

 

 

地図の情報を頼りに、迷宮のような街を進んでいく。これなら問題なくアビドスに辿り着ける筈だ。シロコには感謝だ

 

 

「……リンネ」

「ん?」

「ありがとう、本当に」

「気にすんな」

 

 

背負われた先生の手が、俺の頭を撫でるように動いた。何か……凄い落ち着くなこれ

 

 

「……着いたみたい」

「だけど、なんか……襲撃されてない?」

 

 

アビドスに着いた俺たち……を待っていたのは校舎でも生徒でもなく、銃を乱射するヘルメットを被った少女達だった

 

 

「とりあえず……追い払わなきゃ駄目そうだよな」

「……そうだね。やろう、リンネ」

「任せろ」

 

 

俺が持っているやたらと高性能なハンドガンをヘルメット達に向け、連射する。横からの奇襲なんて全く想定していない彼女達は、反撃もできずに倒れていった

………何か俺だけの銃弾じゃない気もするけど、いいや

 

 

「な、何だ!?」

「奇襲だ!クソ、アビドスの奴らめ!」

「駄目だ!撤退!」

 

 

ある程度仕留めると、ヘルメット達はそそくさと逃げ出した。彼女達、数は多いが練度はそう高くないみたいだ

 

 

「それじゃ、挨拶に行こうか」

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

(……誰だろう)

 

 

ヘルメット団の襲撃。それ自体はよくある事だ。でも、今回の襲撃は横やりと共に終わりを迎えた

小鳥遊ホシノの警戒。大切な後輩達を守る為───三年前の、たった一人の同級生のような事を起こさない為の警戒は、とにかく色んなところに向けられる。横やりを入れてきた相手が味方とは限らない事を知っている

だからこその、警戒。敵対的であれば、或いは怪しい人──もしくは大人だった場合、多少無理矢理にでも帰ってもらう。小鳥遊ホシノが考えていたのはそれだった

 

 

(────え)

 

 

驚愕。この世で、誰も予想できないような事が、起こるとも知らずに

 

 

「……あー」

 

 

その少年は、後ろにいるヘイローを持たない大人と共に───全く同じ声、顔で口を開いた

 

 

「シャーレから来た、俺は骨崎リンネ。助けが必要らしいな?」

 

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