『……私、ホシノさんとはあまり仲がよろしくないのですが』
「え?そもそも接点あったんだ」
善は急げ、という事で。速攻で黒服に連絡を取ったところ、なんとホシノと接点が合ったらしい。意外過ぎる
「仲が良いとか良くないとか関係ないって言ってなかったっけ」
『それはそれとしてです。貴方とてベアトリーチェが生きていれば連絡を取りたくはないでしょう』
「あぁ……そういう」
『……とにかく、ホシノさんの連絡先を送ります。後はお願いします』
「了解。サンキュ」
やっぱり便利な人だよな。この人
「どうせならユメ先輩のが欲しかったけど……まぁ良いか。連絡しよ。あ、誰連れてこうか」
『不要。私がいれば充分かと』
「頼もしいねプラナ」
『貴方のOSですから』
「……じゃ、任せてみようかな」
──────────────────
「深夜にアビドスで……か。確かに良い案だな」
指定の場所はアビドス高校。時間は深夜。理由は単純に人が居ないからだ。生徒もいない。先生もいない。これなら捕捉される心配もない
「そういや、ここって旧校舎あるよな」
『ありますね』
「ちょっと行ってみない?まだ皆来てないっぽいし、時間潰せるかも」
『構いませんよ。では案内しましょうか?』
「うぇ、道わかるの。すご」
『当然です』
流石はプラナ様である。本当にありがたい
「ここか……意外と狭いな……」
現校舎と比べると明らかに小さい。かなり老朽化も進んでるだろうし、プラナがいなかったらまず入りたくない場所だろう
「……あれ、ここだけ綺麗」
『何故でしょうか』
「さぁ……?」
他の部屋はボロボロなのに、何故かこの教室だけ他と比べて綺麗なのだ。掃除が行き届いているというか、まるで誰かが使っている……というより、頻繁に訪れているような印象を受ける
『これは……』
「……箱?結構古いな」
いくつもくっつけられた机の上に古びた箱が置かれている。結構大きいし、埃一つ無い。この部屋と同じ……それ以上に丁寧に手入れされてる
「箱の中身……見るしかないな!」
『……保護はします』
「頼む」
箱を開け───すぐに閉じた
『……これ、は』
「開けたのを本気で後悔している。……でもまぁ、ちゃんと見るか…」
覚悟を決めて箱を開けた
「誰かの骨……ってより、十中八九前の俺の骨か……」
『……そのようです』
箱の中に入っていたのは紛れもなく俺の骨だった。左腕は無い。よく見ると、細かく砕けた骨がジグゾーパズルのように繋ぎ合わされているのが分かる
「うへぇ……」
一度目の俺は骨を使って死んだ訳だから、それはもう死体の状況も酷かった筈だ。粉々になった筈の頭蓋骨がここまで綺麗に直ってる辺り、相当頑張ったんだろう
……頑張って直したの?死体の骨を?そもそも骨になる前はどうしたの?焼いた?
……まさか、死体そのまま残してた?
「こわ……」
何でそんな事するんですか?
まず間違いなくまともな精神状態ではない。ユメ先輩がどういう人かは思い出したけど、三人で何をやってたかまで思い出した訳じゃない。どんな関わり方したらこんな事させるような状態になるんだ
「……見なかったことにしよう」
『それが賢明ですね』
「骨崎リンネはクールに去るぜ……」
教室から出て、元の場所に戻ることにした。正直あんまり長居したい場所でもなかった
「あ、ユメ先輩ちーっす。旧校舎に来るとか珍しいすね」
「うん、リンネ君を探しててさ」
「あ、じゃあ俺現校舎まで戻るんで……」
「待ってよリンネ君」
ユメ先輩の隣を通り過ぎようとすれば腕を掴まれた。怖い
「……見た?」
「……何の事ですか?」
「嘘をつく子は嫌いだな」
「…………!」
手を振り払って速攻で逃げようとしたけど、あっさり捕まった。力が強い。おかしいだろ。女子の腕の力じゃねぇぞ
「見た!見ましたよ俺の骨!何すかアレ!?」
「見ちゃったかぁ……どうしよっかなぁ」
「どうしよって……あの、マジで怖くて」
「あはは、そうだよね。……でもなぁ、アレ、リンネ君が誰かに喋っちゃったら困るなぁ」
「ユメ先輩?ユメ先輩はそんな事しないよね?」
「勿論しないよ?大事な後輩を傷つけるなんて、ね」
「別にアレの事誰かに言う気なんて無いですけど」
「……でもさ、口止めには対価があった方が信頼できるし安心できると思うんだ」
「……つまり?」
指を絡めて手を握られ、近くの壁に押し付けられて身動きが取れなくなる。力強い……俺が弱いの?
「何か、して欲しい事ある?なんでも良いよ」
「え、いや、それはちょっと……」
「嫌?私とじゃ、ダメかな」
「いやいや、そういう問題じゃなくて」
「私はリンネ君のこと好きだよ。大好き」
シロコといいユメ先輩といい何でこう似たような事を言うのか……というか、この状況は非常にマズイ。いくら何でも人気のない所で二人きりはまずい。絶対にまずい。
「リンネ君も私の事好きでしょ?あんなに抱きついてきてくれたもんね」
「ユメ先輩?怖い、怖いから。落ち着いて下さい?」
「大丈夫だよ。痛くしたりはしないからさ」
「いや、ちょ、ほんとに」
抵抗も虚しく、押し倒されてしまった。この体勢は本当にまずい。まずすぎる。前もそうだったけど何でそうさっさと事に及ぼうとするんだ俺の周りの奴ら
だが、今回の俺はプラナを連れているのだ
「痛っ……静電気?」
「……何やってるんですか、ユメ先輩」
「あ、ホシノ」
しかもベストタイミングだ。流石に止まってくれるだろう。これでようやく助かる
「……邪魔が入った。ちょっと遊んでただけだよ。集まった事だし、本題に入ろっか」
──────────────────
「……私、ずっとリンネに謝りたかったんだ」
「俺に?ホシノが?」
俺がどういう存在で、どういう経緯を辿ったのかは話した。理解してもらって、あとハグもしてもらって終わり。めでたしめでたし……という流れで終わるかと思ったのだが、何故かホシノは俺の正面にいた。そして唐突な謝罪である
「リンネが徹夜でバイトして借金返してるの、どうせゲームやってるんだって思ってたんだ。それで……その、リンネに酷い事言っちゃって」
「うんうん」
「謝れないまま、リンネが死んじゃって……それからずっと後悔しててさ。だから今、ちゃんと言えて良かった」
「気にしてないよ。そもそも覚えてないし」
「でも、リンネが生きててくれて嬉しいよ。また会えて、こうして話せるなんて思わなかった」
初対面……再会?の時の印象は最悪だったが、ホシノは根っこが優しいのだと思う。ただ少し、不器用なだけで
「そういえば、私の連絡先よく知ってたね」
「あぁ、黒服に教えてもらった」
「……は?」
あ、そうだったわ。黒服あんまり仲良くないって言ってたわ。ごめん黒服
「リンネ、アイツの事知ってるの?」
「知ってるも何も……」
もうこの際全部喋っちゃお
「初対面は俺の体調べる代わりに借金減らしてもらって……次は俺が死んだ砂漠に行ってこいって言われて…そこでビナーと殺し合う事になったんだよね」
「……ふーん」
「あ、荒っぽい事しないでね?ここだけの話アイツのおかげで結構助かってる事もあるからさ」
「へぇ、そっかぁ」
なんか明らかに怖くなったわ。ごめん黒服
「……まぁ、でも良かった良かった。あとは借金返すだけだね」
──────────────────
「……あ、ユメ先輩からだ!もしもし───」
「リンネ君!?ホシノちゃんが……!」
「……は?」